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エコの国

ぽん「もこちゃん」


もこ「ん?」


ぽん「アイドルやめたの?」


もこ「どういう意味よ」じとー


ぽん「だって、今日も僕とゲームしてるし」


もこ「お仕事はしばらく休み。おまったちと一緒に旅してできんち」


ぽん「そっか」


もこ「ホールインワン!?」


ぽん「やった!」


もこ「くやっち!くやっち!」おててぱたぱた


ぽん「もー、すぐそれなんだから」


もこ「おちもホールインワンしたい!」


ぽん「オンリーワンだからいいじゃない」


もこ「はあ?」


ぽん「もこちゃんはオンリーワンのアイドルなんでしょう。テレビで言ってたじゃない」


もこ「それとこれとは別」


ぽん「よくばりさん」


もこ「はあ!?」


ぴょん「変な形の山がたくさん見える」髪ぴょこ


あの縦長の山々があるところは、エコの国です。

国民のエコーで山が削れて、あのような形になりました。


ぴょん「大変だ。ソニックブームでどんどん削れてる」


わたしのー!おはかのまえでー!なかないでー!


ぽん「どうして降りたの?」


ぴょん「一度止まってから、ゆっくり発進したらどうかと思って」セタップ


ぽん「そう」


もこ「変なのがこっちに来るよ」


あれは土偶。ここの国民です。


みどり「こんにちは」


ぽん「がおっしゅ!」がおー


ぴょん「がおー……こんにちは」


みどり「私は、いいとこよりどりみどり、三十八歳です!」


ぽん「いいとこよりどりみどり、九才です!」


みどり「あなたの名前も、みどり、て言うのね」


ぽん「ぽんちゃんです」


みどり「あら、そう。エコーしたのね」


ぽん「は?」


ターザン「あーああー!」ぁーぁぁー!


もこ「うっさ!」みみふさぎ


みどり「ここのみんなは、エコーが好き……だ……え?」


もこ「?」


みどり「もしかして……やあだ……もしかしなくても、もこちゃんよね」


もこ「アイマイ・もこです。はじめまして」ぺこ


みどり「もこちゃんきたよー!」


その声は山を六つほど崩して国中へエコーし、もこちゃんの耳へと集まった。


もこ「あーうっさい!」きーん


どどどどど……!


もこ「!?」


どどどどどという足音は山を八つほど崩して、国民群衆が荒波のようにもこちゃんの元へと集まった。


もこ「なんよなんよ!」びくびく


閣下「我輩はデーモン土塊閣下。この国の代表である」ずいっ


もこ「こんにちは」ぷるぷる


ぽん「あの土偶こわくない?」ひそ


ぴょん「悪魔みたいだな」ひそ


閣下「土偶にしてやろうかあ!!」


ぽんぴょん「ごめんなさい!」ひっ!


閣下「冗談である」かっかっ


ぽん「あーよかった」ほっ


閣下「さて、もこ殿」


もこ「はい」


閣下「我輩達は、もこ殿のファンである。崇め奉るほどの対象とするほど心より愛している」


もこ「ありがとうございます」ぺこ


国民達の同意の声が山を十二ほど崩して、憧れと敬愛の眼差しがもこちゃんの瞳へと集まった。


もこ「まぶしい……!」


ぴょん「サングラス貸すよ」


もこ「ありがとう」セタップ


閣下「ということでだ。このところ我輩達は、この国を、もこの国と一新することを相談している」


もこ「え?」


閣下「ほとんどの国民が賛同してくれた。そこで、もこ殿から直々の許しがほしい」


もこ「えっと、急に言われましても……」


ぽん「いいじゃない!もこの国だよ!」


ぴょん「……!」こくこく


もこ「でもや……恥ずかしいっちや……」もじもじ


閣下「我輩達は、もこ殿を全力で応援、サポートして、いつかここを第二の故郷にしたいと考えている」


もこ「第二の故郷」


ぽん「いいなー」


閣下「勝手かな?」


もこ「ううん。ありがたいです」


閣下「では、よろしいか」


もこ「お願いします」ぺこ


その一言からエコーした歓喜の声は山を五十七ほど崩し、残されたその地で国民が総力を奮って、翌朝には特製ライブ会場が焼き上がった。


ぽん「ファンの力ってすごいね」


もこ「すごすぎやよ」


ぴょん「ライブ、頑張って」セタップ


もこ「うん」


それから時刻は午後六時。

午前中に急ピッチで行われたリハーサルを終え、もこちゃんは少々お疲れの様子。


ぽん「はい。パインジュース」


もこ「ありがとー!」むぎゅー!


