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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
56/103

第7話 賢者は森で修行する 四日目⑧

 レイアスはジョシュアに向かって付与魔法を展開する。


≪我望むは速さなり。≫

「【スピードアップ】!!」     


≪我望むは力なり。≫

「【アタックアップ】!!」


 レイアスの付与魔法のおかげで、ジョシュアに力が宿る。


「【身体強化】!!」

「【エリアルステップ】!!」

「【ラッシュ】!!」


 ジョシュアは自身が持てるすべてをかけるつもりで、スキルを発動し、武技を重ね掛けしていく。全身の筋肉や骨は悲鳴を上げ、今にも活動を停止してしまいそうになる。それでもジョシュアはその手を止めなかった。

 守りたい…ただそれだけのために。


「グウ。イタイ、オマエタチ、テキ!!」


 ホブゴブリンの体には無数の傷がついていく。しかし、女性を盾にされて致命傷までには至らない。イラつきながらもジョシュアの攻める手は止まらなかった。自身の限界まで動きを止めるつもりはなかったのだ。

 ホブゴブリンはたまらず後退する。しかし、その顔に焦りなどはなかった。自分自身を倒せるほどではないと確信していたからだ。


 レイアスはジョシュアの攻撃の隙をを探し魔法を次々と放っていく。

 それは致命傷をとるためではなく、ジョシュアが攻めやすいように、ホブゴブリンの攻撃の始点をつぶしていった。


≪我望むは火炎の力。礫となりて彼の者を射抜け≫

「【ファイアバレット】!!」


≪我望むは火炎の力。礫となりて彼の者を射抜け≫

「【ファイアバレット】!!」


≪我望むは火炎の力。礫となりて彼の者を射抜け≫

「【ファイアバレット】!!」


≪我望むは火炎の力。礫となりて彼の者を射抜け≫

「【ファイアバレット】!!」


 幾重にも放たれる魔法にひるむ様子が見られないホブゴブリン。

 ついに、二人の動きが止まってしまった。


「コレデ、オワリ?オレ、ツヨイ。オマエテチ、ココデシヌ。」


 ホブゴブリンは確信した。自身の勝ちであると。そして、この二人を殺して、自身の血肉にできると。自身はまだ強くなれると。


「はぁ、はぁ、もう…魔力が…やばい…。」


「畜生…あいつ…女性を盾にしてくる…どうすれば…」


 二人は体力・魔力ともにギリギリであった。攻めあぐね、ただ悪戯に消耗してしまったのであった。

 師匠二人からは口すっぱく体力・魔力ともに残量のコントロールをするよう言われていたが、経験不足が露骨に表れた結果であった。


 二人はそれでも立ち上がった。守るために。救うために。戦うと決めたのだから。


「『なかなか苦戦しているようだな。』」

「「く、く、熊さん?!」」


 聞き覚えのある声が後ろから聞こえる…。

 ホブゴブリンは驚いた顔をしていた。さすがのホブゴブリンにも焦りが生まれた。今までは自分が強者だったのが、一瞬にして変わってしまったのである。

 二人は声のするほうを見ると、そこには見知った顔があった。熊だ…


「『森を散策していたら、こっちから火の手が上がったものでな。状況を確認しに来たまでだ。』」


 熊はただの巡回であるかの如くふるまった。

 その姿にホブゴブリンは怒りを覚えた。自分が敵ですらないといわれたように思ったからだ。

 ホブゴブリンは恐怖を怒りで塗り替え戦闘態勢をとった。


「オマエ、ナニモノ?ショクリョウ、イタダキマス。」


 ホブゴブリンは、右手に持った大ナタを振り上げながら熊への迫っていった。


「『私を食料扱いとは…なめるな!!』」


それは、熊の本気の咆哮だった。空気の振動だけで大地が揺れた気がするほどの圧がかかっていた。


「!?!?!?!?!」


 ホブゴブリンはあまりの圧力にその体を硬直させてしまった。

 ホブゴブリンの左手より逃れた女性が地面へと落とされる。辛うじて意識があったのか、その場から逃れようともぞもぞと動いていた。


「いまだ!!【ハイダッシュ】!!」


 ジョシュアはその隙を見逃さなかった。ぎりぎり残っていた体力を限界ぎりぎりまで使い武技を発動させ、地面の女性をホブゴブリンから引きはがすことに成功したのである。


「さすが兄さん!!」


 レイアスもまたその隙を見逃さなかった。魔力欠乏症になることを覚悟ですべての魔力を魔法に込め始めた。


「【過剰魔力】!!」


≪我望むは大いなる火炎の力。立ちはだかりし者を貫き通せ。≫


 レイアスが【詠唱】を始めると、上空に炎を纏った投擲槍が形成されていく。その投擲槍は徐々に大きくなっていく。すでに4メートルは超えるであろう投擲槍は今度は色を変えていく。赤から青へ。そして白へと。ちりちりと空気の焼ける匂いが辺りに拡散していく。


「ありったけ持っていけ!!【ファイアジャベリン】!!」


 レイアスが魔法を放つと、その投擲槍は硬直して動けないホブゴブリン目掛け一直線に飛んでいった。

 ホブゴブリンは迫りくる炎の投擲槍に恐怖を覚えた。躱さなければ自分が死ぬ。そうれはわかっていた。しかし、金縛りでもあったかのように自分の体がウソのように動かなかったのである。


「ナンダ!!アツイ!!オレ、キライ!!」

「グギャ~~~~~~~!!」 


 炎の投擲槍は見事にホブゴブリンに命中しその姿を消し炭に変えた。その後には、焼け溶けた地面と大きな魔石だけが残されていた。

 ちなみに、本来ならば腰布がドロップされるのだが、あまりの高温にドロップ後にすぐに燃えてしまったのだった。


 やはり、腰布からは哀愁が感じられた…

ここまでお読みいただきありがとうございます。


はい、熊さん漢前回です。個人的に熊さんを渋いおじさま的な位置づけにしたく画策した結果、こうなりました。異論は…認めます。


戦闘も終了し、あとは事後処理…

でも、ゴブリンといえば…の回になります。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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