ACT.1
皆様初めまして、鬱都宮 憂霊です(*>ω<)bグッ
危急存亡の秋
「(…今日で終わりにするんだ…この惨めな命を…苦しかった人生に終止符を打つんだ…)」
日が暮れて、現在時刻は午後五時。
横浜駅のホームでは帰宅する人々で賑わっており、他愛の無い会話をしている学生も存在すれば、スマホとにらめっこしている男も居れば、ソワソワと大好きな電車を待つ子供もおり、この駅だけでも十人十色な世界となっている。
しかし、この人混みの中で異質な雰囲気を醸し出している少年が立っている事は誰も知らない…というよりも、誰もその少年に誰も気がついていない…
その少年は夏だと言うのに、厚手の長袖パーカーを着用しており、帽子も深々と被っていて、顔色の様子を伺う事が出来ない…
寒がりな少年なら問題無いかも知れないが、その少年は暑いのか、汗を垂らしていた。
「(…今日で終わりにするんだ…この惨めな命を…
苦しかった人生に終止符を打つんだ…)」
少年は今からホームにやって来る電車に飛び込んで、自殺を行おうとしている…
少年の人生は悲劇の連続だった…
父親が不倫して駆け落ちして、怒り狂った母親が自分に暴言と暴力を振る様になった中学時代…
母親の為に頑張って勉強したものの、努力が全てが水の泡となってしまい、受験に失敗した高校時代…
そしてその高校で悲惨なイジメを受ける様になってしまい、少年の身体と精神はボロボロになってしまった…(長袖長ズボンを着用しているのは傷や痕を隠している為だ)
「(今日で終わらせるんだ…今日で…僕の人生全て
を…辛かった…痛かった…苦しかった…怖かっ
た…悲しかった…)」
少年の覚悟は決まっていた。
もう少し…後三分ぐらいにやって来る電車に飛び込んで、己の人生と決別する…重すぎる覚悟を…
『まもなく、4番線に、電車が…』
「(来たッ!!)」
アナウンスと同時に、少年は人混みの中を走り出した。
ぶつかっても、足を踏んでも、少年は謝らずに、黄色い線より外側へ飛び出す…アナウンスとは真逆な行為をしているが、少年にはもうアナウンスの音声なんか聞こえていない。
少年の目の前には、"電車"という名の大きな鉄の塊が速いスピードで迫ってくる…ブレーキをかけ始めた段階なので、スピードもそんなに遅くない…
「(やった…!ようやく…ようやく僕は…!!
幸せになれるんだ!!)」
|
駅構内のざわめきはとてつも無かった…
人身事故が発生して、駅に居る人々は叫んだり、どよめいたり、何が起こったのか分からずに慌てふためく人もいた。
そんな乗客達を尻目に、駅員や警察官達が後処理を開始しようとするが…
「…おい、見つかったか?」
「…ッ!いえ…見つかりません…」
「それは本当なんだろうな!
ここ横浜駅の隅から隅まで確認したのか!」
「…全警官や駅員の協力もあって調べ尽くしました
けど…」
「…クソッ!どうなっているんだ!!
何故…なんで何処にも死体がいないんだ!」
警察官の男が言う通り、人身事故を起こした少年の死体が何処にも見当たらない…
線路上にも、ホームの下にも、駅から離れた場所にも…マグロと言う名の死体は何処にも見当たらなかった…
指揮を取る警察官はほんの一瞬だけコレが悪戯だと思ったが、駅員を初め、周りには沢山の乗客が存在する為、悪戯では無い事を物語っている…
「…監視カメラだ!監視カメラを確認したか!」
「あの…警部」
「なんだ!?」
「電車に飛び込む瞬間を目の前で目撃したという女
子高生が偶然動画を撮ってたみたいなんです」
「それで?」
「その動画を見してくれたんですけど…その…なん
と言うか…」
言い淀む部下からスマホを取り上げて、事故当時の動画を確認する。
そして、確認した警察官は目を丸くして、言葉を無くしてしまう…
「…なっ、何だコレは…」
動画に映っていたのは、電車ともう少しで接触してしまいそうな少年だった。
しかし、大事なのはそこでは無かった…
少年が電車と衝突しそうな次の瞬間、突如光が発生して、映像が全て白飛びしてしまっていた…
今現在、時刻は午後五時半を過ぎていて、周りには画面を白飛びさせてしまう様な発光体は一つも無い…
この奇妙な映像は直ぐにSNSに拡散され、話題を呼びトレンド入りする事となる。
"少年の行方がどうなったのか"という声や"コレはAIによるフェイク動画だ!"という声が相次ぐ事となるが、誰も証明する事は出来なかった…
「"科学の力で全てを証明しようとする"
この世界の悪い所が出ちゃったかぁ〜
とりあえず…かーえろっと♪」
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「………んっ……アレ……僕は…一体………」
少年は重い瞼を開けて、目を覚ます。
そして体をゆっくり起き上がらせて、辺りを見渡してみる。
「ココは……何処…?
