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第十六星 ステラースキルとは -種類-

砂時計の砂が全部落ちる。


落ちた砂は更に下にある流砂と混じり砂の渦を作って流れていく。


……ふと、声が聞こえる。


助けて、という声が砂の中から聞こえる。


嫌だ、という声が砂の中から聞こえる。


───殺して、という声が砂の中から聞こえた。


ふと、流砂の中心に目を向ける。


───砂の渦の中心から、紅く染まった人間の手が伸びているのが見えた。



「はっ…!」


目が覚めた……っていうか、私は寝てたんだ……?


「……悪夢か…」


気分最悪。悪夢で起こされるのはホント嫌…


「はぁ……」


「…スティラさん?」


声のした方向を見ると、ラタルメドが不安そうな表情で私を見つめていた。


「大丈夫…ですか?急に眠ったと思えば魘されていたようですが。」


「だいじょうぶだよ。急に眠ったのは……寝不足で気絶しただけ。」


「気絶したのを大丈夫とは言わないのでは…」


そう言われると反応に困るんだよねー…


「…続き、やらないとね。」


「……本当に大丈夫ですか?」


「大丈夫だってば。」


…あの悪夢は見る原因みたいなの分かってるし。解消できるものじゃないけど。


「それじゃあ授業を再開するけど…黒板の文字消していい?」


私が聞くと全員ぎこちなく頷いた。


「……じゃあ、消すよ?」


私が黒板を軽く叩くと文字が一斉に消える。…虚属性の応用なんだけど、まぁそれはそれ。


「じゃあ、この時間に教えるのは“Si Skillの種類”についてね。」


重要な気もする部分なんだよねー…属性よりは重要じゃないかもだけど。


「Si Skillは細分化すると8つくらいに分けられる。まぁ、単純に分けると…近接戦闘、遠距離戦闘、黒魔法、白魔法、防御、解析、具現化、補助。」


…これでいいと思うんだよね。実際。


「まず近接戦闘から。“星惑交技術(ステラーアーツ)”と呼ばれるこれは近接攻撃に対して術式を付与するもの。私が一番得意としてるものだね。」


「そうなのですか?」


「え、そうだよ?」


「…てっきり、先ほどの“七死星”から遠距離戦闘だと思っていたのですが。」


えぇ……?


「それに、スティラさんは女性で…かなり小さい方では?」


「失敬な。これでも日本人女性平均くらいは……くらいは……」


…端末を開いて検索。“日本人女性 平均身長”……


「……ないわ、ごめん。」


150.4cmだからね、私…日本人女性平均身長って158cmだったよ。ラタルメドの身長って私より10cmは高いから小さく見えるのかな。


「遠距離戦闘が得意なのはランの方だよ。…あの子、中身が機械なのもあるのか狙撃精密すぎるのよ。」


「“機人”…でしたか。」


「そうだよ。…でもって、中身が機械だからってあの子をちゃんとした人間としての扱いをしないのはあの子の主人たる私が許さん。」


「「「「「…っ!」」」」」


あっ、殺気出しすぎた。…話進めないと。


「遠距離戦闘のSi Skillを“星惑交魔術(ステラースペル)”。銃弾、砲弾、矢…これに属性を付与するのがこれに当たる。この銃弾、砲弾、矢を属性だけ…つまり星素だけで構成しても“星惑交魔術(ステラースペル)”と呼ばれる。“射る”、“撃つ”系の攻撃であればいいって感じかな。」


射る、だからドラギュート・フーリス・ジ・アスケラに止めを刺した“無慈悲なる隕石ルースレス・メテオライト”は“星惑交魔術(ステラースペル)”になるんだよね。


「逆に“斬る”、“叩く”、“突く”、“殴る”、“徹す”とかだと“星惑交技術(ステラーアーツ)”になるね。」


なお、同じ“徹す”でも中国拳法の“浸透勁”は“星惑交技術(ステラーアーツ)”じゃない。当然だけど。ただし、“浸透勁”を使う際に手元に属性を付与してその属性だけを徹すとなると“星惑交技術(ステラーアーツ)”に変貌する。で……無属性防御結界とか使って“徹せる物質”を作ってそこに浸透勁を徹して遠隔攻撃するってこともできるらしい。…私は浸透勁できないけど。ついでに浸透勁を再現するSi Skillはある。


「じゃあ次…黒魔法、“星惑交呪詛(ステラーカース)”。ま、(のろ)いだね。一応天候操作とかもできるけど…」


…本来の黒魔法よりはその出力が劣るんだよねー、基本的に。


(のろ)い…相手に呪詛をかけること。知ってると思うけど、(じゅ)っていう字は“のろい”とも“まじない”とも取れるから漢字を見ただけでそれが悪いものか良いものかは判断できない。まぁ基本的には“のろい”かな。“まじない”の方は結構ひらがなで記されるし。」


「言われてみれば…」


あれって無意識に使い分けてるんだよね、日本語使い…特に日本人って。外国人だと難しいらしい。…私?生まれがアメリカなだけで…1歳の頃から流れ星になるまでの11年間ずっと日本で育ってきてるからほぼ日本人。ギルドの所属も一応日本。…一応。あの地球代表理事(馬鹿)が何もしてなければ。


