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ジュラシックの国

ぽん「しもしもー」


ぼん「ヤバい!すっかり忘れてた!」


ぽん「は?」


ぼん「あのね。あなたさんが産まれる前、僕はあなたさんとの豪華寝台列車の旅を予約したの」


ぽん「産まれる前に?」


ぼん「そう。それでね、それが今日なの。隕石メールが届いてびっくりしました」


ぽん「でもお姉ちゃん、今はバスケがあるから行けないよね」


ぼん「そーなのよー」しくしく


ぽん「仕方ないね」


ぼん「うん。僕は行けないけど、四人で参加できるように隕石メール送っておいたから、あなたさん達だけで行っておいで」


ぽん「わかった。どこに行けばいいの?」


ぼん「ジュラシックの国」


ぽん「おっけー」


ぼん「じゃ、ナレーションさん!映像きちんと送ってね」


やだなあ……。


ぼん「ぽんちゃん、愛してるよ!またね!ちゅー!」


ぽん「さて」ぴっ


この原始ジャングルもっじゃもじゃの島こそジュラシックの国。


もこ「どんな国?」


ぴょん「!」たたっ!


なのり「恐竜さんなのり!」


ぽん「逃げてー!超逃げてー!」


ぴょん「こないで!」たたた!


レックス「待ってくださーい!」ずしずし!


ぴょん「待てませーん!」たたた!


もこ「でかすぎやっち、助けてあげえよ」


ぽん「桃太郎仕込みのきびだんご!」ててーん!


もこ「なんよそれ!オヤツ食べてる場合じゃなっちや!」


ぽん「これを食べたら、満腹幸せになって大人しくなるんだよ」はい


もこ「うまあ……」ほんわか~


ぽん「おーい!恐竜さーん!」


レックス「はあい!」ずしずし!


ぽん「よーし」うでくるくる


なのり「のりぱわー!」


レックス、目に見えない謎の圧力によって地面に叩きつけられる。


ぽん「あれまあ」


レックス「なんなんだよお!」ぽろぽろ


ぽん「びっくりしてウンチしちゃった」


なのり「ごめんなさいなのり」ぺこなのり


レックス「うえへえーん!」号泣


ぽん「ねえ。どうして、ぴょんちゃんを追いかけたの」


レックス「これ」すっ


ぴょん「オレのサングラスじゃないか」


ぽん「落としたのを拾ってくれたんだね」


ぴょん「それなのに、ごめんなさい。ありがとう」


レックス「うん。いいよ」ぐすっ


ぴょん「起きれますか」セタップ


レックス「もう大丈夫。僕はレックス・ビルバーグ、君達を案内するために来たんだ」


ぽん「もしかして、車掌さん?」


レックス「そうだよ」


ぽん「でっかいけど、列車に乗れるの?」


レックス「乗らないよ。引っ張るんだよ」


ぽん「なるほど」


レックス「恐がらせて本当にごめんね。僕はコンプレックスの塊で、よく他人から恐がられたり嫌われたりするんだ」


ぴょん「気にしないで。驚いただけです」


レックス「良かった。じゃあ、さっそく列車に乗ろうか」


それから、レックスさんに案内された洞窟に入ると、それは立派な深緑の列車がありました。


ぽん「かっこいなー!」きらきら


レックス「タイヤは特殊なボールになってて、地形を選ばないのが特徴だよ。もちろん、なるべく揺れないコースを選ぶから安心して」


もこ「他にお客さんは?」


レックス「逃げちゃった」


もこ「ごめんなさい」


レックス「いいよいいよ。ささ、列車に乗って、今日は貸し切り、好きな部屋を選んでね」


なのり「先輩!」


もこ「ひとりがいい」


なのり「…………」うるうる


もこ「もう!今日だけやよ!」


なのり「なのり!」のりのり!


