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おっさん聖女の異世界救済計画 〜ジャマなやつらは結界で潰す〜  作者: あらたまのみこと


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第7話:無能な上層部のツケ

カランベルンが持ってきた報告によると、あの魚人公爵の一件以来、王国の上層部では面子を潰されたと大騒ぎになったらしい。


だが、こちらが王侯貴族の横暴を理由に『病気治療』を無期延期にしたところ、風向きが変わって次第に静かになったという。現金なものだ。こんな簡単な実効支配(嫌がらせ)で大人しくなるなら、最初から騒ぐなと言いたい。


組織の停滞はそのまま衰退を意味する。それなのに、現実に目を向けず、これまでのやり方を変えられないのだから、封建主義の連中は本当に頭が硬い。

「王国との協力関係を築くのは無理だな」

「そうですな。聖女様がどこぞの貴族との縁談を承知しない限り、まともな協議は難しいでしょうな」

カランベルンも俺の性格を理解してきたようで、冗談混じりに言ってきた。俺もこれくらいのジョークなら笑って返せる。


「アホな妄想を言うな。しかし、この王国にいる限り、これ以上は計画が進まんな。他に向き合うべき相手を考えないといかん」

「理想を言えば、帝国ですね。魔物の森との接触区域が広く、在籍する魔物ハンターの数も多い。国土も経済力も強大で、軍も組織だっています。帝国と協力関係を結べれば、魔物の排除計画も大きく進みますが……」

「そっちにツテある?」

「残念ながら、私を始めとして今の計画に参加している教会メンバーの中にはいません。教皇猊下なら多少の繋がりはあるでしょうが……」

「魔物ハンター協会はどうだ?」

「彼らの本拠地は帝国にあります。しかし、そこには一つ問題があります」

「問題? どんな?」

「彼らは魔物を狩り、その素材を取引することで利益を出している組織です。魔物の完全な殲滅を掲げている我々とは、最終的に利害が対立します」

「なるほど。ハンター協会にとって、魔物はメシの種でもある、か」

俺は顎に手を当てて考え込む。 神が俺に与えた仕様(使命)は、「穢れた大地を浄化し、魔物の脅威から人類を救え」だ。では、浄化の範囲はどこまでを指すのか。この魔物の脅威とは、具体的にどのレベルの排除を求めているのか。

「カランベルン。穢れた大地の浄化とは、何もかもを消し去る必要があると思うか? 人類にとって、魔物の何が本当の脅威だと思う?」

「どれほど、と言われましても……」

カランベルンは質問の意図が掴めなかったのか、首を傾げて俺を見た。


「ハンター協会は魔物を狩ることで利益を得ている。では、彼らが人類の制御できる範囲で管理し、狩り続けている分の魔物は、果たして人類の『脅威』と言えるだろうか」

「……なるほど。人類が主導権を握って制御できる範囲に収まるのであれば、すべての魔物を絶滅させる必要はない、ということですか」

「そうだ。だからハンター協会と交渉し、人類の生存圏を脅かさない安全な生息区域をこちらで規定し、そこを管理させる。住み分けだ」

「問題は、それが神のご意志と相反するかどうか、ですが……」

「王国の貴族どもを見る限り、人類が手を取り合って魔物殲滅に協力するなんて、到底実現可能な話とは思えん。それに、奴らが仲良くするための仲介役として手間暇をかける気もない。現実的な妥協案として、実現可能な範囲を想定するならば、これが最も堅実だと思う」

「さようですね。短期間で成果を出すプランとしては、それが最も現実的かと」

「ハンター協会の立場としても、不測のリスクが減り、計画的な運用が可能な狩場が手に入るなら、悪い話ではないはずだ」

「確かにそうです。各国としても、そういった話であれば否定する理由は薄いでしょう」

「よし、方針は決まったな。王国のハンター協会に本部と繋いでもらおう。そこから協会との妥協点を模索する」

「承知しました。要点をまとめ、協会との話し合いの席を設けます」

こうして、俺たちの計画は現実的なラインへと軌道修正された。


王国のハンター協会との話し合いでも、こちらの意図への一定の理解を得られ、帝国の本部にてより具体的な交渉を進めようという合意を取り付けることができた。


――問題は、そんな前向きな動きの中で起きた。



王都がにわかに騒がしくなった。

なんでも、王国が管理する魔の森に接する辺境伯の領地で、魔物の氾濫が起きたらしい。


俺としては「ふうん、そうなんだ」というだけの、他社のトラブルのような話だったのだが、ある日、教皇に呼び出されて彼の執務室まで足を運ぶことになった。

正直行きたくなかったが、カランベルンから「王家の使者も交えての話になるそうなので、断ると後々面倒になりますよ」と忠告を受け、重い腰を上げたのだ。カランベルン、俺の扱い方をよく分かってる感じに成長したなぁ。とほほ。


