第十一星 ステラースキルを教える前に伝えたいこと
鳴り響くアラームの音を止める。船内の時計を見ると星暦25年6月22日7時15分を示していた。
「…もう、そんな時間か……」
4時頃に目覚めてそれ以降ずっと眠れなくて。とりあえず落ち着くために天文室に来てみたけど何となく落ち着かなかった。
「主スティラ……と、こちらでしたか。」
「ん……呼びにきてくれてありがとね、ラン。」
天文室に備え付けられているプラネタリウムのスイッチを切って地球の星空を消す。ステラーシップによってどんな設備があるかは変わる。私のステラーシップの場合だと天文室、書斎、食堂、訓練所、浴室…まぁ、他にもいろいろある。逆に最低限の設備だけとなると操縦室と船員室だけって感じ。……絶対に使いたくないけど。
「…主スティラ、星間ギルド本部より…」
「でしょうねー……はぁ。」
また出頭要請かぁ……
「…主スティラ、本当に星間ギルドがお嫌いですよね…」
「星間ギルドが、っていうか地球代表理事が嫌いなの。総帥ならいいんだけど足腰悪くしちゃってるからねー」
20年前くらいからそうだって聞いてるから…はぁ
「…さてと、行こっか」
そう言って私達はステラーシップを出る。
「あ、やと来たけろ!」
するとステラーシップ前にルシリールがいた。…ワンピース着てるけど。
「…ルシリール?あなた男の子だよね?」
「……前も思たけろ、なんでわよが男分かるけろ?」
「なんで、って…」
いや、確かに顔立ちとか可愛いんだけど。
「…男の娘には見慣れてるからかなぁ。雰囲気で分かった。」
「あと波長ですかね、主スティラ。」
「わよが男、初めて会うて分かたの…おんしらが初めてけろ……」
…うーん、苦労してそう。
「…ともかく、今日はルシリールが案内してくれるの?」
「そ、そうけろ…!みんな集まっとけろ、早く来てほしいけろ…!こっちけろー!」
「こら、慌てないの。一緒に飛ぶから案内して。」
走り出そうとするルシリールを止めてルシリールと共に空を飛ぶ。
「わわわ…!?」
「主スティラ、そのままでは…」
「うーん…」
私とルシリールのスカートの所に認識阻害。次いでルシリールをお姫様抱っこの状態にしてルシリールが行こうとしてた方向を見る。
「あっちでいいの?」
「そ、そうけろ…あそこ、あそこの高い塔けろ…」
「……一昨日とかもっと高い位置にいたのに…とか思っちゃダメね」
そもそもSi Skill使えない人は空を飛ぶ経験とかほぼないわけだし。
「…っと、到着。」
「は、早いけろ…」
「道のりではなく直線距離ですからねー。」
「あと……」
「ん?」
「───高いけろ!!!」
高い塔のてっぺんに着地してたからねー。
「うーん…っていうかルシリール」
「けろ?」
「……いや、なんでもない」
さっきから思ってたけどルシリールの力…エネルギーの器がかなり大きい。しかも詠唱もなく風を巻き起こしてるから多分暴走状態に近い…
(こんな状態なのがルシリールだけだといいけど。)
とりあえずルシリールが怖がるから地面に下りないと……ということでエネルギーシューズから風を吹き出しながら降りる。
「はい、到着……って、結構人いるね」
…割と塔が高くて見えにくかったけど人が多い。ルシリールを降ろして全員を見る。…あとカウンターマスターもいる。ちょうどよかった。
「マスター、ここにいるので全員?」
「はい、スティラ様。」
「ん、分かった。じゃあとりあえず一番最初に言っておくね。」
私に全員の視線が集まったのを確認して口を開く。
「私達みたいなエネルギーの器が大きい人を“大星素容量”という。流れ星の中では凄いとか羨ましいとか恵まれてるとか天才だとか祝福だとか…まぁ、色々言われるけど。」
そこまで言って小さくため息。
「…それはただ、外部から見ただけの話。謙遜とか卑下とか、そんなものじゃなくて───私達にとってこれはただの“呪い”だよ。」
「え…」
一部から上がったその声に、小さく笑う。
「───第一、制限してたり制御してないと何を起こすか分からない不発弾みたいな力が。祝福なわけ、ないじゃない。」
私の言葉に、数人が顔を見合せた。




