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結びの国

ぽん「そろそろお昼だね」


ぴょん「ああ」セタップ


ぽん「お料理係りのもこちゃん寝ちゃった」


ぴょん「昨日は夜遅くまで頑張っていたから仕方ない」


ぽん「何を?」


ぴょん「この迷路」すっ


ぽん「僕が寝てる間にそんなことしてたんだ」


ぴょん「昨日のぽん太は寝るのが早かったな」


ぽん「ぽんちゃんです」


ぴょん「いつも夜ふかししたがるのに」


ぽん「ぴょんちゃんが、お米農家さんのふっくらした熱意をモチモチ語るからだよ」


ぴょん「ネチネチと言いたいのか」髪ぴーん


ぽん「ゴール!」


ぴょん「もう?」


ぽん「この迷路ぷち簡単なんですけど」


ぴょん「それは一ページ目だからだろう」


ぽん「もこちゃんてば、どんだけ迷ったの。そんなに迷うなら諦めたらいいのに」


ぴょん「途中で泣きそうになったから止めたんだけど、頑張るって言ってきかなくて」


何であれ、諦めずに頑張ることはいいことです。


ぽん「じゃあ、お昼寝がんばる!」


それは頑張らなくて結構。

おや、ちょうどいい。


ぽん「何が?」


結びの国が近くにあります。

そこで、自分にできることを頑張ってみなさい。


ぽん「えー」


お姉ちゃんとは違う、自分らしいぽんちゃんになるんでしょう。


ぽん「そだけども」


ぎょえー!しぇー!あぴょーん!


もこ「ん……」ねむねむ


山間にある、のどかな田園風景が広がる小国。

結びの国に到着です。


ぽん「むりやりー」ぷんぷくー


私だけじゃなく、たくさんの人達が応援しています。

だから頑張れ!


ぽん「ぷち頑張っちゃうぞ!」


もこ「何を?くぁ……ねむ」くしくし


ぽん「僕にできることを探すの」


もこ「そう。がんばりい」かたぽん


ぽん「ん?」


もこ「なんよこれ!」びくっ!


その胸から伸びる糸は心の糸、縁です。


ぽん「ふーん」ぐいぐい


もこ「いたた!引っ張らんで!」


無理矢理、人の心をひくことは良くないことですよ。


ぽん「うっとおしいし切る」


ぴょん「心の糸。これもエナジーなら、ハサミで切ったりはできないだろうな」


その通り。

というか、そもそも切ってはいけません。


ぽん「えんがちょ!」ずぱっ!


切ってはいけないと言ったのに……。


ぽん「あ、間違えて切っちゃった」


もこ「誰よ。おまたん」


ぴょん「そちらこそ」


あーあ。やっちゃった。しーらない。


もこ「おまたん、なんしたっちや」


ぽん「もこちゃんとぴょんちゃんの心を繋いでた糸を切っちゃった」


ぴょん「もこちゃん。その子は、ぽん太の友達なのか」


ぽん「うん。ぴょんちゃんもだよ」


もこ「おち、知らんよ」


ぴょん「オレも知らない。どういうことだ」


ぽん「あちゃー。ぷちめんどくさいことになっちゃった」


かんた「おっす、オラかんた。おめえたちどうした?」


ぽん「あのね、この二人を繋ぐ糸を切っちゃったの。だから直してください」


かんた「そらやっちまったなあ。もうどうしようもねえ。ショックで記憶も飛んじまったこったろう」


ぽん「え」


かんた「人を結ぶ縁ってなあ、切ることは簡単でも、結ぶことはめっぽう難しいもんだ」


ぽん「そんな。じゃあどうしよう……」


かんた「どうしようもねえって言ってんだろう」


ぽん「こんなことになるなんて」ぐすっ


しっかり反省しましたか。


ぽん「反省しました。だから、どうにかできるなら教えて」


わかりました。

ではここは、おばあちゃんの知恵を借りましょう。


ぽん「おばあちゃんのチエ。誰さん?」


人の名前じゃありません。

知恵、それはどうにかする考えです。


婆「かあんたあああ!!」どどど!


