第十三星 ステラースキルとは -七星属性-
20分くらい待って立ち上がる。
「えっと…消してもいい?」
尋ねると全員が頷いたので黒板の文字を消す。
「じゃあ授業を再開するよ。次に教えるのは属性について。とりあえず属性系統を一つ一つ説明する前に全部書いちゃうね。」
そう言った後黒板に全部書き出していく。…星界共通言語に英語だけじゃなくて日本語も入ったのは結構こういう時に便利ねー。
“活性”の日……光 紅炎 冠 爆炎 日長石 太陽
“鎮静”の月……闇 影 狂気 静穏 月長石 月
“憤怒”の火……火 炎 火焔 劫火 紅玉 火星
“悲哀”の水……水 流水 純水 激流 蒼玉 水星
“楽観”の木……木 妖樹 森 界樹 琥珀 木星
“歓喜”の金……金 鉄 合金 錬金 水晶 金星
“安定”の土……土 砂 石 粘土 黄玉 土星
“生命”の地……地 震動 生 現世 燐灰石 地球
“大気”の天……風 微風 疾風 暴風 翠玉 天王星
“流動”の海……池 湖 川 海 藍玉 海王星
“死滅”の冥……血 破砕 死 常世 天青石 冥王星
“基礎”の無……無 力 気 純粋 金剛石 星
“抹消”の虚……虚 不明 虚数 虚無 黒曜石 穴
「…そういえば五行に関しては本来の五情からずれてるんだよね…」
五行とは木火土金水。五情とは喜怒哀楽怨。それぞれ喜びは木、怒りは金、哀しみは水、楽しみは火、怨みは土という形に対応する。Si Skillの属性では何故喜びが金、怒りは火、哀しみは水、楽しみは木という形に変質したのかは私も知らない。土なんて怨みとは対極みたいな感じだし。
「えーっと……1、2、3………ん、13属性全部あるね。一応これらがSi Skillの属性になるんだけど……」
……そもそも属性とはなんのことか、かな…
「“属性”…そうね、定義的にいえば“一般にあるものに共通して備わっているとされる性質や特徴のこと”。Si Skillの観点から見ると“星それぞれに割り振られた概念”なのかな。Si Skillでの属性は“星間属性”とも言うから間違ってはない、はず。」
実際自信はない。
「……まぁ、明確に言えるのは。この属性が“太陽系が元になっている”こと。“北斗七星南斗六星の計十三星に対応できる”こと。“黄道十二星座にそれぞれ対応する”こと…かな。黄道十二星座に関しては蛇遣座を含めた十三星座になるんだけども。」
……十二支は違った気がするんだよねー。あと北斗七星南斗六星に関しては死兆星とか北極星とか南極星とかどうするんだっけな……ま、今はいいか。
「じゃあとりあえず1つずつ説明していくんだけど…絶対に長くなるから一回は必ず分けるね。」
七星と六星の境界くらいでいいかなぁ…
「まずは“活性”の日。第一段階“光”、第二段階“紅炎”、第三段階“冠”、第四段階“爆炎”、第五段階“日長石”、第六段階“太陽”。対応星座は“獅子座”…つまり星座宮は“獅子宮”。対応斗星は“天枢”……“ドゥーベ”の方が聞いたことあるのかな。おおぐま座α星ね。」
私がデネボラでアズマント・クラウド相手に使ったのはこの日属性第三段階の“冠”のボム。
「第六段階の名称からも分かるようにこの日属性は“太陽”の属性。性質は…まぁ、“活性”、“光”、“昼”、“時間”……あとは“核融合”かな?かなり強力で、かなり危険な属性になるから扱いには十分注意しないといけない属性だね。」
うん、平然と私使ってるけどこの属性結構怖い属性なんだよね。
「次に“鎮静”の月。第一段階“闇”、第二段階“影”、第三段階“狂気”、第四段階“静穏”、第五段階“月長石”、第六段階“月”。対応星座は“蟹座”…つまり星座宮は“巨蟹宮”。対応斗星は“天璇”……“メラク”の方が聞いたことあるかもしれない。おおぐま座β星。」
英語と日本語…あとギリシア文字は星界中に浸透してるけど、中国語は浸透してないんだよね…
「第六段階の名称からも分かるようにこの月属性は“月”の属性。性質は“鎮静”、“闇”、“夜”、“空間”……あとかなり重要なのが“核抑制”。」
そうそう、日属性と火属性に関してはこれだけは覚えておかないとダメなんだよねー。
