ACT.2
鬱都宮 憂霊です( •̀ω •́ゞ)
捨てる神あれば拾う神あり
「だからムッくんが生きていても大丈夫って事だよ!!」
少年ムクは金髪の男メメモリからこの世界の事を詳しく教えてもらい、口が塞がらなくなり、頭も真っ白になる…
禁域”禁忌郷”…メメモリが言うには忌み嫌われし者、慣れ果てた者、居場所を失った者達が集まる理想郷…しかし、メメモリは理想郷と言っていたが…とても理想郷とは思えない程、この世界は不気味で恐ろしい世界である。
空は常に真っ暗であり、月明かりと星明かりしか見えず、地上は生気が一つも感じ取ることができない深淵の森…
日本とは思えない…いや、それ以前に日本や外国を超越した世界となっている…
ム「そんな…じゃあ僕は…
(異世界転移した…って事!?)」
小説や漫画などである異世界転移…現実ではありえない現象を、何の因果かムクは引き起こしてしまったのだ。
異世界に転移(もしくは転生)したら、「俺TUEEEEEEEE!!!」や「美女美少女ひゃっほぉーーーい!!」と常人の人々は喜んで受け入れるだろうが、ムクは様子が違かった。
ム「…グスッ」
メ「!?!?」
ムクの瞳から大粒の涙が流れてきて、ムクは泣き出してしまった…
突如泣き出したムクに対して、メメモリは慌てふためきだす…
メ「どっ!?どうした!?なんで泣き出す!?」
ム「ごっ…ごめんなさっ…違うんです…
ただ…ただ…」
ムクがに涙を流した理由…それは死ぬ事が出来なかったからだ。
生きるのが辛く、誰からも好かれず、何をしても不幸になる人生に終わりを告げたかったのがムクの目的であり、決して異世界に飛ばされたいが為に自殺をした訳ではない。
実はムクは何回か自殺を行っている。しかし全部が未遂に終わっており、死ぬ事が出来ていない。
そして最終手段として電車に飛び込んで死のうとしたのだが…
ム「僕…ずっと死にたかったんです…」
メ「…はぁ?」
ム「生きるのが…辛くて…苦しくて…それで…死の
うとして…
僕なんて…生きていても…仕方がなくて…」
メ「…おい、そんな事言うな」
メメモリはムクの発言を聞いて、慰めの言葉をかけてあげる。
背中を優しく摩ってあげて、ムクの溜まりに溜まった感情を吐き出させてあげている。
メ「何があったのかは詳しく聞かねぇけど、そう易
々と死にたいだなんていうんじゃねぇ」
ム「…でもっ」
フ「そうだよムッくん♪大丈夫だよ♪」
泣き出したムクを見て、ずっとニヤニヤしていたフランペインがムクの目の前に立ち、ムクと目線を合わせる。
そしてフランペインはムクの顔を掴み、顔を近づけさせて…
(ペロッ♪)
ム・メ「!?!?!?!?」
ムクが流した涙を舌で拭う…
顔を舐められたムクは一瞬で素に戻り、フランペインと目を合わせる…
フ「…う~~~ん、涙ってそんなに味がしないんだ
ね
ちょっとガッカリしたな~~~」
ム「えっ…あ?
なっ…何を…」
フ「あっ、悲しんでるから味がしないんだ!
他の感情で試しっ…」
(ガンッ!!!)
黙って見ていたメメモリが愛用のスコップを手にもって、フランペインの頭に振りかざす…
若干鈍い音がしたと同時にフランペインは倒れこむが、メメモリは気にせずにムクに語りかける。
メ「…あームク、気にすんな
この世界では当たり前だからよ」
ム「はっ…はぁ…」
メ「それにお前はさっき生きるのが辛いとか何とか
って言ってただろ?」
ム「はっ、はい…もう僕は…」
メ「さっきも言ったかもしれないが、ここ禁忌郷は
行き場を失った者達が集まる理想郷だって」
ム「…それが何ですか?」
メ「お前と同じような人たちが幾千人も居るって事
だ
(…まぁ、コイツは少しイレギュラーだが…)
そんな奴らが力を合わせて生きているのがこの
世界なんだ」
フ「だからムッくんが生きていても大丈夫って事だ
よ!!」
痛みに悶えていたフランペインが起き上がり、メメモリの決め台詞を横取りする…
メ「おまっ!?人の台詞を盗るんじゃねぇ!!」
フ「メメがカッコいい台詞を言うなんて、ダサいか
らやめなよ」
メ「ダサいってなんだお前!埋めるぞ!!」
フ「埋めてみなよ、お前如きに負ける俺じゃないか
らさ☆」
メ「(怒)」
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(ドォオォオォオォオォン!!!!)