僕は…確か…電車に飛び込ん……!」
少年は眠りに就く前の事を思い出した。
悲惨で不幸な己の人生に終止符を打つ為に、電車を使って自殺をしようとした事を、鮮明に思い出す。
「じゃあ…僕は死ねたの…?
ココはもしかして…あの世?」
少年は今居る場所が夢の世界では無いかを確認する為に、自分の頬を引っ張ってみる。
優しく引っ張っては意味が無い、頬がちぎれるんじゃないかってぐらい、少年は自分の頬を引っ張っている。
「う〜〜〜〜〜ん………
…痛い………夢じゃない……!」
頬を赤くなるまで引っ張った少年は、痛かったのか頬をさすって、痛みを和らげている。
どうやらこの世界は夢では無いようだ。
「…アレ?
でもあの世って痛覚あるのかな…
そもそも…本当にココはあの世なのかな…」
疑問を抱いた少年は立ち上がり、改めて今自分が何処に居るかを調べ初めてみた。
少年が今居るこの場所は、一言で言えば教会の様な場所である。
しかし、中は廃れており、ステンドグラスも、女神像な様な物も破壊されていて、神聖さが何一つ感じ取る事が出来ない…
「…なんで教会何かに…」
「イヤァアァァアァア!!!!!」
「!?」
|
教会の外から女の叫び声が聞こえ、少年は身構えて、女神像の裏に身を潜める。
隠れると同時に教会の扉が思いっきり開かれて、誰かが入ってきた…
「はぁ……はぁ………」
「お~~〜い♪待ってよ~~~♪」
教会にやって来たのは、息を切らしながら走っている女と満面の笑みを浮かべながら女の後ろを走る眼鏡をかけた少年が教会の中に入ってきた。
「ふぅ……ふぅ…」
「逃げるなんて~~~行けない子だね〜〜~
なんで逃げるのかな〜~~?」
「ふっ…!巫山戯るんじゃないわよ!
あのままじゃ…あのままじゃ!私死ぬ所だったの
よ!」
話を聞く限り、なんだが穏やかな内容では無いみたいだ。
しかし、少年は二人のやり取りを聞いていない…少年は女性の叫び声や甲高い声や怒鳴り声が苦手なのだ。
「死ねば良かったじゃん♪
キミなんか豚…あいや、豚に失礼だったね♪」
「ッ!!
殺す!!アンタみたいなガキ…私は世界で一番嫌
いなのよ!!」
女は近くにあった大きめな石を手に取り、レンズの向こう側で笑顔を浮かべる少年に殴りかかろうとする。
「死ねェェエ!!クソガキッ!!!!」
(ガシッ!!!!)
「……!?」
女が石を振りかざそうとした瞬間、女は腕に何か絡まった様な感触を感じ取り、確認してみる事にした。
そして、腕には赤黒い影の様な物が纏わり付いており、石を振りかざすのを防いでいる…
「なっ…こっ…コレはっ…!!」
「アハハ〜〜〜♪
逆ギレするなんて、良い度胸だよね~~~
良いよ♪キミが何をしたのか教えてあげるね♪」
(パチンッ)
少年が指を鳴らすと、影は大きくなって、女を飲み込み初めた。
そして飲み込まれた女が目を覚ました時には、宙ぶらりんになっており、両足にはさっきの影が付いている。
「なっ…!何するのよ!!」
「まあまあ♪
キミに罰を与えるんだよ♪」
(パチンッ)
少年が再び指を鳴らすと、片足の影が外側へ動き
だす…というより、引っ張っているかの様に見える。
「ちょっ!?なっ!!やめっ!!」
ゆっくりゆっくり開く様に足を引っ張られるが…女は開脚に慣れていないのか、少し開いただけで、声を荒らげている…
開脚させるのをやめる様に言うが、少年の耳には届いていない…
「キミは数ヶ月前に、子供を産んだよね?」
「ちょっと!!それどころのじゃない!!痛い…!
