43-3・魍紅葉vsモブ~大魔会&ザムシード参戦
-亜弥賀神社-
防衛の任に就いていたのは、迫天音と、魍紅葉捕獲隊のA班。妖幻ファイター(茂部)達には、麗しい秘書(迫)が戦力としてアテになるとは思えない。
「戦いは俺達に任せて、迫さんは下がっていてください。」
「お気遣い、ありがとう。頼りにしているわよ。」
「はい!是非、頼ってくださいっ!」
上品に微笑む迫天音と、マスクの下で鼻の下を伸ばす茂部。麗しの美女に格好良いところを見せて気に入ってもらい、しかも、活躍ぶりを大武COOに報告してもらえる。
気合いを充実させた妖幻ファイター(茂部)が、気勢を発して上空を睨み付けた!
「掛かって来いやっ!鬼共っ!!」
神社の屋根から見下ろしているのは、魍紅葉&茨城童子&天邪鬼。
「なんか、モブキャラが騒いでるね。」
「その他大勢など、無視して構わぬでしょうな。
優先的に叩くのは、あの女(迫)。鬼神軍の副官・天逆毎です。」
「牛鬼の時も思ったんだけど、なんで退治屋にキシン軍が混ざってんの?」
「無能な人間共が、小狡い鬼神軍に乗っ取られたと解釈するべきでしょうな。」
「へぇ~、そうなの?ヤベーぢゃん。」
「我らからすれば、どちらも敵。纏めて叩き潰せば済む話です。」
「んっ!そっか!」
「姫様は、ザコ共を摘み取っていただきたい!」
「んぇ?ァタシ、ザコ担当?ァタシも強いヤツと戦いたい!」
「姫様は、得たばかりの鬼の体に御自身を慣らすのが最優先。
天逆毎の相手は私に任せてください。」
「ん~~~~・・・ワカッタ。」
魍紅葉は、不満そうに妖幻ファイター(茂部)とヘイシ達に視線を向ける。茨城童子の最大の目的は、魍紅葉に人間を殺害させて、人間の心を捨てさせ、完全な覚醒に導くこと。
天邪鬼は、茨城童子の魂胆を見透かして横目でチラ見をした後、真っ先に屋根から飛び降りて妖幻ファイター(茂部)とヘイシ達に襲いかかった!
「んわわっ!天野のじいちゃん!作戦、聞いてなかったの!?
ソイツ等ゎ、ァタシがやっつけるんだってばっ!」
「彼奴め、手柄を焦って余計なことを!」
天邪鬼は、ヘイシ達を叩き伏せてロッドを奪い取り、妖幻ファイター(茂部)に向かって振り上げた!妖幻ファイター(茂部)は刀を構えて、振り下ろされたロッドを受け止める!
「少しは骨があるようじゃな!」
「当然だ!本部所属のエリート・茂部園太を、モブや、その他大勢扱いするな!」
妖幻ファイター(茂部)は、鍔迫り合いを維持しながら、属性メダル『閃』を刀の柄に装填!刀から光の刃が発せられて天邪鬼に着弾する!
「ぐおぉぉっっ!」
悲鳴を上げて後退りをする天邪鬼!妖幻ファイター(茂部)が刀を横薙ぎに払うと、光の刃が飛んで天邪鬼の腹に炸裂!天邪鬼は、堪えきれずに、全身を闇霧化させて、その場から退避をする!
「フン!逃がすかよ!!」
妖幻ファイター(茂部)は、刀の柄から『閃』メダルを外して、白メダルを装填!刀が邪気祓いの効果を発揮する!
「闇霧化には物理攻撃は効かない代わりに、浄化攻撃に対する防御力はゼロ!
所詮オマエは、三流の鬼!これで終わりだぁっ!!」
邪気祓いの刃を振り下ろす妖幻ファイター(茂部)!「天邪鬼の敗北が決まった」と思われたその時!
「天野のじいちゃん!逃げるの、2秒我慢してっ!!」
闇霧(天邪鬼)の背後から、魍紅葉が突っ込んできて、闇霧を潜り抜け、短刀・邪今剣で、妖幻ファイター(茂部)の刀を受け止めた!
「なにっ!?」
「天野じいちゃん、今だ!」
「おうっ!」
魍紅葉の真後ろで実体化をした天邪鬼が、妖幻ファイター(茂部)の頭に、ダブルスレッジハンマーを叩き付ける!
「ぐはぁっ!」
想定外の連係攻撃を喰らって体勢を崩す妖幻ファイター(茂部)!その懐に魍紅葉が飛び込んで、妖幻ファイター(茂部)の腕とベルトを掴んで引き寄せ、渾身の頭突きを叩き込んだ!妖幻ファイター(茂部)は、弾き飛ばされながら受け身を取って、素早く体勢を立て直す!
「本部所属の俺を舐めるなよ!今のは、予想外に展開に対応が遅れただけ!