堪忍袋の緒が切れたメメモリはフランペインを思いっきり蹴り飛ばし、壁を半壊させてフランペインを外に追い出す…
ム「えぇえぇっ!?!?」
メ「ムク、ちょっとアイツにお灸を据えてくる
この小屋から出てくるなよ」
ム「えっ?あのっ…何を…」
メ「良いから、後でちゃんと説明する」
メメモリはムクにそう伝えて、浮遊し始めて、フランペインの元へ向かう。
ムクは色々とツッコミたそうな雰囲気を醸し出していたが、異世界では常識なんだと思い、考えるのをやめた。
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メメモリに蹴られ、吹き飛ばされたフランペインはケロッと立ち上がり、飛んでいるメメモリの所へ自分も空中浮遊をして向かう。
フ「痛いな~~~、蹴られる人の気持ち考えた事あ
んの?」
メ「お前には言われたくないな」
フ「それにムッくんが驚いちゃうじゃん♪
俺達が魔術師だっていう事を♪」
フランペインの言う通り、禁忌郷では魔術が主流の世界である。
”魔術”とは闇や悪魔の力を借りた物であり、反対の存在として光や神の力を借りた”魔法”という存在がある。
そんな禁忌郷では魔術を極めた者を”魔術師”と呼称し、魔術師や人外等には二つ名が付けられ、敬われていたり恐れられていたりする。
メ「知るか、てかお前はムクの目の前で女を殺した
んだろうが」
フ「ん~~~、どうだったかな~~~♪」
メ「やれやれ…お前は一回土の下に帰れ!」
フ「へっへーんだ♪
血祭りにしてやるよ」
メ・フ「射撃詠唱」
メ「〖追憶の花〗」
フ「〖暗殺の矢〗」
メメモリ・ユートン / 理想郷の葬送人VSフランペイン・トーチア / 至極の嗜虐…何度目かの大喧嘩が今から始まろうとしている…
余談だが、禁忌郷で二人が喧嘩するのは日常茶飯事である。
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メメモリとフランペインが喧嘩をし始めた頃、教会に立ち入る男が居た。
「…おや、コレはコレは」
教会の中にはフランペインが無惨に殺した女の死体がそのまま宙に浮かんでおり、引きちぎれた片足からは血が垂れ続けていて、血の池に溜まっていく…
「きっとコレはフランペインの仕業ですね
全く、アイツは淑女をなんだと思っているんでし
ょう
こんなに麗しい女性の血液が…勿体無いじゃない
ですか」
男は血の池まで近づいて、血の池に人差し指をつけて、その指を口に運ぶ…
ワインを嗜む様に、口の中いっぱいに女の血を味わっているが…美味しく無かったのか、顔が引き攣っている…
「…コレはダメだ、時間が経過していて、新鮮な味
では無くなっている…
コレでは坊ちゃんに提供出来ない…あぁ、勿体無
い…」
血の味を嗜んでいるこの男の名前はヴラッディ・カーマイン / 深緋色に染まる執事。
とある屋敷に使える執事兼魔術師であり、今日も主人の為に極上の血液を求めて、禁忌郷の森を彷徨っていた。
ヴ「やれやれ、今宵の晩飯はどうしましょう
と言っても、今が夜か分からないですが…ん?」
ヴラッディは女神像の後ろに何かがあるのに気がついて、近づいて確かめて見る事にした。
ヴ「コレは…吐瀉物…どうしてこんな所に…
あの淑女が吐いたんでしょうか?
