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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
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第7話 賢者は森で修行する 四日目⑦

 レイアスは、ジョシュアが指定した建物へと急いだ。

 建物は切り出された丸太と枝と葉でできており、入り口には獣の皮で目隠しされていた。

 レイアスが中に入ると、一人の女性の姿があった。女性は皮鎧を付けているものの、ボロボロになっており防具としての役割をはたしていなかった。


「助けに来ました!!」

「来ないで!!助けて!!もうやめて!!」


 レイアスが声をかけると、女性はとてもおびえ後ずさりながら叫び声をあげた。

 レイアスは女性を安心させるため、努めて優しく声をかけ続けた。


「大丈夫ですよ。もう魔物は討伐しましたから…。」

「ほん…とう…?」


 レイアスから討伐完了の話を聞いた女性は、少しだけ落ち着いたらしく、レイアスの話に耳を傾けてくれた。


「はい。ですからもうおびえないでください。」

「あ…あ…、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁっぁぁぁぁぁぁっぁ!!!!!!!!!!!」


 レイアスが、もう一度安心するよう伝えると、女性は大声で泣き始めた。

 安心感からか恐怖から解放されたからかはわからないが、女性の目からはとめどなく涙が零れ落ちた。

 レイアスは、女性が落ち着くのをただただ待っていた。焦らせることなく、気が済むまで。


 女性はひとしきり泣き続けると、だいぶ落ち着いたようだった。

 レイアスは女性をよく見るといたるところん汚れがあったため、一度きれいにしてあげようと思った。


≪我願う。我が身を清き風で包みたまえ。≫

「【清浄】」


 女性の体には優しく風が包み込み、その体についた汚れをきれいに洗い流してくれたのだった。



「ありが…とう…。」


 女性は、自身の体がきれいになったことに驚き、か細いながらもレイアスに礼を述べた。しかし、その顔にはまだ疑心暗鬼の色が見て取れた。


「歩けますか?救難信号は出したので助けがあと少しでこっちに来るはずです。」

「だい…じょうぶ。君は…つよいのね…」

「鍛えてますから。」


 レイアスは、ジョシュアのもとへ戻るため女性を抱えて外に出たのだった。

 外にはジョシュアが座り込みながらも警戒を解いていない姿が見えた。

 レイアスは女性を支えたまま、ジョシュアのもとへと向かった。


ーーーーーーーーーー


 集落が見渡せる広場の中央にジョシュアは座っていた。あまりの疲れに今にも寝てしまいそうになる体に鞭打って、周辺の警戒を行っていた。

 ジョシュアは、建物から出てくるジョシュアに気が付いた。


「レイアス大丈夫だったかい?」

「うん、この人がとらわれてた。」


 ジョシュアもレイアスの姿を確認し安心した様子だった。


「そっか。とりあえず無事で何よりでした。」

「じゃあ、そろそろここから離れよう。どこかに残りがいて、帰還されても面倒だし。」


 ジョシュアは、女性の無事を喜んでいた。

 レイアスは、ここに留まるべきではないと考え、即離脱を提案した。


 一行が離脱の為に動き始めるその時だった。ジョシュアは違和感を確信に変えた。


「ん?お姉さん…隠れてて…。レイアス、何か来る…。」


 ジョシュアは女性に隠れるように伝え、レイアスとともに戦闘態勢に移行した。


 

 しばらくして、集落の奥にある洞窟から一つの影が姿を現した。


「ンガ?コレハ、ドウシタ?ムラ、コワレテル。ナゼ?」


 その体はゴブリンのように緑色だが、ゴブリンよりも二回り以上巨大であった。全身が筋肉の鎧で覆われたような体をしていた。

 ジョシュアはその姿を見て確信した…群れは進化していたと。

 その魔物は、ホブゴブリン。ゴブリンの進化種であった。


「コレ?オマエタチ、コワシタ?」


 ホブゴブリンは、集落の惨状を見て驚いていた。自分の前には小さな人間種の子供が二人いたのである。


「そうだとしたらなんだというんだ?!」


 レイアスは、ホブゴブリンに向かって挑発を始めた。女性が隠れるまでの時間を稼ごうと思ったからである。


「オレ、コノムラノオサ。オマエタチ、ユルサナイ。」


 ホブゴブリンは、怒りをあらわにしていた。言葉は片言ではあるが、魔物に知性が宿っていたのだ。


「許してほしいところだね。」


 ジョシュアもまた、時間稼ぎのために挑発を始めた。


「兄さん…あいつの左手…女性だ…」

「やっぱり…あの奥の洞窟にまだいるんだ…」


 二人は小さな声で情報共有を始めた。ホブゴブリンに左手には女性が引きずられていた。少し動いていることから、まだ命がある状況がうかがい知れる。


「逃げられると思う?」

「ははは、無理そうだね。」


 レイアスは、離脱が不可能であることを感じていた。ジョシュアもまた、同感だった。それほどまでにホブゴブリンには隙が見えなかったのである。


「倒せそう?」

「レイアスの魔力はどのくらい?僕はあと数分で体力が切れそうだよ。」

「僕もあと下位魔法数発で打ち止めだね…」


 二人は残りの体力と魔力を考え、作戦を考え始めた。


「それでも…守らないと…ね!!」


 戦力さとしてはほぼ絶望的。勝てる見込みは1%前後。それでも二人は吠える。

 守りたい…ただそれだけのために。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


ついに始まりました、今回のボス戦!!

正直ボス戦でホブゴブリン?って一瞬思いました…

でも考えてください…8歳ですよ?普通に考えたらはなたれ小僧ですよ?(偏見)

というわけで、今回はホブゴブリンで勘弁してやるよ。的な作者の思惑でこうなりました。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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