レックス「そうだそうだ。お昼は奥さんが焼いてくれたダイナソーセージパンを食べてね」はい


もこ「あらおいしそう」


ぽん「恐竜さんて器用なんだね」


まもなく発車しまーす。


ぽん「部屋ひろー」ごろごろ


ベッドがふわふわで良いですね。


ぽん「うん!」


ぴょん「ぽん太」ひょこ


ぽん「どうしたの?」


ぴょん「一緒にいていい?」


ぽん「だめ」のんのん


ぴょん「…………」髪へなー


ぽん「冗談だよ。おいで」ぽんぽん


ぴょん「楽しみだな」髪ぴこぴこ


ぽん「ね」


レックス「みなさん聞こえますかー!」


聞こえてますよー。


レックス「それじゃあ出発、ごめんおしっこー」


ぽん「ずこー」


八分後。


ぽん「パンおいしかった」


レックス「血が出てびっくりした」


ぽん「え」


レックス「それでは改めまして、出発進行!」


ぴょん「わっ!動いた!」


もこ「ねえ、おまったち!」ひょこ


ぽん「なに?」


もこ「展望デッキがあるみたいやよ」おいでおいで


ぽん「?」


別の車両の二階に、絶景を見渡せる部屋があるのです。


ぽん「れりごー!」


展望デッキは、全面シースルーになっておりまして、素晴らしい絶景がどの角度からも見渡せます。

また、小さく空いた穴からは新鮮な空気が車内へと届きます。


なのり「森のいい香りなのり」くんくん


ぴょん「この芝生みたいな絨毯も気持ちいい」さわさわ


もこ「あ!見て!」


あの平たい背中、そこに生えるトゲが特徴の恐竜はアンコロサウルスです。


ぽん「尻尾の先にあんこがついてるみたい」


そういうことです。


ぽん「ふーん」


ぴょん「これからどんな恐竜に会えるか楽しみだ」


なのり「なのり!」


それから森を抜けて。


レックス「到着しましたは氷見湖でございます。これからスピードを落としまして、ゆっくりと進みたいと思います。少々冷えますので、風邪をひかないようどうかご注意ください」


もこ「すずしー」ひやー


ぴょん「湖に少し氷が浮いているな」


なのり「あ!恐竜さん恐竜さん!」


ぽん「あれは?」


まず、湖にいるのはブラチラザウルスです。

長い首と、チラッと見える防寒対策のブラジャーが特徴です。


ぽん「変なの」


続きまして、野原にいますパンツをはいているのがステテコザウルス。

あの背中の平たいトゲは毛なんですよ。


もこ「へえ」


レックス「じっくり見てね!」


じっくり見て凍えた後は。


レックス「間もなく、タムロボルケーノ荒野です」


もこ「うわ!向こうの火山が噴火した!」びくっ


ぽん「揺れるね」


ぴょん「迫力あるな」


なのり「なのり」


もこ「なんで平気なん!?危ないやよ!」


レックス「ご安心下さい。あれは世界中へメールを送っているところにございます。放たれた火山岩は宇宙へと飛んだ後、隕石となって地上へ届けられます」


もこ「安心できん」びくびく


レックス「それより恐ろしいのが……あ!」


ラプトル達「こんにちは、コンプレックスさん!」


ぽん「ちっこいのがレックスさんとこにいっぱい来た」


もこ「かわいい?」


可愛いなんてとんでもない!

彼らは獰猛なヤンキー恐竜、チンピラプトルです!


ラプトル達「手短かくね?顔キモくね?てか息くせー!」げらげら


レックス「なんなんだよお!」号泣


ぽん「これは助けなきゃ」


ドスピノ「けつさらせえ!」どすっ!


ぽん「ぎゃー!ラプトルを尻尾で刺したー!」ひっ!


なのり「どんどん刺して……恐いなのり」びくびく


安心してください。

カンチョーですから。


ぽん「そっか」ほっ


なのり「びっくり」ほっ


ラプトル「ひいん!ひいん!」


ぴょん「良かった。逃げていった」


大きな体と綺麗なネイルが特徴の彼は、ドスピノサウルス。

正義感に溢れた恐竜のなかの恐竜です。


ドスピノ「がぶちぃやあ!!」むちばりぃ!!


もこ「ぎゃー!レックスさんの尻尾かみちぎったー!」ひっ!


ぴょん「あれは正義じゃない!」


レックス「いつも助けてくれてありがとう」


ドスピノ「お互い様よ。いつでも助けてやるからな」もぐもぐ


レックス「うん!」


ドスピノ「じゃ、気を付けてな!」もぐもぐ


ぽん「大丈夫なの?」


レックス「すぐ生えるから平気」


ぽん「仲良しさんなんだね」


レックス「へへっ、幼馴染みなんだ」


なのり「びっくりいっぱいなのり」どきどき


もこ「やよ」どきどき


それから、空きっ原や藻っ原で色んな恐竜さんと出会いながら旅は進み。


レックス「続きましてはタベアルキ渓谷でございます。この渓谷が木の実豊かなのは、プテラノドンさんのお尻から落ちる木の実、ヘーデルナッツのおかげです。コーティングされた木の実はよく育つんですよ」


