航海の国
大海をたゆたうスワンボート。
母のように優しく抱き唄う波が心地よく、ぽんちゃん達はおねむです。
ヤッポイ「俺様はヤッポイ海賊団船長のヤッポイだ!」
ぽん「ふにゅぴー……」すやすや
ヤッポイ「今すぐに大人しく出てきやがれ!」
ぴょん「すぅ……」すやすや
ヤッポイ「聞いてんのかあ!」
もこ「んふふ……」すやすや
ヤッポイ「おーい」
子供達が寝ていますので、どうかお静かに願います。
ヤッポイ「それはすまねえ」
では、よい船旅を。
ヤッポイ「おう。ありがとな」
ぽん「なんのさわぎ……?」むにゃぽん
ヤッポイ「俺様はヤッポイ。海賊だ」
ぽん「ふーん」
ヤッポイ「ここは航海の国の海域。海賊がうようよしているところだ」
ぽん「ぱいれーちゅう……」すや…
ヤッポイ「起きろ!大事な話がある!」
ぽん「起きてるよ」
ヤッポイ「ならよかった」
ぽん「それでなに?」
ヤッポイ「ここにいると、海賊達がお節介を焼きにくる。はやく立ち去りなって話だ」
ぽん「はまぐり焼いてくれるの?」
ヤッポイ「はまぐりだけじゃない。アサリもサザエもなんでもありだ」
ぽん「やった」
ヤッポイ「お前は、そんなにお節介を焼かれたいのか?」
ぽん「うん」
ヤッポイ「最低でも一週間は逃げられない。それでもか」
ぽん「それは、ぷちありがた迷惑かも」
ヤッポイ「だろう」
ぽん「ねえ。どうしてはまぐりを焼くの」
ヤッポイ「ここは元々、感情の意を持つ後悔の国だった。後悔の最中、心が難破して沈んだ奴らが集まる国だった」
ぽん「へえ……」うとうと
ヤッポイ「奴らは集まって暮らしているうちに、いつか仲間になっていた。いつか前向きになっていた。そして後悔のない未来を手にいれるため、海を渡る意の航海の国が生まれた」
ぽん「そ……」すや…
ヤッポイ「海賊達は特別な宝を探して現在も冒険している。俺様もその一人だ」
ぽん「お宝」ぱちくり
ヤッポイ「お節介焼きの心配があるが、どうだ。いい機会だからお前も宝を探してみるか」
ぽん「探しちゃいます!」しゃき!
ヤッポイ「なら、海賊王のところまで送ってやろう」
ぽん「ありがとう!」
ヤッポイ「ちっ、またお節介を焼いちまったぜ」やれやれ
スワンボートは手漕ぎのイカダについて、海に浮かぶ丸太作りの国へとやって来ました。
ぽん「なんかぷちだね」
ヤッポイ「海賊は長いこと海に出ているからな。ここに戻ることも、ここで暮らす奴も少ないんだ」
ぽん「そうなんだ」
そこへ集まる、お節介焼きたがりな海賊達。
ヤッポイ「おいてめら。余計なお節介は後悔することになるぜ」ギロ
ぽん「はまぐりを置いてさっさと消えな」ギロ
また映画を観て悪い影響を受けましたね。
ぽん「役に立ったからいいでしょう」どっさり
それでもいけません。
ぽん「もう、はまぐりみたいにかたいんだから」
ぴょん「なんだそれは」セタップ
ぽん「これは夜ごはんだよ。しまっておいて」はい
ぴょん「わかった」すたすた
もこ「ここど……」ぴた
ヤッポイ「よお、おはようさん」
もこ「海賊……!」うるうる
ヤッポイ「泣くな!後悔しちまうじゃねえかクソ!」
ヤッポイは一生懸命もこちゃんをあやしました。
抱っこしてくるくるしたり、とても頑張りました。
ぽん「いい人でしょう」
もこ「うん。いい人でした」
ヤッポイ「ったく。これだから子供はかわいくて仕方ねえ」
ぴょん「それでここはどこなんだ。海賊の国か」
ぽん「航海の国だよ。あ、あっちの意味ね」
ぴょん「どっちの意味だ」
ぽん「まあいいじゃない。それよりはやく行こう」
一行は複雑な作りの町を抜けて、どこより立派な海賊王の屋敷へとやって来ました。
