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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
43/103

第7話 賢者は森で修行する 二日目④

移動中に野草の群生地を発見した二人は、使える野草をより分けて収穫していた。


「兄さん、そっちにあった?」

「うん、それなりにそろってきたね。」

「これだけあれば足りるよね。」

「あとは水を汲んで戻ろう。」


二人の鞄にはあふれる量の野草や香草が集まっていた。

此処での収穫は完了。とばかりに腰をたたきながら立ち上がったレイアスは、急に顔色を変えて叫んだ。


「兄さん危ない!!」

「気づいてる…よ!!」


レイアスの声よりも先にジョシュアは反応しており、すでに右手にはショートソードが握られていた。

ジョシュアは、振りかぶられたゴブリンのこん棒をショートソードで払いのけながら、一足飛びでレイアスのそばへ移動した。


「ゴブリンだね。ってより、気づいてるなら教えてよ。」

「ごめん、ずっとこっちの様子見てたからわざと誘ってみた。」


どうやらジョシュアは、野草採取中からゴブリンの存在に気が付いており、戦闘訓練を兼ねてわざと警戒していないふりをしていた。

釣られたゴブリンはレイアスの行動を契機に奇襲を仕掛けたが、すでに気が付いていたジョシュアによって阻止された格好だ。


「で、どうするの?一匹だけ?」

「他はいないよ。」


レイアスは、自分の視界範囲に他がいないことを確認し、ジョシュアにもいないことを確認した。


「じゃあ、一気に行こう!!」

「僕が牽制するから、レイアスは最短で魔法をお願い。」

「わかった!!」


今回は奇襲作戦ではないため、ジョシュアが牽制役を買って出た。

即時攻撃を開始したジョシュアを見ながらレイアスも魔法発動の準備を始めた。


「【ステップ】!!」


ジョシュアはスキルを発動するとゴブリンに向かって前後左右自在に動いて見せた。ゴブリンはその動きについていけずたたらを踏んだ。


「【スラッシュ】!!」


ジョシュアはその隙を見逃さず横一線ショートソードでゴブリンを薙ぎ払った。前回の轍を踏まないため、切り口に細心の注意を払って。

ジョシュアの牽制で時間の取れたレイアスは【詠唱】を開始した。


≪我望むは水の力。礫となりて彼の者を射抜け≫


レイアスの【詠唱】開始とともに、レイアスの前には一つに水の塊ができた。その塊も次第に硬度を帯び、鈍く輝く水塊となった。


「【ウォーターバレット】!!」


レイアスの掛け声とともにその水塊はゴブリンへと飛んで行った。その速度はすさまじく、ジョシュアですら目で追うのが精いっぱいであった。

アロー系の魔法が挙動を曲げるなど自由度が高いのだが、バレット系の魔法はその速度の速さ一点に絞られた魔砲である。


「きれいに左目だけ貫いたね。」


ゴブリンは視界に水塊をとらえたと同時に後方へと倒れこんだ。倒れたゴブリンの左目には、後頭部まで達するこぶし大の穴が開いていた。


「こいつらにも脳みそあるし、一発で行けるかなって。」

「不思議なんだけどさ、獣は倒してもそのまま残るけど、魔獣・魔物は倒すと魔石とかドロップアイテム残して消えるのってなんでなんだろうね?」

「それについても僕も疑問には思ってた。帰ったら師匠に聞いてみよう。」


試しに狙ってみたといったレイアスだが、その精度にジョシュアは戦慄を覚えた。今の自分でもこの魔法を躱すことができるのだろうかと。

ジョシュアは、その感情を押し殺し、魔物・魔獣についての考察を始めた。しかし考えても答えが見つからず、サバイバル終了後に師匠に聞く課題として持ち帰ることとした。


「あ、ゴブリン消えていったね。」

「魔石………。腰布?」


そうこうしているうちにゴブリンの死体は霧散していき、その場には親指大の魔石ととても臭い腰布が落ちていた。


「腰布はいらないね…」

「見なかったことにしていこうか。」


二人は魔石だけを拾い、腰布は見ないことにしてその場を立ち去った。

二人が立ち去った後には、腰布がさみしそうにはためいていたのであった…

ここまでお読みいただきありがとうございます。


腰布さんに哀愁が漂って入れば、作者としては成功です…

ここでもまた、獣・魔獣・魔物の考察が入りますが、説明回までおまちくださいペコリ(o_ _)o))


誤字脱字等ございましたら教えていただけると幸いです


では、次回をお楽しみください。

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