「核抑制って何かって言うと、核分裂や核融合を鈍化…つまり鈍らせる働きのことを言うの。そしてこれは一番の注意点なんだけど───日属性は水だと消せない。日属性に対して水を与えると弱めるどころか逆に日属性を強める働きになってしまうから。何故かっていうと日属性は水素を用いた核融合反応を扱っているから。日属性を鎮圧するならば月属性を使って抑制させるのが一番の善手。」
他の方法としては無属性で無理矢理押しつぶすとか虚属性で抹消するとか…できなくはないんだけど。できなくはないんだけども。一番安全なのは月属性を使った抑制なんだよね。
「じゃあ水で火の鎮圧はできないのかっていうとそうじゃない。鎮圧できないのは日属性の力であって、次に話す火属性は可能。」
ちなみに何気に黒板に星座宮と斗星こと北斗七星と南斗六星の名前も書いてたりする。
「“憤怒”の火。細かい属性を言う前に先に言っておくけど、日属性と火属性は似て非なるもの。日属性が扱っているのは核融合であって、火属性が扱っているのは燃焼。星素燃焼反応は確かに核融合と近いものだけど、それは近いだけであって核融合そのものではないよ。」
それと、と続ける。
「日属性と火属性。これは正確な呼び方ではこうなるだけで、基本的にはどちらも“ひぞくせい”と呼ばれる。あとで他の七曜の属性に関してはまた触れるけど、どちらの“ひぞくせい”か分からない場合は“太陽”の方か、“火星”の方か相手に聞けばいい。分からなくしている相手が悪いんだから、そういう時は迷わず聞くこと。さっきも言った通り核融合と燃焼は似て非なるものだからね。」
間違えると大変なことになるからねー…これは実際の本職の人の授業でも絶対に話すことだね。
「さて、話を戻すけど…“憤怒”の火。第一段階“火”、第二段階“炎”、第三段階“火焔”、第四段階“劫火”、第五段階“紅玉”、第六段階“火星”。対応星座は“牡羊座”…つまり星座宮は“白羊宮”。対応斗星は“天璣”……“フェクダ”の方が聞いたことあるかな。おおぐま座γ星。」
この属性は結構基本的なものだから知ってる人多そうね…
「第六段階の名称からも分かるようにこの火属性は“火星”の属性。性質は“憤怒”、“火”、“温”、“燃焼”……その辺りになる。」
一応、構成分子活性化みたいなのもあるんだけど。それは温度が上がって各分子の動きが活発になるっていうだけだし…
「四番目に“悲哀”の水。第一段階“水”、第二段階“流水”、第三段階“純水”、第四段階“激流”、第五段階“蒼玉”、第六段階“水星”。対応星座は“乙女座”…つまり星座宮は“処女宮”。対応斗星は“天権”……“メグレズ”の方が聞いたことあるかもしれない。おおぐま座δ星。」
あれ、これで七曜は半分?
「第六段階の名称からも分かるようにこの水属性は“水星”の属性。性質は“悲哀”、“水”、“水冷”、“清浄”……その辺りかな。」
それから…
「さっきも言った通り日属性に水はダメね。火属性に水は大丈夫だけど。それは“水”ではなくて“水属性”の魔法でもSi Skillでも同じことだから特に水属性適性保持者はちゃんと覚えること。高熱に対して水を使うっていうのは必ずしも最善手になるとは限らないよ。」
むしろ無属性で押し潰したり虚属性で打ち消したり……そもそも感知系Si Skillで属性を判別できるようになってそれに対して最適なものを選択できればそれが最善手なんだけど。
「えっと次は…“楽観”の木。第一段階“木”、第二段階“妖樹”、第三段階“森”、第四段階“界樹”、第五段階“琥珀”、第六段階“木星”。対応星座は“射手座”…つまり星座宮は“人馬宮”。対応斗星は“玉衡”……“アリオト”の方が聞いたことあるのかな。おおぐま座ε星。」
…あ、そうそう。これも伝えておかないとだよね。
「今の聞いて気付いた人もいるかもしれないけど…本来、五行思想において木行は四元素の“風”を示す。にも拘らず第五段階の宝石名が風属性の石たる“翠玉”じゃないのはSi Skillの木属性は“木”そのものを示してるからなんだよね。」
Si Skillにおいて風属性と言えるのはどちらかと言えば天属性の方。ついでに星界中に五行思想と四元素は伝わってるから説明するときに使いやすい。…もっとも、Si Skillに全部が全部対応してるわけじゃないんだけど。五行相生・五行相剋とかの関係性は対応してるかな。五行相侮と五行相乗もね。
「第六段階の名称からも分かるようにこの木属性は“木星”の属性。性質は“楽観”、“木”、“成長”、“記録”……その辺りかな。」
