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27-1・Hセイテン~堀田暗殺~セイテン死亡

 妖幻ファイターセイテンは、粉木の制止に聞く耳を持たず、銀色メダルをYウォッチに装填!セイテンの纏う妖気量が増大し、戦闘能力が上昇をする!


「おぉぉぉぉぉっっ!!」


 セイテンは、専用武器・如意棒を振り回しながらスプリガンに襲い掛かる!スプリガンは最初の2発を回避するが、セイテンの攻撃スピードの変化に気付き、3発目は回避しきれずに専用斧で受け止めた!

 スプリガンの手が衝撃で痺れる。攻撃の重さも、先程までとは別物だ。


「それが・・・銀色メダルか?た、確かに、素晴らしい効果だ!」


 欲しているアイテムを目の前の男が持っているとは思わなかった。間違いなく「銀色メダル」は対戦中の退治屋を数ランクほどパワーアップさせた。


「・・・くそっ!目の前に在るってのに、手が届かないとは!」


 サシの勝負を続けられるなら、銀色メダルを掠め取るチャンスはあるかもしれない。しかし、魔法陣が不発に終わり、オーガが倒された今、残りの退治屋が集まって来るのは時間の問題だ。場合によっては、リリスが戦いを嗅ぎ付ける可能性すらある。この場に長居をするのは危険だ。


「口惜しいが・・・これまでだ!!」


 スプリガンは、後退で間合いを空けながら、『Ko』と書かれたメダルと、『Pi』と書かれたメダルを立て続けに装填!

 コボルト(半犬生物)とピクシー(下級妖精)が出現して、セイテンに襲い掛かる!セイテンは如意棒を振り回して、邪魔者達に対応をする! その間に、逃走をするスプリガン!


「オッサン!」 「猿飛さんっ!」


 邪魔者達に応戦するセイテンの元に、ザムシードとガルダが駆け付けた!


「スマナイっす!スプリガンに逃げられた!

 狗塚、佐波木、コイツ等を頼むっす!!」

「えっ!?あぁ・・・了解!」

「アカン、猿飛!追撃は狗塚に任せて、オマンは変身を解け!!」

「・・・・・・・ん!?この妖気はなんだ!?」


 ガルダは、セイテンを取り巻く雰囲気に「野蛮な物」感じて、僅かに戸惑った。


「狗塚!ヤツ(スプリガン)は川沿いに逃げおったで!

 今なら、まだ追えるはずやっ!!」

「わ、解りました!」


 違和感は気になるが、今は、離反者の追撃が先。ガルダは気持ちを切り替えて、スプリガンを追い掛けようとする!しかし、背後からセイテンの如意棒の先端が伸びてきて、ガルダの足下を掬った!


「・・・なにっ!?」


 味方の妨害を受けて転倒をするガルダ!その真横を、セイテンが駆け抜ける!


「やはり、何かがおかしい!」


 ガルダはセイテンを追おうとするが、ピクシーが飛び掛かって、進路を塞がれてしまった!その間にセイテンは、雲を模ったバイク=マシン斗雲を召還して飛び乗り、戦場から離脱をする!


「先にコイツ等を倒さなきゃ、追えないようだな!」

「邪魔な奴等だ!!」


 ガルダは妖槍を、ザムシードは妖刀を構え、それぞれ、コボルトとピクシーに飛び掛かる!


「追うのは俺の役割っす!」


 セイテンの脳には「オマエが追え!」と言う女(里夢)の声が何度も鳴り響き、マスクの下の眼は虚ろに変化をしていた!




-文化会館・大ホール-


 ステージ上では、優麗高吹奏楽部の演奏が始まった。客席の亜美&優花&美希&永遠輝は、友人の晴れ舞台に集中をしているが、紅葉だけは演奏を集中できず、戦いの行方が気にしていた。


(・・・燕真。・・・まさっち。早く『勝った』ってメッセージ入れてよ。)


 大ホール後方の最も扉に近い席・・・先程まで里夢が座っていた場所は、今は空席になっている。




-会館・表口-


「た、たのむっ!もう逆らわない!!

 アンタの言う事は何だって従う!!だから助けてくれ!!」


 死神鎌=デスサイズ・キスキルを構えたリリス(里夢)に、堀田が命乞いをする。


「そう・・・私の言う事なら、何だって従ってくれるのね?」

「従う!従うとも!」

「なら・・・死になさい!それが私の命令よ!!

 堀田君・・・残念だけど、アナタには、利用価値なんて無いの!」


 リリスは、懐中時計型アイテム=AKURYOUウォッチから、『Lc』と書かれたメダルを抜いてデスサイズのグリップにある窪みに装填!途端に、アンデットの王・リッチの能力がデスサイズに付加されて‘物理的な刃’よりも2倍ほど長い闇色に光る刃が出現をする!


「ひぃぃ・・・ひぃぃぃぃっっっっ!!!」


斬っ!!

