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占湯の国

雨雲を散らしてスワンボートは光をもたらす。

露天風呂でその現象を見上げていたのぼせた者達は、それを晴天の虹彩となんとなく名付けた。


ぽん「どこに降りたらいいんだろう」


いやあー!どうしてえー!えってぃー!


ぽん「この辺でいいかな」


そこは駐車場ー!車がー!やめてよー!


ぽん「到着」


もこ「空気がすっきりしてる」のびー


ぴょん「雨が降った後だからだろうな」セタップ


ぼん「お風呂でサングラスはだめよ」ひょい


ぴょん「あ!ちょっと」


ぼん「さて、いきますか」セタップ


スーパーハイパーウルトラミラクルゴッド占湯。

一行は好奇心から混浴へ向かおうとするぽんちゃんを引き止めて女湯へ。


ぽん「どうして裸エプロン?」


ぼん「そういう決まりなの」


ぽん「でも着けるか着けないかは自由だって」


ぼん「れりごー!」がらら


ぽん「広い露天風呂だー!」


ぼん「広いのはスーパーハイパーウルトラミラクルゴッド占湯だから。露天風呂なのは、あなたさんが屋根を吹き飛ばしたからです」


ぽん「お、案内がある」


もこ「ほんと広いんやね」


ぴょん「まずはどれに行く?」


ぽん「サングラスかけなくても喋れるんだ」


ぴょん「平気、少しだけど」


ぽん「ふーん。あ、あわあわの湯みっけ!」たっ


ぼん「走らないでねー」むぎゅー


ぽん「はやくいこいこ!」


ぼん「ここで掛け湯したら、ゆっくり好きなように巡りなさい」


ぽん「はーい!」


ぽんちゃんともこちゃんは、あわあわの湯へとやって来ました。


ぽん「たのしー!」きゃっきゃっ!


もこ「ちょっち!暴れんで!」


しわしわ「あんたら占っていくかい?」


ぽん「は?」


もこ「どちらさまですか?」


ここは占湯の国。

気になることを占ったら、過去の嫌なことを洗い落として、さっぱりした後は頑張れの国です。


ぽん「じゃあ占ってください」


しわしわ「手を出して」


言われてぽんちゃんが手を出すと、しわしわおばあちゃんは、その上にすくった泡をちょんと乗せました。


ぽん「で?」


しわしわ「ふー!」


ぽん「は?」


しわしわ「残った泡を見て占うのさ」どれどれ


もこ「未来を占うん?」


しわしわ「このあわあわの湯は、未来、あんたらのバブリーな時を占う湯さ」


もこ「バブリーな時?」


しわしわ「盛り上がってる時さね」


ぽん「それはいつなの?」


しわしわ「現在でしょ」


ぽん「つまんない」


しわしわ「そう言わないでね。あんたの泡はまだ大きくなる。弾けないよう大切に膨らませてゆきなさい」


ぽん「わかった!」


しわしわ「次はあんたね」ちょん


もこ「お願いします」


しわしわ「ふー」


もこ「わっ!ぷふっ!ちょっぷふー!」


しわしわ「顔にかかったということは、もうすぐということさね」


もこ「てけとー」じとー


しわしわ「そんなことない。その時を楽しみになさい」


もこ「はーい」


一方で、ぼんちゃんとぴょんちゃんは発火湯にいました。


ぼん「発火湯に入りたいんでしょう」


ぴょん「これは違う!ものすごく燃えてるよ!」やだやだ


ぼん「大丈夫。熱くないから」


ぴょん「じゃあ、チョコ姉が先に入ってください」


ぼん「おっけ!」


ちゃぽ。


ぼん「あっつう!ちきしょー!」ばちゃ!


ぴょん「ほら」


ぼん「全然熱くないから」真顔


ぴょん「じゃあもう一度どうぞ」


ぼん「くうー!こりゃいいねえ!」じゅう!


ぴょん「無理しないほうがいいよ……」


ぼん「熱いのは最初だけだよ。おいで」ぐい


ぴょん「あっち!あっちゃ、ああ、熱いよお!」ばちゃちゃ!