ぽん「めっちゃ元気なおばあちゃんだ」


かんた「なんだよ」ふん


婆「おめえ、手伝いサボってほっつき歩いて、外から来た女子にまでちょっかいだしていけねえ!」


かんた「オラそんなことしてねえ!」


婆「すまねえだ。うちのかんた、根っからの悪がきで本当にすまねえだ。どうか許してやってくれ」


ぽん「ちょっかいだされてないです」


婆「そうかえ。そらよがった」ほっ


ぽん「あの。知恵を貸してくれませんか」


婆「知恵?どした、何があった」


かんた「縁を切っちまっただとよ」


婆「ありゃえあー……そらまあなんと」


ぽん「ごめんなさい……」


婆「切ったのはそこの二人か?」


ぽん「うん」


婆「そしたら、この婆にではなく。まずは二人にきちんと謝んな」


ぽん「二人ともごめんなさい」ぺこ


もこ「さっきから、どーもこーも、よー分からん」


ぴょん「オレともこちゃんは友達で、その縁を切ったということか」


ぽん「そうです」しゅん…


ぴょん「なら、もこちゃん。また仲良くしよう」


もこ「なんかやだっち」ふい


ぽん「えーなんでー」


二人は友であり、寂しいことに敵でもありますからね。

ちょっとした因縁のようなものが二人にはあったのです。


かんた「それも切っちまっただ、ええことでねえか」


婆「かあんたあああ!!」かあんたあああ!!