 刃が通過をした直後、離反者のリーダーは、脅えた顔のまま膝から崩れ落ちて事切れた。デスサイズから伸びる闇の刃には、物理的に肉体を傷付ける能力は無い。ただ、肉体を通過して、傷1つ付けずに魂のみを切断する。

 防御不能な魂狩り・・・それが、アサシン・リリスが恐れられる理由。


「あと1人・・・今日中に始末する必要がありそうね。」


 リリスは、骸になった堀田には見向きもせず、会館の裏口側に視線を向けた。




-会館・裏口-


「おぉぉぉぉぉぉっっっっ!!」 「はぁぁぁぁぁぁっっっっ!!」


 ザムシードの裁笏ヤマ(木製ナイフ)から発せられた炎の刃がコボルト斬りを、ガルダが鳥銃・迦楼羅焔から放った雷弾がピクシーを貫く!2体のモンスターは同時に爆発四散!

 スプリガンとセイテンが離脱してから、既に数分が経過している。粉木は、セイテンを追って、既にこの場にはいない。ザムシードとガルダは、セイテンを追ってバイクを駆る!




-文化会館から少し離れた河川敷-


 セイテンがスプリガンを追い詰めていた!パワーとスピードで勝り、召還モンスターを失った今、もはや、スプリガンにはセイテンを倒す手段は残されていない!


「覚悟しろっ!」


 ハイヒールがアスファルトの上を歩く音が聞こえる。視線を向けるセイテンとスプリガン。セイテンはマスクの下で笑みを浮かべ、スプリガンはマスクの下で表情を引き攣らせる。大魔会のアサシンが、処刑を敢行する為に近寄ってきたのだ!


「里夢ちゃん!」 「くっ!夜野里夢っ!」


 里夢は、AKURYOUウォッチから『Li』と書かれたメダルを抜き取って、特にポーズを決めることもなく、蝙蝠の羽を模したバックルに装填をする!


「マスクドチェンジ!」


 細身に不釣り合いなデスサイズを構えた深紫の死神=マスクドウォーリア・リリス登場!

 リリスは、セイテンとスプリガンの間に入るようにして立ち、デスサイズ・キスキルをスプリガンに向ける!


「退治屋が想像以上に優秀なのか・・・アナタ方が無能すぎたのか・・・

 もう少し、色々と荒らしてくれると思っていたのに、

 案外呆気なかったわね・・・クロム君。」

「チィィ!」

「ゲス(オーガ)やカス(ゴブリン)とは違って、優秀だと思っていたのに、

 これほど簡単に進退が窮まるなんて、少し意外だったわ。」

「す・・・既に堀田も?」

「もちろんよ。あんなゴミなんて、息を吸うだけでも資源の無駄ですからね。」


 スプリガンは項垂れ、その場に力無く両膝を落とす。「自分達の反逆は今終わった」と諦めたのだ。

 今から最後の離反者が処刑をされる。それは、セイテンにも直ぐに理解できた。


「なぁ、里夢ちゃん?コイツはもう戦意が喪失している。殺すまでもないだろう?

 問答無用で殺す以外に、何か穏やかに済ます方法は無いんすか?」

「・・・空吾さん?」

「大魔会の内部事情に退治屋の俺が干渉できないことは把握しているっす。

 ・・・だけど、俺は、里夢ちゃんの、そんな姿は見たくないっすよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 リリスの肩に手を置き、諭すようにして語りかけるセイテン。リリスは、スプリガンに向けていたデスサイズを下げ、横目でセイテンを見つめる。


「解ったわ、空吾さん。相変わらず優しいのね。

 でも安心をして良いわよ。

 ・・・私は最初から、クロム君を殺すつもりは無いの・・・。

 だって・・・私が欲しいのは・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・え!?」


「優しい空吾さん・・・・。

 アナタの魂・・・私のコレクションに加えてあげる!」


 次の瞬間、リリスのマスクの下で、里夢の表情が邪悪に染まった!


斬っ!!

 セイテンとスプリガンは、目の前で何が起きたのか理解できない。

 リリスのデスサイズ・キスキルから発せられた魂斬りの刃は、リリスの背後に立っていたセイテンを振り抜いていた!


「あぁ・・・ぁぁぁ・・・・・・り・・・・・りむ・・・・ちゃん?」


「困るのよね、空吾さん。

 私がアナタにお願いしたのは、銀色のメダルを持ち出す事だけ。

 『使え』なんて頼んでいないわ。でもアナタは勝手に使ってしまった。

 愛してあげる代わりに、退治屋の内部情報を流して欲しかったんだけどね。

 これでアナタは、周りの信頼を失った。

 残念だけど、使い物にならない木偶人形に用は無いの。」


 仰向けに倒れながら、リリスに手を伸ばすセイテン。脳裏を過ぎるのは、幼い頃の面影を残して美しく成長をした里夢の笑顔・・・上目遣いで顔を寄せてくる里夢の笑顔・・・猿飛は、彼女の笑顔が「自分を掌で転がす為に作られた物」と知らず、リリスが「自分に向かって魂斬りの刃を振った事実」を理解できないまま、視界が暗転して冷たい骸に変化をする。


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