ACT.5
鬱都宮 憂霊です。(*•̀ •́ヾ
初志貫徹
「この地は吾輩の物になるだろう」
つい先程まで整われていた館内は、たったの三十分で、大いに荒れ果ててしまった…
壁は割れて、床にも穴が空き、装飾品は破壊されている…
コレらは全て、メメモリがヴラッディの攻撃をかわしての産物であり、以下に激しい戦いを繰り広げているのかが分かる現状である。
ヴ「…全く、しぶとい野郎だ
素直に殺られれば良いのに…」
メ「生憎、お前に殺られる程、落ちぶれて無いんで
ね」
ヴ「でもまぁ、私も本気では無いですからね
本気を出したら…」
メ「なら(本気を)出せよ、口達者な無能従者
吸血鬼みたいに血を啜ってるだけじゃなくてよ」
ヴ「……(イラッ)
確かに私も血は嗜みますけど…
私は人間から血を噴き出してるのを見るのが好
きなんだ!!
咒詛詠唱!
【リコシェサリンジュ】!!」
ヴラッディは注射器を大量召喚し、無造作に投げ始める…
馬鹿の一つ覚えだと思いつつ、メメモリは注射器を軽々しくかわす。
ヴ「(ニヤッ)」
メ「…?
!!」
メメモリは背後から気配を感じ取り、スコップを縦替わりとして扱い、背中を守る…
(ガンッ!ガンッ!ガンッ!!)
メ「…なんだ?」
スコップの先端を確認してみると、ヴラッディが投げた注射器が刺さっており、メメモリは注射器が反射したのだと理解する…
ヴ「フフフ…注射器は血を新鮮な状態で抜き取る素
晴らしい道具です
まるで吸血鬼の如き神具…コレ無しでは生きら
れません」
メ「じゃあお前から注射器を取り上げたら、何の個
性が無いって事だな」
ヴ「ですね」
メ「…否定しろよ」
ヴ「さて、これ以上お前に時間を食う訳にはいきま
せん
お前を死体にして、私が土の中に入れてやるよ
死ね!咒詛詠唱【血呪の包囲】」
ヴラッディは咒詛を唱えると、メメモリの周りに数多の注射器が現れる…
避ける隙間も無く、射撃でも対処しきれない…まさに四面楚歌状態である…
メ「…コレは」
ヴ「終わりだ、葬儀屋
お前の血は何色だ」
ヴラッディが指を鳴らすと同時に、注射器はメメモリを目掛けて発射される…
メ「…グッ!!
(流石にマズイな…どうするべきだ…)
………!!
コレだ!」
─────────────────────
囚われていたムクを助けだし、二人は地下の牢屋から脱出すべく、地下通路走っていた。
走っている最中、何度も地響きが起こり、ムクは焦り、フラン(ペイン)は楽しそうにしていた。
フ「メメの奴、楽しんでるね〜〜〜♪」
ム「はぁっ…はぁ……楽しん………でっ……はぁ…」
フ「ムッくん大丈夫?
ほら頑張れ頑張れ♪」
ムクはフランに着いて行く為に、必死に走っているが…フランの飛ぶスピードが速くて、息を切らしている…(ちなみに、フランはわざと速く飛んでいる)
フ「ムッくん、体力が人並み以下だね♪」
ム「はぁ……はぁ……ゴホッ!ゴホッ!!」
フ「しょうがないなぁ〜〜〜♪
俺が回復魔術をかけてあげるよ♪」
ム「うむッ!?」
フランはムクの顔を掴んで、顔を近づけさせる…
ム「ちょっ!?フランくん!?」
フ「フフフ♪」
ム「まっ!?待って!?何するの!?」
フ「フフフ♪」
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
ム「!?」
フ「…んー?」
フランがムクに回復魔術という名の口付けをしようとした瞬間、謎の声が聞こえて二人は声のする方を振り返る。
そこに立っていたのは、ムクの牢屋の前に現れた少年だった。
ム「あっ…あの子は…」
フ「誰?」
ム「さっき牢屋の前に立ってた子…
ちょっとだけ変わってて…」
「いーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
フ「ちょっと煩いよ~~~」
ム「ちょっ…フランくん…」
少年は不気味な声を出しながら、ゆっくりと二人の方に近づいてくる…
