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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
45/103

第7話 賢者は森で修行する 二日目⑥


ガサガサ…ゴソ…

またも二人を追う影があった。


「『心配しているのであれば助けに入れば良かろうに…。』」


熊はその茂みに向かってつぶやいたのだった。

茂みからは何も返答がないが、若干の焦りが感じられた。

熊はふんと鼻を鳴らしその場を後にした。


その場にもまた静寂が訪れたのだった…


ーーーーーーーーーー


フォレストウルフの遭遇戦ののち、何とか洞窟にたどり着いた二人は、一気に気が抜けるのを感じた。

しかし、ジョシュアは気を抜く場面ではないことを理解しており、レイアスに気合を入れなおした。


「やっと戻れた…つかれた~。」

「レイアス、やれることを先にやろう。」

「そっか、せっかくフォレストボアの肉が手に入ったし、ご飯作らなきゃね。」


レイアスはジョシュアの言葉にやる気を今一度呼び起こし行動を開始した。


「この香草と一緒に焼いてみよう。」

「とりあえず気にさして焼いてみるね。」


下拵えを終えた肉をレイアスは調理していく。

レイアスはふとジョシュアを見ると左腕に血の跡が残っていた。どうやら自分を庇って付けた傷だと気が付いたのだ。


「そうだ、兄さんケガ見せて?」

「いいけどどうしたの?」


ジョシュア的には大したケガではないと思っており、治療は不要だと考えていた。


「回復魔法の練習がしたくて。」

「僕で実験かい?」

「熊さんにも使ったから大丈夫。」

「冗談だよ、お願いできる?」

「任せて!!」


レイアスは照れ臭いのか練習台になってほしいとジョシュアに告げた。ジョシュアもまた、レイアスが照れていることに気が付き冗談を仄めかしながらも、治療をお願いした。


≪我望むは癒しの力。傷つきたもう彼の者に慈悲なる光を。≫

「【癒しの光】。」


レイアスがの【詠唱】が終わると、ジョシュアの体からは傷が消えていた。


「ありがと、レイアス。」

「どういたしまして。」


二人はお互いを見ながら笑いあっていた。


時間がたつにつて焼いている肉からいい匂いが立ち込めてきた。

空腹だった二人はすでに限界を超えそうであった。


「兄さん…うまそうなにおいがするね…」

「レイアス…確かにうまそうだね。」


焼きあがった肉を前に二人は生唾を飲んだ。ここにきて初めてのまともな食事である。無理はない。


「「いただきます」」


二人は我慢できず、挨拶するなり肉にかじりついた。

「「まず!!」」


二人は思わず吹き出してしまった。


「香りはめちゃめちゃいいのに全然おいしくない…」

「なんでだろうね…」


二人はあまりのまずさに心が折れかけた…


「あ、塩気だ。」

「そうか、今日僕たちは動き回ったから塩分が不足してるのか。」


レイアスは、その原因を考え答えに行きついたのであった。


「なるほど、それで干し肉が食料になってたんだ…」


ジョシュアもまたレイアスの考えに賛同し、干し肉の偉大さに気が付いたのである。


「どうしたの兄さん?」

「ほら、干し肉を作るとき保存力を高めるために塩を刷り込むでしょ?あれが、塩分補給に一役買ってたんだよ。」


レイアスはジョシュアのつぶやきに何のことかよくわからず質問した。ジョシュアは自分の考えをレイアスに伝えた。


「なるほどね…でも、干し肉あと少ししかないよ?」

「少しずつ使っていこう。」


レイアスもその答えに納得した。二人は残りの干し肉について大事にしようと心に誓ったのだった。


「ごちそうさまでした。」


二人は頑張って残りの調理済みの肉を食べ終えた。


だいぶ疲れがたまっていた二人は、早々に火の番を決め睡眠をとることにした。


「今日はレイアスが先に寝るといいよ。」


ジョシュアはレイアスの魔力消費の大きさを考えレイアスに先に休むよう伝える。レイアスの魔力切れは死活問題になりかねないからだ。ジョシュアが魔法が使えないわけではないが、いざというときレイアスが動けないことは問題だからである。


「魔力回復的にも先のほうがいいからね。おやすみなさい。」

「おやすみなさい。レイアス。」


こうして、二日目の夜は更けていった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


うん、塩ってめっちゃ大事だよね?って回でした。作者の経験上、塩の味がない料理は地味に物足りなさを感じてしまいます。


誤字脱字等ございましたら教えていただけると幸いです


では、次回をお楽しみください。

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