ぽん「ぷち楽しそう」
アスレチックではありません。
ぽん「わかってます」
ヤッポイ「パパー!」
ぽん「パパなんだ」
ヤッポイ「本当のパパじゃないぞ。敬ってそう呼んでいるだけだ」
ぽん「ふーん」
ピーニャ「わあ!お客さんだ!」
ぽん「誰さん?」
ピーニャ「ピーニャだよ!」
ぽん「ぽんちゃんだよ」
アナナス「ようこそみなさん。僕は兄のアナナスです。こっちは末っ子のアバカシ」
アバカシ「おねーたん……」かくれ
ピーニャ「こわがりさんなんだからもー」
ぽんぴょこ(かわいい……)
アンブロシア「ちび共、もてなしてやれ」ぬっ
ピーニャ「はーいパパ!」
ぽん「パパおっきなー」
アンブロシア「ヤッポイ。なんでまた戻ってきた」
ヤッポイ「こいつらが、せっかくここまで来たんで、宝探しを体験させてやろうと思ったんです」
アンブロシア「おま、いい奴だなあ……!」ぐすっ
ぽん「どうして泣くの」
アンブロシア「彼の快い気遣いに感動した!」ぽろぽろ
ヤッポイ「パパ!!」ぎゅ!
アンブロシア「ヤッポイ!!」ぎゅ!
もこ「うえー……」じとー
ぽん「きしょ」真顔
アナナス「用意ができました!みなさん、どうぞこちらへ!」
アンブロシア「ほら、入った入った」
お言葉に甘えてお邪魔して、三人は大きなテーブルにつきました。
アンブロシア「パイナップルの繊維を手編みした座布団だ。遠慮なく座ってくれ」
もこ「素晴らしいです!」るんるん
ピニャコ「なら、おひとつどうぞ」
アンブロシア「妻のピニャコラーダだ」
ピニャコ「私、でかけてくるわね」
アンブロシア「気を付けてな」
もこ「ピニャコラーダさん!ありがとうございます!」
ピニャコ「どういたしまして」ぺこ
ぽん「よかったね」
もこ「うん!」にっこり
アンブロシア「さあさあ、好きなフルーツを好きなだけ食べてくれ」
ぽん「いただいてます!」オレンジ!
アンブロシア「それから宝の話だが」
ぽん「お宝ってどんなの?」マンゴー!
ピーニャ「パパ、あれいいんじゃない!」
アンブロシア「パパもそう考えていたところだ」
ぽん「あれって?」ウォーターメロン!
アンブロシア「パイナリー島にあると伝えられる、一滴の財宝、フルーツバンケットだ」
ぽん「なにそれ」ブドウ!
アナナス「周りは純金で、芯にとてつもなく美味な果実がちょんとあるパイナップルのことです」
アバカシ「パイナップルすき!」
もこ「おいしいよねー!」
アバカシ「ねー!」
もこ「へへっ、とてつもなく美味な果実かあ!」じゅるり
ぽん「パイナップル好きなもこちゃんにはたまらないね」
もこ「それって本当にあんの?」
アバカシ「レストランのトイレの壁に、地図が書いてありました。ただ、見つけた話はまだ……」
ぽん「うんちくさい話だね」
とてもうさんくさい話です。
もこ「それでも行くよ!」すくっ
ぽん「お供します隊長!」
もこ「船長とお呼びなさい!」
ぽん「はい船長!」
もこ「それで、レストランはどこ?パイナリー島は?」
ピーニャ「窓の外に見えるあれがパイナリー島だよ」ほら
ぽん「島近だ」
もこ「レストランは?」
ピーニャ「昨日燃えちゃった」
アナナス「パパの誕生会で、ヤッポイさんがファイアーダンスを張り切ってね」
アンブロシア「それで、彼を島流しの刑に処したんだが。お前達へのお節介でさっき取り消してやった」
ぽん「ふーん」
もこ「まあ地図なんてなくてもいいわ!二人とも、出発よ!」
ぽん「あいあいさー!」
ぴょん「ほいほいさー」
六分十四秒後。
ぴょん「屋敷の裏から歩いて渡れるとは」
ぽん「果物がいっぱいだね」バナナ!