もこ「げえ!これ周り全部!?」


ええ、落ちて生えてです。

そして木の実は、落ちたてが一番美味しいとの評判です。


もこ「はあ!?」


ぽん「うん。落ちたて木の実、美味しかった」


もこ「美味しかった!?食べたん!?」


ぽん「いちいちうるさいってー」


なのり「なのりも食べたことあるなのり」


もこ「うげえー!」


ぴょん「う……うぇ……」


プテラノドン「シースルー開けて」


レックス「オープン!」ぽち


もこ「やあーめえーてえー!!」


プテラノドン「みんな!いくよー!」


ぴょん「いっぱい集まってきた!よせえ!!」


ということで。

オヤツは無臭無菌の美味しい木の実でした。


ぽん「おなかいっぱい」


なのり「なのり」ぺろり


もこ「へ、へへへ!うへへ!」けらけら


ぴょん「正気を取り戻せ!もこち!」ゆさゆさ!


もこ「直接ね、口で受け止めるのがオススメなんよ」にへらー


ぴょん「う……!」たたっ!


ぽん「あーあ。吐いたらもったいないのに」


ぽんちゃんが異常なのです。


ぽん「そっかな」くびかしげ


レックス「さあ間もなく、海に沈む夕日の眺望が美しい、ティタの丘に到着です」


もこ「きれー」うふふ


ぴょん「心が癒される」髪ふにゃー


ぽん「あれなにあれなに」


あの頭についている三本角が特徴的な恐竜は、トリカラチップスです。

まるで鳥の唐揚げのような見た目でしょう。


ぽん「うん。ぷちおいしそうかも」


なのり「あ!赤ちゃんなのり!」


もこ「かわいいー!」きゃっきゃっ!


ぴょん「向こうで、なにか細いのがたくさん走ってる」


あれは、ガリガリチプスです。

まるでフライポテトのような見た目でしょう。


ぽん「うん。ぷち美味しそうかも」


レックス「これからゆっくりと下って、浜辺へと向かいます。夕食までもあと少しでーす」


ぽん「やったね!」く~


もこ「木の実やあよ」ぷるぷる


ぴょん「お願いしますお願いします」ぷるぷる


夕食は原生プランクトンですって。


ぴょん「なんだそれは」びくびく


もこ「ダイナソーセージパンがいい」びくびく


なのり「海に、たこさんいるかなー」


残念ながらいません。


なのり「のりしおー……」しおしお


代わりに、この島より流れ出る特殊な栄養分で育つ珍しい生き物達と出会えます。

その一種が原生プランクトンです。

特殊な栄養分は広範囲に渡る前に溶けてしまうので、海に暮らす恐竜や原生プランクトン達にはここでしか出会えないのです。


ぽん「へえ」


なのり「たこさん……」しおー


ぽん「いつか必ず会えるよ」かたぽん


なのり「うん」


レックス「到着しましたよ。ささ、降りて」


浜辺に降り立つと、ノリシオザウルス達がお出迎え。

小柄な体と長い首と美しいヒレと長い尻尾が特徴です。


なのり「ノリシオザウルス!?」きらきら


ぽん「良かった。元気だしてくれて」


ぴょん「…………」ぽけー


もこ「…………」ぼー


ぽん「二人もはやく元気だして」


もこ「だってや」


ぴょん「オレ達は……あれを食べたんだぞ」


ぽん「うんちじゃないから平気」


もこ「平気やなっち!おしりからでたんよ!」


ぴょん「口に向かって飛んできてぽりぽりごっくんだぞ!」


ぽん「もういいから、はやく忘れなさい。楽しまないともったいないよ」


ぴょん「……そうだな」


もこ「……はあ」


ノリシオ「はやく乗りなー!置いてくよー!」


ぴょん「乗る?」


海に潜って楽しむアクティビティです。

さ、列車から降りたら海へれりごー!