いや…だとしたら像の後ろにあるのはおかしい
ですね…」
ヴラッディは口に手を当てて、冷静に考えてみる。
不思議な現象しか起こらないこの呪われた理想郷で、何が可能性としてあるか…
ヴ「…冷静に考えなくても、"ココに誰かが居て吐い
た"が一番の可能性ですね
そういえば、近くにメメモリの住処があったは
ず
何か知ってるか、確かめてみましょう」
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メメモリとフランペインの空中戦は激しかった。
二人の背後に魔法陣の様な物が展開されて、そこから"弾幕"と呼ばれる光る発光体を飛ばして、互いに目掛けて攻撃しあっている。
フ「ほらほらメメ!そんな生温い攻撃は当たらない
よ!」
メ「ふん、お前がそう死なない様に手加減してやっ
てんだよ」
フ「おっ?じゃあ俺は本気で行こうかな♪
咒詛 詠唱【苦痛の手】」
フランペインが詠唱したのは"咒詛"と言う魔術であり、簡単に言えば必殺技の様な魔術である。
フランペインは"虐の魔術"を扱うのを得意としており、【苦痛の手】は無数の赤黒い手を生み出して、相手に攻撃を仕掛けると言うフランペインお得意の魔術である。
ちなみに、教会で女の足を引きちぎったのもこの魔術である。
メ「…はぁ、相変わらず数が多いな」
フ「アハハハ!捕まえろ~~~!!!」
メ「…ッチ!」
フランペインの指示により、手はメメモリに向かって捕まえようとする。
その手に捕まったら最後、ちぎられるか潰されるか…どっちにしろ、悲惨な目に遭うのは確定する。
メメモリは攻撃をするのを一旦やめて、手からの猛攻に逃げる事にする。
フ「アハハハハハハ♪
待て待て~~~♪」
フランペインは逃げ回るメメモリを見て、無邪気に笑っていた…
人が苦しんでいる所…痛がっている所…もがいている所…人の苦痛な姿を見るのが好きなフランペインにとって、今の状況はとても楽しい時間なのだ。
メ「ふっ!!…っ!!
…!?」
手を必死にかわしていたメメモリだが、行く手を阻む手に気が付かずに、その場で急ブレーキをしてしまう…
そのチャンスを逃すまいと手はメメモリを囲んで、空中に赤黒い繭のような玉が出来上がる…
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小屋の陰から二人の空中戦を見ていたムクは、その様子に魅了されていた…
横浜ではありえない超常現象の数々と、激しく恐ろしい魔術はどこかカッコイイと感じ取っていた…
ム「凄い…僕…本当に異世界に来たんだ…
アニメとかゲームで見た様な光景が…こんな目
の前に…」
ムクの気分はとても上昇しており、目がキラキラしている…
さっきまで死んだ魚の様な目をしてたのが嘘のように、生気を取り戻した目に戻った。
ム「でっ…でも…あのままじゃメメモリさんが…
フランペインさんに殺されちゃっ…うぷっ…」
ムクはさっきの教会での事を思い出してしまい、吐いてしまった…
今までの人生で沢山吐いたり吐かされたりとしてきたが…あの嘔吐は人生最悪の嘔吐だったと言えよう。
人が殺される瞬間…しかも普通に(と言うのもおかしいけど)殺された訳では無い…ローストチキンの様に女の足が引きちぎられたのだ。
ム「はぁ…はぁ…
あっ…また吐いて…」
「大丈夫ですか?」
ム「!?!?
だっ…誰っ…?」
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フランペインは空中浮遊をして、メメモリが入っている繭の近くまでやってきた。
そして、頭に?を浮かべながら赤黒い繭のそばにゆっくり近づいていく。
フ「う~~~ん…いつものメメならもっとしぶとく
逃げ回る筈なのに…おかしいな~~~?
土いじりをしすぎて体が訛ったのかな?」
フランペインは腑抜けた顔をしながら、どんどん繭に近づいていく…
(ズボッ!!!!)
フ「!?」
繭との距離がゼロ距離になったプランペインの目の前に、スコップの先端が目の前に飛び出してきた…
そんなスコップにフランペインは頬にかすり傷を作りながらも、紙一重の極みでかわして、繭から離れる…
そしてフランペインが離れたと同時に繭は爆発して、中からメメモリが出てきた…
メ「……ふぅ」
フ「あ~~~あ~~~、顔に傷が付いちゃった」
メ「それじゃ、私の勝ちだな」
フ「ちぇ~~~、またか~~~」
二人の喧嘩は激しい物だったが、実は本気で殺そうとしていた訳ではない。
”どっちかが血を流せば勝利”という条件でいつも戦っており、二人は互いに死なないギリギリの威力の魔術でいつも勝敗を決めている。
メ「今回のお前は比較的優しかったな」
フ「ムッくんが居るからね~~~♪
被害が出ないようにしてたんだよ♪」
メ「…お前にそんな気遣いができるんだな」
フ「えへへ~♪」
メ「…ってそうだ!!
