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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
幼少期編
27/103

第5話 賢者は常識を知る②

三人が退席した応接間では、マルコとガーランドが真剣な面持ちで話し合っていた。


「マルコ様…お願いがあります。」

「言われなくともわかるよ。レイアスのことだね?」


 ガーランドはマルコに緊張した様子で問いかけた。その表情に話を察したマルコはそう尋ねた。


「あの子は危険です。才能の底が見えない。ジョシュアに、才能が無いわけではありません。彼も天才の部類です。これから鍛えれば、マルコ様を超える逸材となるでしょう。しかしレイアスは…」


 ガーランドの表情はさらに険しさを増していく。


「ガーランドも感じたか…。あの子は異質だ。隠れて読書をしているのは知っていた。書庫の本棚を確認したら、中級魔導書関連の書籍がなくなっていた。それも魔法だけにとどまらない。」

「やはり…ですか…。」


 マルコの答えにガーランドの表情には焦りともとれる色がうかがえる。


「厄災を招く御子…。予言の通り…ですか。」


 ガーランドは何やら不吉な言葉を発し、ため息をついた。


「ガーランド…頼む。あの子達をより良い世界へ導いてくれ。本来ならば親である私の役目だ。しかし、レイアスは私の手に余る。」

「頭を上げてください。この凡才の身ながら精一杯努めます。ですからマルコ子様は、変わらず二人に愛情を注いであげてください。それが将来、二人のブレーキとなるはずです。」

「当たり前だ。あの子達は私の可愛い息子なんだから。」


 マルコは自身の子供たちの行く末を案じガーランドに託した。ガーランドはマルコとの会話でこの指南役の重要性を改めて認識したのだった。


ーーーーーーーーーー


 応接間から書斎へ移動した三人は、さっそく授業を開始した。丸いテーブルにレイアスとジョシュアが座り、セシリーは黒板の前に立っていた。


「では何から始めようか。」

「はいっ!!魔法が見たいです!!」


 レイアスはセシリーからのフリに間髪入れずに答えた。その答えを聞いたジョシュアはものすごく呆れた表情をしてたしなめた。


「レイアス、いきなりはだめだって。」


 食い気味のレイアスに対し、セシリーは穏やかに真意を確認した。


「レイアス君は魔法に興味があるの?」

「はい!!だってすごいじゃないですか!!悪い奴らを一網打尽にやっつける魔法師とか憧れます!!」


 またも食い気味に答えたレイアスは、そのまま自分の世界へ突入してしまったのだった。


「また始まった…。先生、あと数分帰ってこないので放置でいいですよ。」

「いつもなのね?」


 毎度恒例となった光景にジョシュアはあきらめの表情を浮かべていた。セシリーも聞かされてたとは言え、さすがにここまでとは思っておらず、あっけにとられていた。


「はい。それで質問なのですが、魔法は錬金術とかと違って戦闘以外では役に立たないって本当ですか?」

「う〜ん。難しい質問ね。イエスともノーとも言えるわ。人の役に立つかという視点と、悪意から大切な物を守れるかって視点で答えが変わってくるわ。ごめんなさいね?明確に答えられなくて。」


 ジョシュアは時間がもったいないと考え、セシリーに今まで疑問に思っていたことをぶつけた。セシリーはその質問に悩みながらも正直に答えた。しかし、セシリーも答えに自信が持てないのか申し訳なさそうな顔を浮かべていた。


「でもこれって5歳の子供がする質問じゃないわよ?年齢をごまかしてない?」

「ごめんなさい。でも気になってしまって。」


 少し堅くなった空気を和ますため、セシリーは肩をすくめながら冗談を言ってきた。ジョシュアもばつが悪そうな表情で答えた。


「良いのよ、疑問に思うのは大事よ?いくらでも質問してね?私が答えられる限り教えていくわ。」


 ジョシュアの答えにセシリーも満足して、そろそろ再開しようと黒板の前に移動した。


「レイアス、そろそろ戻ってきなって。」

「いった〜〜〜〜〜〜っ!!何するのさ兄さん。」


 ジョシュアはそういうと、「すぱ~~~~~~んっ!!」と聞こえそうなほどの勢いでレイアスの後頭部をノートで叩いた。ものすごく痛かったようで、レイアスはこちらの世界に無事戻ってきたのだった。


「すぐに暴走するレイアスがわるい。」

「ふたりとも中がいいのね。」


 あまりの痛さに抗議するレイアスに、ジョシュアは頭を横に振り呆れた声で答えた。そのやり取りを見て改めて兄弟の仲の良さを実感したせしりーだった。


「それじゃあ、今日は初日だし、歴史について少しおさらいしよっか?」

「「ハイ!!」」


 二人の元気な声で授業は再開された。

最後までお読みいただきありがとうございます。


誤字脱字等ございましたら教えていただけると幸いです

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