ぼん「肩まで浸かって」ぐいぐい


ぴょん「あ……ああ」


ぼん「どう?」


ぴょん「いい感じ?ちょっとお酒くさいけど」


ぼん「お酒のお風呂だからだよ」


ぴょん「そうなの?」


べろべろ「そうでよ」


ぴょん「誰?」


ぼん「この湯の占い師さんだね」


べろべろ「どれ占ってやろーけ」


ぼん「ここは何を占ってくれるんですか?」


べろべろ「人生に酔うとき、まいっちまう時でよ」


ぼん「ふーん。お願いします」


べろべろ「じゃ、このカゴからひとつ手榴弾を選んで」


ぼん「これかな」


ぴょん「あの」


べろべろ「ピン外して」


ぼん「投げるんだね」わくわく


べろべろ「投げちゃいかんよ!湯の中へ!」あせあせ


ぼん「そっちか」ちゃぽ


ぴょん「私……!」ざばっ


ぼん「どこ行くの?」がしっ


ぴょん「やめてえーーー!」


ぼっうん!


ぼん「そんなマジの爆発はしないよ」けらけら


ぴょん「でも爆発はした!爆発は爆発!」どきどき


べろべろ「結果が出たで」


ぼん「いつ?」


べろべろ「過去でよ。もう安心せー」


ぼん「良かったー。次はぴょんちゃんね」


ぴょん「別の湯でお願いします!」


電気湯。

そこにいるのは?


ぽん「しびびびれれほほほ!」


もこ「なんよこここのかんじじひひ!」


なまず「ごめん。私の電気強すぎたかしら」


ぽん「ううううんいいかかんずぃ」


もこ「うららーうららーうらうららら」


なまず「占いしたいのね。じゃあ行くわよ」


下駄をくわえてぽい。


なまず「ふむ。明日は晴れね」


ぽん「てててんきうらなな」


なまず「そう。明日のあなた達の心模様を占いました」


もこ「おちおちおちおちおちおほほほ」


ぽん「もこちゃんヤバくない?」


なまず「そういうあなたは平気なのね」


ぽん「うん。ぷち慣れました」


もこ「びゃああうらなああはひゃ」


ぽん「死にそうだからはやく占ってあげて」


なまず「えいっ!」


ぽん「いたっ!」こつん


なまず「ごっめーん!たまに失敗するの!ごめんね!」


ぽん「大丈夫。もう一回」ちら


もこ「…………」ぷかー


ぽん「やっぱりもういいや」


なまず「ごめんね。たまに病院送りにしちゃうこともあるの」


ぽん「そういうことは先に言ってよね!」


今度こそ薄荷湯。


ぼん「そういうことは先に言ってよ。もう、勘違いしちゃったじゃない」


ぴょん「あんな勘違い普通はありえません」


ぼん「ごめんちゃい」ぺろ


シュリンプ「こんにちは」ぷかー


ぴょん「あら、ゴミが浮いてる」


シュリンプ「ゴミじゃないよ。エビだよ」


ぴょん「それはごめんなさい……エビ?」


シュリンプ「ここはあなた方をすっこりさせる占いです。占いますか?」


ぼん「この子をすっこりさせてください」


ぴょん「すっこりって何?恐いよ」


ぼん「恐がりさんね。すっこりは、すっきりした笑顔のことよ」


ぴょん「危ないことしない?」


シュリンプ「うん。私を壁に投げつけるだけよ」


ぴょん「!?」


シュリンプ「平気よ。さ、投げて投げて」


ぴょん「い、いきますよ?」びくびく


シュリンプ「ばっちこい!」ぴちぴち


びたあん!


ぴょん「ごめんなさい!力入っちゃったかも……」めかくし


シュリンプ「私を見て。このポーズは何に見えるかな」ぴたー


ぴょん「えーと……」


シュリンプ「よーく考えていいよ」


ぴょん「…………エビ」


シュリンプ「そうじゃないでしょう」


ぴょん「あ、羽、かな?」


ぼん「ああ、確かにぽいぽい」


シュリンプ「それがあなたをすっこりさせるものです。あなたの心が望むものです」


ぴょん「羽……ぽん太?」


ぼん「あの子、才能あるお茶目さんだから、きっと間違いないよ」


ぴょん「うん。見てて楽しい」


そんなぽんちゃんと二人で、縦に回転する渦の湯へ。


ぽん「おー!柚がめっちゃ回ってる!」きらきら


ぴょん「これは入らない方が」


ぽん「うわー!」ぎゅーん!


ぴょん「ぽん太!」


ぽん「ぽん酢みたいだよこのお湯ー!」ぎゅーん!


ぴょん「それはどうでも、よくないけど、それよりも」


ぽん「楽しいよー!おいでー!」ぎゅーん!


ぴょん「危なそうだしぽん酢だし断る」


ぽん「それ」がしっ


ぴょん「きゃー!」ぎゅーん!


