川靴
秋の朝、涼しくなってきた頃
男は車に乗って仕事場で向かう
少し田舎の方で畑や工場などが見える
道中、川を渡るのだが
その川は稀にゴミが捨ててある
道路沿いにはちゃんと注意看板があるが
それでも違法投棄は無くならなかった
今日は川をまたがる道の真ん中に
一足の靴があった、新しそうなその靴は
朝の薄暗い道にはとても目立つ
もう片方は川沿いの歩道にあった
誰か川を渡っている最中、
窓から投げたのだろうか…
それとも身投げか…
だが川は浅い
その日だけ気になったが
後は気にならず、
自治体の誰かが片付けるだろうと
季節は進み
冬になる
最近では雪が降り始めていた
川のまわりは凍りはじめていたらしく
男は車で川に近づく
冬になり眠気が男の邪魔をする
家をギリギリに出てしまい
少し車を飛ばしていた
川の道に入った瞬間車が滑る
焦っていた男はハンドル操作を間違い
歩道の雪の山に突っ込む
幸い周りに誰もおらず
車が傷ついただけであった
車を戻そうとするが
川の近くの道がツルツルで
滑って動かず、
人もいなかったので
車を山から出せずにいた
タイヤの下に何か噛ませようと
周りを見渡すと
川に靴が片方落ちていた
靴をタイヤと地面に差し込み
動かすと車は道に戻った
その際靴がどこかに吹っ飛んでしまう
使ったものだから
せめて捨てようと探す
靴は川の近くまで飛んでいた
面白いことに
もう片方と2つ並んで置いてあった
靴を持ち上げると
車を出す時に使ってない方に重みを感じた
重い方の靴から人間の
クルブシから先が切られて入っていた
驚き靴を落とす…
見間違いかもしれないと
しゃがんで靴を拾おうとした時、うしろから
「みつけてくれてありがとう」
と子供のような声が聞こえた