ムクは少し恐怖を感じてフランの背後に周り込み、フランは少年と目と目を合わせる。
フ「Hey♪アタオカ少年♪
キミも囚われの姫くんかい?」
ム「ちょっ…フランくん…聞き方…」
「ボクはピアクルォル・バーミリオン
半分人間、半分魔術師、半分悪魔、半分吸血鬼
兄様の弟、ボクは弟、血は繋がってないけど弟
弟、弟、弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟」
フ「だぁあぁ!!煩いな!!弟弟弟!」
ピアクルォル・バーミリオン ∕ 幽閉されし悪魔の子供。
喋っている内容は支離死滅であり、理解しようとしても、脳が拒む…
ずっと話を聞いていたら頭が狂いそうであるが、フランは気にせずにピアクルォルと話を続ける…
フ「…お前、なんでこんな所に居る?」
ピ「居心地が良いから人間に嫌われたからここに居
るから、居るから居る居るからからからからか
らからから、それに兄様が用意してくれたから
からからからからからからから、幽閉幽閉幽閉
幽閉幽閉幽閉幽閉好き好き大好きだだだ大好き」
フ「お前は普通に話せないのか?」
ピ「話せるよ」
フ「うわぁあぁ!?いきなり素になるな!?」
ピアクルォルは狂っているが、話が通じない訳では無い。
フランも結構頭が可笑しい方だが、ピアクルォルの方がより頭が可笑しく、情緒が不安定である。
ピ「キミの後ろに隠れてる男の子…凄い血が美味し
かった…また飲みたい…飲ませて飲ませて飲ま
せてほしいな」
フ「だってさムッくん」
ム「えぇっ!?」
フ「でもダメ〜~~
ムッくんは俺のモノだから」
ム「…えっ?」
ピ「ボク今テンションMAX元気百倍調子最骨頂
魔術師殺して殺して殺して殺しまくりたい
遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ」
フ「良いよ、遊んでげる」
ム「!?
フランくん!危ないよ!?」
フ「だって、耳障りなんだもん
子供を虐めるのは趣味じゃないけど、アイツは
悪魔らしいからね
年上の恐怖を思い知らせ…」
(バンッ!!)
ム「!?」
フランの顔面に、弾幕がぶつかる…
ピアクルォルが詠唱無しで射撃魔術を放ったのだ…
ピ「ボクと遊ぼうよ、お兄ちゃん
その命…燃え尽きるまで」
フ「………コォンヌォクソガキィ!!いい加減にし
ないと…
お兄ちゃんが、お仕置きしてあげるぞ☆」
ム「…?
フランくん?」
─────────────────────
大広間に砂埃が舞い、静けさが訪れる…
辺りには注射器が突き刺さっており、ヴラッディは戦いの勝利を確信して階段を降りて大広間に向かう。
ヴ「流石にあの量の注射器を捌くのは無理でしょう
ね
さて、葬儀屋の泥穢い血でも回収しますか」
メメモリが居た場所に立つヴラッディだが、目を疑う様な光景が目の前にあった…
ヴ「…んなっ!?
……ない……居ない!?」
メメモリが立っていた場所には、注射器しか刺さっておらず、メメモリの死体は疎か、姿形さえ無かった…
ヴ「どっ…どういう事だ!?」
「こういう事だ」
ヴ「!?」
(ドゴッ!!!!)
ヴ「ガハッ!?」
ヴラッディの鳩尾に、硬い何かがクリーンヒットし、ヴラッディは吹き飛ばされる…
床を転がり、うつ伏せになりながら鳩尾を抑えながら、何が起こったのかを整理してみる…
ヴ「はぁ……はぁ………」
「おーおー、地に這いつくばっちゃって…
完全無欠の執事が呆れるな」
ヴ「おっ……お前は……」
ヴラッディに攻撃を与えたのは他でも無い、メメモリである。
メメモリには傷一つ付いておらず、衣服さえも破れていない…
ヴ「どっ…どうやって私の攻撃をかわしたっ!」
メ「頑張ってかわした」
ヴ「巫山戯るな!!
真面目に応えろ!!」
メ「自分で考えろよ、俺の事を職業で言ってるくせ
に」
ヴ「職業………メメモリ…葬儀屋…………!!