ぽん「楽しいねー!」


坊主「楽しいねー!」


ぽん「誰?」


坊主「某は坊主にございます。そなたの前世を占いましょう」


ぽん「前世って?」


ぽんちゃんの前の人生です。


ぽん「どゆこと?」


例えば、タヌキ、キツネ、ネコゼミジンコというように、命は尽きた後に生まれ変わるというお話があります。


ぽん「気になる!占って!」


坊主「じゃあ、背中見せて」


ぽん「はい」


坊主「ふむふむ」つー


ぽん「ひひっ!くすぐったい!」


坊主「そなたの前世は、天使の精霊ジュリカプリュムポッシェでしょう」


ぽん「天使の精霊さん!?」


坊主「珍しい結果で某も驚きです」


ぽん「やった!ぴょんちゃんは?」


坊主「ふむふむ」つー


ぴょん「きゃ!」


坊主「そなたの前世は天丼のタレです」


ぴょん「…………」


ぽん「どんまい」かたぽん


落ち込むぴょんちゃんと対称的に、もこちゃんは上機嫌。


もこ「きゃー!お風呂のメリーゴーランド!」おててぱたぱた


ぼん「一緒に入ろうね」


もこ「やだ!」


ぼん「え?」


もこ「馬車の湯にしよ!」ちゃぽ


ぼん「おーカボチャスープみたいだね」


もこ「入ってこないでください」じとー


ぼん「どうしてそういうこと言うのかしら!」ぎゅ!


もこ「ひっついてあっちいやよ!」


ぼん「ごめん。つい」


馬「占う?」


ぼん「びっくりした。あなたさん本物だったの」


馬「馬糞占いなんだけど」


ぼん「もしかしてこのお湯……小?」


馬「…………」


もこ「ぎゃあー!」ばちゃ!


馬「おしっこも馬糞占いも冗談よ。それはフルーツ牛乳湯、いい匂いするでしょう」


もこ「うそつき!おこやよ!」ぷんぷん!


馬「お詫びにきちんと占うから許してね」


もこ「なに占ってくれるん?」


馬「お二人の相性占いよ」


もこ「いらん」


ぼん「仕方ないわね。それで許してあげるわ」


もこ「いらん」


馬「私の合図で、二人でしっぽを引いてちょうだい」


ぼん「いくよもこちゃん!」ぎゅ


もこ「へーい」ぎゅ


馬「ひん……ひひん……」


ぼん「…………」


馬「ひひひん……ひ……」


もこ「…………」


馬「ぱおーん!」


もこ「え?」


ぼん「それ!」ぶちい!


馬「いったあーい!」


ぼん「あ、ごめん」ぺた


馬「馬だけどモーウ!」ひりひり


ぼん「結果は?」


馬「結果?最悪も最悪よ」


ぼん「どうして!」がーん!


馬「引くタイミングが最悪」


ぼん「もこちゃん……」


もこ「やって、ぱおーんて言ったっち」


馬「それは狙ってよ。とにかく最悪」


ぼん「あーあ……」ぎゅ


もこ「離れて!」


離れて離れて、お姉ちゃんはぽんちゃんと二人っきり。


ぽん「お久だね」


ぼん「どの湯に行きたい?」


ぽん「どこでもいいよ!」


ぼん「じゃあチョコラティエ姉妹なかよく、カカオの湯に行きましょうか」


ぽん「そんなのあるんだ」


ぼん「ほらもう着いた」


ぽん「ココアみたいな匂いする」くんくん


ここあ「あ!ぽんちゃんにぼんちゃん!」


異の国で暮らす遠い親戚のここあさん。

こちらもお久ですね。


ぽん「ここあさーん!」とたとた!


ぼん「こら!走らない!」


ばっちゃーん!