1対2と解っていれば、エリートの俺ならば幾らでも対処できる!」
「んっへっへ!次ゎもう、2対1・・・ぢゃないんだよね~。」
魍紅葉は、妖幻ファイター(茂部)に向けて拳を差し出し、手の中に握られていた物を見せびらかす。数枚の妖幻メダルだ。妖幻ファイター(茂部)は、驚いてメダルホルダを確認。所有する妖幻メダルが奪い取られてしまったことに気付く。
魍紅葉の接近は、メダル強奪が目的で、頭突きは‘ついで’だった。
「刺してあげることもできたのに、ワザワザ頭突きしたんだよ。
なんでだろうって不思議に思わなかったの?」
手の内にあるYメダルのうち、妖怪とは関係の無い属性メダルと白メダルを捨て、残ったメダルを握って念を込めてから、空中の放り投げた!メダルから闇が放出されて人型を作り、3体の妖怪が復活をする!
「そ、そんなバカな!?」
Yメダルは、霊的な特殊皮膜によって、妖怪の力を抑え込んでいる。メダルから妖怪が復活するなど有り得ない。
「んっへっへ!ァタシにゎできちゃうんだよねぇ~!スゲーでしょ?」
魍紅葉は、見たことがあり、明確にイメージができる物ならば妖力で実体化をさせられる。文架支部に押し掛け女房をして妖怪の生態を学び、霊封の銀塊で封印のノウハウを学び、ブロント事件で強制的な念の活性化を学び、自らがスペクターの召喚主にされたことで霊体の実体化の概念を学んだ。
霊力の天才児は、様々な経験を積むことで、Yメダルの妖気を活性化させて実体を与える=妖怪を復活させるスキルを手に入れたのだ。
「魍紅葉ちゃん!コイツ等も頼めるか!?」
天邪鬼がヘイシ1人を持ち上げて、魍紅葉の前に放り投げた。ヘイシのプロテクターにも、妖怪は封印されている。
「んっ!イイよっ!まとめて面倒みたげるっ!」
魍紅葉が倒れているヘイシに掌を翳して念を送ると、ヘイシのプロテクターから闇霧が抜け出して妖怪化をする。魍紅葉は、続けて、狼狽えている残る4人のヘイシに掌を翳して、それぞれのプロテクターから妖怪を解放した。これで、ヘイシ達は何の特殊効果も無いプロテクターを装着しているだけ。
「役に立たないどころか、俺の足を引っ張るなんて、何やってるんだ!?」
妖幻ファイター(茂部)が、無力化をされてしまったヘイシ達に怒鳴り散らすが、妖幻ファイター(茂部)は、変身に使用しているYメダルと、基本装備(刀)以外の特殊装備を全て妖怪化させられて失ったので、人のことを批難できる立場ではない。
魍紅葉&天邪鬼と、8体の復活妖怪が、戦意を喪失させた妖幻ファイター(茂部)とヘイシ達に迫る。
「姫様は順調だな。」
神社の屋根の上では、茨城童子が魍紅葉を見守っている。魍紅葉&天邪鬼vsモブ退治屋の勝敗は決まった。
「私は、幹部の首を!」
茨城童子は、味方が劣勢にもかかわらず、余裕の笑みを浮かべたまま戦況を眺めている迫天音を睨み付けた。
「そこの女・・・
妖気は隠しているが、その薄汚れた笑みには見覚えがある。」
「以前、酒呑童子の成り損ないに潰されかけたオヌシを助けてあげたのに、
随分冷たい物言いね。
覚醒の切っ掛けを与えてあげたお嬢さん(魍紅葉)も、
私達に刃向かってくれるし・・・
酒呑一派は、恩知らずの集団なのかしら?」
「何が恩だ!?退治屋を操って我らを追い詰める卑怯者め!」
「オヌシ等の主は知恵が足りず、私の主は聡い。それだけの違いよ。」
「御館様を愚弄するなっ!」
煽られて闘志を剥き出しにした茨城童子が、神社の屋根を蹴って飛び上がり、迫天音に襲いかかる!
「ひゃひゃひゃ・・・主だけでなく、部下も知恵足らずか?
学習能力がまるで無いようじゃのう。」
次の瞬間、嘲笑う迫天音に爪が届く前に、背後から矢が飛んで来て茨城童子を貫いた!
「ぐぁっ!この矢はっ!!?異国の小娘かっ!」
茨城童子を貫通したのは、魔術によって、射る前に‘刺さる’を決定するオーキュペテーアロー!離れた大木の枝で、マスクドウォーリア・ハーピーが弓を構えている!
「昨日の卑劣な不意打ちのお返しだ!」
更に、マスクドウォーリア・ギガントが突進をしてきて、茨城童子に向けて巨大ハンマーを振り下ろした!
全身を闇霧化させて回避する茨城童子!しかし、ハーピーから2射目のオーキュペテーアローが放たれて闇霧に突き刺さった!強制的に実体化をさせられて、2本の魔力矢が突き刺さった茨城童子が地面に落ちる!
