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51話 天気図講習会 1

  火曜日。休憩時間に緊急ミーティングの知らせが入った。いや、ミーティングと言うよりかは何かの説明会だろう。渡された小さな紙には天気図講習会のお知らせと書かれた紙切れが入っていた。


「天気図……?あれか?朝テレビとかでやってる奴か?」


  俺はイメージが湧かなかった為、朝のニュースでよく放送されている台風などの図を想像していた。あれの講習会?何をするのやら。天気予報でもするのか?俺はそう思いつつも少し興味があった。


  放課後。簡単な天気図の講習会が始まった。講師は先生では無い。先輩だ。国背先輩はホワイトボードの前に立ち言った。


「手元の紙を見て欲しい。そこに大体の手順は書いてある。今日は詳しい事はやらないから描き方の手順だけでも覚えて帰って欲しい」


  俺の手元には天気図等圧線や地点などが全く書かれていない天気図用紙が置かれていた。そもそもこの真っ更な状態の天気図用紙を俺は見た事が無い為、困惑する。


「ええと、まず用意するものは黒・赤・青・紫の水性サインペン・黒の極細ペン・黒鉛筆・消しゴムなどだ。放送はラジオのMHK第二放送……広島では702kHzに周波数を合わせて使う。放送自体は一日に三回流れるから練習する時にはそれを録音してから使うと良いだろう。ここまでは説明する事も無いよね……?」

「?」


  俺達は少し固まった。俺達の世代だとラジオを使う事も少なくラジオの扱い方も知らない。その為、周波数の合わせ方……その時点から言葉の意味は分かっても説明して貰わ無いと理解するのは難しかった。


「え、ラジオの周波数の合わせ方?ここのダイヤル回して数値合わせるだけだよ……?こうやってね」


  国背先輩はジェネレーションギャップに若干困惑しつつもラジオの横にあるダイヤルを俺達に見える様に回して説明してみせた。分かってはいたけど、簡単だ。


「放送は9時10分に6時の情報、16時に12時の情報、22時に18時の放送を20分間で放送している。ここで重要なのが放送開始前にそこの天気図用紙の左上の欄に何時の気象情報かを記入する事だ。間違えて放送時間を記入しないように気を付けてね」


  俺達がペンを置くとすぐさま国背先輩は次の説明に入る。


「次に書くのは各地の天気・船舶の報告だ。船舶の報告とは船舶位置の北緯と東経の地点に置いての気圧や天気の状態報告の事を言う。要するに、明確に定まっていない地点の事だ。この二つを記載する時は極細の消しゴムで消えないボールペンなどを使おう」


  俺は指示に従ってペンを握った。


「最初は横の欄に書いてから移しても良いけど、慣れたらラジオを聴くのと同時に◯印の所に直接記載していけるとベストだね。高校生達は放送時間中に天気図の記載を全て終えて、合計四十分位で等圧線の記載から予報までを済ませるね」


  四十分で全部?正直それが早いのか遅いのか俺には判別がつかない。何しろ書いた事が今まで一度もないのだから。


「ラジオでは風向、風力、天気、気圧、気温の順で読まれる。不明と言われた場合はそこに天気だけは×印を、他は空欄で記入する。そこでここから覚えないといけない事が沢山あるよ。頑張って覚えてね」


  手引書があるとは言え、最初は大変だ。何しろ今話を聞いただけでは何を言っているのかあんまり理解できない。インプットが出来てもアウトプットが出来ないとはこの事である。


「記載の仕方だけど、風向きは風見鶏って分かるかな……?うん。分からないね。羽みたいなもんだと思ってくれ、風向きはその名前の通り風が吹く向きだ。またここで注意なのが風の吹く向きと記載方向。北向きの風と言ったらどっちから吹いてくる風をイメージするかな?」


  国背先輩は笑顔で俺を指差した。


  あ、これ答えろって事か。北向きに吹くんだろ?それだったら南から吹く風か?


「南からですか?」

「うん。模範解答みたいな解答ありがとう。これは北から吹いてくる風を意味するんだ」

「……」


  俺は若干凹んだが、気にしない。


「それで風向きを天気図に記載する際は棒を風向きの方向で◯に書き足す。つまり、ラジオで北向きの風と読まれたら上にトを上下逆さまにした様な形のマークを書き足す訳だ。風速はある程度の基準で1〜12の強さに分けられている。1〜6までは順に上から棒を右横に足していき、7〜12までは左側に棒を足していく。これで風向きマークと風力の二点が書き込める。この時に瞬時に北北東!とか言われたらその向きに羽を書けるようになってたら良いね。因みにこの羽は矢羽根って呼ぶよ」


  風力による強度の分類風速は天気図用紙に記載されていたが、これは覚える必要は無いだろう。


「そして、次に天気だ。これは◯の中に天気記号を書くだけだね。ちゃんと記号を覚えてないと咄嗟に書けないよ。砂塵嵐とか記号知らないでしょ?」


  俺は天気図用紙に記載されてある記号を見た。どれも記号の形に一貫性はあるみたいだが、知らない記号ばかりだ。雪マークなどは結晶をイメージ、雨は土砂降りで前が見えないイメージ、雷は半分雨が降っているイメージなどイメージで覚えると覚えやすいかもしれない。


「次に気圧と気温だ。気圧は◯印の右上、気温は左上に書くのが原則だからこれも覚えておこう。右利きの人は聞いた順に書いたら良いよ。気圧が1000hPa以上の場合は下2桁、それ未満の場合は3桁の値をそのまま記載してね」


  言葉の意味は分からない単語が多いが、まぁやり方自体は分かる。取り敢えず聞いた順に左右に書けば良いって事だろ?俺はあまりの情報量の多さに頭を悩ませた。この話題は少し中学一年生には早かったのだろうか?俺はそう思いつつも、まだ四分の一しか説明が終わっていない手引書と時計を眺めて深呼吸をした。


 




天気図講習会は山岳会などで定期的に開かれております。こんな知識も役に立つので足を運んで見ては良いかもしれませんね。案外楽しいですよ。


天気図の手引き1


NHK(作中では偽名を使ってます)第二放送。


放送時間 9時10分(6時の天気図)16時(12時)22時(18時)20分間


天気、船舶の報告の記入 黒の極細ボールペンなどを使用


風向、風力、天気、気圧の順で放送。


風向、風力→矢羽根をラジオで言われた方向に描き込む。難しければ最初の頃は左の欄に文字でメモ。風力6までは棒の右だけ上から記載、7以降は両側へ。1の時に棒の上は突き抜けるので注意。(rの様な形になる)


天気→◯の中に記号を記載。天気図記録用紙に大体載ってます。天気図記録用紙は大型の書店などで販売してます。練習するならコピーして使うと良いでしょう。記号を直接書くのが難しければ左の欄に文字でメモ。


気圧、気温→順に◯の右上から記載。1000hPa以上の時は下二桁のみ。


直接書く時のコツとしては石垣島から順に北海道の方まで読まれて中国を周り、沖縄の南の方に回るので順にどこを読まれるか理解していればかなり変わります。単語の詳しい説明や、他の部分の説明はちゃんとするつもりなので大丈夫です。

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