チャンバラの国
ぽん「あ」ぽち
ぽんちゃんが、うっかり空想科学光線を放ってしまった、泥沼目前の国はチャンバラの国。
もこ「街が真っ黒焦げに……」
あれは焼杉です。
ぴょん「確かに焼きすぎだ」セタップ
焼杉というのは伝統技法のことです。
湿気対策等、木材を丈夫にする為に、あえて表面を焦がしているのです。
ぽん「へえ」
空想科学光線にも見事耐えました。
ぽん「やるじゃん」
なにやつー!おぬしー!またれよー!
ぽん「到着」のびー
しかし、ソニックブームには負けました。
ぽん「あらまあ」
サムライ「おはよう!」
もこ「いたっ!」すぱん!
ぽん「もこちゃんが知らない人に斬られた!」びっくり!
ぴょん「なんてひどいことをするんだ!」
今のは辻斬り。
この国の挨拶です。
もこ「たっ!やめてっ!」すぱぱぱ!
ぽん「めっちゃ斬られてる」すぱん!
ぴょん「大歓迎というわけか」すぱぱん!
もこ「なんで、おまったちは平気なん!」すぱぱぱぱ!
ぽん「空想科学服着てるから」よけっ
もこ「やめてよお!!」号泣
ぽん「めった斬りってやつだ」よけっ
ぴょん「かわいそうに。でも、挨拶だから仕方ない」よけっ
もこ「避けるのずっちいやよ!」すぱん!
ぽん「もこちゃんも避けたらいいじゃない」すぱぱん!
もこ「避けれんの!」すぱぱぱぱすぱぱぱぱぱぱぱぱ!
ぴょん「そろそろ守ってあげよう」すぱん!
もこ「もう!」かくれ
青鬼「拙者にも任されよ」
もこ「おっにっ!!」びくっ!
ぴょん「本物をはじめてみた」
ぽん「パンツ一枚だ」
赤鬼「青鬼よ」
青鬼「む、なんだ赤鬼」
赤鬼「今日こそ、この刃で決着をつけようではないか」
青鬼「それがこの国の掟。さすれば答えは一つ」
ぽん「今さらだけど、この刀スポンジなんだね」ふにふに
この国ではほとんどの事を、そのスポンジの模擬刀を用いて解決します。
国民たちは鍔迫り合い鎬を削り、血気盛んに生活しているのです。
ぽん「へえ」
ちなみに、世界ではスポーツチャンバラという形で広まっていますよ。
ぽん「そう」
赤鬼「うおおおおお!」ぶん!
青鬼「当たらぬわ!」よけっ!
もこ「危ないからやめっち!」
ぽん「なにでケンカしてるの」
赤鬼「血液型」
ぽん「ええ……」
青鬼「拙者は氷属性。さすればクールであるべきと申すのだ」
ぴょん「それ血液型なのか?」
この国ではそうです。
赤鬼「拙者は闇属性。さすれば性格が悪いはずと申すのだ」
ぽん「二人とも、こだわりすぎじゃない」
赤鬼「血液型で、世の女子の態度が変わるのだぞ」
青鬼「なあなあでは済まされぬことよ」
ぽん「気にしすぎだと思うけど」
青鬼「お主の血液型は?」
もこ「おち?おちは、ハッピータイプ」
赤鬼「お主は?」
ぴょん「大器晩成の型」
黄鬼「お主は?」
なのり「しょうゆ味」
ぽん「血液型って、国でそれぞれ違うんだね」
ぴょん「驚いたよ」
赤鬼「お主は?」
ぽん「僕は長くて覚えてない。ナレーションさん、わかる?」
対災厄神聖特化兼因果系列総除外空想参型。
ぽん「それだ」
もこ「はあ?」じとー
青鬼「わけわからぬわあ!」一閃!
赤鬼「いでえ!!」
ぽん「青鬼さんがクールじゃないのはわかった」
赤鬼「やかましきことこの上ないことよ」
青鬼「スキありの氷牙破傷斬!」
赤鬼「なんのその閻魔の鏡盾!」
ぽん「なんかすごい戦いが始まった」
ぴょん「人も集まってきた」
もこ「迷惑やっち止めた方が……」あわあわ
ぽん「空想星雲斬!」ずばっしゅ!
ぽんちゃん、マジの光刃で二人を分かつ。
青鬼「危ないではないか!」
赤鬼「何をする!」
ぽん「つまらないことでケンカしないの!」めっ!
青鬼「子供に言われておるぞ」
赤鬼「お主こそ」
ぴょん「!」ぴくっ
青鬼「いでえ!!」ずぱぱあん!
