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第二十七星 事務処理

2階の会議室前から階段を通って1階へ。入口とは別方向に事務室はある。閉じている窓を叩いて中の女性に私の存在を気づかせる。存在に気づいた女性は窓を開けてくれた。


「お疲れ様です。」


「お疲れ様です、スティラ事務長。」


「事務長はやめてって言ってるでしょうに。これでもただの子供なんだから。」


「超高速演算の使い手が何を言ってるのです……」


……何気に私が事務長なの謎で、総帥に聞いてみたら事務長としての資格はあるらしく。とりあえずそのまま事務長として動いてはいる。


「奥の高位権限端末、使ってもいい?」


「はい、どうぞ。」


隣にある扉から事務室内に入り、事務室奥にある高位権限端末の前に座る。やることは入口のときと同じ、特別手当の申請。星界標準時星暦25年6月28日23時から星界標準時星暦25年6月29日2時までの職員出勤予定表と照らし合わせる。……うん?


「……ねぇ、エル。」


「はい?」


エル、というのはさっき私に対応してくれた人の名前で、非常に優秀な子だったりする。


「貴女、今日お休みだったんじゃない?」


「……はい、まぁ…22時に急に呼び出されたもので…」


「誰に」


「あの……地球代表理事様です。」


「……マジで何やってんだあのクソジジイ」


私の呟きに彼女が苦笑いする。


「あんたの部下じゃなくて私の部下なんだけど…好き勝手しないでくれないかな…」


「あ、私が事務長の部下であるということは認識されているのですね…」


「当然でしょ。私が事務長なのは納得いってないけどそれを理由に認知しないわけにはいかないよ。」


そう言ったら別の子がじっと私の方を見つめてくるんだけど…なんだろう。


「何?」


「……スティラ事務長って、あまりここに来てる印象がないんですけど…私も配属されてからそれなりに経ちますがお会いしたのは今日が初めてですし…」


…あぁ、そういえば確かに。


「…でも、なんとなく先輩方に慕われている理由が分かった気がします。」


「…はい?」


「ちょ、ちょっと、マイさん…!?」


……あり得ないこと聞いた気がするけど、まぁいいや。出勤予定表と出勤実績表を照らし合わせながら休日出勤の職員には段階が一個上の特別手当を申請する。それが終わったら“星間ギルド仮登録書類”を2枚発行して私が書けるところを書く。


「……エル、ギルド仮登録の承認者お願いしてもいい?」


「私……ですか?別に構いませんが……」


Xランクとしての特権、簡易ギルド仮登録。本人の氏名とXランクの自筆本名署名、事務員の承認があって行われるもの。ルシリールとエレナの2枚分用意する。


「……スティラさんの名前ってそう書くんですね…」


マイが見たのは私の署名欄のStylla Andlare Alcoliaだと思うけど…本名として登録してあるのはこっちだから例え忌み名でもこっちで書かないといけない。まぁ、これに関しては総帥が決めたことだからいいんだけどさ…めんどくさい。


「できました、事務長。」


「ん、ありがと。そしたらこれ、送られてきてた“報酬定義難航報告書”の報酬査定全部終わらせておいたから各天体本部に送っておいて。」


「……あの、早くないですか?50件は溜まってましたよね?」


「マイさん、慣れた方がいいですよ。…スティラ事務長はこれが普通ですから。」


何気に酷くないかなぁ…


「ともかく事務長、助かりました……私達だけでは処理しきれなかったものですから。」


「処理しきれなかったら迷わず送ってきなさい、っていつも言ってるでしょ。相手方を待たせてるんだから使える手札は使うの。」


「うっ……ですが、ただでさえ……ただ生きるですら過酷な事務長に頼るのも…」


「ホンット頑固なんだから……」


「…スティラさん?」


エルに小さくため息をついたと同時に事務室の外から声がした。聞き覚えのある声に外を見ると桜色の髪をした少女が窓の外に立っていた。


「あれ…」


「やっぱりスティラさんですわね。こちらに帰っていたのですわね……」


「“アリアナ”?偶然だね。」


窓に近づいて私がアリアナと呼んだ少女と話す。


「私がいるって気づいてたの?」


「いいえ…ですが、3階の書庫にいましたら下の階より非常に強い殺気を感じまして。もしやと思いこちらに顔を出した次第です。」


あー……


「ごめんね、アリアナ。」


「いえ、事情は分かっていますので。それより、一見したところ一段落した様子。そろそろお帰りですか?」


「そうだけど……」


「あら…残念です。わたくしはまだ用事がありますのでご一緒できませんね。」


「…なんかごめんね。」


アリアナは私のことを大体知ってるから無理に引き留めたりはしないんだよね。


「いえ。それより、“儀式”まで時間は少ないのでしょう?でしたらわたくしと話しているより早く用事を終わらせてきた方がよろしいかと。」


「うっ…ホントごめんね、アリアナ。埋め合わせは今度必ず。」


いえいえ、と言ってアリアナは事務室を後にした。私は私で色々とエルとマイに指示して事務室を……というか、ギルド総本部を後にした。

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