痛いのよ!!」
「それでさ…その赤ちゃん、どうしたの?」
少年の声のトーンが低くなる…女はその事を問い詰められて、一瞬顔を引き攣ったが、すぐに元の顔に戻り、負けじと声を荒らげる。
「どうした…私の母親に預けたわ!」
「…へぇ、なんで?」
「"なんで"…って!なんでもよ!!」
「ふ~~~ん………
………」
少年は何か思った事があるのか、俯いて考え初めてしまった…
しばらく沈黙が続いたが、少年は顔を上げて女と目を合わせる。
「その話、嘘じゃない?」
「嘘じゃないわよ!!」
「…へぇ~~~
そっか~~~♪」
(ぐっ!!)
「!?」
少年が握り拳を握ると、足を引っ張っていた影が更に強く引っ張り初めた…
「いっ…!!イだっ!!!イ"タ"イ"!!
ア"ァ"ア"!!!!」
「実はさっきね~~~、俺の友達に教えて貰ったん
だけど~~~、つい最近胎児の死体が見つかった
んだってさ~~~
それで~~~、その胎児は凄く傷付いてたんだっ
てさ~~~
それで調べていくと分かったんだ~~~
…お前らの子供だって事を」
少年はペラペラと喋り出すが、女はそれどころでは無い。
今まで経験した事が無いような痛みを受けており、絶叫する事しか出来ないみたいだ。
「小さな生命を奪うなんて最低だよね~~~♪
だから、お前に罰を与えるんだ♪
ついでお前の旦那も殺したから☆
夫婦仲良く地獄で反省してなよ♪」
屈託の無い笑みを浮かべる少年とは裏腹に、女の絶叫は激しくなる…
このままでは股が裂けてしまう…女は体を使って許しを請う事にしてみる事にした。
「コ"メ"ン"な"さ"い"コ"メ"ン"な"さ"い"コ"メ"
ン"な"さ"い"コ"メ"ン"な"さ"い"コ"メ"ン"な"
さ"い"コ"メ"ン"な"さ"」
(ブチッ!!)
|
さっきまで廃れていた筈の教会が、一瞬にして地獄絵図へと変わってしまった…
教会の空中には女の死体がぶら下がっており、その下には血の池が出来上がっている…
「ふぅ、疲れた疲れた
さてと、コイツをメメの元に持って行くとするか」
「おぇぇぇ!!」
「…ん?」
眼鏡をかけた少年は女神像の後ろから何か声が聞こえ、なんだろうと思いながら像の後ろを確認してみる事にした。
「誰か居るの~~~?」
(ひょいっ)
「あっ………」
「ん~~~?」
像の後ろでは、少年が体を震えさせながら吐瀉物を吐いていた。
それもその筈だろう、目の前でいきなり女が悲惨に殺されたら、誰だって吐くであろう。
「ひっ!!ごっ!!!ごめんなさい!!」
「おぉ?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!
ごめんなさっ…」
(ピトッ)
「ぬぐっ!」
「落ち着いて♪」
殺されないように少年は必死に懇願したが、口を塞がれて喋れなくされる…
優しく接してくれてはいるものの…少年はまだ恐怖が勝っているのか、体を震え上がらせる…
「キミは誰?どうしてこんな所に居るんだい?」
「んっ…んんぅ…んっ…」
「ん~~~?なんだって?
…あっ、そっか、ごめんごめん♪
塞いじゃってたね~~~♪」
眼鏡をかけた少年は口から手を放して喋れるようにしてくれたが、未だに恐怖心は和らいでない。
ずっと体を小刻みに震えさせていて、眼鏡をかけた少年と目を合わせられる事が出来ていない…
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「……………」
「(なっ…なんなんだこの子…それにさっきの…
コレはやっぱり夢なのか…?
でもさっき痛覚はあったし…)」
少年は混乱し続けている…突如知らない場所で目を覚ましたらいきなり目の前で人が殺されて、しかも殺した少年が何食わぬ顔で普通に接してきて…
「…ァ」
「!!」
「ハァ…ハァ…///」
「!?」
眼鏡をかけた少年は、何故か顔を赤らめながら少年を見て”ハァハァ”と息を切らしている…
何か少年を見て、何か興奮した様子を見せている…
「えっ…あのっ…」
「キミ、名前は?」
「えっ……名前?」
「うん♪教えて♪」
「なっ…なんで…です…」
「いいからいいから♪
あっ、俺はフランペイン・トーチア
よろしくね♪」
眼鏡をかけた少年、フランペイン・トーチアは笑顔で手を差し出して、少年に握手を求める。
少年は戸惑いながらも、流れるままに手を差し出して自己紹介をする…
「あっ…えっと…
ぼっ…僕は…むっ、ムク…
ヤマト ムク…です……」
(ガシッ!!)