赤鬼「よくわからぬがやった!」
ぴょん「誰だ!不意討ちとは卑怯だぞ!」
仕置き人「私は。争いを好む心を成敗する必殺仕置き人である」
ぽん「空想星雲斬!」ずばっしゅ!
仕置き人「いでえ!!」ずべしゃあ!
ぴょん「ぽん太」かたぽん
ぽん「ぽんちゃんです。だって、この人悪いことしたから」
仕置き人「いい腕だ。お前に、二代目、仕置き人の名とスポンジロールケーキをやろう」ぴくぴく
ぽん「スポンジロールケーキだけもらいます」
もこ「ちょっちやばない」とんとん
ぴょん「オレが止める」
仕置き人「私の代わりに、悪しき心を仕置きしてくれ」
ぽん「うーん。それがいいことなら」
と、その時であった。
ここ最近、巷で話題の忍者集団が、街のあちらこちらで次々と主婦たちの話題を切り捨てはじめた。
忍者「!」ばっ!
そこへおもむろに現れたるは、誰が望んだか、ぽんちゃんである。
忍者「なにやつ」
ぽん「二代目仕置き人、ぽんちゃんです」
クノイチ「ぽんちゃん……あの悪魔よ!」
忍者「かつてダジャレの国を綻ばせたあの悪魔が仕置き人……まさかさようなことが」
クノイチ「極まれりよ。それにしても、ここに現れるなんて」
ぽんちゃん、万の忍者集団に囲まれる。
いざ、スポンジロールケーキを構え、あいざ、いざいざ臨戦態勢。
ぽん「かかってきなさい!」
それを合図に、ぽんちゃんへと雨霰の如く飛びかかる忍者集団。
あいやしかし、降り下ろされたるその刃を一身に受けて立つは、竹輪と竹輪麩を握りしめたぴょんちゃんであった。
ぽん「ぴょんちゃん!」
ぴょん「聞け!この国ではチャンバラで決着をつけることがルールというのは知っている!それでも、あまりに乱暴ではないか!」
忍者「我々とて外道ではない。尻を叩いて顔叩かずだ」
ぴょん「……それなら」
もこ「いいん!?それでいいん!?」
ぴょん「だって」
クノイチ「貴様は二代目仕置き人の連れか」
ぴょん「そうだ」
クノイチ「なら、敵とみなしてよいな」
ぴょん「待て。オレは出来れば敵をつくりたくな」
ずばっしゅ!
ぴょん「ぽん……太?」とてん
ぽん「切り捨てごめん。僕は主婦の味方だから」
そう語る、ぽんちゃんのしょぼしょぼおめめの先では、美味しそうなオヤツがサイリウムよろしくたくさん振られていた。
もこ「オヤツに釣られて裏切るなんてひどっちや!」
ぽん「見てよ!あの主婦の怒り!」
もこ「スポンジをブチブチむしってる……!」びくびく
ぽん「どうして主婦の話題を切ったの!答えなさい!」
忍者「血液型について語っていたからだ」
ぽん「しつこい!」ずばっしゅ!
クノイチ「今朝の血液型占いで一位の頭がやられた!」
ぽん「ただの気休め!」ずばっしゅ!
下忍「おのれい!血液型でわかる性格本によれば秀才が多いとされる風属性の俺が仇を討つ!」
ぽん「ぜったいてけとー!」ずばっしゅ!
中忍「血液型お見合いで成功した私は、血液型による相性を心得ている」
ぽん「だからなに!」ずばっしゅ!
上忍「意外にも光属性が忍者に多いと聞いて忍者になったら上忍になれました!」
ぽん「よかったね!」ずばっしゅ!
忍犬「わん!」
ぽん「うるさい!」ずばっしゅ!
ぽんちゃんは血液型にまつわる話題を次々と切り捨てた。
そうして気がつくと。
街には忍者だけでなく、目には見えぬが真にお尻を夕日と劣らぬ色へ染めた人々が、まるで落ち葉のように散らかっていた。
ぽん「ふう……」
戦い終え一人寂しく佇む、背中悲し気ぽんちゃん。
たい焼きの袋をしっかりとゴミ箱にくしゃぽいすると、しょぼしょぼおめめに儚い空を映すのであった。
ぽん「さらば血液型」
ぴょん「こら」しりぱん
ぽん「なにするの!」おこだよ!
ぴょん「今日という今日という今日という今日は許さん!ぴょんぴょんくらっしゅ!」ずばっ!
ぽん「なんの!ちょこっと霞斬り!」ずばっしゅ!
こうして新たに始まった闘いを。
もこ「ったくもー……」やれやれ
もこちゃんは、ちょっち羨ましそうに見つめるのでした。