かんた「うっせえなババア!えんがちょすっぞ!」


婆「この状況でよくそげなこと」


かんた「あ……すまねえ」ぺこ


ぽん「うん」


婆「顔上げえな。なんどかなる」


ぽん「ほんと?」


婆「ほんとほんと」にこにこ


ぽん「どうしたらいいですか!」


婆「ちょうど、お結びの会が始まるけえ、そこで縁を結び直そう」


ぽん「お結びの会?」


それは、外からやってきた人達を厚くもてなし、楽しく交流して、人と人の縁を結ぶ行事です。


ぽん「うわ!田舎なのににぎやか!」


かんた「都会は疲れるんだと」


ぽん「ふーん」


かんた「ま、言っても都会も田舎も関係ねえ。最近はどこも結ぼれる人が多いって話だ」


ぽん「むすぼれる?」


かんた「ぴょん、て言ったか。あの子よーく見てみ」


ぽん「?」くびかしげ


かんた「胸にある毛玉に、先が玉みたいにこんがらがってる糸が多くあんのが見えるだろう。あれが結ぼれだ」


ぽん「あれ、ヤバイの?」


かんた「まず、心が疲れとるのは間違いねえ」


ぽん「そうなんだ」


かんた「ヤバイのは……」


ぽん「ヤバイのは?」


かんた「結ぼれたせいで、人と縁を結べなくなることだ」


ぽん「ぴょんちゃん。どうして……」


かんた「よっぽどのことがあったんだな。そっとしてやれ」


ぽん「うん」


婆「かあんたあああ!!」ぬっ


かんた「いちいちうるせえぞババア!」


婆「手伝え」


かんた「わかってる」


婆「おめえさんは、二人のことをしっかりな。はっきりと自分の気持ちを伝えてやれ」


ぽん「はい!」


用意された長テーブルに着席して、いざ縁会の始まりです。

ぽんちゃんは二人の間に座って。


ぽん「とん汁うま」ずず…


とん汁を一口……こら。


ぽん「わかってるよ!お腹空いてたの!」


ぴょん「おむすびどうぞ」すっ


もこ「目の前にある」


ぴょん「そうだよな」


ぽん「味が違うんだよ。ほら、ぴょんちゃんの前にあるのはオカカで、もこちゃんの前にあるのがオカカ……カカオ?」


もこ「なんでカカオ?」


ぽん「意外と美味しいんじゃない」


ぴょん「一つ取ってくれ」


もこ「はい」すっ


ぴょん「いただきます」あむ


ぽん「どう?」


ぴょん「うーん……」


もこ「アホやよ」じとー


ぴょん「食べてみて」すっ


もこ「いい」


ぴょん「ほら」


もこ「いいって!そもそも、おちにはやらないけないことが……」


ぴょん「?」


もこ「おまたん、前におちになんかした?」


ぴょん「したのか?」


ぽん「知らない。でも、二人は仲良しさんだよ。昨日の夜は二人で迷路やってたし」


もこ「迷路……あ!」


ぴょん「そんな記憶が……少し」


ぽん「お?」


もこ「ちょっち悲しい気持ち。もしかしておまたん、おちに意地悪したんやない」じとー


ぴょん「まさか……したのか?」


ぽん「してないと思うけど」


ぴょん「思うけど?」


ぽん「僕は寝てたからわかんない」


もこ「そう」じとー


ぴょん「…………」


ぽん「ナレーションさん。意地悪してないよね」


もちろん。

とっても仲良く迷路を楽しんでましたよ。


ぽん「ほら!」


もこ「でもや。それだけのことで」


ぽん「どうして信じられないの!」


ぴょん「わかる。人を信じることは難しい」


もこ「自分で言うんや」


ぴょん「それでも信じてほしい」


もこ「んー……」


ぽん「どうして悩むの。信じようよ」


もこ「信じる。でも、気になるのはそこやなっち」


ぽん「どこ?」


もこ「なんで敵と仲良く……なんで敵?」


ぽん「こっちが聞きたい」


ぴょん「オレはそんなこと思わない」


もこ「記憶がないから、そう言えっちや」


ぴょん「そうなのか……」


ぽん「こんな時、なんやかんやがあったら……!」ぐぬぬ!


なんやかんやで解決していいんですね。


ぽん「いいくない!」しゃきっ!


では、周りを見てごらん。


ぽん「みんな、おむすび食べながら楽しそうに話してる」


ご飯は笑顔の栄養。

なんでしょ?


ぽん「そうだった!」


ぴょん「もこちゃん。食べてみて」


もこ「やだっち」


ぽん「えい!」ずばっしゅ!


もこ「んぐっ!」


ぽん「どう?」


もこ「びみょー」もむもむ


ぴょん「だろう」


もこ「なんでこんなの用意したっちや」


ぽん「面白いからいいんじゃない」くすくす


もこ「おまたんだけ食べてないやよ」


ぽん「気にしないで」真顔


ぴょん「どうぞ」


ぽん「ぷちお断りします」のんのん


なのり「えいなのり」ずばっしゅ!


ぽん「うま」もむもむ


もこ「はあ?」


ぴょん「名前がチョコラティエだし、カカオと相性がいいんだろう」


もこ「いやいや。納得できん」


婆「めえいちゅあああん!!」ぬっ!


ぽん「ぽんちゃんです」みみふさぎ


婆「どうだ?」ひそ


ぽん「だめだめー」ぶぶー


婆「おむすびがいけないなら……カラオケやるか!おめえたち、初めに歌ってけれ!」


ぴょん「え、オレ?」


ぽん「もこちゃんとデュエットだね」


もこ「やだっち!」ふい


ぽん「アイドルでしょう!今まで誰も話しかけてこなかったけど、ここにくらいファンはいると思うよ!」


もこ「はあ!?なんよその意地悪な言い方!」


かんた「実はオラ、ファンです」へへっ


婆「それでおめえ」


かんた「ちっ、うっせえな」


ぴょん「もこちゃん。オレ、歌は得意じゃないけど頑張るよ」


もこ「そう」かきかき


かんた「サインだけじゃなく、歌もくれねえか」


もこ「はあ……仕方なっちや」


かんた「嫌ならでえじょうぶだ。なのりちゃんに頼むからさ」


なのり「サインかけたなのり」はい


かんた「歌も頼むぞ」


なのり「まかせてなのり!」


もこ「うたう!うたう!」おててぱたぱた


ぽん「じゃあ、二人で前へどうぞ」


ぴょん「行こう」手を繋いで


もこ「うん」


おじさん「もこちゃんだ!」


おばさん「テレビで見たことあるわ」


姉さん「かわいいねえ」


あんちゃん「君もね」ウィンク!


