ACT.3
鬱都宮 憂霊です(`・ ω・´)ゞビシッ!!
笑面夜叉
「ちょいと今宵を畏怖の夜にしよう…久しぶりに暴れようぜ」
ム「…んっ、アレ…僕は一体…」
異世界人の少年、ムクは深い眠りから目を覚ました。
寝惚けたまま周りを確認してみるが、辺りは暗く、日の光も電気の光も無く、あるのは炎の淡い灯りだけだった。
ム「…僕、なんで寝てたんだっけ…?
それに…ココは…」
(…ジャラ)
ム「…ん?」
段々と冴えてきたムクは足に何か違和感があると感じ、確認してみる。
ム「………えっ…なんだ…これ…」
ムクの片足には足枷が着けられており、自由が効かないようになっていた…
足だけではない…両手にも錠が着けられていて、監禁状態となっている。
しかも服装もボロボロの大きな服一枚だけでおり、したは完璧に裸になっている…
ム「なっ…どういう事…!?」
(ジャラン!ジャラン!)
ム「はっ…外れない…
誰かー!!誰か助けて!!」
ムクは何故監禁されているか、眠りに就く前の事を思い出してみる…
ゆっくり冷静に思考を巡らせて、"小屋の陰でメメモリとフランペインが戦っている所を見守っていた最中、自分の元に誰かがやって来た"という事を思い出す事が出来た。
ム「そこからの記憶が無い…
じゃあ…もしかして…」
「おや?お目覚めですか?」
ム「!?」
檻の戸の外から話しかけられ、ムクはビクッと反応して、部屋の隅へ座り込む…
「どうもおはようございます」
ム「ヒッ…あっ…貴方は…」
「私はヴラッディ・カーマインと申します
どうぞ以後お見知りおきを」
ヴラッディは丁寧に挨拶を交わして、檻の中に入ってくる…
ム「!!
やっ…!やだ…!!来ないでください!!」
ヴ「それは出来ません、少々貴方に用があるのです」
ヴラッディはポケットから注射器を取り出し、ムクの腕に突き刺して、採血を行う…
ム「うぁっ!!やっ…!やだ……」
ヴ「暴れたら怪我をしますよ?
良い子ですから、動かないでくださいね?
…ってか、動くんじゃねぇよ?」
ム「…!!」
耳元で低い声で囁かれたムクは次第に暴れるのをやめて、涙は流しつつも採血が終わるのをジッと待つようになる。
ヴ「良し、コレぐらいで十分ですね♪
抜きます」
(ズプッ!)
ム「ッア!!」
ヴラッディは乱暴に注射器を抜いたせいか、ムクの腕から血が少し噴き出してしまった…
その様子を見たヴラッディは素早くムクの腕に口を当てて、血の出血を抑えている…
ム「!?」
ヴ「(ベロベロ…ベロベロ…)」
しばらく血と共に腕を舐めていたヴラッディは口を離して、舌を舐め回す…
ヴラッディの顔は凄く幸せそうな顔をしている…
ヴ「はぁっ………♡
コレが……異世界人の血……♡
なんて…なんて絶品なのでしょう!!」
ム「…!!
なっ…どうして僕が…異世界人だって………」
ヴ「さぁ?なんででしょう?
とりあえず、貴方は坊ちゃんの食料として重宝
させてもらいます
コレからどうぞよろしくお願いします」
ム「しょっ…!?食料!?
食料って…どういう意味ですか!?」
ヴ「そのままの意味ですよ
では、後で食事をお持ちいたしますね」
ヴラッディは一礼して、檻から出て行ってしまった…
ムクは食料という言葉を聞いて、戦慄してしまう…
このままでは…ヴラッディの言う"坊ちゃん"という存在に食い殺されてしまうのではないかと…ヴラッディが居なくあった後も、ずっと体をブルブル震えさせていた…
ム「こっ…怖い…僕…一体どうなっちゃうの…?
…あの人達が……助けに来てくれ………」
ムクはメメモリかフランペインのどちらかが助けに来てくれるんじゃないかと思ったが、出会ってまだ数時間しか経っていない事と、自分なんかを助けに来てくれる筈がないという気持ちが勝り、目を虚ろにしてしまう…
それだったら食料になって、本来の目的を達成した方がマシだと思うようになってしまう…
ム「「(…メメモリさん達から"易々と死にたいなん
て言うな"って言われたけど…
でもやっぱり…僕は死にたいんだ…)」」
─────────────────────
フランペインは(ヴラッディのせいで)足を怪我したメメモリの介抱をしていた。
幸いにも怪我は重症では無かった為、フランペインは自身の服の一部を破って怪我した足に巻いてあげる。
フ「全く、ヴラッディにやられるなんて、メメも質
が落ちたね」
メ「うるせぇな
…てか」
(ビュンっ!!)