ぴょん「……了解した。よし、これで準備万端だ」


ぽん「ぴょんちゃんも、ずっと動いてお疲れ様だね」


ぴょん「これくらい当然のことさ」


もこ「おまたんはなんしてたん」


ぽん「僕はジェノスピータン改と一緒に、崩れた山を整えて、新しい町作りをしていました」


もこ「へえ」


ぽん「これ、空から撮った写真」


もこ「ものすごい都会になってる!」びっくり!


ぽん「焼き物だけどね」


ぴょん「ここの土偶さん達、団結力があって、ほんとパワフルだ」


ぽん「これで、もこの国はぷち出来上がりかな。あとはもこちゃんがお祝いの歌をうたって完成!」


みどり「大変よ!」どたどた!


ぽん「どうしたの?」


みどり「ファンの一人が暴れだしたの!」


ぴょん「さっきから騒がしいのは、ただのエコーじゃなかったのか」


ぽん「ぴょんちゃん!いくよ!」


ぴょん「ああ。もこちはここで待っていろ」


特設ステージ。

その周囲は、てんやわんやの大騒ぎです。


ぽん「どこの誰だー!」


ぴょん「でてこい!」


閣下「ぐぅ……」くたー


ぽん「閣下さん!大丈夫ですか!」たたっ!


閣下「我輩より、もこ殿を」


ぴょん「まさか!」


閣下「ああ。奴は楽屋へ向かったのである」


ぴょん「きっと、さっきすれ違った土偶っぽいポーズした人だ」


ぽん「僕は土偶さん達をエスエフボンドで直すから、もこちゃんをお願い」


ぴょん「よし。ここは任せた!」たたっ!


楽屋へとんぼ返り。

そこにいたのは……!


ぴょん「みどりさん!君が!」


みどり「そう。私が熱烈なファンよ」


ぴょん「それは……もこちグッズ!」


みどり「この全てに、愛するみどりへ、とサインをさせるのよ」


ぴょん「ズルい人だ……!」


みどり「さあ、書きなさい」


ぴょん「もこち!だめだ!」


もこ「…………」かきかき


ぴょん「もこてぃー!」


もこ「うっさい!うっさい!」


ぴょん「どうして、ひどいことをする土偶さんにサインを!」


もこ「それでもファンやから」かきかき


ぴょん「この土偶さんは、たくさんの土偶さんにヒビを入れたんだぞ!」


みどり「とんでもない奇声をあげてやりましたよ」ふふっ


ぴょん「それにだ。今、この土偶さんを許したら、これからも繰り返し酷いことをするだろう」


もこ「許しはせんよ。おち、これでも怒ってっちや」


みどり「そうなの?」


もこ「おまたん、自分勝手すぎやよ」


みどり「そうなの?」


もこ「誰かに意地悪して、自分だけ幸せになろうなんて絶対に許せない」ぷんぷくー


みどり「そうなの?」


もこ「なんで?なんでひどいことしたん?」


みどり「そうなの?」


ぴょん「だめだ。人の話をまったく聞いていない」


もこ「ねえ。ぴょんち」


ぴょん「なんだ」


もこ「もしかして、おちが悪いん?」


ぴょん「君は何も悪くない。たまたま、ひどい土偶さんと出会っただけさ」


もこ「そう……」


ぴょん「ぴょんぴょんぱんち!」しゅばっ!


みどり「ぎえええええ!」ぱりぃん!


もこ「割れた!ぴょんち、なんてことすっちや!」


ぴょん「よく見ろ」


みどり「いやなことぶつくさみどり、四十八歳です」ずーん


もこ「十歳もサバ読んでた……!」


ぴょん「驚くところはそこじゃない」


もこ「中からおばさんが……!」


みどり「はあ……なんかダルー」


ぴょん「彼女は妄獣、というより妄偶だったんだ」


もこ「じゃ、妄想のせいで」


ぴょん「そういうことだ」


もこ「みどりさん」


みどり「あ、もこちゃん」


もこ「サイン、書けました」はい


みどり「あー……もういいや」ぽい


ぴょん「みどりさん!」


みどり「ごめんね、迷惑かけて。いやさ、わかってたのよ私。迷惑だってことくらい」


もこ「じゃあ、どうしてひどいことばっかりすんの?」うるうる


みどり「もこちゃんに好かれたかったけど、どうせ好きになってくれるわけないしどうでもいいやってなってね」


もこ「おちのこと嫌い?」うるうる


みどり「今は嫌い」


もこ「!」がーん!