「チィ!姑息な魔術師共め!」
「オマエ等(魍紅葉達)に個人的な恨みは無いのだがな。叩き伏せさせてもらう。」
茨城童子は、駒(退治屋)が無力化させられたにもかかわらず、迫天音が余裕の笑みを崩さなかった理由を理解した。彼女は、最初から、捨て駒以外の手札を隠し持っていたのだ。
「オマエ等(退治屋)は、命が惜しくば下がっていろ。
手柄を焦って前に出るなら、俺の攻撃に巻き込まれて死しても文句は言うな。」
ギガントが、妖幻ファイター(茂部)&ヘイシに手を振って「邪魔だ」とジェスチャーをする。
妖幻ファイター(茂部)は、見ず知らずの奴に手柄を横取りされるのは不満だ。これでは、大武の美人秘書に存在感を売り込めない。エリートのプライドが許さない。・・・が、死にたくないので、下がって見守ることにした。
「私も、お嬢さん達には恨みが無いんだけどね、目障りだから死んでもらうわよ。」
魍紅葉&天邪鬼&復活妖怪の前に、デスサイズを構えたマスクドウォーリア・リリスが立つ。リリスは、懐中時計型のアイテム=Aウォッチから複数のメダルを抜いて、立て続けにデスサイズの柄にある窪みに装填!リリスの周りに5つの魔方陣が浮かび上がり、コボルト・オーガ・スプリガン・ゴブリン・キマイラが出現して、魍紅葉&天邪鬼&復活妖怪8体に飛び掛かる!
「お嬢さんの妖怪復活とは少し違うけど、私にも似たようなことができちゃうの。」
「毒ナマコ(リリス)、超ジャマ!」
ザムシードがマシンOBOROに跨がったまま、少し離れて眺めている。
「随分とややこしいことになっているけど、誰と誰が戦っているんだ?」
茨城童子=敵。大魔会=敵。退治屋=敵対しているが争いたくない。天邪鬼=ウザいジジイ。見て見ぬフリをしたくなるような修羅場だ。修羅場すぎて、ザムシードの登場に誰も気付いていない。通常運転ならば敵同士の潰し合いなど放置するのだが、同じ場所に紅葉がいるので無視ができない。
「う~~~~ん・・・紅葉以外は、全部叩けば良いのだろうか?」
状況把握ができないが、「紅葉と接触する」だけは決まっている。要は、紅葉との接触を邪魔してくる奴は全て敵ってことだ。方針を決めたザムシードが、バイクをスタートさせる。
「先ずは・・・オマエだぁっ!」
ザムシードは、マシンOBOROを駆りながら妖刀を装備して、魍紅葉に危害を加えようとしているリリスに突っ込んだ!
「チィっ!」
横飛びで回避をするリリス!ザムシードは、停めたマシンOBOROから降りて、魍紅葉を庇うように立つ!
「何で燕真がココに!?」
「オマエを助ける為に決まってんだろう!」
「頼んでないっ!」
魍紅葉はザムシードに駆け寄ろうとするが、召喚された悪魔達が襲いかかってきて妨害される!
「もぅっ!みんなジャマっ!どっか行けっ!」
「天野さん!ソイツ等(悪魔達)は、力押しでなんとかなる!紅葉を頼んだぞ!」
「承知した!」
ザムシードは妖刀ホエマルを装備して、天邪鬼に魍紅葉を託し、リリスに突進!リリスの振るったデスサイズと、ザムシードの妖刀が激突する!
「燕真君、貴方は何か勘違いをしているわよ!
平和の為に戦っているのは私!平和を乱そうとしているのは鬼!
倒すべきは、貴方の後に突っ立っている鬼のお嬢さんなのよ!」
「散々騙してくれたアンタの言葉を、信じる気は無い!」
「あら、そう。それは残念ね。」
幾度かの刃と大鎌のぶつけ合いの後、数歩後退をして体勢を立て直すザムシードとリリス。リリスは、クラーケンの能力が付加された『Kr』メダルをデスサイズの柄に装填して、ザムシードから距離を空けて振り上げる!
「それは、もう攻略済みだ!」
ザムシードは、Yウォッチの空きスロットに属性メダル『閃』を装填!妖刀を握り直して突進をしながら、勢い良く横蹴りの素振りを放った!蹴りから放たれた光弾が、デスサイズを振り下ろす前のリリスの着弾!体勢を崩したリリスの懐に飛び込んだザムシードが、デスサイズ目掛けて妖刀を振るって、リリスの手から叩き落とした!
「アンタの技は、虚を突いた初見殺しばかりなんだよ!」
ザムシードの指摘通り、リリスの攻撃は暗殺スキルや初見殺し特化したスキルばかり。前知識があって、予備動作を警戒すれば、それほど怖くはない。
「・・・くっ!」
ガラ空きになったリリスの腹に、ザムシードの閃光を纏った蹴りが炸裂!弾き飛ばされたリリスが尻餅をつく!
「これで終わりだぁっ!」
妖刀を振り上げたザムシードが踏み込む!しかし、横から大鎚が割り込んで来て、振り下ろされた妖刀を受け止めた!ギガントがリリスのフォローに入ったのだ!ザムシードとギガントの鍔迫り合いが始まる!