(バシッ!!)
フランペインは腰に装備してある鞭を取り出して、血人形の攻撃を軽々といなす…
メ「お前…私の事は良いから、あの血人形と戦えよ」
フ「やだよ、死体と戦っても面白くないもん
専門家でしょ?早く楽にしてあげなよ♪」
メ「はぁ…まあ怪我の治療をしてくれたし…
良いぜ、貸し一な」
メメモリは立ち上がって、血人形の目の前に佇んで、睨みつける。
メ「フランペインに殺され、ヴラッディに利用され
し憐れな淑女よ、大地の中に還り眠れ!
詠唱・咒詛【深淵土葬】」
メメモリがスコップを地面に刺し、咒詛を詠唱し始める。
詠唱したと同時に、血人形の足元の大地は徐々に陥没していき、血人形諸共大地の中へ入っていく…
血人形は沈みきったと分かったメメモリはスコップを地面から離す。
離したと同時に開いていた穴はゆっくりと塞がり、最終的には元に戻って、まるで血人形なんて居なかったかのようになる…
フ「おぉ〜~~♪
流石死体処理専門家~~~♪」
メ「あの血人形、随分と大人しかったな…
お前何かしたか?」
フ「さぁ♪忘れちゃった♪」
メ「本来だったら、足を固定してからするんだが…
ってそんな事はどうでもいい!
ムクは!ムクはどうした!」
フ「変態執事が攫って行ったよ?
きっと深緋の館だろうね」
メ「深緋の館…吸血鬼の城か」
メメモリはため息を漏らす…
深緋の館と聞いて、嫌な予感を感じ取ったからだ。
その館の主は吸血鬼であり、一時期禁忌郷の支配をしていた傍迷惑な存在だと認知しているからだ。
メ「…最近大人しくしてると思った矢先にコレだよ」
フ「メメがムッくんを特別だなんて言わなきゃ良か
ったんだよ
相変わらず要らない情報を喋っちゃうんだね♪」
メ「うっせ、とりあえずさっさとムクを助けに行こ
う
異世界人の血を飲んだら、何をしでかすか分か
らないぞ」
フ「だねぇ♪
…でも、メメが人助けだなんて珍しいね♪」
メ「あん?」
フ「いつもなら、放っておく癖に
なんでムッくんに対してはそんなに優しいの?」
メ「…お前、分かってて聞いてるだろ
ココ禁忌郷では、基本的に如何なる人間を全て
受け入れる
特に忌み嫌われし者、成れ果てた者、居場所を
失った者…」
フ「それに差別を受けた者に人間以外の者でしょ?
受け付けないのは王国の人間だけ
魔王共に繰り返し言われたから、聞き飽きたよ」
メ「そして|禁忌郷の秩序を護るのが、賢者である私
の役目だ」
フ「うん知ってるよ♪」
メ「…逆にお前はなんでアイツを助けようとしてる
んだ?」
フ「そりゃあ…楽しそうだし、面白そうだからさ♪」
メ「だろうな、知ってたよ」
フ「んじゃ、死にたがりなムッくんを助けに行こ~
~~♪」
─────────────────────
深緋の館。
物静かであり、生命力の無い不気味な屋敷である。
天井、床、壁には血の飛沫が付着しており、屋敷に迷い込んだ人間が吸血鬼に抹殺されたと噂になっている。
そんな死の館で、鼻歌を歌いながらワゴンを押す細身の男、ヴラッディが主の部屋へ向かい、食事の準備を始める。
ヴ「失礼します、イフィア様
お食事の時間でございます」
イ「おう、直ぐに用意しろ」
イフィア・バーミリオン ∕ 血液と夜の悪夢。
深緋の館に住み着く夜の王、吸血鬼である。
蝙蝠に化けて闇夜を羽ばたき、高い身体能力と魔力で人間を襲い、陽の光が弱点であるのがネックな種族である。
しかし、禁忌郷では太陽が登る事が無い為、弱点無しの無類の強さを誇る。
イ「今日の飯はなんだ?」
ヴ「イフィア様が好きなオムレツでございます」
イ「おぉ〜♪
…ちなみに、普通のオムレツだよな?」
ヴ「はい♪
野菜たっぷりの普通のオムレツでございます♪」
イ「………」
イフィアはヴラッディに軽蔑な眼差しで見つめる…そう、イフィアは野菜が大嫌いなのだ。
特にキノコと人参とピーマンと豆とセロリ…etc
イ「なんで入れるんだ!!入れるなって前から言っ
てるだろ!!」
ヴ「なんでですか?