ムクに色々説明しないと!!」
メメモリはムクが潜んでいる小屋へと、素早く飛んでいく。
異世界の人間がいきなり魔術なんてものを見たら絶対に気絶するだろうと思い、心配しながら半壊した小屋へ向かう。
メ「お~い!ムク!
大丈夫…か……!!」
地上に着いたメメモリは、小屋のそばに居る細身の男と目が合った…
「やぁ、メメモリ
今宵は良い夜ですね」
メ「お前は…ヴラッディ…
なんでこんな場所に…」
ヴ「ちょっと食料到達にやって来ました」
メ「食料って…お前の主って確か…
ッ!!」
メメモリはヴラッディの主の正体を思い出し、スコップを構え始める…
メ「おいヴラッディ…お前が抱えてる少年を今すぐ
離せ」
メメモリの言う通り、ヴラッディはムクをお姫様抱っこしている…
ムクはメメモリ達が話していても一向に起きる気配がなく、ヴラッディが何か仕掛けたんだと、メメモリは察し、戦闘態勢に入る…
ヴ「いくら貴方の頼みだからと言っても、それは出
来ません
そろそろ食料を採って帰らないと、坊ちゃんが
飢えてしまいますから」
メ「悪いがその子は特別な子なんだ、渡す訳には行
かねぇ」
ヴ「…へぇ、特別…」
メ「(あっ…ヤベ、墓穴を掘った…)」
メメモリは二つの意味でよく墓穴を掘る…
死体を埋葬する為に墓穴を掘るのと、口を滑らせて要らない情報を話してしまう事…
禁忌郷の住民…特に魔術師は"特別"と言う言葉に目がない…
変態的嗜好を持つ者が多い禁忌郷では異世界人であるムクは恰好の的であり、喉から手が出るぐらいの存在なのだ。
ヴ「特別なら尚更返す訳には行きません
坊ちゃんに献上させて頂きます」
メ「おい巫山戯ん…」
フ「お~~~い、メメ~~~」
マイペースに空から降りてきたフランペインはメメモリの背後に着地する。
そしてメメモリはフランペインの頬から血が出てきているのを思い出し、声を荒らげる…
メ「フラン!離れろ!!」
フ「ほへ?」
ヴ「フッ…」
(パチンッ!)
ヴラッディは不敵に笑いながら指を鳴らす。
そして指が鳴った瞬間、フランペインの頬から流れていた血は一瞬で刃物状に固形化…
(ビュン!!)
メ「グッ!!!」
メメモリの足に突き刺さる…
フ「メメ!!」
メ「ぐっ…私は良いから…ムクを…」
フ「あ?ムッくん?」
ヴ「…フランペイン」
フ「!?」
ヴラッディはムクを抱き抱えたまま浮遊し、フランペイン達を見下ろす…
フ「おい悪趣味執事!ムッくんを何処に連れてくつ
もりだ!!」
ヴ「坊ちゃんに以下略」
フ「略すな!俺にも説明しろ!」
ヴ「フフフ♪コイツに勝てたら良いですよ」
フ「?」
ヴラッディが再びを指を鳴らすと、木の影から誰かが姿を表す…
その人物はフランペインが教会で無惨に殺した女であり、ちぎれた足は赤くなっている…
フ「そいつは………誰だっけ?」
ヴ「キミが殺した女ですよ
"血人形"として利用させてもらいました」
フ「殺した?いつ?」
ヴ「話になりませんね
では、またお会いしましょう♪」
To be continued
キャラクターの裏設定な様なものです。
*ヤマト ムク ∕ Yamato Muku
異世界人です。
今の所不憫な少年です。
高校生ですが、背丈がだいぶ小さいです。
*メメモリ・ユートン ∕ Memory Yuton
理想郷の葬送人です。葬の魔術を得意とします。
禁忌郷に蔓延る死体を埋葬している 埋葬性愛者です。
背丈は背の高い高校生です。
*フランペイン・トーチア ∕ Frampeine Tocia
至極の嗜虐です。虐の魔術を得意とします。
最凶最悪なサディストです。
人の嫌がる事を喜々としてやります。
背丈は普通の高校生ぐらいです。
*ヴラッディ・カーマイン ∕ Vladi Carmine
深緋色に染まる執事です。血の魔術を得意とします。
血液愛好家です。
完璧超人で慇懃無礼な執事さんです。
背丈はメメモリと同じぐらいです。




