霊獣の国
スワンボートは水飛沫を散らして海上を全速力。
その勢いは。
はんぺん「しゃーく!」どひゅー!
ぽん「今何か聞こえなかった?」
ぴょん「うん」セタップ
はんぺんが吹き飛ばされるほどです。
ぴょん「え!」
ぽん「あーあ」
もこ「可哀想に」
ぴょん「どこ行った!」
霊獣の国へと落ちました。
ぴょん「行こう!」
しゃーく!めーっちゃ!ほーりでい!
ぴょん「はんぺん!はんぺんどこだ!」
はんぺん「ここー」ふらふら
ぴょん「無事で良かった!」ぎゅ!
ぽん「無事じゃないよね」
もこ「おまたんのせいやよ」じとー
ぴょん「久しぶり。まさか、こんなところで会うなんて」
はんぺん「バカンスにきたにょ」ぴちぴち
ぴょん「そう。じゃあ、のんびり楽しんで」
はんぺん「うん。またね」ふらー
ぴょん「元気で何より」ほっ
ぽん「一緒にバカンスしないの?」
ぴょん「何かあった時に巻き込みたくないから」
ぽん「そう」
もこ「それより、ここはどんな国?」
霊獣の国は、ひいき、という大きな亀似の霊獣の背中にある島国です。
たくさんの霊獣が暮らしています。
ぽん「この地面は背中なの?」
そうです。
だから火気厳禁ですよ。
ぽん「はーい」
リクエイ「よ」ぬっ
もこ「きいやあああああ!!」びくっ!
ぽん「ぎょえあああああ!!」びくっ!
ぴょん「怖いよぅ……」びくびく
リクエイ「よく言われる」
ぽん「きっと妄獣だよ!やっつけなきゃ!」ぷるぷる
違います。
彼は海から陸に上がって進化したエイの子孫、リクエイです。
もこ「顔怖い……」ぶるぶる
干しエイのような見た目で恐ろしく感じるでしょうが、もてなしたがりな優しいエイさんです。
ぴょん「!」ぴくっ!
ぽん「いっぱい出てきたー!」びっくりぽん!
もこ「すぐに出ていくから許してください!食べないでください!」号泣
だから、優しい種族ですって。
それにベジタリアンなんですよ。
ぽん「じゃ安心」
もこ「はあ!?」
ぴょん「なれた」
もこ「はあ!?」
ぽん「しつこいと失礼だよ」
もこ「そやけど……」ちら
リクエイ「ん」すっ
もこ「なんよそれ……」びくっ
リクエイ「茹でたゴボウノコ」
もこ「ありがとう」
リクエイ「食べろ」
もこ「あむ……ん」もむもむ
ぽん「どう?」
もこ「おいしい!」にまー!
リクエイ「だろ」
ぽん「いいなー」
リクエイ「掘るか」
ぽん「掘る?」
リクエイ「ここの木、ほとんどゴボウ」
ぴょん「こんなに大きいゴボウ初めて見た」
リクエイ「下に、小さいのある」
それを探して掘るのが彼らの仕事です。
さっそくあちこちでホリホリ。
ぽん「エスエフドリル!」ててーん!
もこ「マジのドリルやん」
ぽん「それ!」ドドドドド!
もこ「うっさ!」みみふさぎ
ぴょん「すごい勢いだ」
ヒバゴン「やめたげてよお!!」ぐわあ!
もこ「ほげえええええ!!」びくーん!
ぴょん「あ……ああ……!」がくがく
ぽん「雪男だ!」ひっ!
ヒバゴン「ヒバゴンだよお!!」
リクエイ「この島のリーダー」
ぽん「ふーん」
ヒバゴン「ひいきさんが痛いからドリルは禁止。優しく掘りなさい。ほら」はい
もこ「スコップ」
ヒバゴン「君にも」はい
ぴょん「シャベル」
もこ「スコップやよ」
ぴょん「シャベルだろう」
ヒバゴン「スプーンだよお!!」
ぽん「僕のフォークなんですけど」
ヒバゴン「さあ!教えるからあ!見ててえ!」
ぽん「これフォーク」
ヒバゴン「見てて」
ぽん「はい」
ヒバゴン「そおれえ!!」ずぽん!
ぽん「ゴボウが抜けた!」びっくり!
リクエイ「ゴボウ抜きすんじゃねえ!」ぺちいん!