好き嫌いなんかしてたら、大きくなりません
よ?」
イフィアの容姿は小学校低学年ぐらいであり、傍からみたら人間の子供とそうそう変わらない。
そしてとても人間臭い吸血鬼でもあり、何一つ悪魔の威厳を感じない存在である(笑)。
無論、そんな吸血鬼でもヴラッディはちゃんと忠誠心を持っていて、可愛がっている。(若干、馬鹿にしているけど…)
イ「…ったく、ピアクルォルにも食事を渡したのか?」
ヴ「はい♪美味しそうに食べてました♪」
イ「そうか、良かったな」
ヴ「イフィア様と違って、オムレツを美味しそうに
食べてましたよ♪」
イ「………(怒)
(コイツマジで殺してやろうかな…)」
イフィアは軽蔑な眼差しをヴラッディに向けながら、ワイングラスに手を伸ばす…
ワイングラスの中に入っている紅い液体はワインでは無く人間の血液である。
イ「………ん?
この香り…王国の人間じゃないな?」
ヴ「はい♪
今回は特別な血液を用意させてもらいました♪」
イ「…特別な血液?」
ヴ「はい♪
毒味させてもらいましたが…フフフ♪」
イフィアはヴラッディを白い目で見つめながら、血液を一口飲む…
吸血鬼にとって、血液は力の源だ。
なので不味い血だったら、イフィアはヴラッディにキツイお仕置きをしなければならない。
イ「(コイツには…何をしたらお仕置きになるんだ?
…とりあえずピアの遊び相手になってもらうか)」
(コクッ…)
イ「…………!!?」
血液を一口飲んだイフィアは突如胸を抑えて、椅子から転げ落ちる…
そしてイフィアはすぐに理解した…今飲んだ血液が異常だと言う事に…
イ「ガハッ…ッ!!アアッ!!……ア"ア"ア"!!」
ヴ「イフィア様!?大丈夫ですか!?
まさか試しに入れた毒が効いてるんですか!?」
イフィアはしばらく悶えて苦しんだ…
執事であるヴラッディはこんな状況が初めてであり、どうすれば良いか分からず、その場で慌てふためく…
イ「ッ…!!ぐっ…………
はぁ…はぁ……」
ヴ「……!!
イ……イフィア…様?」
イ「………
この姿は…」
ヴ「おぉ…イフィア様…なんと素晴らしい姿に♪」
イ「コレは……フフフ…
…おいヴラッディ」
ヴ「はい!なんでございましょう!」
イ「ちょいと今宵を畏怖の夜にしよう
…久しぶりに暴れようぜ」
ヴ「はい、かしこまりました♪」
イ「…後お前、さっき変な事を言ってなかったか?」
ヴ「気の所為ですよ♪」
To be continued
登場キャラクター
*ヤマト ムク ∕ Yamato Muku
異世界人です。
囚われの姫くんです。
*メメモリ・ユートン ∕ Memory Yuton
理想郷の葬送人です。葬の魔術を得意とします。
傷の治りは早い方です。
葬儀屋の他に禁忌郷の賢者をしています。
賢者とは守り手の様な存在であり、禁忌郷にとって脅威になりうるような事や悪人を裁いていたり、葬っていたりします。
*フランペイン・トーチア ∕ Frampeine Tocia
至極の嗜虐です。虐の魔術を得意とします。
楽しい事、面白い事が大好きです。
賢者ではありませんが、半分賢者の様な存在です。
禁忌郷のほとんどの人間に敬られており、魔術師や悪魔には恐れられてます。
**ヴラッディ・カーマイン ∕ Vladi Carmine
深緋色に染まる執事です。血の魔術を得意とします。
吸血鬼の従者である魔術師です。
しかし、イフィアと血の契約を交わして人間をやめました。
フランペインに負けず劣らずのサディストです。
*イフィア・バーミリオン ∕ Ifia Vermillion
血液と夜の悪夢です。夜の魔術を得意とします。
小さな少年吸血鬼です。
夜を支配する畏怖の象徴です。
血の繋がっていない弟がいます。