…まっ、まさか…」
ヴラッディはメメモリが普段、どのようにして死体を埋葬しているのかを思い出した…
手に持っているスコップで地道にコツコツと大地を深く掘って…その穴に死体を入れて埋葬する事を…
メ「私は自分を埋葬したんだ
あの一瞬で床の中に潜って、お前が油断するま
で息を殺してたんだ」
ヴ「…お前は生きる死体となって、自分を埋葬した
のか…」
メ「お前が言ったんじゃないか
"死体にして、埋めてやるって"」
ヴラッディがメメモリに発言した死の言葉は皮肉にもメメモリが助かる為の方法になってしまった…
ヴラッディは自分を悔やんだ…このままでは吸血鬼の元へ戻れない…
メ「血の魔術を使う前に決着が付いて、良かったよ
さて、負け犬はそこで眠ってな」
ヴ「ッチ!勝負はまだ終わってない!!
私の…」
「まて、ヴラッディ」
メ・ヴ「!!」
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階段の上には巨大なステンドグラスが存在し、色とりどりに煌めいている。
そんなステンドグラスを後光の様にして君臨したのは吸血鬼であり、深緋の館の主であり、夜の王でもある悪魔…イフィア・バーミリオン…
大きな蝙蝠の翼をバサバサしながらメメモリの前に現れる…
ヴ「イフィア様………」
イ「ヴラッディ、お前がやられるとは情けない
しかも自分の発言で負けるとは…みっともない」
ヴ「申し訳ございません…私ヴラッディ、生涯の恥
でございます…」
イ「目の前の葬儀屋の相手は吾輩がやる
無能は無能らしく無能でいろ」
ヴ「かしこまりました…」
ヴラッディは立ち上がり、大広間から立ち去る…
そして、大広間はメメモリと吸血鬼の二人だけになる…
イ「…さて、待たせたな
葬儀屋」
メ「………
誰だお前」
イ「(ズコッ!!)
一回合ってるだろ!!
吸血鬼のイフィアだ!!」
メ「私の知ってる吸血鬼はもっとちんちくりんのク
ソガキだったぞ
お前みたいな大男にあった事は無い」
メメモリの言う通り、イフィアの背丈はちんちく……小学校低学年ぐらいの身長であるが、目の前に居るのは高校生ぐらいであり、メメモリと比較的変わらない背丈になっている…
イ「フッフッフ、無能が用意してくれた特別な血を
飲んだら、こうなったのだ
成長期ってやつはこの事を言うのだな」
メ「いや、多分違うと思うが…」
イ「この有り余る力で禁忌郷の魔物全てに分け与え
てやった
この地は吾輩の物になるだろう」
メ「やはり、緋色の月と夜はお前のせいか
…お前…一回負けたくせに、よくそんな大口を
叩けるよな」
イ「あの時の吾輩は本気では無かったのさ!
さぁ薄汚くて泥臭い葬儀屋よ!勝負だ!」
メ「へーへー、やりますよ
お前をこの世から葬ってやるよ!」
イ「地に這い蹲る葬送人よ…」
メ「緋色の夜を羽ばたく吸血鬼よ…」
イ「最後の星月夜を刻み込め!」
メ「叶わぬ夢から目を覚ませ!」
キャラクター
*ヤマト ムク ∕ Yamato Muku
異世界人です。
フランペインを信用して良いのか、悩んでいます。
*メメモリ・ユートン ∕ Memory Yuton
理想郷の葬送人です。葬の魔術を得意とします。
生きたまま土の中に入りました。死体の気持ちに寄り添いました。
*フランペイン・トーチア ∕ Frampeine Tocia
至極の嗜虐です。虐の魔術を得意とします。
思考がぶっ飛んでますが、自分よりぶっ飛んだ奴相手だと、まともになります。(それでもだいぶぶっ飛んでるけど…)
*ヴラッディ・カーマイン ∕ Vladi Carmine
深緋色に染まる執事です。血の魔術を得意とします。
メメモリからは負け犬、フランペインからは変態、イフィアからは無能と言われている執事さんです。
*イフィア・バーミリオン ∕ Ifia Vermillion
血液と夜の悪夢です。夜の魔術を得意とします。
大きなった吸血鬼です。
禁忌郷に初めてやって来た時と同じ事をしています。
赤色は吸血鬼の象徴、特に緋色を好みます
(しかし、バーミリオンは緋色ではありません…)
*ピアクルォル・バーミリオン ∕ Piakruol Vermilion
幽閉されし悪魔の子供です。狂の魔術を得意とします。
地下深くに居た正体不明の少年です。
支離滅裂で情緒不安定で狂気じみています。
会話が困難な様に見えて、コミュニケーションは取れますが、一方的で頭が可笑しくなります。