ヒバゴン「ふにゅん!」ずしゃあ!
もこ「たたいた……」
ぴょん「優しくない……」
リクエイ「リーダー。しっかり頼みます」
ヒバゴン「うん。ごめん」ひりひり
リクエイ「いつも勢いばっかりで」
ヒバゴン「ごめんね」
リクエイ「ったく……」すたすた
ぽん「大丈夫?」かたぽん
ヒバゴン「平気」
ぽん「一緒に優しくホリホリしよう」
ヒバゴン「フォークの代わりに、これ使って」
彼が長年愛用する汚い耳かきです。
ぽん「いいです」ばきぃ!
ヒバゴン「あ……そう」
ぽん「ねえ。このドリルみたいなのがゴボウノコ?」
ヒバゴン「そう。成長すると真っ直ぐになるから不思議だよねえ」
ぽん「どうしたらいいの?」
ヒバゴン「根元から引き抜くんだよ」
ぽん「このフォークでやりますか」ぐっ
ヒバゴン「があんばれえい!!」
ぽん「うるさい」ぐー
ヒバゴン「もっとお!力入れてえ!」
ぽん「とりゃー!」ずぽん!
リクエイ「ゴボウ抜きすんじゃねえ!」たたっ!
ぽん「ヤバいヤバい!」にげっ!
ぴょん「大丈夫か?」ずしっ
もこ「なんで、こんな大きいゴボウ支えられんの?」
ぴょん「この空想科学服のおかげ」ぽい
もこ「すごいね」
リクエイ「俺にゴボウ投げた奴はお前か!」たたっ!
ぴょん「ごめんなさい!わざとじゃないんです!」にげっ!
ぽん「あのエイさん怖いね」ほりほり
もこ「もうやらかさんでや」ほりほり
ぽん「大丈夫。ぷち慎重にするから」
もこ「くちゅん!」ずぽん!
ぽん「どうしてゴボウを抜くの!」おこ
もこ「し、知らんよ!なんでか抜けたっちや!」あせあせ
ゴボウは元々抜けやすいので気をつけてください。
ぽん「それ最初に言ってよね!」ぷんぷん
もこ「どうしよう……」しくしく
ぽん「大丈夫!僕に任せて!」
リクエイ「ゴボウ抜きすんじゃねえ!」たたっ!
もこ「きたー!」びくっ
ぽん「よいしょ」がぽっ
リクエイ「そう。大事に植えろ」
もこ「ありがとう」うるうる
ぽん「気をつけてね」ずぽん!
リクエイ「いい加減にしろ!」
ぽん「うるさい」ぽい
リクエイ「投げたな!」よけっ!
それから始まった、ぽんぽん対リクエイ群によるゴボウ合戦。
もこ「ひいいい!」伏せ
ヒバゴン「危ないよお!」伏せ
ぽん「それ!」ぽい
リクエイくん「うわー!」どしーん!
ぽん「やった!」
やってはいけません。
仲良くしなさい。
ぽん「よく見てよ」
リクエイちゃん「うふふ!楽しいわ!」
リクエイ氏「いい運動になりますな」
なんだ、楽しそうじゃん。
あーよかった。
ヒバゴン「いやあ!」どしーん!
もこ「ヒバゴンさん!」
ヒバゴン「重いよお……」しくしく
もこ「どうしよお……」しくしく
その頃、森を抜けたビーチにて。
ぴょん「助けてくれてありがとう」
はんぺん「いつもお互いさま」
ぴょん「うん。そうね」
はんぺん「今日はこのコテージに泊まったらどうかにゃ」
ぴょん「立派なコテージ」
はんぺん「さっきゴボウで建てたにょ」
ぴょん「さっき!?」
はんぺん「うん。いっぱい飛んでくるから」
ぴょん「すごいすごい!」なでなで
はんぺん「にひひ」
そこへ一本のゴボウが飛来。
はんぺん「えい」ぽきぽきん
テーブルの完成。
ぴょん「君は尻尾がとても器用なのね」
はんぺん「最近、大工が趣味にょ」
ぴょん「へえ。面白い趣味」
その頃、森の中では。
ぽん「まだまだ!」ぽい!