「どこかで見かけた気がするけどこれを迷わず読めるのは割とやばいらしいよ。」


“1999年9月9日9時9分9秒”と黒板に記してみる。


千九百九十九年せんきゅうひゃくきゅうじゅうきゅうねん九月九日(くがつここのか)九時九分九秒くじきゅうふんきゅうびょう…ですよね?ルシリール、貴方はどうです?」


「わよもラタルメドと同じでそう読むけろ。エレナはどうけろ?」


「わ、私もです…」


「…だよねー…文字に起こすとこうなるけど…」


感覚バグってるけど割と文字に起こすとやばいんだよね…


「…あぁ…なるほど。……結構、無意識に使ってましたね。」


「ザニア元から言語系が似てたけろ、すぐに日本語順応したもあるかもけろ…」


あ、ザニアの言語系の話(それ)お父さんから聞いたことある。


「…ま、とりあえず。“星惑交呪詛(ステラーカース)”は武器を介さずに相手に被害を与えるSi Skill。“攻撃魔法”だと思ってくれればいい…のかな。あ、呪詛っていうけど“光属性攻撃魔法”とか“聖属性攻撃魔法”的なものもこっちに入るから気を付けて。」


攻撃魔法全般兼妨害魔法全般って感じだね。…それで


「それに対をなすように存在しているのが白魔法、“星惑交治癒(ステラーヒール)”。怪我を癒す、毒を治す、呪いを解くとかのSi Skillだね。」


「あっ、それもしかて地で星喰らいと対してた時ん…!?」


「…よく覚えてるねー」


回復系、ホントに苦手だからあの時止血くらいしかできなかったんだけど……凍結(フリーズ)のこともだけどそれもよく覚えてるなぁ、ルシリール…しかも手のひらだけしか負傷してなくて結構見えにくかったと思うのに…


治癒(ヒール)解除(キュア)解呪(デスペル)。この三種類なんだけど……私は苦手な方だから教えられることはほぼない。ただ言えるのは出血や火傷とかの外傷は基本的に治癒(ヒール)。毒とか麻痺なんかの内傷は解除(キュア)。呪い───そうね、“霊障”とか“変異”だったら解呪(デスペル)だね。」


「霊障…ですか。」


「ちなみに解呪(デスペル)は怨霊系に効くし治癒(ヒール)は死霊系にダメージとして効きます。」


回復魔法なのにね。


「あの、スティラさん。怨霊と死霊とは何が違うのです?」


「肉体があるかどうか。」


ざっくり言えば死霊はゾンビ、怨霊はただの霊体。治癒は“活力を与える”という術だから“死んでいなければいけない”死霊に対して“活力を与える”という矛盾がダメージを引き起こす。解呪は“災いを祓う”という術だから“災いそのものである”怨霊に対して“災いを祓う”という概念がダメージを引き起こす…らしい。友人曰く。…あ、そうそう。


「死霊術とか使う人は“死霊回復(ネクロヒール)”っていう非常に特殊な治癒を使うか“死霊再呼出(ネクロリコール)”っていう術を使うかだね。」


…私、“死霊再呼出(ネクロリコール)”使える人見たことないけど。“死霊回復(ネクロヒール)”は見たことある。


「…じゃあ、とりあえず次。防御…“星惑交障壁(ステラープロテクト)”。…大体わかるでしょ、ルシリール?」


「アンチフレイムプロテクション?とファイアーヲール?けろね?」


「ファイアーウォールね、ウォ。ヲだと別物になっちゃう。」


「…発音難しかけろ」


発音(この辺り)は難しい部分だからねー…結構私も苦手。


「防御魔法…つまりは(シールド)障壁(プロテクション)。それから規模がかなり大きいもので結界(バリア)領域(フィールド)なんてものもこの内に入るかな。」


ちなみにもっと規模が大きいものになると空間(スペース)。人の力量によるけど…まぁ、通常の星素容量の人でそこまで操作上手じゃない人でも京間2.5畳───約4.6(平方メートル)くらいの面積を持つ空間は作れる。高さ?…それは知らない………あ、いや待って。確か…2m?だから…約9(立方メートル)


「防御魔法だからって攻撃できないわけじゃないんだよねー…大盾って普通に鈍器になるし。」


「…防御用の技術を攻撃武器として使うものですか?少数派では…」


「いや、割といるよ。知り合いにも2人ほどいるし。」


“防御装備戦闘”は結構やる人いる。そもそも“反射防壁(リフレクトウォール)”とかあるから防御しかできないってわけじゃない。


「次行くよー。…えーと。解析…“星惑交分析(ステラーアナリシス)”か。さっき言った“熱源感知(サーマルスキャン)”だったり“熱源鑑定(サーマルアプレイザル)”、“属性詳細解析スタータイプアナライズ”なんかはこれになるね。」


