第75話 ライムの決意
倒れていたラトが目を覚ましたので、ドーラたちは冷めないうちに運ばれてきた料理を食べることにした。
「パクパク…… ウマウマ…… ラトもいっぱい食べてね。ジャガイモばっかり食べてちゃ体が成長しないよ?」
「モグモグ…… ムシャムシャ…… はいです。ジャガイモ以外を食べたの300年ぶりだです。美味しいぞです」
ドーラとラトは、一心不乱に料理を食べている。
凄まじい二人の食べっぷりを前にして、ライムは見ているだけで胸焼けをしているようだ。
「……まあ、思う存分に食べればいい。ところで、300年ぶりってラトはいったい何歳なんだ? いくら長寿のダークエルフ族だと言っても、そこまで年齢がいっているようには見えないんだが?」
「あたいは350歳だ。お前よりもずっと年上なんだから、言葉遣いには気を付けろよ。ムシャムシャ」
「は? 350歳? ダークエルフでも成人をしている年齢じゃないか。全然そんな風には見えないんだが?」
「ふん、外見だけで物事を判断をするとは度し難いな。精霊巫女などと言う仰々《ぎょうぎょう》しい二つ名を名乗っている癖に、何とも底が浅い奴だ。目上の存在には、もっと敬って口を利きやがれ! ムシャムシャ」
「それじゃあ、私もラトには言葉に気を付けた方がいいのかな? 私の方がずっと年下だし。ウマウマ」
「ち、違うです! 年齢なんて関係ないです! お姉様はお姉様でいてくれです! おい、精霊巫女! お前が変なこと言うからだぞ! あたいとお姉様の仲を引き裂くつもりなのか! ムシャムシャ」
「む…… わかったよ。それなら、ラトがこの中で一番年下の扱いで文句はないな? クックック、それがお前の望みなんだろ?」
「ぐぬぬぬ…… このあたいが精霊巫女なんかの下になるなんて…… 耐えるんだあたい…… これは、お姉様との幸せな結婚生活を築くための試練なんだ……」
爆弾を投げ込まれたような騒がしさは、食事が終わるまで続いていた。
食事を終えて満腹になったドーラとラトは、同じベッドの上に移動してくつろいでいる。
もう一つのベッドにライムは腰を掛けると、真面目な表情でドーラに質問をする。
「……さてと、飯も食って落ち着いたから聞くが、さっきのあれはいったい何なんだ?」
「んー、やっぱり話さなきゃ駄目ですか?」
「まあ、話したくないのなら、別にそれでも構わないぞ。ドーラがよく分からん力を持っていても、お前が危険な存在でないことはこの旅で理解をしているからな。いきなり見たから少し驚いただけだ」
若干、ドーラの事を信頼しすぎているライムであった。
ライムも砂漠のバザーで先っちょを入れらているので、おそらくその影響が出ているのだろう。
「ありがとうございます。あのワームは私の従魔みたいなものだと思ってください」
「おい、精霊巫女! お姉様を困らせるようなことしたら、あたいが黙っちゃいないぞ!」
「ありがとうね、ラト」
両手を上げながら怒っているラトの頭をドーラは優しくなでる。
「お、お姉様! し、幸せ……」
ラトは全身の力が抜けるようにベッドへと横たわった。
「ラトの髪色が変わったのは大丈夫なんだろうな?」
「はい、何も問題はないと思います。ちょっと力が強くなり過ぎたかもしれませんが」
「……もしかして、砂漠のバザーで私にもアレを入れていないか? バザーを出てから、明らかに体の調子がいいんだよな」
「あ…… じ、実は、悪戯で雷風呂の電気を強くした時に、その治療で…… ふひひひ……」
「はあ、やっぱりな…… おかしいとは思ってたんだよ。手加減をされてたとは言え、私が元Sランク冒険者のカムジと魔法なしで戦えるわけがないからな」
「すみません」
「まあ、何の後遺症もないのなら、逆に強くなれて私はありがたいけどな。でも、私の髪色に変化がないのは何でなんだ?」
「ライムさんには先っちょしか入れていないので、ワームの効果が弱いんだと思います」
「これで効果が弱いのか…… もしも、髪色が変わるくらいに強化をされたら凄いんだろうな」
「んー、普通のワイバーンなら頭を一撃で吹き飛ばせるくらい?」
「マジで? ダイフクくらいに強くなれるのか?」
「ダイフクには特殊能力を与えたりもしていますが、ワームの体液を流せば力と回復力はダイフクと同じくらいになると思いますよ」
「……」
ライムは顎に手を当てて、真剣な表情をしながら考えている。
実際、楽をして強くなれるのなら誰でもそうするだろう。
努力をしなければ意味がない、などという甘い考えは、日々命を賭ける冒険者には通用しないのである。
「……よし決めた。私の穴にも奥までズッポリと入れてくれないか? こんなチャンスは二度とないだろうからな」
「え? 別にいいですけど。言い忘れていましたが、ワームを入れている間は、ライムさんの思考を誘導されます。特に害は無いと思いますが、その間は私に対して好意的になってしまいますよ?」
「なんだ、その程度か。私は元々ドーラに好意的だろ? それくらい何の問題もないぞ」
「んー、わかりました。じゃあ入れますね」
ドーラはライムの座っているベッドに移動をして、指先からスレイブワームを出す。
黒くて長いヌメヌメとしたそれをライムの穴に近付けると、一気に穴の奥深くまで侵入をしていく。
「ひん……」
「ライムさん、変な声を出さないでください。気持ちが悪いですよ」
「ん…… そ、そんなことを言われても、そこは敏感な場所なんだよ…… うふん……」
ドーラは静かにライムのことを見つめながら、体の中に白い体液がいき渡るのを待っている。
そんなドーラの視線を間近に感じているライムは、乙女のような表情でドーラのことを見つめ返していた。
(な、何でこんなに胸の鼓動が高鳴るんだ? ドーラってこんなに可愛かったっけ? いや、容姿が綺麗なのはわかっていたけど、こんなふうに愛おしく感じることなど今までにはなかった…… そもそも、私にはそっちの趣味はなく、あのレイスのことが好きだったはずだろ? 何なんだ、この体中に沁みわたる快楽は…… ドーラのことなんか…… ドーラのことなんか…… しゅ、しゅきい…… いっ……)
二回目と言うこともあり、さほど時間はかからずにライムの髪色が白くなった。
それを確認したドーラは、ライムの耳からスレイブワームを回収する。
「カリウスさんの時もそうだったけど、やっぱり二回目だと髪の色が変わるのが早いな。ライムさん終わりましたよ…… あれ? ライムさん? どうしたんですか?」
ライムは白目を剥きながら、逝き果てていた。




