第二十四星 到着と呼出
轟音。言わずもがな、亜空間から抜けた音。
「ふたりともー、ついたよー。」
モニターに映っているのは透き通った赤い障壁。太陽圏に位置する太陽系第二大結界。
「ここが星間ギルドの本拠地。星間ギルドの始まりで、星界標準時線が制定されている場所───“太陽系”だよ。」
「わぁ…!」
「ほ、ホントについちゃったけろ……」
「まだ第二結界外だから到着とは言えないけどねー。」
実際、太陽系第三大結界を越えた先が広く伝わる太陽系になる。…そして、第二大結界から先は星間ギルドの探知範囲内だ。
「……っと、言ってる先から来たねー…」
「けろ?」
「大丈夫、こっちの話。」
第二大結界の中に入るとすぐにコンソールにギルド本部からメッセージが届く。内容は分かるので無視。
「ランー。」
「はい。」
「いつも通り第三大結界の後は操縦任せるから。」
「畏まりました。提出資料はこちらに纏めてありますのでお持ちください。」
「ん、ありがとね。」
後言っておくことは……あ、そうだ。
「ルシリール、エレナ。暫くの間何か気になるものあったらランか私に言ってね。この操縦室からランの視界共有とランか私の端末に声を届けられる仕様にしてあるから地球の風景とか物品とか見れるからね。」
「け、けろ…」
「ルシリール達が出られるのは早くても明後日になるかな……」
「…あの、スティラさんは視界共有しないんですか…?」
私の視界共有、ね…
「私の場合は色々とやることあるからちょっとね。」
主に入星手続きとか、ギルド本部への報告とか…一応各種手続きが親族でもないのに代理でできるのはXランクの特権なんだけどね。最終的には本人の署名が必要だから完全に代理というわけでもないんだよねー…
「主スティラ。本日の服装はどういたしましょう?」
「……任せる。できればいつもの通りで。」
「畏まりました、ご用意させていただきます。」
…基本的に着る服は自分で選ぶ私だけど、ギルド本部に呼び出されて顔を出す時だけはランに頼む。正直ギルド本部の会いたくない相手に呼び出されて会うのに自分で服装を選ぶのが嫌だっていう、そんな我儘なんだけど……
「あの…どうしてランさんに…?」
「うん?…あぁ、服のこと?」
「はい…あの、いつも自分で選んでるように見えてたので…」
「……昔、ギルド本部に呼び出されて…自分で服を選んだら凄く吐いちゃったことがあってさ。それ以来、ギルド本部に呼び出されたときは特にランに選んでもらってるんだよね…」
「吐く…けろ?」
「ん。…多分、一種の拒絶反応なんだと思うよ。私がギルド本部に行って会いに行かないといけないのは正直関わりたくない相手だから…」
ホント……あの時は大変なことになったなぁ…ランの操縦で日本港に緊急着陸、そのまま連れられて日本港に降りた後も吐き続けてたから周囲から心配されて……複数人の治癒術師で多重回復させて何とか収まったっていう……船内も大変なことになってたから異世界側にいる友達が清浄魔法かけてくれて元に戻してくれたっていう話。…割とトラウマなんだよね、アレ……ちなみにその頃には虚食状態既に発症してたからお医者さんに“大丈夫なの?”って本気トーンで心配されたよね…
「主スティラ、ご用意できました。」
「ありがと。…っと、第三大結界前だね。」
太陽系第三大結界。エリス、マケマケ、ハウメア等の準惑星の公転軌道を覆うように存在する白い球状の結界。この太陽系三重結界は太陽を中心に張られてるからそう呼ばれてるけど…何気に太陽系の境界線にもなってたりするかなー…
「…はぁ。着替えて行ってくるー…」
「お気をつけて行ってらっしゃいませ、主スティラ。」
行きたくないなぁ…等と思いながらお風呂場に向かう。着替えだけだからお風呂には入らないけど…
「…今日は紫と灰か。」
紫色…正確には紫苑色と灰色のイブニングドレス。それも属性付きで“月”と“冥”、“虚”の力を感じる。…“絶対に拒絶する”、っていうランの強い意志を感じる…
「ま、それくらいが私は嬉しいけどさ。…ありがとうね、ラン。」
1人でつぶやいてドレスを着る。…うん、嘔吐感はない。
「…さ、いくかな。───パージ!!」
パージ。意味はステラーシップからの各出入口を用いない強制排出。割と出入り簡単だから楽。
「“飛翔鳥翼”!!」
無言詠唱しておいたSi Skillを起動して鳥の翼を背中に生やす。感覚がつながったのを確認して目的の方向へと飛んだ。




