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おっさん聖女の異世界救済計画 〜ジャマなやつらは結界で潰す〜  作者: あらたまのみこと


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第2話:肥溜め生活からの脱却

「せ、聖女様……」

静まり返った教会のなかで、目の前にいた神父が引きつった顔で俺に話しかけてきた。


「あ?」

「威圧を……どうかその、威圧を収めてください……っ」

「あ? 知るかボケが」

俺は神父を完全に無視して、そのまま足早に「家」へと帰った。


家と言っても、ただの貧乏農家の納屋である。 今世の俺には両親もおらず、親戚の農家に小作人として雇われているだけだった。

前世で、FIRE(経済的自立・早期退職)のために必死に資金を運用していたこの俺が、まさかの小作人だと……?


あのクソ神め。俺が何をしたっていうんだ。 多少傲慢だった自覚はあるが、犯罪に手を染めたことも、卑怯な手で人をハメたこともない。堂々と自分の努力によって、キャリアも成果も掴んできた。

その努力の成果が、金にも食うことにも困らず、快適な部屋で趣味を満喫する大人の生活だったのだ。

なのに、今の俺はなんだ。 隙間風の吹く小汚い納屋に、牛の糞尿の匂いが充満する、最低最悪のサバイバル。


ふざけんな。 ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな……!

――ふざけんなよ、クソがッ!!


頭を抱えて藁の上に寝そべり、全力で現実逃避する。 次第に意識が薄れていった。怒るというのは、想像以上にパワーが必要だ。幼い少女の貧弱な身体では、感情の爆発だけで激しく消耗してしまうらしかった。



「起きな! 起きるんだよ、マリアベル!」

眠っていると、誰かに頭を思いきり小突かれて意識が覚醒した。最悪の目覚めだ。 視界を開けると、そこには小太りのおばさんが仁王立ちしていた。この家の主だ。


「教会の方があんたに会いに来てんだよ! さっさと起きな、このグズ!」

おばさんが、俺の顔面にげんこつを振り上げた――その瞬間。


「やめっ……! やめなさい!!」

後ろから飛び出してきた神父が、必死の形相でおばさんの腕を掴み、その行動を力任せに制止した。

もし、あのまま理不尽な拳骨でも食らっていたら、俺の魔力が暴走してこの農家ごと消し飛ばしていたかもしれない。そういう意味では、あのおばさんは神父に命を救われたと言えるだろう。


神父の背後には、教会にいた助祭たち、そして一人だけ明らかに格の違う、立派な法衣をまとった老人がいた。 その老人が一歩前に出て、藁まみれの俺の前で、なんと静かに膝をついた。


「聖女様。先ほど教会では大変な失礼を働き、申し訳ありませんでした。まずは教区を代表し、深く謝罪をさせていただきたい」

「……あんたは?」

「おい! この方は……っ!」

助祭の一人が俺の不遜な態度に声を荒らげようとしたが、老人が手を挙げてそれを制した。


「助祭が失礼をいたしました。度重なる無礼をお許しください。私はこの地域の教会を統括する司教、カランベルンと申します」

教区のトップである司教は、年の功なのか、あるいは優れた政治家なのか。俺のような小汚い子供相手にも、キチンとした礼儀を崩さなかった。


「……それで、最高幹部がこんな肥溜めみたいな場所に、なにか用か?」

「失礼ながら、あなた様は先ほどの成人の儀において、正式に神の使徒『聖女』と認定されました。つきましては、王都にある王国教会の本部まで、足をお運びいただきたくまかり越した次第にございます」

正直、神だの教会だのはどうでもいい。 だが、思考をビジネスモードに切り替えてコストとメリットを天秤にかける。


教会の本部とやらに行けば、少なくともこの糞尿の匂いが漂う納屋生活とはおさらばできる。

いくらこの理不尽な世界が憎かろうとも、俺はまだ死にたくはない。 そして、前世で知ってしまった「快適で文化的な生活」の基準を、どうしても忘れることなどできない。

ならば、まずはこの最悪な現状を打破するために、教会のリソースを利用すべきだ。


「……いいだろう。乗ってやる」

俺が教会の誘いを受け入れると、カランベルン司教はホッとしたように表情を緩め、この家のおばさんに「これまで聖女様を育ててくれた謝礼」として金貨の袋を渡しようとした。


俺は、その手を横から掴んで止めた。

「聖女様……?」

「司教。このおばさんに金を払う必要はない」

「な、なんだって!? あんた、育ててもらった恩を――」

ギャーギャーと騒ぎ出すおばさんを、冷徹な一瞥で黙らせる。


「この幼子を納屋で寝起きさせ、ろくな食事も与えず、朝から日が沈むまで無給でこき使っただけの人間だ。投資に対するリターンどころか、ただの搾取だろ。謝礼の意味がわからん」

俺はふいと顔を背け、納屋の奥にいる一頭の乳牛を指差した。


「謝礼というならば、そこにいる乳牛の方がよっぽど俺の生命の恩人だ。あれの乳を盗み飲みしてなきゃ、俺はとっくに餓死してた。金を払うなら、その牛に極上のワラでも買ってやれ」

呆然とするおばさんと教会関係者を置き去りにして、俺は一歩も振り返ることなく農家を出た。


評価・レビュー等は受け付けておりますが、返信できない場合が多いので、ご承知おきくださいmm


本作はAI(Gemini)を利用し、校正を行っています。

基本お話は完全に手作りですが、描写等のもサポートしてもらっています。

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