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セフィロトの書〜賢者は賢者と知らない  作者: 華音 楓
プロローグ
17/103

第2話SS モンスター・パニック~勇者サイド⑤

「ふぅ、つかれた~。だから貴族は面倒なんだよね。ご飯も食べた気がしないし。」


 領主館を後にしたアルフレッド。大通りを歩くと、ふいに腹の虫が鳴き始めていた。


「よし、あのおっちゃんとこの串焼きを食べに行こう!!」


 確かに豪華絢爛の食事だった。だが、気疲れからか食べた気がしなかったアルフレッド。

昨日の串焼き屋を目指し、歩き始めたのだった。その足取りは昨日と打って変わって、ものすごく軽やかだった。


「おっちゃん。また来たよ!!」

「おう、昨日の兄ちゃんか。いらっしゃい。すぐ来てくれるとは思わなかったよ。」


 串焼き屋の店主は昨日きたアルフレッドを覚えていたようで、気さくに声を掛けてくれた。


「この味にはまっちゃってね。それで、出来ればあるだけ串焼きもらえるかい?」


 アルフレッドは串焼きの味が気に入ったのか、大量購入の交渉を始めた。


「太っ腹だねぇ~。すぐ用意できるのは50本ってとこだね。でも、食べ終わる前にさめちまうぞ?どっかにもっていくのかい?」


 あるだけ全部と店主へ伝えると、驚きつつもすぐに準備を始めてくれた。どうやらお土産と思ったらしく、分割用の袋の心配までしてくれていたようだ。


「それなら心配いらないよ。マジックバック持ってるから。いつでもどこでもおっちゃんの串焼きが食えるって寸法だよ。」


 アルフレッドは、腰に下げた鞄を片手でたたきながら、店主へそのままもらっても問題と伝えた。


「そうかそうか、それなら問題ないな。それじゃあ、少し待っててくれ。今温め直してやるからよ。」

「わかったよ、少しその辺ぶらぶらしてくるよ。」

「おう、待ってるぞ。」


 店主は会話が終わるといそいそと再度串焼きの準備を進めていった。あたり一面に香ばしいにおいが流れ、道行く人が串焼き屋に吸い込まれていった。

 しばし大通りをぶらぶらと散策し、自由を謳歌するアルフレッド。その表情はとても穏やかで、リラックスできているようだった。

 あらかた回り終えたアルフレッドは串焼き屋に戻ってきた。


「兄ちゃん、ナイスタイミングだ。準備できてるぜ。」


 ちょうど準備が完了していたようで、アルフレッドを見つけた店主は大きな紙袋を渡してきた。


「ありがと、一本100リーンだから…5000リーンだね。はい、確認して。」


 アルフレッドは、財布から大硬貨を五枚取り出し、店主へ渡した。


「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚。おし、確かに5000リーンいただいた。毎度どうも。」


 店主は、アルフレッドから受け取った大硬貨を一枚づつ数え、確かに受け取ったと大硬貨を掲げて見せた。


「じゃあ、またくるね~」


 支払いを終えたアルフレッドは店を立ち去り、街の出口を目指して歩き始めた。大通り沿いには冒険者ギルドもあるため、冒険者ギルドで次の街行きの護衛依頼を受けようかと考えていた。


「早速一本っと…。ウマ~~~~~!!おっちゃんの串焼きまじあたりだね。」


 アルフレッドは、歩きながら紙袋から一本取り出し食べ始めた。

 最初の一本を食べおわり、次の一本を口にしたその時だった。


「ん?ん~ん?ほんははんひはふふ?」


 何か違和感を感じ取ったアルフレッドは、ゴクンと食べていた肉を飲み干し、違和感の方向に意識を向ける。


「なんか、嫌な感じがするね。ダンジョンのほうかな?」


 アルフレッドは、そうつぶやくと急ぎその場をあとにした。


----------------------------


 当時の状況を、門にいた衛兵がこう証言した。


「突然街中から声が聞こえてきたんだ。何か騒ぎかと思って目を凝らしたんだが、それが何かわからなかった。すると、いきなり突風が吹き荒れ、あたりに砂埃が舞っていたんだ。周りのみんなも、何が起きたかわからなかったみたいで、キョトンとしていたよ。でもその時、俺は聞いたんだ。『ごめんなさい』って。ありゃ~、亡霊かなんかだったんじゃないかと俺はそう思ったよ…。すまない、もういいか?祟られそうで嫌なんだ…この話はこれで終わりだ。」


 事実は、アルフレッドが駆け抜けただけだった。この話が怪談話となったのは、数年後の事だった。アルフレッドは全く知りえぬところで…。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


SSを最後までお読みいただきありがとうございます。


第2話のサイドストーリーについては一旦終了です。


主人公が何故平穏無事に過ごせているか、どうしても描きたいがために2本入れ込みました。

ストーリー上不要とも思いましたが、作者の我儘と思って笑い飛ばじていてだけると幸いです。


今後も、ストーリーに厚みを持たせるためというより、実はサイドストーリーのほうがメインなのでは?となりそうな予感がひしひしとしてきていますが、生暖い目で見守っていただければと思います。


誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。


感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。


では、次回をお楽しみください。


※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。

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