第三十七星 魔境の夜・参
夜のお話が多いって…?
……私もそう思ってます。
なんというか、書くものと終着点が纏まらなくて思いついたものを少しずつ出してる感覚…
うまく表現しきれないんですけど分かります…?
「あぁ~……もう!!」
坂下門…正確には眼鏡橋付近の川。そこから溢れてきた泥に私達は動きを阻害されながらも進んでいた。
「“怨念の汚泥”とかホンッッット大っ嫌い!!」
「同感よっ!!九字切ってなんでそこまで効かないのよ!!」
「物理・術式全属性耐性なんて持ってないでよホント!!やりにくいったらありゃしない!!」
水場付近にしか生息しないのはいいけど、全属性耐性を持ってて非常に戦いずらい存在。特に物理攻撃なんてほとんど無効化してくるような相手だから物理主体の私は非常にやりにくい。
「“祓”!!“裂”!!“集”!!」
「“囲”!!“滅”!!!あぁもう、術の瞬時連発なんてすごく疲れるからやりたくないのよ!!」
「霊力消費も馬鹿にならないんだから!!“掴”───“潰”!!!」
「ウーネ、洗い流して!!エティ、破魔術の用意!!」
「お任せを!!」
「任せなさい!!」
ウーネとエティに指示して精霊魔法を展開してもらう。全属性耐性を持つといっても、“泥”という概念を持つ故に水属性に少しばかり弱い。そして、怨念であるがゆえに破魔の力には弱い。それでも本当に少しだけど!!
「───“水精螺旋”!!」
「“囲”───エティ!!」
「“無形精───祓魔”!!!」
ウーネの“水精螺旋”で洗い流しながら巻き上げたものを私が“囲”の陰陽術で空中に留め、エティの“無形精祓魔”で一気に破魔の力をぶつける。それでも消滅するのはほんの一部。
「あぁもうキリがないんだから!!」
「ひぁぁっ、冷たいっ!!服の中に入ってこないでぇっ!!」
「いやぁぁぁぁ!!!!ぬるぬるしてて気持ち悪いっ!!!」
阿鼻叫喚。道乃ってあまり悲鳴…というか大声上げないのにここまで大声になってるのは本当に嫌だからなんだろうね……っていうか私だって嫌だし。あっ、やめ、纏わりついて───!!
「“水精衝撃砲”!!ご無事ですか、皆様!!」
「ありがと、ウーネ!」
「ありがとー!声は聞こえないけど!」
「助かったわ!」
ウーネが精霊魔法で泥を弾き飛ばしてくれたことに感謝しつつ、どうにかして泥を祓っていく。残しておいたら後々厄介なものになるのがこの“怨念の汚泥”だから出来ることなら完全除去しておきたい。
「きゃぁぁぁぁ!!来ないでぇぇぇ!!」
「道乃!道乃から───」
明葉が道乃を襲おうとする怨念の汚泥に札を飛ばす。
「───離れて!!“呪破符撃”!!!」
貼り付いたと思うと一瞬で弾け飛ぶ怨念の汚泥。あれは陰陽術じゃない霊術の一種“符術”。明葉の場合、星素よりも霊力が強いからSi Skillよりも霊術の方が火力が高い。…で。
「…速攻で道乃を助けに行くあたり明葉らしいねー。」
「スティラ!?」
だって呪破符撃って相当火力の高い呪詛殺しの符術だよ?全属性耐性を持つ怨念の汚泥を1発で消し飛ばすほどには。火力が高ければ高いほど消費する力は大きくなるんだからそれを速攻、しかも4枚同時に使うのは…ね?
「おかげで近くにいたのほとんど消し飛んだけどさ……」
「…それでもまだ近くにいるのよね……」
あ、道乃…やっぱり気分悪そう……以前から怨念の汚泥苦手だもんね…
「……もう少しかな、とりあえず…怨念の汚泥の反応は少なくはなっているから…」
「……そうね…」
「……そういえば、明葉」
ここから地味に見える巨体を見つめながら明葉に声をかける。
「何?」
「…お酒、持ってきてたっけ?」
「持ってきてないよ。」
「だよね……」
そもそもアレ、居るなんて思ってなかったしそれは別にいいか…
「……また湧いてきたし、とりあえず狩って青龍のところ行こうか……」
私がそう言った時、ちょうど鐘が鳴った。
「───9時の鐘が鳴った。狂いし時を告げた総ての四分の一。狂いし時は終わりの鐘が鳴るまで夜を続ける。」
…長いなぁ………まるで、永遠の夜だよ。
当然ですがこの三人娘は未成年なのでお酒を買えるわけでも飲むわけでもありません。
それでもお酒の事を聞いたのは巫女である明葉の場合“神酒”を持っている可能性があるからですね。
…一応言いますが、この三人娘の誰かが飲むための物じゃないです。