記録、っていうのは年輪由来。あと琥珀は樹液が固まったものっていうのもあるからその性質も引き継いでる…んだと思う。
「次は…“歓喜”の金。第一段階“金”、第二段階“鉄”、第三段階“合金”、第四段階“錬金”、第五段階“水晶”、第六段階“金星”。対応星座は“天秤座”…つまり星座宮は“天秤宮”。対応斗星は“開陽”……“ミザール”の方が聞いたことあるのかな……というかこれは聞いたことあるんじゃない?おおぐま座ζ星。」
ミザールは結構有名だから…聞いたことあるんじゃないかなー…
「第六段階の名称からも分かるようにこの金属性は“金星”の属性。性質は“歓喜”、“金”、“固定”、“変化”……その辺りかな。ちなみにこれ“金属”の意味だからね。」
お金じゃないのよねー。仮に黄金とかをこの属性で作ったとしても変に魔力や星素が多いと価値がなくなっちゃうから意味がない。確かに金属性で生み出したものを貴金属として売却してお金を得られる人はいるけどそんなのホント一握り。普通は内包天然外星素過多を検知されて大したお金にはならない。
「金属性で生み出せるのは確かに金属なんだけど、その金属を武器に使うのもやめた方がいいよ。金属によって内包星素のバランスって違うから星素状態不安定な金属を武器に使って唐突に壊れるとか起こるし。使うなら使い切りの投げナイフくらいにすること。それでもその場で生成するのが基本だけど。」
金属性を使うなら造形操作はほぼ必須なんだよねー…
「あとは…七曜はこれで最後かな。“安定”の土。第一段階“土”、第二段階“砂”、第三段階“石”、第四段階“粘土”、第五段階“黄玉”、第六段階“土星”。対応星座は“山羊座”…つまり星座宮は“磨羯宮”。対応斗星は“揺光”……“アルカイド”、“ベネトナシュ”の方が聞いたことあるのかな?おおぐま座η星。」
…割と長かった気がする
「第六段階の名称からも分かるようにこの土属性は“土星”の属性。性質は“安定”、“土”、“土台”、“豊穣”……その辺りかな。」
えと、土属性の注意点は……
「土属性は足場を形成しやすい。だけど、その足場は大地より脆い。まぁそれを補強する方法もあるんだけど……足場を土属性Si Skillで作って戦う場合は、移動しながら足元に足場を構築するのが基本かな。」
ほんとはそれぞれ実演した方が良さそうなんだけど……時間がなくなると思うから今回は省略。
「…さて。ここまで紹介した七属性。日月火水木金土の属性を全部まとめて“七曜の属性”と呼ぶ。由来はもちろん、七曜から……なんだけど。」
黒板に“七曜の属性”と書いてから,を打つ。
「もう2つ。対応斗星…即ち、北斗七星に準えて“七星属性”……“北斗七星属性”とも呼ばれる。」
Big Dipper。北斗七星の英名の1つで、他にはPloughとかseptentrionがある。…いや、プラウはともかくセプテントリオンはラテン語だっけ。
「さっきもちょっと話したけど、日属性と火属性はどちらも“ひぞくせい”と呼ばれることが多い。これと同じように、月属性を“つきぞくせい”、水属性を“みずぞくせい”、木属性を“きぞくせい”、土属性を“つちぞくせい”と呼ぶことの方が多い。金属性は基本的に“きんぞくせい”のままだけど、たまに“ごんぞくせい”って呼ぶ人もいるね。」
大体そういうのは五行に通ずる人だけど…
「もう一度言うけど、この言いかえで一番危険なのは“ひぞくせい”。理由は音だけじゃ日属性か火属性か判別できないから。出来ることなら水属性適性保持者は感知系Si Skillの“熱源感知”や分析系Si Skillの“熱源鑑定”を覚えること。“属性詳細解析”が使えるともっといいね。」
あの時私が使った“熱源感知”は大まかな属性しか教えてくれない。属性の種別と、その段階くらい。属性強度───星素属性加圧なんかで上がった属性の強さまで調べるのは“熱源鑑定”や“属性詳細解析”じゃないと無理。
「…とまぁ、七星属性はこんなところかな。残り六属性に入る前にちょっと休憩しようか、多分疲れたと思うし。」
なんか私の言ったこと書き留めてる子もいるし…とりあえず一旦時間を作っておこう。それはそれとして…
「…ラン」
「どうなさいましたか?」
「アレ。処置しておいて。」
「…承知しました。」
私が指示すると、ランはそのまま姿を消した。
「はぁ…」




