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 サンタ狩りの作戦決行まではまだ早いので、開始までの一時解散とその間の自由行動が言い渡されて、俺は冬の街に独りでいた。

『気を付けてください。私たちはまだでも、奴らの狩りはもう始まっているのかもしれません』

 あの時言われたイサキさんの言葉を俺は反芻はんすうする。

 サンタの方から俺達に専制を仕掛けてくるとは思っても見なかった。それだけ、俺の考えが甘かったという事なのだろう。

 先遣隊は、サンタにやられたと見て間違いないと思う。だとすれば、サンタがこの街に居ることも確実だろう。

 コーヒーお代わり自由で何時間も粘れる喫茶店の中から、俺は道行く人達をぼんやりと眺める。

 誰もがただの一般人しか見えないが、きっとこんな風な人達に紛れ込んで、どこかにサンタはいるはずなのだ。

「しかし……」

 さっきからやたらと目につくのは、カップル、カップル、カップル、カップル、カップル、カップル、カップル、カップル、カップル!

 カップルばっかり! このまま眺めていると、カップルのゲシュタルト崩壊を起こしてしまいそうになる。

 リア充どもが妬ましい、そしてそいつらを蔓延らせるこのクリスマスが恨めしい。

 あーあ、あのカップルどもの幸せそうな笑顔が一度苦しむのを見てみたいな。突然空から流星群が降ってきて、あのカップル達の群れに突っ込んでくれないだろうか。

 俺は、イメージでその様子を想像してみる。

 

 人々の悲鳴が行きかって、遠くからサイレンの近づく音が聞こえる。

 目の前にはパートナーが負傷して動けないカップル達がいて、逃げ惑う人達に無残にも踏みつけられている。背中は靴跡で真っ黒になっている。

「誰か助けて」と必死に叫ぶ声が聞こえるが、自分のことに一杯一杯で誰もその声を聞きとめる人はいない。

 もちろんクリスマスなんてものを続けられる訳がなく、街の至る所で中止のお知らせが流れている。


 憎い人らが不幸のどん底に落ちる、実に愉快な胸の空く想像だった。

 流星群はさすがに無理だけど、クリスマスの中止ぐらいはぜひとも実現させたくなる。

 時計を見ると時間は昼下がり、数時間後にはサンタ狩りが決行される。

 もうすぐだ、あともう少しで……。


「――あはっ。見て見てーこの人、クリスマスなのにボッチだよ」


「うるせっ!」

 いきなり左横から、失礼な女の子の声がしたので怒鳴りながら左を向くと、そこにはミニスカ女子高生がいた。

 何故女子高生と分かったといえば、この近くにある高校の制服を着ていたからだ。

 人の触れてほしくないことを遠慮なく言いやがって、だから最近のガキは嫌いなんだ。

 待っていろよ、高校生なんて青春真っ只中のリア充野郎には……。

 俺の女子高生に向かって心の中で着いていた悪態は、女子高生のある一言で止まった。


「おにーさん、ハンターだね? どうも初めまして。こう見えて私、サンタをやってます」


 戦いが始まった。

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