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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
31/103

第6話 賢者は修行を開始する③

 軽い休憩の後、再度中庭に集まった三人。

 セシリーは講習を再開した。


「それじゃあ、これから魔法の発動を行います。生活魔法の一つを使うので危なくはないけど、無理はしないでね?魔力欠乏症は本当につらいから…」

「気を付けます。」

「先生早く早く!!」


 セシリーが講習を再開し、注意事項を述べた。ジョシュアは真剣な面持ちで返事をした。レイアスは…目がキラキラ輝いて今にも飛び上がりそうな勢いだった。


「魔法の杖は持ってきた?」

「「はい!!」」

「じゃあ、まずはお手本ね。生活魔法の【湧水】を発動させるわね」


 セシリーはそういうと自身の杖を前方に掲げ詠唱を開始した。


≪我願う。わが前に清き水の雫を浮かべたまえ。≫


 セシリーの目の前に一塊の水が出現した。それはふよふよ球体をなして宙に浮いていた。

 セシリーは用意していた気の桶に水の塊を流し込んだ。


「どう?水が生まれたでしょ?試しに呑んでごらんなさい。」


 セシリーは少しにやけながら二人に水を飲むように勧める。

 二人は水の入った気の桶から手で水をすくいすすってみた…


「いただきます。ん?!」

「どうしたの兄さん?それじゃあ、いただきます…。まず。」


 ジョシュアの顔が少しゆがんだ…。それを見たレイアスは若干戸惑いながら口に含み…たまらず吐き出した。レイアスは飲み干したジョシュアを少し尊敬してしまった。


「そうなのよ、ぬるいしまずいしで最悪なのよね。」

「ついでだから、魔術を使った『魔法の水筒』を試してみましょうか。」


 いたずらが成功したのか、セシリーは笑顔を見せながら腰に下げていた『魔法の水筒』を二人に差し出した。


「はい、飲んでみて。」


 二人は少し警戒しながらその水筒から水を飲んでみた。


「い、いただきます。え?!」

「兄さんまたまずいの?男は度胸!!…うまい!!先生すごくおいしいです!!」


 『魔法の水筒』から出てきた水はとても冷えていておいしい水だった。普段呑んでいる水よりも実はおいしいとさえ思えるものだった。ジョシュアは内心家の水も祖もそれにしてほしいとさえ思ってしまった。

 ちなみにこの『魔法の水筒』には品質が存在しており、セシリーの持つものは高級品に分類されるものだった。

 さらに、レガスティア家にも『魔法の水筒』と同等の性能を持つ『魔法の水瓶』が設置されているが、これは容量が大きくなる代わりに若干の品質が劣るという欠点も存在していた。


「でしょ?だから、冒険者とかは魔法で水を出したりしないのよ。理由はわかってないけど、魔法で出した水はほんとおいしくないの。」

「たしかにこれだったら、魔法科学を進歩させて、魔道具を増やしたほうがいいですね。」


 ジョシュアはセシリーの説明を聞いて納得した。そして魔法科学の有用性を改めて認識したのである。

 だが忘れてはいけない…二人はまだ5歳なのだ。

 ジョシュアの返答を聞いたセシリーは、二人は年齢を偽っているのではないかと本気で考え始めていた。


「そうね、生活を豊かにするだけだったらいいんだけどねぇ。すべての道具は使う人次第って事かしら。」

「つまり、戦闘でも魔道具が使われるってことですか?」


 セシリーは若干表情を曇らせた。それを見たジョシュアの頭には「戦争」の二文字がよぎった。


「そう。魔砲銃とか魔剣なんかが良い例ね。敵を倒すことのみにその性能を特化させた魔道具だから…私はあまり好きではないわ。」

「………。」


 セシリーの表情が一層曇っていった。元宮廷魔導士として何か思うところがあったのだろう。

 そのセシリーの言葉に二人は何も言えなかった。

 領主を継ぐと覚悟しているジョシュアとしては納得のいかない言葉だった。戦力とはすなわち領民を守る力だと考えているからだ。

 転生者であるレイアスは元の世界と比較して、セシリーの言葉が当たり前だと感じた。しかし、この世界と照らし合わせてみた場合異質であるとも感じた。

最後までお読みいただきありがとうございます。


誤字脱字等ございましたら教えていただけると幸いです。


余談ですが、作者の「ちょい読みシリーズ 僕はいつでも殺される」が毎日17時にアップされます。


お暇時間にお目汚し程度にお付き合いください。


では、次回をお楽しみください。

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