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第二十五星 ギルド総本部

火星と木星の公転軌道のちょうど中間地点。他の天体のように正常な球体ではなく、非常に歪な形をした人工天体がある。


「…嫌だなぁ」


ため息をつきながら人工天体に近づく。この人工天体こそ星間ギルド本部……正確には“総本部”。正直来たくない場所。ちなみに“星間ギルド総本部”と“星間ギルド天体内本部”は別物で、私が嫌いなのはこの星間ギルド総本部の方。星間ギルド地球内本部は嫌いじゃない。


「…拒絶反応はなし、と。」


ランのおかげというかなんというか、拒絶反応がないのは嬉しい。内部が異空間化されてるステラーシップに乗っている状態ですらこの人工天体に近づくと拒絶反応の片鱗が見えるほどだから……うん、辛いよ。…元凶がいなくなれば少しは変わるのかな。


「「お疲れ様です、スティラ様!!」」


「お疲れ様ですー。」


私が降り立つと同時に挨拶してきた守衛さん2人に挨拶を返す。……ザニアにいたときも思ったけど様呼びは慣れない。ていうかそもそも様呼びが苦手。“お嬢様”とか“スティラお嬢様”くらいならなんとかなるけど“スティラ様”はなんか…うん。貴族令嬢だし社長令嬢だけど様呼びになれてると思っちゃいけないのよー…


「いつもの通り会議室に?」


「は、会議室でお待ちとのことです!」


「……またか…」


隠さずため息をつくと守衛さん達が苦笑いする。この人達も理由は分かってるだろうからね……私がここに来る度に同じやり取りしてるから…


「特別手当申請しておくから、休日にゆっくり休みなさいな。」


「「あ、ありがとうございます!!」」


「元はといえば私のせい。お礼はいいから2人ともパスカード出して。申請出しちゃうから。」


パスカードを2人から受け取って入口付近に設置されてるATMみたいな端末に私のパスカードを通して高位権限アクセス。出勤表とかID照合とかした後に特別手当申請。


「はい、これで大丈夫。明日…遅くなっても明後日には手当付与されてるからゆっくり休みなさいな。」


そう言いながら2人にパスカードを返す。ちなみにこれは総帥から許可されてる私の特別権限。総帥が総本部に顔を出せなくなって地球代表理事に罰則を与えるとかができないから代わりに私の判断で地球代表理事に迷惑をかけられたとされる者に対して特別手当支給申請を許可されてる。…これ、地球代表理事の我儘に対してギルド内で不満が爆発したのが原因でそれに対しての処置でしかない。追放したところでお金の力で戻ってくる性根の腐った奴だから放置するしかないのよね。……よりにもよって疑似不死の呪い───正式能力名称“星素生命維持変換エネルギーライフトランスファー”の保持者だから暗殺とかで殺害することもほぼできない。


「通るよ。」


「どうぞ!」


看守さん達に一声かけてから天体内部に入る。宇宙船みたいになってるから完全に天体といえるか微妙なんだけど。いつもの道を通って会議室前へ。


「……ふー…」


無理矢理でもいいから思考を落ち着かせる。いくらランが込めた属性が私の拒絶反応を起こす原因となる気を拒絶してくれてるとはいえ、それがどこまで有効かは分からない。


「……」


会議室の扉を叩く。それから───口にもしたくない“フルネーム(忌み名)”を、告げる。


「───“スティラ・アンドレア・アルコリア”、ただいま参りました。」


「───入りなさい。」


「…失礼します」


男の声に扉を開けて中に入る。近くにいた役員に資料を渡し、その場で正座してお辞儀。


「討伐時要報告星侵獣の報告に参りました。」


「うむ。顔を上げよ。」


再度男の声。不快感を感じながら顔を上げる───視線の先にいたのは初老の男。…この男こそ星間ギルド地球代表理事。名は、“インペラル・エンペーネド・アルコリア”。


「それでは、報告を開始します。」


忌々しいことに───()()()()()()()()()()だ。

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