姉さん「都会に帰ってください」


おっさん「黙ってろ若いの!」


おやっさん「男なら心で語れ!」


ぴょん「ケンカはよしてください。オレ達、仲良く歌いますから、みんなも仲良くしましょう」


あんちゃん「ありがとう!好き!」


もこ「それじゃあ、いつものいくっちや!アーイ!」


観客「マーイ!」


みんなで「もこー!」


もこ「ありがとー!」おててふりふり


ぴょん「なに歌おうか」


もこ「なに歌える?」


ぽん「良かった。仲良くしてくれて」ほっ


なのり「いいなー」


ぽん「もこちゃんと一緒に歌いたいんだよね」


なのり「今は、まだなのり」くびふりふり


ぽん「そう。じゃあ、今日は僕と歌おう」


なのり「なのり!」のりのり!


ぴょん「よし。みんなに仲良くしてほしいから、友達の歌をうたおう」


もこ「友達の歌……うーんとえーと」


ぽん「なかよしこよしのズンタカマーチ歌って!」


かんた「それって。ズン、ズンズン、ズンタカマーチ!って歌だろう」


ぽん「そうそう」


かんた「頼んだぞー!」


もこ「じゃあ、なかよしこよしのズンタカマーチで!」


ぴょん「どきどきする」髪ぴこぴこ


もこ「人前で歌ったことある?」


ぴょん「ない」


もこ「なんだかんだの楽しんだもん勝ち、やよ!」


ぴょん「わかった!楽しむよ!」


婆「微笑ましいねえ」うきうき


かんた「オラ、ワクワクすっぞ」うきうき


そして始まった二人の歌いまショーは、その場を盛り上げて、みんなの縁を結んだのでした。


ぽん「良かったよ!」ぱちぱち


ぴょん「ありがとう」


ぽん「やっぱり二人は仲良しじゃなきゃね!」


もこ「なんで?」


ぽん「なんでもなにも。大事で大切な二人が仲良しじゃないなんて、そんなの僕いやだから」


もこ「ほーん」てれ


ぽん「これからも仲良くしようね!」


かんた「あ、むすばれた」


婆「まだ子供でよがった」ほっ


ぴょん「……すべて思い出した」


もこ「うん。おちも」


ぽん「仲良くしようね!」


もこ「ぴょんちとはそうする、かも、しれんけど」


ぴょん「ぽん太。今日はとっても悪いことしたな」


ぽん「仲良くしようね!」


もこ「どういう罰を与えようか」ちら


ぴょん「そうだなー」ちら


ぽん「仲良くしようね!」


ぴょん「お茶をしばらくミントティーにするのはどうだ」


ぽん「仲良くしようよ」


もこ「やだっち!」


ぽん「だよね!」


もこ「おまたんと仲良くするの」


ぽん「仲良くしようよ」


ぴょん「迷路六百ページ全部クリアできたらな」髪ぴーん


もこ「それいいアイディア」くすくす


ぽん「なのりちゃん、ごめんね」


会場がー!逃げるなー!めえいちゅあああん!


スワンボート「だめ」くるり


やめっちー!かあんたあああ!ばあちゃあああん!


ぽん「ただいま」


ぴょん「かたづけはじめ」びしっ!


ぽん「はい……」しくしく


もこ「手伝ってやっちや」


ぽん「もこちゅあん……」しくしく


ぴょん「これからは、悪戯もほどほどにね」


ぽん「うん、二人ともありがとう。僕たちはこれからも」


なのり「ノリ友だよ!」なのり

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