第二十三星 星霊の不安
「……行きましたか」
亜空の門が開き、スティラの船が亜空の先に消えたのがこちらからでもよく見えました。
「…リリーティア。申し訳ありません、私には彼女を止めることができませんでした。」
この樹に近づく者は少ないのをいいことに、リリーティアへと懺悔しましょう。
「彼女が貴女の娘であり、貴女が亡くなったと知って。彼女を護れるのなら、と思いました。…ですが、それは叶わない。彼女の呪いはそれほど強力なものだと、分かってしまいました。申し訳ありません、リリーティア。無力な私を、どうか許してください。」
超呪詛は、本来1人で複数を背負っていいものではありません。それ故に当代の星霊達はその超呪詛が複数背負った者が───まして、10種総ての超呪詛を背負った者が存在することを、本能的に拒否してきたのです。可能性があるとしてほんのわずかな可能性でしかない。そんな可能性があってたまるか、と。ですが、現実。それは現れてしまった。
「…リリーティア。貴女はあの子の呪いと、貴女の忌み名に殺されたのでしょう。…そして、あの子もそれを理解しているのでしょう。……そして、あの子の呪いは恐らく……」
…恐らく。あの子の父親すらも殺しているのでしょう。だからでしょう、数日間あの子を見続けていましたが…あの子はこの星で、一度も笑っていません。
「…“願い星”。最果ての星の更に先にあるという星ですが、彼女はそれを目指しているといいます。…私には、その目的が分かってしまいました。その目的を、貴女は許すでしょうか。」
…こうして問うても、答えがないことは分かっています。それでも問わずにはいられませんね。
「…私には、止められませんでした。彼女が目的を果たせるのを、願うことしかできないのです。それがどんな願いであっても、あの瞳の決意の前では…私は、無力です。」
……
「…リリーティア。改めて、ご冥福をお祈りします。そして、どうか無力な私をお怒りください。…貴女には、その権利があるはずです。…どうか。」
───当然ながら、声は届きませんでした。




