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第69話 ミミズ少女の探検

 カムジの部屋からディメンションワームで移動をしたドーラは、ダイフクの待つ悪魔の岩山の裏側まで戻ってきた。


「ワン」


「ただいまダイフク。一人でお留守番をさせてごめんね。レイビィが面白いもの見つけたみたいだから、今度はダイフクも一緒に遊びに行こうね」


「ワン」


 ダイフクは嬉しそうに尻尾を振っている。


「まずはレイヴィの見つけたって言う、その面白そうな場所にまで案内をしてくれる? そう言えば、レイヴィの転移魔法って私やダイフクも一緒に移動をすることは出来るの?」


「残念なのですが、私の転移魔法ではドーラ様やダイフク殿まで一緒に転移をすることは出来ないようです。小動物や無機質な物体などであれば、同時に転移をすることも可能でありますが……」


「それじゃあ、レイヴィの転移魔法でこのワームをその場所にまで連れていって」


 ドーラの指先から現れたワームをレイビィは受け取った。

 自身の生み出したワームがいるところであれば、ドーラはディメンションワームを使って移動が出来るのだ。


「それでは行ってまいります。少々お待ちください」


 レイビィは一礼をして、転移魔法で悪魔の岩山の内部へと移動をする。


「よし、ワームが目的地に到着したみたい。それじゃあ、私たちも悪魔の岩山の中に移動をしよう」


「ワン」


 ドーラとダイフクは、ディメンションワームで悪魔の岩山内部へと移動をした。

 光の届かない悪魔の岩山内部には、暗く冷たい空気が流れている。


「うわ、真っ暗だな。とりあえず明かりをつけよう」


 サンダーワームでドーラがプラズマの球を作り出すと、暗闇に包まれていた岩山内部が明るく照らされる。

 ドーラが移動をしたその場所は、洞窟のような空間が奥へと続いているようだ。


「ひ、ひー からだがきえるー」


「あ、ごめんね。これじゃあ、レイビィの体が消えちゃうか。それなら、これでどうかな?」


 ドーラはプラズマの球を消すと、今度は自身の体から高温を発し出した。

 そのまま指先に熱を集束しゅうそくさせると、赤く燃える火の球が出現をする。


「そ、それは?」


「ヒートワームで作った火の球だよ。これで明かりを作ったりすると、すぐに火事になったりするから、よく父に怒られたんだよな」


「ワ、ワン……」


 ダイフクは苦しそうに尻尾を垂らしている。


「んー、ダイフクには少し暑いかもね。それじゃあ、ダイフクにもヒートワームをあげるね」


 ドーラの指先から現れたヒートワームが、ダイフクの口の中へと入っていく。

 ヒートワームの能力が使えるようになったダイフクの体が熱を発し出した。


「ワン」


「ヒートワームの能力で体を熱くすると、暑さもなくなったでしょ? この方法を使ってれば、砂漠の移動中でも暑くなかったんだけど、一緒にいるライムさんが燃えちゃうから使えなかったんだ。悪魔の岩山は内部まで石化をしているみたいだし、ここなら燃える物がないから安全だよね」


「その火の球の明かりであれば、私の体も平気のようですね。先程のプラズマで少々魔素を失いましたが、最近は魔素量が大幅に増えていましたので、特に問題もないようです」


「ダークエルフの里に来てから、レイビィの魔素が一段と大きくなったよね? 特に何のサービスもしてないけど、何かラッキースケベ的な事でもあったの?」


「クックック、夜の見張りをしているだけですよ」


 紳士のように頭を下げているが、レイビィの顔が若干にやけている。


「ふーん…… もしも、私が寝てるときイタズラとかをしていたら、すぐにレイヴィのことを消すからね」


「も、勿論もちろんです…… そのような不敬ふけいな行いは致しません……」


 ドーラがプラズマを出すふりをすると、レイビィはブルブルと震えていた。


「それで、ここがさっき話をしていた場所?」


「はい。ここはダークエルフの里の外に位置をする、砂漠地帯に広がった根の中にある洞窟です。かなり奥まで入りんでいて、まるで迷路のようになっていますね」


「ふーん。他の場所にもあったって言う、虫食いの跡と同じような場所かな? この穴の奥でそれを見つけたの?」


「ご案内致します」


 レイビィは、目的の場所へとドーラを誘導する。


「この洞窟内には何もありませんが、明らかに人の手が加えられている場所を発見致しまして」


「へー、その中はまだ見てないんだよね?」


「はい。何があるのか分からないので、まずはドーラ様へのご報告を優先致しました」


「えらい! 何があるか分からない方が、ドキドキして面白いからね。探検の醍醐味だね」


「ワン」


「え? さすがに食べ物はないでしょう? ふひひひ、お宝がザクザクあったら嬉しいな」


 目を¥にしながらドーラはレイビィの後をついていく。

 ドーラたちが洞窟の中を進んでいくと、火の球の明かりが目的の場所を照らした。


「到着しました。この扉です」


 洞窟の突き当たりの壁には、いかにも頑丈そうな扉が設置されていた。


「おー、これは絶対に何か大切な物が保管されている部屋だね。お宝の匂いがプンプンするよ」


「ワン」


「え? ジャガイモの匂いがする? ダイフクの頭の中は食べ物のことばかりだね。こんな場所にジャガイモなんてあるはずがないよ。それよりも、どうやってこの扉を開けようか? お宝が入っているのなら、特別な鍵や厳重な仕掛けとかがありそうだな……」


 ドーラは試しに扉に付いている取手を回してみた。


 ガチャ


「あ、開いてる」


 ドーラの予想に反して、扉には鍵も仕掛けも付いていなかった。


「……まあ、こんな場所に来る人なんて滅多に居ないだろうしね。鍵なんて付ける必要はないか。それじゃあ、中に入ってみようか? 何があるかな? ワクワク」


 ギィ


 期待に胸を膨らませながら、ドーラは部屋の扉を開けた。


「部屋の中はそこそこの広さがありそうだね。奥の方は光が届かなくてよく見えないな。こんにちはー 誰か居ますかー? 居ないなら入りますよー お邪魔しまーす」


 ドーラが部屋の中に入ると、火の球の光が部屋の中全体を照らした。

 部屋にはほこりの匂いが充満しているが、思いのほか綺麗に整理された内装をしている。


「ここは人が住んでいた部屋なのかな? テーブルやベッドが置いてあるね」


 ドーラはテーブルに置いてあるランプを手に取った。


「あれ? このランプは最近誰かが使ったのかな? 何か綺麗だし、オイルがいっぱい入っている」


 ドーラはランプの明かりを付けてテーブルに戻すと、安全のためにヒートワームの火の球を消した。


「今でも、誰かこの部屋に住んでいるのかな? そもそも、私たちは転移で岩山の中に来たけど、普通の人がこの場所に行き来する方法はあるのかな?」


「ワン」


 何かを見つけたダイフクがドーラへと知らせる。


「どうしたの? 何か見つけたの?」


 ドーラは部屋の奥にいるダイフクの元に近寄っていった。

 尻尾を振っているダイフクの前には、ドーラが予想もしなかった物が山積みにされていた。


「え? 何でこんな場所にこんな物があるの?」


 そこには、大量のジャガイモがあった。

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