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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
33/103

第6話 賢者は修行を開始する⑤

 昼食を済ませたレイアス達二人は、また中庭に姿を現した。

 そこにはすでにガーランドがおり、自身の大剣を使って素振りをしていた。その周辺にはそのほかにも槍や斧、手甲などが置かれていた。だいぶ前から素振りなどを行っていたことをうかがい知れる。足元には大きな穴が出来上がっていた。


「さて、二人ともこれから武術鍛錬に入るわけだが、気持ちの切り替えはできているか?」

「「はい!!」」


 二人の姿を確認したガーランドは鍛錬の開始を告げた。

 二人も気合を入れなおすように力いっぱい返事を返した。


「よしいい返事だ。まず二人には剣術を覚えてもらう。一般的なショートソードだ。マルコ様からも訓練用のショートソードをもらっていただろう?それをこれから使っていく。」

「「はい!!」」


 二人の気合の入った返事に気持ちの切り替えが完了していることを感じたガーランドは、今日の鍛錬の目的を説明した。


「よし、まずは基本の振り方からだ。本来は利き手での素振りを教えるんだが、それじゃあ生き残れない。二人には左右どちらでも同じように振れるようにしてもらう。まずは利き手からだ。一振り事に修正点を教えていく。」


 ガーランドは二人が剣を構えるの待ち、完了したところで合図を出した。


「はじめ!!」

「「はっ!!」」


 ジョシュアの素振りはそれは見事なものだった。剣筋のブレは少なく、ブンっと音が聞こえた。

 レイアスの剣筋はとても褒められたものではなかった。ブレにブレ、振った際の音はほぼ聞こえなかった。


「よしやめ!!ジョシュアは見事だ。きれいに振れていた。そのまま続けて10回振りなさい。レイアスは…剣に体を持っていかれすぎだ。重心が崩れている。剣の重さで切っ先が完全に先行してしまっている。まずは体幹をブラさないようにしなさい。レイアスは一振りだけ振りなさい。」


 ガーランドは二人の修正点を伝え、再度素振りをすることを要求した。

 二人が準備できたことを確認したガーランドは再度合図を出した。


「よし、はじめ!!」

「はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!」

「はぁ~あっ!」


 ガーランドの掛け声とともに二人とも素振りを始めた。

 レイアスは先ほどと変わりなく、ヘロヘロな剣筋であった。それを見たガーランドは若干苦笑いしていた。

 ジョシュアも最初はよかったものの、後半になるにつれ息も上がり剣筋にぶれが生じ始めていた。


「よしやめ!!ジョシュア、6回目以降体幹がぶれているぞ。おかげで剣筋がぶれている。体幹は問題ないだろうが、体力面で問題がありそうだ。指南書を作成するので必ず行うこと。いいね?」

「はい!!」

「いい返事だ!!ではもう一度素振り10回だ。今度は自分のイメージと体がどう違ってくるか感じながら振るように。」


 ガーランドはジョシュアに欠点を伝え、日々の訓練を怠らないように注意を促した。


「レイアスは…素早く降る必要はない。丁寧に振ってみなさい。その時重心がぶれないように意識すること。」


 レイアスには修正点を伝え、二人に再度素振りをするよう伝えた。

 二人の集中力が戻るのを確認したガーランドは再度合図を出した。


「二人ともはじめ!!」

「はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!」

「はぁ~あっ!」

「やめ!!」


 その後もガーランドからのダメ出しと、修正点の伝授が繰り返されて行くのだった。


ーーーーーーーーーー


 一方そのころ中庭に面したテラスで、女性たちが会話に花を咲かせていた。

 一人はセシリー。もう一人はティリアだった。そしてティリアの後ろに控えているのはメイド長のマリアだった。


「ガーランド、初日なのに容赦ないわね。」

「ほんと、うちの子たちは大丈夫かしら?」


 初日から容赦なしに鍛錬を開始したガーランドに若干の呆れ顔のセシリー。

 ティリアはその様子を遠めからそっと見守っていた。やはりそこは母親であるためか、心配そうな顔がうかがい知れる。


「ティリア様、その辺りは大丈夫ですよ?伊達に何人も後輩を育てていませんから。」

「ねぇ、セシリー?そのティリア様はやめにしない?なんだか疎外感を感じてしまうわ?」


 セシリーは、そんなティリアになだめるように話しかけた。

 しかし、ティリアはその返答に納得しなかった…自身の呼び名についてだが。


「そんな、平民の私が貴族の奥様にそのような無礼を働くわけには…」


 セシリーはそのようなことはできないと断りを入れた。一歩間違えば不敬罪になりかねないからだ。


「私が許可します。様をとりなさい。」

「承知いたしました。ティリアさん。これでいいでしょうか?」


 そっと一つため息をついて「様」から「さん」に、言いなおした。セシリー的にもぎりぎりの精神状態だった。


「敬語もダメよ?」

「…あ~もう、わかりました。ティリアさんの勝ちです。もう、せっかく不敬にならないように気を付けてたのに台無しですよ。」


 ティリアから更に注文が入り、セシリーは半ばやけくそ気味に言葉を崩した。


「まだ少し堅いわね…。年も近いんだし、私の友達になってほしかったのよ。」


 まだ不満顔なティリアはその心の内を打ち明けた。


「そうゆうことなら納得したわ。これでいいかしらティリア。」


 ティリアの言葉を聞いたセシリーは年が近いこともあり、納得して「さん」も取り払ったのだった。


「えぇ、よろしくねセシリー。」


 ティリアはセシリーの言葉を聞いて満面の笑みを浮かべるのだった。その笑顔を市中の男性陣が見たら一発ノックアウトでもおかしくないほどだった。


「よかったですね、奥様?」

「もう、マリアまで私をからかって。」


 マリアはそんなティリアを見てささやいた。


「…ふふっ。」

「あははははっ。」


 それを聞いた二人は何故か笑いが込み上げてきた。

 ティリアに至っては口を開けて笑っているという状況だった。


「奥様…、口を隠してからお笑いくださいませ。」

「いいじゃない、ここには3人しかいないんだから。」


 そんなティリアを諫めるマリアだが、ティリアはあまり気にしていなかった。それほどまでに「友人」がうれしかったようだ。


「さて、あちらは順調かしら?」


 ふと、中庭に目を向けたティリアは心配そうにつぶやいたのだった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


誤字脱字等ございましたら教えていただけると幸いです。


余談ですが、作者の「ちょい読みシリーズ 僕はいつでも殺される」が毎日17時にアップされます。


お暇時間にお目汚し程度にお付き合いください。


では、次回をお楽しみください。

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