文化祭当日の第十話
文化祭当日。美術部は二人一組で行動することになった。
店番と自由時間を交互に回すシフト制だ。
雫の強い要望で、和葉とペアとなった。
「っあ! 今日はラッキーカラーと一緒ですね!
これで今日の文化祭、絶対上手くいきますよ!」
「もぉ~! だからスカート捲らないで!!」
美術室にいつもと変わらない声がこだまする。
「うるさいですよ、先輩。
私達最初の店番なんですから。美術部は清廉潔白でないと。イメージが大事です!」
「やっていることと言っていること全く合ってないんだが」
「そうですか?嘘偽り無く、やましい気持ち無く先輩のパンツ見ているので大丈夫だと思いますよ?」
和葉は呆れて声も出なかった。
「まもなく、開門します。第53回福女祭 開催です」
校内放送が告げた。
和葉と雫はそれぞれ、来場者に絵の案内を行う。
一通り、来場者が落ち着くとゆっくりとした、正に美術館みたいな空気が流れた。
雫がふと、美術室を見渡すと、和葉が女の子と仲良さそうに話す姿が視界に入った。
「この絵凄いね!和葉が書いたんでしょ?」
「でしょ!これね……」
そんな楽しそうな会話が聞こえてくる。
雫は思わず両手で耳を塞いだ。
しばらくして、薫と泉希が交代に来た。
「ねぇ、せっかくの自由時間なのに、なんでそんな不機嫌なの?」
「……あの女の子、誰ですか?」
ふくれっ面の雫が聞く。
「あぁ、中学の時の友達だよ。どうかしたか?」「ただの……友達、ですか……?」
「ただのって、普通の友達以外に何があるんだよ?」
「いえ……なんでもないです。友達なら、いいんです」
雫は何とも言えないもやもやを抱えたまま、明るく提案した。
「それよりも、文化祭回りましょうよ。先輩は何したいですか?」
「おっ、そうだな〜、
お化け屋敷なんて良いんじゃないか?」
「お化け屋敷ですか……?違うのにしません?」
雫は少し目線をずらし答える
「まさか怖いのか?」
「そ、そんなことないです!良いでしょう、お化け屋敷。行きましょう。怖がっても知らないですからね、先輩」
二人がお化け屋敷に入ると、中から雫の悲鳴だけが響き渡った。
「ぎゃーー! わーー! ぎゃーー!」
出てきた雫は真っ青な顔で、和葉の腕に思いっきりしがみついていた。
「うぅ……先輩ひどいです、こんな……こんな……」
「雫〜、怖がりすぎだよ」
「だって、怖かったんですもん……」
和葉が笑いながら言うと、雫はさらに強く腕に絡みついた。
その後、店番をしたり、出店のクレープを食べたりしながら、
二人は文化祭を満喫した。
和葉は心の中でそっと思った。
(今日一日で、雫の知らない一面が見れて嬉しかったな……)
もちろん、そんな感想は絶対に口には出さない。
皆がお祭り気分に浮かれる中、福女の学園祭は、
幕を閉じた。
お読みくださりありがとうございます。是非感想等頂けたらモチベーションアップになりますのでよろしくお願いします。
毎週水曜日と土曜日に更新予定です。