ぴょん「まだ食べ、んむっ!」
ぽん「どう?」
ぴょん「まだ熟してない」うえー…
ぽん「そう」
ぴょん「次からは自分で確かめて」髪ぴーん
ぽん「これからはそうします」らじゃー
もこ「三人ともー!遅いですわよー!」
なのり「ノリノリなのり」
ぽん「まったく子供なんだから」うきうき
ぴょん「確かパパが、覚えにはパイナリー島のここら辺と言っていたな」
ぽん「ここら辺てどの辺なんだろうね」
ぴょん「まったく役に立たない情報だ」
もこ「なのり隊員!」
なのり「のり!」ぴしっ!
のりぱわー。
それは深海と等しき未知の能力である。
なのり「発見!」
ぽん「すごー」
なのり「こっちです!」
約一分半。
なのり「ここです!」
もこ「こら!崖と海じゃないですか!」
なのり「すぐそこに大真珠があるみたいなのり」
ぽん「お?」
もこ「いらん!」
ぽん「え?」
もこ「一滴の財宝を探すのです!」
そう言われても、のりぱわーさーち、は海洋専門なのである。
もこ「そんな……!」がくっ
なのり「ごめんなさいなのり」のりしおー
ぴょん「いつか必要な時がくるさ」かたぽん
ぽん「SF探知機!」ててーん!
もこ「ただのハンガーじゃないですか!」
ぽん「投げると、お宝のあるところに刺さるんだよ」
もこ「すごいじゃないですか!」
ぽん「それ!」
ハンガー入水。
ぽん「ありゃ、大真珠に反応しちゃった」
もこ「もっと投げなさい!」
ぽん「わかった」三千ぽい
ハンガー入水。
ぴょん「ゴミを海に捨てちゃいけない」
ぽん「ゴミじゃないんですけど」ぷくー
サニー「あの」
ぽん「人魚の、さにー姫だ!やっと会えたー!」
サニー「サニーレタスです」
ぽん「またかー」しくしく
サニー「ゴミを海に捨てないでください」
ぽん「だからゴミじゃないってば!」ぷんぷん!
サニー「では、何をやけくそになってハンガーを海へ?」
ぽん「フルーツバンケットっていうパイナップルを探してるの」
サニー「それなら教えてあげてもいいけど、ワタクシにもひとつ聞きたいことがあるの」
ぽん「なに?」
サニー「ワタクシのお姉さん知らない?」
ぽん「もしかして深海の国で消化された……あ」
サニー「…………」
ぽん「…………」
サニー「…………」
ぽん「…………」
サニー「螺旋水木のてっぺん」
ぽん「ありがとう」
サニー「…………」
ぽん「…………」
サニー「じゃ」
ぽん「うん」
ぴょん「らせんすいぼくって何だろう」
幹に螺旋状の水路がある珍しい大樹のことです。
そこから、雲まで届く大きな木が幾本か見えますでしょうか。
ぴょん「あれか」
ぽん「ナレーションさん、てっぺん見てきて」
はーい。
もこ「どう?」
なるほど。
誰がどんなに探しても見つからないわけです。
もこ「?」
我々がてっぺんだと思っていたところは、実は根っこ。
つまり、てっぺんは地面の中にあります。
ぽん「は?」
螺旋水木は雲から水分を葉に受けると、水路を利用して、水分を地中の実に運んでいるのです。
ぽん「逆さまってこと?」
そういうことです。
ぴょん「摩可不思議だ」
もこ「それで、どうしますの」
ぽん「掘るしかないんじゃない」
もこ「深くない?」
かなり深いです。
それに鉱床があってとても硬いです。
もこ「ジェノスピータン隊員!」
ジェノピー「了解」ずぼおんっ!