ぼん「ほらころんだ!」


ここあ「せーふ、かな」きゃっち


ぽん「こわかったよぅ……」うるうる


ここあ「もう大丈夫。気をつけましょうね」なでなで


ぽん「うん」ぐすっ


ぼん「ごめんね。もう、あなたさんてば」


ここあ「ふふっ。ぽんちゃんは今日も元気ね」


ぽん「でしょう!」


ここあ「二人で来たの?」


ぽん「ううん。僕はお友達と」


ぼん「僕は休暇に待ち合わせて」


ここあ「そうなの。ぼんちゃんは優勝してからも、まだバスケットボール続けてるの?」


ぼん「ううん。あれは革命を起こすための前準備で、今は奴隷生活を満喫してます」


ここあ「奴隷……生活?」


ぼん「気にしないで。一日六時間労働で一時間半の休憩が二回と待遇はいいから」


ここあ「そういう問題なの?私、心配だよ」


ぼん「ありがとう。大丈夫ですよ」


ぽん「ここあさん優しいから好き」


ここあ「ありがとう。私も元気なぽんちゃんが好きよ」


ぼん「あまり甘やかさないでね」


ここあ「甘やかしてるのは、あなたの方じゃない?」


ぼん「そんなことありませんけど」


ここあ「お姉ちゃんも優しいでしょう」


ぽん「まーまーかな」


ここあ「今も、遠くからサポートしてるって言ってたよ」


ぽん「そうなの?」


ぼん「えーとまあ、ぷちね。行き先をいくつか指定したくらいよ」てれ


ぽん「なんとなくわかったかも」


ぼん「まだ子供のあなたさんにとって、難しいことがたくさんあったでしょう。でもね。それを乗り越えて少しは成長できたと僕は思うんだ」


ぽん「ぷち」


ぼん「ぷちかい」ぺち


ぽん「ひひっ」


ぼん「ぽんぽん」だきよせ


ぽん「ん?」


ぼん「生きるということは、言葉だけじゃとても伝えきれないものなの。だから僕はね、あなたさんに旅を勧めるんだ」


ぽん「うん」


ぼん「目指す未来に辿り着けなくても、生きている限り道は続いていて前に進むことができる。いつかまた、大切に思える未来が必ず見えてくる」


ぽん「そうなの?」


ぼん「歩いていれば景色が流れて日は巡る。あなたさんが見る世界は、そうしていつまでも変化するんだよ」


ぽん「ふーん」


ぼん「僕はそれを知った。あなたさんにも覚えていてほしい」


ぽん「わかった」


ぼん「ゆっくりで構わないから、少しずつ大人になりなさい」


ぽん「お姉ちゃんより立派な大人になってみせるよ!」


ぼん「楽しみにしてる」なでなで


ぽん「うん!」


ここあ「迷子になった時は、私をいつでも頼ってくれていいからね」


ぽん「ありがとうございます!」にこっ


ここあ「かわいいー」むぎゅー


ぼん「僕のかわいい妹なんですけど」ぐいー


ここあ「もらっていい?」


ぽん「もらわれていい?」


ぼん「ぜったいにだめ!!」


妹議論がどんどん加熱する頃、こちらもあっつあつ。


もこ「蒸し風呂嫌い」


ぴょん「健康と美容にいいぞ」


もこ「この甘ったるい匂いがやだっち」


ぴょん「蒸しパンみたいでいい匂いじゃないか」


もこ「おちはやーよ」のんのん


ぴょん「……はふう」


もこ「ねえ」


ぴょん「ん?」


もこ「おまたん、ぽんぽんのお姉ちゃんと知り合いなん?」


ぴょん「うん。昔、路地裏で助けてくれた」


もこ「路地裏?」


ぴょん「オレが恐い人たちから隠れながら、残飯をあさっていた時だ」


もこ「なんしよんよ」じとー


ぴょん「仕方なかった。そういう国で生まれて、そうしないといけない出来事があったんだ」


もこ「……ごめん」


ぴょん「君は悪くない」


もこ「ん。続き聞かせて」


ぴょん「チョコ姉はオレを見つけると、アヒルボートに招待して温かいご飯をくれた。そして、どうしてそんなことになったのか聞いた」


もこ「親がいなくなって、追い出されてでしょう」


ぴょん「ああ。そう答えて、オレは悪者に仕返しするために強く生きると言った」


もこ「でも、子供やっち」


ぴょん「だから、大人を頼りなさいと言ってくれた。でも、その時のオレは怒りでいっぱいで断った。頑固に何度も」


もこ「それで?」


ぴょん「空想科学服とフォアグライドをくれた。そしてオレは旅に出た」


もこ「そう……」


ぴょん「旅に出て良かったよ。君たちに出会えたから」


もこ「え?」


ぴょん「オレは今、これでも幸せなんだ」


もこ「ほんと?」


ぴょん「うん!毎日楽しくて仕方ない!」


もこ「そっか」ぱちゃぱちゃ


ぴょん「自由なぽん太に振り回されたり、ひどい目に遭ってメソメソするもこちを見るのは楽しいよ」


もこ「それどういうことよ!」ぷんすか


ぴょん「もこち」


もこ「なんよ!」ぷい


ぴょん「出会ってくれてありがとう」


もこ「ん……うん」てれ


それぞれ大切なことを語り合った一行は、入浴後、飾り物まで愉快な占湯街を散歩することにしましたなのり。


ぽん「いい匂いがする!」たたっ!