ぴょん「みどりさん!君という人は!」


みどり「じゃ……」すたすた


もこ「うぅ……」ぽろぽろ


ぴょん「よしよし」なでなで


もこ「なんで?好きやっちなんで?」ぐすっ


ぴょん「好き。もしかしたら、その気持ちと上手に付き合えない人なんじゃないかな」


もこ「どゆこと?」ぐしぐし


ぴょん「世の中には、自分の気持ちと、どう上手に付き合えばいいか分からない人がいるんだ」


もこ「そうなん……」


ぴょん「そういう人は誰かに迷惑をかけてしまうこともある」


もこ「…………」


ぴょん「気にしないことだ。運が悪かったと思えばいい」


もこ「やだ」


ぴょん「え?」


もこ「そんなん思いたくない!」


ぴょん「もこち」


もこ「おちは運が悪いと思いたくない。おちのこと好きって言ってくれるファンやっち。でも、ひどいことする人は嫌いで……あーもう!」


ぴょん「…………」


もこ「わかんない!わかんない!」おててぱたぱた


ぴょん「わからないよ。オレも、人の気持ちなんて」


ようやく落ち着いたところで、ライブはしんみりと始まりました。


もこ「色々ありましたけど、おちはみんなの為に歌うよ。みどりさんの為にも歌うよ」


ぴょん「どうして……」


もこ「おちのことが好きなら優しくなりなさーい!そしたら、みんなに愛のお返しあげっちやー!」


みどり「愛のお返し……」こそ


もこ「おちはみんなと手を繋ぐアイドル。手を繋いで、優しさも繋ぎたい」


ぽん「それが、もこちゃんの魔法だね」んしょ


もこ「ちょっち」


ぽん「意地悪よりも優しいが大事で大切」すたすた


もこ「ステージに上がらんでって、昨日から何回も言ったよね」じとー


ぽん「いつでも、僕に手伝えることがあれば何でも手伝うよ!」


ぴょん「オレも。もこちみたいに、思いやりのある人になりたいから」ぴょん


もこ「降りて」じとー


土偶ぽい人「私達が、もこちゃんの想いを世界中にエコーにする。みんなが悲しい思いをしないよう一緒に頑張ろう」よいせ


もこ「誰よ」


みどり「私も、もう一度」すっ


もこ「みどりさんまで」


みどり「好きって気持ちは自分のためじゃない。誰かのためにあることが大事なのよね。だって、気持ちのエコーは一人じゃ返ってこないから」


閣下「よく気付いた。そのことに免じて、今回の騒動については許してやろう」かっかっ


みどり「ありがとうございます。それとこの身で申し訳ないのですが、どうかお願いがひとつ」


閣下「なんだ」


みどり「私を土偶にしてください」


ぽん「えーーー!」びっくり


ぴょん「えー」髪へなー


もこ「はあ?」じとー


閣下「いいだろう。ドグウレーザー!」バリバリバリッシュ!


閣下の両目から放たれた禍々しいレーザーがみどりさんに直撃すると、あら不思議、みどりさんは土偶になりました。


ぽん「こわ……」びくびく


ぴょん「ふぇ……」びくびく


もこ「それで良かったん?」


みどり「うん。これからは本当の、いいとこよりどりみどりを目指します!」


もこ「そ。じゃあみんな降りて」しっしっ


なのり「もこ先輩の夜ふかしライブ!はっじまりなのりー!」のりのりいぇー!


それから、十三年後。


みどり「あの時に、好きという気持ち、それと改めて向き合えたのは彼女の本当の愛を知ったから」


閣下「あれから気持ちをエコーすることで、優しさを繋ぐことで、世界はいくらか変わった」


みどり「でも今も、お行儀悪いファンがたまにいるわ。そういう時こそ、優しく気持ちを伝えてあげることが大事なのよね」


閣下「その通りである」


みどり「そうしてエコーした気持ちは、いつかこんな形になることも」


もこ「どぐー!どぐー!」おててぱたぱた


閣下「もこ殿と同じように、思いやれる子に育ってくれ。じゃないと、土偶にしてやるぞお!!」


もこ「びえー!」号泣


みどり「もう、パパったら。はじめから土偶じゃない」ためいき


閣下「かっかっかっ!」


十三年前。


もこ「昨日、ライブ中に寝たこと許さんち」


ぽん「優しさは?」


もこ「おまたんにはない」ぷい


ぽん「ひどー」


もこ「次はどんな国に行く?」


ぽん「てきとー!」


そこにー!わたしはー!いませーん!


もこ「せっかく作った……もこの国が……」


ぽん「昨日のライブでほとんど壊れたじゃない」


ぴょん「大丈夫。もっと素敵に焼き上がるさ」かたぽん

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