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第十八星 授業の終わり

「……うん、できてるね。」


「そうですか?」


「操作苦手でもここまでできれば大丈夫。あとはちゃんと出力を安定させるのが課題かな……」


ラタルメドに教えてるのは無属性Si Skillの“無の障壁ノンタイププロテクション”。最初に教わる……Si Skillの初歩として教えられるのがこのSi Skill。防御という関係上、変に暴発させなければ比較的安全なことから、大星素容量(ラージキャパシティ)の人に制御の方法として教えられることが多いSi Skillでもある。


「…僕がここまで苦手だとは、正直思いませんでした。」


「“知らないこと”だったわけだし、仕方ないよ。それに……」


ラタルメドの検査結果を見て告げる。


「無属性適性1、防御適性F(最悪)……ここまで適性が悪いとこうなるって。」


「……スティラさんは」


「…?」


なんだろう?


「スティラさんは、Si Healは苦手だといいましたね。…適性は、如何ほどだったのですか。」


「“適性なし”。如何に適性なしでも時間をかければ使えるようになるから、続けることが大事なんだよ。」


「は、はぁ……」


「ちなみに私はSi Healが少しでも使えるようになるまで5年かかった。」


「ごっ……!?」


いや真面目に適性なしから始めようとするとそれくらいかかるよ。


「でもまぁ、これで終わりかな。」


「すみません、長引かせてしまい……」


「いいのいいの。」


ええと時間は……わ、15時になってる。……ん?


「……えっと…今更だけど皆、お昼ご飯とか大丈夫?」


「「「「「………あっ。」」」」」


……食欲のない私はともかくとして、皆は普通にお腹減ってるよね?


「……授業終わらせる前に軽めのものでよければ作るけど、どうする?」


「「「「「お願いします!!!」」」」」


わ、正直…


「あの……スティラさんってお料理できるんですか…?」


「むしろ出来ないと思ってたのエレナ?」


怒るよ?


「い、いえ、そういうわけではなく……ここでお料理って出来るんですか?」


「……あぁ。」


ここで、ってことは設備も何もないのに、ってことなのかな?


「んー…実演した方が速いか。たぶん晩御飯近い人もいるだろうからほんとに軽めだよー。」


月属性Si Skillでステラーシップ内の食料庫まで空間を繋げて食材を取り出す。星によって食材って色々だけど、お米とか野菜とか、変わらないものも結構ある。


「んーと。」


無属性Si Skillで結界を作ってその上に食材を乗せ、天属性Si Skillで刻む。金属性Si Skillで鉄板を作って火属性Si Skillで火を使う……


「凄い…」


特にできても意味のない曲芸………あ、いや、必然的に様々なSi Skillを使うことになるから割といい練習にはなるのかな?


「……こんなものかな」


そうして作ったのはもんじゃ焼き。……これ、軽めなのかな?


「えーっと紙皿…」


再度月属性Si Skillで空間を繋げて22枚の紙皿と22本の木製ハガシを取り出す。並べた紙皿に均等に分ける……


「ん、これでおけ。1人1皿取りに来るのと……あと受け取った人は熱さに気を付けてねー。」


冷風はかけない。…あと、ザニアにももんじゃ焼きと“ハガシ”は伝わってるのは確認済みだから食べ方は分かると思う。


「……あ、全員に行き渡ったっぽいね。じゃあはい、これランのね。」


「あ、ありがとうございます。」


「これ、マスターのね。」


「……私もいいのですか?それではスティラ様が……」


「私、今食べれないから。」


「……?」


あー…“虚食状態”の説明するの好きじゃないんだよね……


「気にしないで。」


ちなみにランは確かに内部は機械だけど食事機能はちゃんとあるし味覚もちゃんとある。…仕様書見たり仕様聞いたりしたことあるけど、バイオマス発電みたいな感じ(あくまで“感じ”なだけでバイオマス発電そのものじゃないらしい)で食物を活動エネルギーに変換できるんだって。機人なのもあって活動エネルギーさえあれば食事は必要ないランだけど、“食事をしていないと渇きみたいなのを感じる”っていうのは昔ラン自身が言ってたこと。


「……あ、皆食べ終わってる。」


早ぁ…


「ごちそうさまです。」


「お粗末様。ゴミはこっちで回収するからあとで持ってきてねー。……さて。」


結界とか道具とか消した後に全員の方を見る。


「これで今回の授業は全部終わり。あとはここの先生とかに聞きなさいな。…私は本職じゃないんだからそこまで専門的なことは教えられないし。」


「嘘でしょう?」


「いやホントだからね、ラタルメド。私が教えたのって結構基礎の部分だし。」


だって複合属性術式とか強段階属性術とかの扱い、結局のところ教えてないし…第一段階は別名“基礎属性(ベースタイプ)”だし。


「さっき言った通り私がザニアにいる間に私の所に来るのは自由だけど……ごめん、数日忙しくなるかもしれないから私が船にいない可能性があるのよね。会えなかったら諦めて?」


原因は索敵具現体(サーチャー)が見つけたものだけど。…なんでいるんだろうね、アレ。アレのせいでちょっと忙しくなるのが確定したんだよね…


「…そもそも、別に特別なシャンプーとか使ってないから普通に再現できるのだけど……まぁそれはそれ。」


あ、それと…


「エレナ、貴女に言っておくことがある。」


「わ、私ですか?」


「ん。私がここを発つまで…星界標準時で6月27日までに絶対に1度は私の所に来て。時間はいつでもいいから。」


「え…?」


「貴女の声について教えてあげる。…その声はとても危険なものだから、その制御を貴女は知らないといけない。まだ完全には目覚めてないようだけど……予兆が出始めてるからね。」


「は、はい…!」


どんなものでもそうだけど、不安定な物って結構危険。…エレナには教えておかないといけないね、“妖精声紋(フェアリーボイス)”のこと。


「それじゃあ、これで私からの授業は本当に終わり。解散!」


私がそう告げると全員自由に動くようになった。……さて、私は…と。


「ラン、じゃあ行ってくるね。」


「お気をつけて、主スティラ。」


「ん」


ランに一言告げてから私は飛ぶ。───索敵具現体(サーチャー)が発見した、新たな星侵獣の元へと。

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