もこ「息できなくて死ぬっちや!」


レックス「用意はあるよ」


ぽん「大丈夫。いつもの空想科学適応灯」ぺかー


もこ「海も平気?」


ぽん「平気」


もこ「いやいやー」


ぽん「平気だって。ね」


ぴょん「うん」


もこ「あれ?そういえば、なのりは?」


先に行きましたよ。


ぽん「あーあ」


心配ご無用。

天日の人は海水に含まれる酸素を肌から直接取り込めるのです。


ぽん「すごー」


ノリシオ「いくよ」かぷ


もこ「服着てっち息できなっち離して!」ぱたぱた


ぽん「平気だってば」


光沢ある珊瑚によって目映き海中。


ぽん「ね。宇宙の時と変わらないでしょう」


もこ「変な感じでムズムズするやよ」


ぽん「慣れるよ」


ぴょん「それにしても、キラキラしてて綺麗な海だな」


ぽん「生き物もたくさんいるね」


もこ「でもあれ、ちょっちきもい」


その半透明の紙テープのようなものこそが、特殊な栄養分です。


ぽん「これカルシウムかな?」


オイシウムというトコロテンです。


ぽん「ぜったいてきとーだ」


まあまあ。


ぽん「あ!あれは!」


パピヨマカロニです。


ぽん「やっぱりマカロニだよね。ちょうちょさんみたいでかわいなー」つんつん


ぴょん「マカロニは生き物だったのか」


この原生プランクトンを参考に、我々のよく知るマカロニは作られました。


もこ「食べれんの?」


ノリシオ「もちろんさ」ぱく


ぽん「あらま。食べちゃった」


ノリシオ「さ、絶品だから君達も食べてみな」


ぽん「あむ」


ぴょん「!?」びくっ!


もこ「さっきからよく食べれるね」じとー


ぽん「トマトソースの味でした。海水と合うよ」


もこ「なんかやだ……」ひくわー


ぴょん「もうやめて……」ないわー


ぽん「あ!なのりちゃん!」


なのり「たこさんいたなのりー!」すいー


もこ「!?」


後ろにいるのは、モサクラゲですね。


ぴょん「恐竜よりおおきい!」


ぽん「大変!ノリシオザウルスさんが捕まってるよ!」


ノリシオ「はまもとお!くそ、どうしてモサクラゲがこんなところに!」


やまさき「はっ、まさかこんな形で親友と別れることになるとはな」


みやざわ「ちきしょおー!はまもとおー!」


ぽん「あれ美味しい?」


みやざわ「猛毒がある!」


やまさき「お前も、はまもとみたいになっちまうぜ」


ぽん「そう」


なのり「ねえねえ!たこさんなのり!」


ぴょん「なのりちゃん。似てるけど、そいつはクラゲだ」


なのり「あぅ……」しおー…


はまもと「な……なのりちゃん」ぴく


ノリシオ「はまもとお!お前生きて……!」


はまもと「はい」ぺっ


なのり「たこさん!たこさん!?」


はまもと「そうだよ」


みやざわ「そのためにはまもとお!お前ってやつはよお!」


やまさき「ふっ、いいやつだ」


はまもと「みんな。悪いけど先に……楽園で……休ま……もらうよ」がくっ


ノリシオ「はまもとおー!」


はまもとは最後に我々に残してくれた。

美味しそうなマグロを。


なのり「…………」


なのりちゃんは列車の窓越しに星空を眺めて、あのひとつがはまもとさんではと思い馳せる。

その思いは川沿いを進む列車よりも速く、はまもとさんのもとへと馳せてゆく。


なのり「…………」


心を軋ませ悲鳴を上げながら……。


ぽん「なのりちゃん。ごはん食べよう」


なのり「会いたいなのり、たこさん」


ぽん「そっちかあ」


そっちね。


もこ「これ、普通の海鮮料理にしか見えんけどや」


ぴょん「もこち。レックスさんの奥さんがせっかく作ってくれたんだ」


もこ「いただきます!」あむ!


あ、今食べたのはパピヨマカロニですよ。


もこ「ぶふぅん!」


ぴょん「もこちー……!」髪ぴーん!


もこ「ごめんなさい……」ティッシュでくるん


ぽん「サラダにぴったりで、こんなに美味しいのに」もむもむ


もこ「そやけどもね」あむ


ぴょん「あ!」


ぽん「おお!ぷちたこさんだ!」


どうやらそのたこさんは、マグロの口に入っていたようです。


なのり「食べていいなのり?」きょろきょろ


ぽん「あーん」


なのり「あむ!」


ぴょん「どう?初めてのたこさん」


ぽん「唐揚げだけどね」


なのり「んふふー!おいしい!」にこ!


もこ「良かったね。たこさん食べられて」なでなで


なのり「今日はみんなとノリノリで、たこさんも食べられて、とっーても幸せなのり!」のりのり!


ぴょん「うん。いい思い出になった」


ということで。

めでたしめでたし。


もこ「……へっ」


かな?

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