ぼん「あらあらもう」


鮎の塩焼きくださいな!


ぽん「うま」もむもむ


ぼん「おいしい?」


ぽん「うん」もむもむ


ぼん「ねえ、ぴょんちゃん」


ぴょん「はい?」


ぼん「あなたさん、もう大丈夫そうだね。昔とはすっかり変わった」


ぴょん「二人のおかげです」


もこ「おかげって、こちらこそやよ」


ぽん「いっぱい助けられたよね」


もこ「誰かさんのせいで大変なことばかりやっち」


ぽん「誰だ!僕がやっつけてあげる!」


もこ「ぽんぽん・ちょこまみれ」


ぽん「チョコラティエです」


もこ「それはごめん」


ぽん「うん」


ぼん「ほんと仲良しさん。見てるだけでヨダレでちゃう」じゅるり


ぽん「は?」


ぼん「そうだぴょんちゃん、その空想科学服のことなんだけれど」


ぴょん「なんですか?」


ぼん「ベルト作れるけど、作ってあげようか?」


ぴょん「このままでいいですよ」


ぼん「でも空想増々装置がついてないと、これからも大変だよ」


ぽん「それついてないってことは、空想の力を」


引き出せない。


ぽん「だよね」


ぼん「うん」


ぽん「じゃあどうして、今まで空想科学服を着てる僕と同じことができたの?」


ぼん「そんなことできたの?」


ぽん「すごいパワー出せたし、寒いところとか平気だったよ」


ぼん「それは……それは妄想の力じゃないかな」


ぴょん「そんな!」


ぼん「別に悪いことじゃないよ」


ぽん「そうだよ。いつだったか忘れたけど言ったでしょう、悪いも良いもどっちもあるって」


ぼん「その通りだね。ぴょんちゃんのはいい妄想」


ぴょん「いい妄想……」 


ぼん「誰かのために頑張りたいって、そう思ったことない?」


ぴょん「それはいつも思っている!」


ぼん「人はね。誰かを愛するから、優しくなれるし強くなれるんだよ。あなたさんはこれからも人を愛して、なりたい自分になりきって、いつか変身なさい」


ぴょん「変身……!」髪ぴこ


ぼん「愛する人たちを守るのよ!」がっつ!


ぴょん「うん!守る!」髪ぴこぴこ!


もこ「なにこれ」じとー


ぽん「お二人さん盛り上がってるね」もむもむ


ぴょん「チョコ姉。オレ、そろそろ帰るつもりなんだ」


ぼん「いつでもおいで。手助けの準備は出来てる」


ぴょん「ありがとう」


ぼん「とっておきの風を巻き起こしてやりなさい!」


ぴょん「とっておきの風」


ぼん「心に雲がたちこめるなら、その心に暴風巻き起こせ」


ぴょん「そうすれば、燃える陽も導く月だって見つけられる」


ぼん「よく覚えてるね」


ぽん「それ、ぴょんちゃんの空想科学服の背中に書いてる風って言葉の意味?」


ぼん「そうだよ、僕が贈ったの」


もこ「燃える陽とかはどういう意味?」


ぼん「燃える陽は情熱。導く月は希望だよ」


ぴょん「なんだか力がわいてきた!」びゅう!


もこ「わっ!すごい風が!」


ぼん「これがあなたさんの……力!」お茶ごくり


ぴょん「うおおおおお!」びゅおー!


ぽん「鮎の塩焼きがー!」ががーん!


ぴょん「ジッとしていられない!」ぎゅん!


もこ「髪の毛がヘリトンボみたいに!」


鮎さんいかないでー!お店がめちゃくちゃー!浴衣がちらちらー!


ぽん「あれまあ。どっか飛んでっちゃった」


もこ「ええ……」


ぼん「ナレーションさん案内してあげて。それと、みんなのことこれからもよろしくね」


任せてください!


ぼん「じゃ、僕は行くよ。またね」うぃんく!


ぽん「お姉ちゃん。どうやってここに来たの?」


ぼん「チャリで来た」


相当な距離があるというのに。

しかし、その自転車。


ぼん「ぽんちゃんが吹き飛ばしたんだった……」ずーん

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