「解析…属性以外にも解析できたりします?」


「ん…“鉱物含有成分解析”とかできるよ。どういうことかって言うと…」


金属性を使って一つの石を作り出す。今回は固定化しないから星素を切れば消える。


「これは“クォンタムクワトロシリカ”。4種類以上の鉱物を含むパワーストーンね。…といっても、これは今私が生成した偽物みたいなものだけど……これに“鉱物含有成分解析”を使うと……」


詠唱省略で“鉱物含有成分解析”を使う。


「クリソコラ48%、マラカイト22%、スモーキークォーツ20%、シャッタカイト12%だね。」


「…102%になっていませんか?」


「詠唱省略だと相当不安定だからね。…小数点第1位で切り上げるから」


「あぁ…」


星素供給を切ってクォンタムクワトロシリカを消す。


「えと、次は…具現化か。“星惑交構築(ステラービルド)”。まぁさっきから見せてるけど、属性をそのまま加工するものが基本的に該当するね。」


「加工…?」


「そ、加工。より詳しく言うと、変形させて明確な形を持たせること。…“炎剣”」


詠唱省略で炎の剣を生み出す。


「基本的には武器としての形を持たせて使うようになるかな。Si Artsと違って恒常的な物理じゃない、自由自在に生成・消去が可能な武器。まぁ、その分消費星素が多いのは割と難点だけど。消費しないようにする方法はある。」


「…ふむ?」


「“固定化”…正式名称“星素物質化(エネルギーセキュア)”。これと対をなすのが“流動化”…正式名称“星素分子化(エネルギーフロウ)”。言っておくけど、日本語名と英語名は合わないこと多いからね。」


Secureって固定するとか安定するとかの意味で、Flowは流動するとかの意味。


「…じゃ、最後ね。補助、“星惑交補助(ステラーサポート)”。…これはねー…」


ルシリールを見ると首をかしげた。


「…ルシリールとランとで一緒に宇宙空間を箒で飛んだSi Skill。それがこれに該当するね。」


「………へっ?」


…うん。アレがこれに該当するんだよねー。


「待つけろ、あれで“補助”なのけろ!?」


「そうだよ。移動補助Si Skill“高速飛翔(ラピッドフライト)”。更には推進補助Si Skill“急噴射推進ロケットスラスターエンジン”の4重ね。ここまでやれば大気圏でも突破できるよ。」


「は、はぁ…」


「とはいえなんも保護してないと流石にだから“星惑交障壁(ステラープロテクト)”がないとダメなんだけどねー。」


…で。


「ここまでの7つ、それぞれ通称として“Si Arts”、“Si Spell”、“Si Curse”、“Si Heal”、“Si Protect”、“Si Analysis”、“Si Build”、“Si Support”になる。これらを総合したものが“Si Skill”ということなんだけど…」


「けど…?」


「…実はまだこれだけじゃ説明しきれてない。確かに、“人が単独で使える”ものは説明したんだけど。それとは別、“星のエネルギーをそのまま使う”……つまり“星惑交素因(ステラーピース)”を用いるものは説明してないの。」


そもそも───


「最初の方に言った通り、星そのもののエネルギー…“星惑交素因(ステラーピース)”、というのはかなり特殊で、通常人間が扱えるものじゃない。だからこそ私達はそれを機械で凝縮して私達で使えるようにしている。」


だから私が今この場で作ったとしてもかなりの劣等品しか出来上がらないんだよね。


「“星惑交素因(ステラーピース)”を原材料とした生成物…これは大体5種類くらいが基本だからそれだけ覚えてればいいかな。」


ええと…


「“武器(ウェポン)”、“銃弾(バレット)”、“(アロー)”、“爆弾(ボム)”、“(ストリング)”。特に太陽系由来の生成物は1つ1つが高段階の属性を内包する場合がほとんどだから取り扱いには注意ね。」


「…あの……“(ストリング)”って…?」


あれ?質問してきたエレナだけじゃなくて他の皆も疑問そうな表情してるってことは“星惑交素因糸(ステラーストリング)”ってあまり聞いたことないのかな?


「“月の羽衣”とか聞いたことない?」


「ありますけど…」


「あれは月の“星惑交素因(ステラーピース)”から糸を生成してそれを織ったものだよ。」


「「「「「そうなんですか!?」」」」」


「ぴゃんっ!?」


わわわ、びっくりした…変な声出ちゃった……エレナだけじゃなくてラタルメドや他の皆も驚いてる……でも、ということは。


「あまり伝わってなかったんだね。」


「えぇ…」


…まぁ、戦闘に使うようなものじゃないからかなぁ…


「…ん、まぁこんなものかな。次は…そうね。そろそろ適性検査と無属性Si Skillの方教えようか。」


でも、適性検査ってことは…


『ラン!聞こえる?』


『はい、主スティラ?』


『適性検査やりたいんだけど…』


『言うと思いましたので持っていっています。』


わ、さすが…


「じゃあ、ランが戻ってくるまで休憩。数分で戻ってくると思うからお手洗いとか行きたい人行ってきなさいなー。」


そう告げて近くの椅子に腰かけた。

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