部屋には、以前と変わらない教会の幹部たちと、王国貴族らしい男が2人いた。こいつらが王家からの使者らしい。

「ご足労いただきありがとうございます、聖女様」

王国貴族の一人が立ち上がり、こちらに丁寧な挨拶をしてくる。

普段傲慢な奴らがまともな対応をするなど、何か裏がありそうだ、と俺が身構えてしまうのは無理のない反応だろう。そして、予想通り裏があった。


「聖女様は、いま辺境伯の領地で魔物の氾濫が起きていることはご存知ですか?」

「ああ、聞いてはいる」

「話が早い。王国は聖女様に、この魔物氾濫の鎮圧をお願いしたい」

俺は無言で王国の使者を見た。 さも当然というように堂々としているのだが、どうしてここまで厚かましくなれるのだろうか。


「魔物の氾濫が起きた辺境伯の領地は、王国に所属している土地だな?」

「その通りです」

「王国はそこを治め、民を守る義務があるのでは?」

「その通りです」

「では、自分たちでやれば?」

ここで使者が初めて困惑の表情を見せた。驚いたことに、教皇をはじめとする教会のメンツまで困惑の表情を浮かべている。


「やれ……とは?」

「そのままだ。王国で魔物の氾濫が起きたんだろ。王国が責任を持って軍を動かし、対応すればいい。違うか?」

「……ですから、我々は聖女様にお願いしているのです」

「んん? 俺は最近になって、この魔物の氾濫の話を聞いたばかりだ。その間に、王国が援軍を派遣したとか、現地の被害がどの程度で、どんな情勢なのかといった、事前の状況共有を何一つ聞いていないぞ。事態の把握もしていない人間にいきなり丸投げか?」

「……ですから、聖女様にお願いしています」

俺はカランベルンを見た。おいおい、まさかこいつら……。 カランベルンも困った表情で俺を見る。そして、彼は呆れを堪えながら王国の使者に確認を取った。


「王国側が現在行っている、対応の詳細を教えていただきたいのですが」

「王国側の対応? 何の話ですか」

「魔物の氾濫に対して、国としてどう防衛戦を構築しているのかの詳細です」

「ですから、聖女様にお願いしていると言っているでしょう」

堂々巡りとはまさにこのことだ。

つまり王国側の対応方針は、国軍を動かすコストを惜しんで、俺に丸投げするということか。あり得ないだろう。 そんなアホな使者の言葉に、事なかれ主義の教皇が追従した。

こいつも大概アホだった。


「聖女様たちは、魔物を殲滅するのが使命なのでしょう? でしたら、すぐに辺境に向かうべきでは? その聖なるお力で、早く王国をお救いくださいな」

教皇はニヤニヤと笑みを浮かべている。

性格が悪い。自分たちの国の民が被害に遭っているというのに、以前のやり取りの仕返しができたと喜んでいやがる。気持ちの悪い豚だな。

まあいい、俺の答えは変わらん。


「いや、俺はここの国民ではないし、自ら危険な辺境に行く理由もない。もし俺の協力が必要なら、まずは王国側が自国としての防衛体制をしっかりと確立しろ。その対応のプロセスの中で、どこでこちらの力が活かせるかを検討する」

「そんな無責任な!」

王国の使者は騒ぎ立てるが、俺は無視して席を立った。


「自国の領地が被害に遭っているのに、放置して何もしない方が、王侯貴族として無責任じゃない? 常識と良心と議論してきてくんない」

「お待ちください!」


「待たない。お前らは聖女を便利な道具と思いすぎている。悔い改めよって話だ」


評価・レビュー等は受け付けておりますが、返信できない場合が多いので、ご承知おきくださいmm


本作はAI(Gemini)を利用し、校正を行っています。

基本お話は完全に手作りですが、描写等のもサポートしてもらっています。

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