ぴょん「抜いてしまった……」
ぽん「すごー!きんぴかだー!」きらきら
誰にも採られることがないので豊作ですね。
ぽん「全部もらっちゃおー!」
それはいけません。
種は長い時をかけて少しずつ実の中を移動すると、最後に地下水道へと落ちて海へ流れます。
それを魚が食べ、鳥が食べ、種はこの島へと戻る。
その自然のルールを破壊するようなことは。
ぽん「ながーい!」
ぽんちゃんに、自然を大事に大切にしてほしいのです。
ぽん「…………」
あなたの未来に、後悔があってほしくないのです。
ぽん「……生きてるんだよね」
とても頑張って。
ぽん「わかった。じゃあ、三つだけもらいます。もこちゃんもそれでいい?」
もこ「うん!賛成!」
ぴょん「オレもだ」
なのり「なのり!」
ぽん「ジェノスピータン改」
ジェノピー「はい」ぷち
もこ「重たー!」ずし
ぽん「きちんと埋めてあげてね」
ジェノピー「任せて」どずん!
もこ「重たっち、持って持って!」
ぴょん「任せろ」よいせ
ぽん「それじゃあ帰りましょう」こいせ
陽が傾く頃。
一行はようやくお帰りです。
ピーニャ「まさか本当に見つけるなんて!」
ぽん「これはあなたさんとこの。こっちはヤッポイさんので、これが僕たちのね」
アンブロシア「どれ。さっそく芯をくりぬいてみるか」すっ
ぽん「それは?」
アンブロシア「この筒を上から突き刺して、グルグルっとして芯だけくりぬくのさ」
ずっぽん!!
ぽん「おー!」
もこ「はやく食べたーい!」おててぱたぱた
アンブロシア「一滴の財宝はこの種周りの実のことらしい。よっ、ほっ、はいどうぞ」
ぽん「芯以外ぜんぶ純金だ!」やんやん!
もこ「食べていい?」ちら
ぽん「いいよ。僕はこの純金もらうから」ぎゅ
ぴょん「オレも構わない」
もこ「じゃあ遠慮なくいただきます」あむ
ぽん「あ、倒れた」
ぴょん「……死んでる!」はっ!
ぽん「!?」
なのり「せえんぱあああい!!」号泣
ぴょん「しっかりしろもこち!」ゆさゆさ!
ぽん「どうしてこんなことに!」がくっ
アンブロシア「それだけうまかったということか」くっ
アナナス「アカシアー!」
ピーニャ「いやー!」
アンブロシア「うおおおおお!これは禁忌だったというのかあ!!」
もこ「っはあー!」がばっ!
アカシア「マジやべー!」しゃきっ!
ぽん「良かった。生き返った」
なのり「せんぱいせんぱいせんぱい!」むぎゅ!
もこ「おち、四年間……」なでなで
ぴょん「四年間?」髪ぴこ
アカシア「俺達は確かに四年間。楽園で楽しく暮らしていた」
アンブロシア「四才児が突然こんなにしっかり喋るなんておかしいから、どうやら嘘ではなさそうだな」
ぽん「どんなだった」わくわく
もこ「美味しいもんがたくさんあった。綺麗な景色のとこやった。でも」
ぽん「でも?」
もこ「最後に火山が噴火して、それがおちらに」
アカシア「マジやべー!」
アンブロシア「お前達は、あの島の過去をアドベンチャーしたのかも知れねえな」
もこ「ああ!景色が似てたかも!」
アカシア「マジやべー!」
ピーニャ「一滴の財宝。こわい……」びくびく
ぽん「無事に生き返ったし、まあいいじゃない」
アンブロシア「お前達、こんなに素晴らしい宝をありがとうな」
ぽん「うん。こちらこそフルーツありがとう」
きゃあー!大波がー!島へにげろー!
もこ「やば……」
ぽん「しっかりピカピカにしないとね」きゅっきゅっ
ぴょん「大きな金の塊だな」
ぽん「あげないよ!」さっ!
ぴょん「本当にお宝が大好きなんだな」
ぽん「でも、ぷちわかっちゃった」
ぴょん「わかっちゃった?」
ぽん「お宝って。大事で大切なもの、それぜんぶのことなんだよね」
ぴょん「ああ。そうだな」
ぽん「僕はこれから、純金とか国宝とかばっかりじゃなくて。もっと大事で大切なものを探したい」
それは、とってもよい考えです。
ぽん「でしょう!」
私にとっての宝物のひとつになりました。
ぽん「良かったね」
はい、喜ばしいことです。
その絶好調で、これからも特別なお宝を見つけてくださいね。
ぽん「よーし!次の国へ向かって、れりごー!」