もこ「もうやめっち!おまたんも、みんなも傷だらけやよ!」
ぽん「これは大事で大切な戦いなんだよ」よけっ
もこ「なんで?」
ぽん「勝ったら、お宝くれるって約束したから」きゃっち
もこ「なんよお宝って」
ぽん「霊獣の笛。それで、いつでも霊獣が呼べるって」りりーす
もこ「いらん」真顔
ぽん「霊獣が呼べるんだよ!この島にいる八億六千五百二十四万二千七百八十八種の中から好きなの選べるんだよ!」よけっ
もこ「八億なんたらもメロディー吹く気?」
ぽん「ぷち難しいかな?」よけっ
もこ「ぜっーたいめんどいやよ」
ぽん「たしけにぃ」よけっ
もこ「うわっ!ゴボウいっぱい飛んできたっちや!」
ぽん「決着の時だね。変身!」ぺかー
もこ「色変わった!」びっくり
ぽんちゃんが空にうんと伸ばした右お手々に、淡い桃色のきらきらが降りそそいで、桜形の光輪になりました。
ぽん「僕の愛を、たっくさんおすそわけ!」
それをー。
ぽん「さくらがぽん、乱れ咲き!」しゅばばっ!
もこ「なんか出たー!」びっくり!
リクエイ群「あああああ!!」ずががが!
もこ「全滅した……」
なのり「でも、ゴボウも生えてお花も咲いて」
ぽん「あっぱれぽん!」
その頃、森を抜けたビーチにて。
はんぺん「しゃーく!」びりびり!
ぴょん「今のは、ぽん太の!」
はんぺん「あいててー」ぽん!
ぴょん「まあ、美青年」ときとき
はんぺん「あれ?僕のこの姿」
ぴょん「良かったね。はんぺん」
はんぺん「僕はサメがいい。どうしたら戻るかな」
ぴょん「…………」髪へなー
その頃、森、改めて林。
ぽん「このヤマターコクで伝説になってるツチノコさんを呼ぼう」ぺら
もこ「おちが吹くっち、笛貸して」
ぽん「お願いね」
もこ「楽譜見せて」
ぽん「先生よろしくお願いします」すっ
ぴーひゃらぴーひゃら。
リクアンコウ「ツチノコです」ひょこ
ぽん「アンコウさんだ」
リクアンコウ「陸に上がればツチノコです」
ぽん「うそつき」
ぴーひゃらぴーひゃら。
リクホンビノス「蜃です」
ぽん「しん?貝だよね」
リクホンビノス「貝ですよ。ちなみに私の得意技は幻を見せることです」
ぽん「いい」
ぴーひゃらぴーひゃら。
陸おじさん「変なおじさんです」
ぽん「魚みたいな変顔のおじさんだ」
ぴーひゃらぴーひゃら。
ぽん「もういい。飽きた」
もこ「そう」
ゴドラギアス「我を呼びし者は己か」ぱたぱた
ぽん「ドラゴンさんだ」
もこ「本物初めて見たやよ」
ゴドラギアス「なんだ、その失礼な態度は」ぱたぱた
ぽん「小指サイズだね」
もこ「声たっかー」
ゴドラギアス「重ねて我を侮辱するか!」ぱたぱた
ぽん「ごめんなさい。帰ってください」
ゴドラギアス「まったく、むやみに呼ぶんじゃない!」ふわー
ぽん「これはいらないや」ぽい
もこ「オパンティヌスのポエムは大事にしとったのに」
ぽん「あれ捨てたよ」
もこ「…………」
それから、ビーチのコテージ。
ぽん「いいコテージだね」
もこ「ゴボウやっち、土くさいやよ」
ぴょん「いいところに来た。今から昼食にしよう」
ぽん「火気厳禁だよ」
ぴょん「気をつければいいって」
ぽん「気をつけてよ」
ゴボウのコテージ大炎上。
ぽん「気をつけてよ」
ぴょん「ごめんなさい……」
はんぺん「仕方にゃいよ。ぜんぶゴボウだから」ぽふ
ぽん「馬鹿じゃないの」
もこ「どうすっちや、これ」
ぽん「キャンプファイアーでいいんじゃない」
もこ「アホやないの」
ぴょん「どうしよう、これ」
ぽん「れりごー!」
火は消えたけどー!ゴボウ飛ばすんじゃねー!もうこないでえー!
はんぺん「さようならバカンス。またね、ぴょんちゃん」すいー