ム「!?!?」
フ「ヤマトくんか~~~♪
よろしくね♪」
フランペインは嬉しそうに手を握り、上下にブンブン振って喜びを表している。
さっき、女を抹殺したとは思えないぐらいの豹変のしかたである…
フ「あっ、当然名前呼びは失礼だよね♪
ムクが名字で良いのかな?」
ム「…えっ?名字…?
僕、ヤマトが名字なんですけど…」
フ「へっ?そうなの?
じゃあキミの名前はムク・ヤマトじゃないの?」
ム「え?」
フ「ほへ?」
─────────────────────
「…一人埋めれば人のためぇーーー
十人埋めれば神のためぇーーー
百人埋めれば悪魔のため…」
教会から少し離れた場所で、金髪の男は変な歌を歌いながら土いじりをしていた。
辺りには墓石のような物が無数に立っており、ここが”墓場”だという事が一瞬で分かる土地となっている…
「ふぅ…今日も満足だ
相変わらず死体が多いな、この禁域は」
(カァー!カァー!!)
「ん?どうしたグリム?」
(カァー!カァー!!!)
「ん?フランが?」
「お~~~い、メメ~~~!!」
「!!」
金髪の男は名前を呼ばれて、声がした方を振り返る。
名前を呼んでいたのは腐れ縁であり、親友であり、相棒でもある男、フランペイン・トーチアが大きな声で呼んでいた。
フ「やぁメメ♪調子はどうだい?」
「…なんだお前、気持ち悪いぞ」
フ「いやぁ~~~件の女と男を始末した喜びかなぁ~~~♪」
「あぁ、虐待してたらしいアイツらか
…結局殺したのかよ」
フ「殺すつもりは無かったんだよ
ただ、アイツらが脆かったんだよ」
「…お前、アイツらが普通の人間だと言う事を忘れ
てないよな?」
フ「まぁまぁ良いじゃん♪
メメも本当は嬉しいんでしょ?」
「はいはいそーだな…ところでフラン」
フ「なぁーに?」
「隣に居るそいつは?」
メメと呼ばれている金髪の男は、フランペインの隣に立つ少年にしか目がいかず、フランペインとの会話がほとんど入ってこなかった。(とりあえずフランペインの頭がおかしいという事しかわからなかった)
フ「あぁ、この子?
この子はムッくんだよ♪」
「ムッくん…誰だよ」
フ「ほら、この先に廃墟の教会があるでしょ?」
「…あるな」
フ「そこに居たんだ♪」
「………はぁ?」
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墓場の中に建つ小屋は金髪の男の住処でもあり、三人は一先ず中に入って話をしあう。
ムクの対面には金髪の男、隣(…というよりゼロ距離)にはフランペインが座り、今の状況を整理する。
フ「ムッくん♪こいつはメメだよ♪
墓場いじりが趣味のイカれた埋葬性愛者だよ♪」
「黙れ天性の加虐性愛野郎
お前のほうがイカれてるだろうが」
フ「わぁ~~~こわ~~~い♪」
「…ったく」
ム「あっ…あの…」
「あぁ…すまない
改めて、私はメメモリ・ユートンだ
よろしく」
メメモリはフランペイン同様に手を差し出して、ムクと握手を交わす。
ムクは相変わらず戸惑っているが、素直に握手を交わして名前を名乗る。
メ「それで?お前は何でこんな奴なんかと一緒に居
るんだ?」
ム「えっ…あっ…そっ…それが…」
メ「そもそも、お前はここの住民なのか?
服装も名前も雰囲気も…ここの住民とは違う感
じがするな」
ム「はっ……はい…実は…」
フ「メメ、ムッくんは”ヨコハマ”って場所から来た
んだってさ」
メ「…ヨコハマ?
何だろう…聞いたことがあるような…」
ム「…あっ!!あのッ!!!
聞いていいですか!!」
メ「?
どうした?」
ム「ここは…一体…どこ…なんですか?
僕…こんな世界知らなくて…」
子猫のように大人しくしていたムクが声を荒げて、メメモリの顔に近づける…
メメモリはそんなムクに一瞬だけ狼狽えるも、落ち着かせて座らせて、ムクにこの世界の事を教えてあげる。
メ「…ココは外界から隔離されし禁域”禁忌郷”だ
忌み嫌われし者、慣れ果てた者、居場所を失っ
た者達が集まる理想郷だ」
To be continued
改めまして、鬱都宮 憂霊です。( •̀ω •́ゞ)✧ビシッ!!
名前だけでも覚えておいてください。( *´꒳`*)
じっくりマイペースに投稿させていただきます。(*^^)v
すぐには更新できないかもしれませんが、気長に待ってくださいまし(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪




