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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
37/103

第7話 賢者は森で修行する 一日目②

サバイバル一日目


 師匠達が銛の入り口へ戻るのを確認した二人は行動を開始した。


「とりあえず…兄さん。どうしようか?」

「そうだね、まずは拠点を作らないと話にならないよね?」


 レイアスはジョシュアに今後の行動指針を訪ねた。


「だね。そうなると、まずは水場かな?」


 自分たちに必要なものを考えたジョシュアだが、まだ確認していないものに気が付いた。


「その前に鞄の中を確認しないと、必要なものすらわからないよ?」

「そっか、じゃあ開けてみよう。」


 二人は渡された鞄の中を確認した。中には必要最低限の備品が詰め込まれていた。


「食料は…ドライミートだね。…堅い…。」


 レイアスは、食料となる干し肉を見つけ軽くかじってみた。とても固く、そのまま食べるには向かないものだった。


「水筒は…からだね。」

「そうすると、やっぱり水の確保が優先度が高いね。最悪…魔法…。」


 水筒を見つけたジョシュアは中身を確認するも案の定空だった。レイアスも確認し、水の確保が失敗したときのことを考えて少し萎えた。


「そのあと、寝床の確保。いくらこの時期、雨がすくかいって言っても、雨風しのげないと体調を崩すからね。」


 ジョシュアは今後の行動計画を頭の中に思い描いていった。


「そうと決まれば行動だ!!」

「レイアスのそのポジティブ思考を見習わないとね。」

「行こう兄さん!!」

「そのまえに、ここにマーキングしておかないかい?」


 元気よく行動開始しようとしたレイアスを一度おちつかせ、今いる場所のマーキングを済ませるジョシュアだった。


「これでいいかな?じゃあ行こうレイアス。」


 マーキングを済ませたレイアス達は、コンパスを頼りに西に向かった。


 しばらく西へ向かって進んでいると、ふいにジョシュアは立ち止まった。


「待ってレイアス。止まって。」

「どうしたの兄さん?」


 ジョシュアはレイアスを制止させ、森の中の気配を探る。


「何かの気配がする…動物?」

「僕にはわかんない…」

「静かに行こう。」


 ジョシュアはレイアスに音をたてないように注意を促し、気配のするほうへ向かった。

 しばらくすると、前方に何やら気配を感じる。そこには小さな人影た3つほど見て取れた。手には壊れかけの武器を持っており、装備も体格に合っていなかった。体の色は緑ががっており、何かを話しているようだが、二人には理解はできなかった。

 ジョシュアは小人の特徴から正体を推測した。


「レイアス…ゴブリンだ…」

「だね、どうする兄さん?」


 レイアス達に緊張が走った。動物の狩猟の経験はあるものの、魔物との戦闘経験は師匠達に連れられて行ったことがあるだけだった。二人だけで倒せるのか?二人の頭の中には不安が押し寄せてくるのだった。


「このまま、離れたほうがいいかもしれないね。」

「そう…だね…。」


 ジョシュアはそう提案すると、レイアスの顔を除いた…しかしレイアスの顔は何故か曇っていた。


「レイアス…顔が残念がってるよ?」

「うっ…。だって、試したいでしょ?僕たちの実力…」

「そうだけど…」


 ジョシュアも実力を試したいのはやまやまだったが、ここで負傷してしまうとあとがつらくなると思い耐えるのだった。


 しばらくゴブリンたちの様子を観察していた二人だった。

 ふと一匹のゴブリンがその場を離れていくのが見て取れた。


「あ、兄さん一匹だけ離れた。追ってみよう。」

「一匹だけなら何とかなるかな?音をたてないようにね?」

「わかってる。行こう。」


 二人は、離れていくゴブリンに見つからないようにそっと後ろをついていくのだった。

 しばらく観察しているとあることに気が付いた。

 群れから離れたゴブリンは何か容器のようなものを持っていた。おそらくバケツのようなものだろう。


 またしばらく行くと、小川が見えてきた。

 ゴブリンは、小川に入るとバケツで水を汲み飲み始めた。そしてゴブリンは、そのまま小川で魚などを取り始めた。手には槍のようなものを持っており、一心不乱に突き立てているものの、どうやらうまくはいっていないようだ。


「兄さん…。今ならいけるんじゃない?」

「そうだね。よし、仕掛けよう。」


 二人は………戦う決断をした。初めて二人だけで行う戦闘。二人の手には汗が握られていた。


「じゃあ、僕が魔法で一当てするから、襲ってきたゴブリンを倒してもらえる?」

「それで行こう。」


 作成を決めた二人は、行動を開始した。

 レイアスは手にした杖を前に構え、静かに【詠唱】を開始した。


≪我望むは火炎の力。矢を成して彼の者を射抜け≫


 レイアスの前には一本の炎の矢が出来上がっていく。徐々にその温度を上げていく炎の矢。次第にレイアスは、ちりちりとした熱を感じ始めた。


「【ファイアアロー!!】」


 レイアスの放った魔法は、一直線にゴブリンに向かって飛んで行った。

 レイアスの声に気が付いたゴブリンは、何かを叫びながらその場で体をひねった。魔法はゴブリンを掠めるように飛んでいき、途中で霧散した。ゴブリンは怒りをあらわに、こちらへ向かってきた。かわし切れなかったようで、左半身が焼けただれていた。


「次は僕の番だね!!」


 さらに気合を入れたジョシュアは、手負いのゴブリンに向かって駆けていく。


「【スラッシュ】!!」


 ジョシュアは、右から左へとショートソードで薙ぎ払った。気合一閃。その剣筋でゴブリンの胴体は、腰の辺りから上下に分かれた。

 ゴブリンはその場で倒れたが…体からは青色の液体が噴き出してきた。


「くさ!!」


 ジョシュアはその液体をもろに浴びてしまい、本気で後悔した。


「に、兄さん…。やりすぎたね…」

「うん…。レイアスお願い…」


 レイアスはジョシュアに向けて杖を構え詠唱を開始した。


≪我願う。わが身を清き風で包みたまえ。≫


「【清浄】」


 ジョシュアの体がさわやかな風に包まれると次第ににおいや青い液体も消えていった。


「ありがとうレイアス。助かったよ。」

「どういたしまして。でも兄さんとしては珍しい失敗だったね。」

「そうだね。やっぱり興奮していたのかな?判断が甘かったよ。」

「次の修正点だね。」


 しばし反省会をした二人。ジョシュアは何の気なしにレイアスの顔を見た。


「レイアス…顔がにやついてるよ?まさか…さっきの2匹も倒そうとしてない?」

「そ、そんなこと…ない…よ?」


 レイアスの顔に戦いたいと書いてあったが、ジョシュアは優先事項的に今ではない旨を伝える。


「はぁ~。さすがにやらないよ?まずは水源を見つけたんだから、ここから近い拠点を探すのが優先だからね?」

「わかってるよ兄さん。」

「じゃあ、いこうか。」


 二人はまた行動を開始した。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


ついに初めての共同作業?でした。二人には心の傷を負わせるか迷いましたが、すでに師匠達と訓練はしているのでここではいいかなって判断でカットしました。

でも、美男子ジョシュアに液体をぶっかける…

やってみたかったんですよ、イケメンのちょいミス。


誤字脱字等ございましたら教えていただけると幸いです


では、次回をお楽しみください。

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