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Hunter & Knight  作者: 桃の精霊
第5章 大賢者と軍事国家
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第29話 大佐"レオン・ガブリエル"

最終日、前夜┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



(黒聖国 軍都シルバーロード Bar"SHARK")


シヴァと、滝壺の寺院(たきつぼのじいん)で過ごした時の仲間であるレオンは、軍本部の近くにあるバーを訪れていた。


丸いテーブルの周りに樽の椅子が置かれた店は、多くの軍人や会社員に人気があった。


シヴァとレオンは1番奥のテーブルに座ると、互いに好きなウイスキーを頼んだ。


レオンはグラスを口に運ぶと、シヴァに話しかけた。

「あの時の礼を言っていなかったな。"地下鉄の事件"は世話になった」



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


地下鉄事件(ちかてつじけん)


シヴァが初めて黒聖国(こくせいこく)を訪れたのは、左腕を無くして、義手を作ってもらいに来た時である。


連続して聖女の誘拐事件が発生しており、調査に向かったシャーロットが誘拐に巻き込まれたのだ。


当時、少佐だったレオンと情報屋のゾロロは何もできなかった中、シヴァは単独で犯行現場の地下鉄へ向かい、シャーロットを救出したのだった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



シヴァはレオンの方を向いて笑顔を見せる。

「何を今さら言っているのさ。困っている友達を助けるなんて当たり前のことじゃないかい?」


レオンはグラスをテーブルに物音立てずに置く。

「そうだな、当たり前だな」


シヴァはグラスの氷をじっと見つめながら話し始める。

「だから助けたいんだ。あの日から3年以上経ってもこの気持ちは変わらない...」


レオンもシヴァと同じように氷を見つめる。

「そうだな、変わらないものだな...」


シヴァはグラスを持ち上げ、氷を回す。

「詩音を襲ったあの日の2人を僕は許さない。"ロスト"と"エデン"を」


レオンはシヴァの方に目線を向ける。

「分かったことは、ロストもエデンも"Treedom(ツリーダム)"の一員だ。奴らがどこにいるか分かればいいのだが...」


シヴァは"Treedom"の言葉を耳にすると、顔を上げる。

「レオンは知っているのかい?"Treedom"について」


レオンはグラスに視線を落としてから話を始める。

「ああ、知ってる。組織のメンバーの詳しくは知らんが、"呪術団(じゅじゅつだん)"や"ソロモン旅団"はTreedomの一員だと言われている」


シヴァは砂漠で出会ったルースの発言とレオンの発言の矛盾に気がつく。

「ソロモン旅団が?ソロモン旅団は"Treedom"のメンバーを探しているって言っていたさ」


レオンは目を開いてかなり驚いた様子を見せる。

「シヴァ、本当か?」


シヴァはレオンの目を見て何度と頷く。

「本当さ!」


シヴァはウイスキーを1口飲むとレオンに仮説を話した。

「もしかしたら黒聖国(こくせいこく)内部に"Treedom"がいたりするんじゃないのかい?」


レオンは少し考えてからシヴァに言った。

「可能性はゼロではない。少しジャック大将とも相談しながら探ってみることにしよう」


シヴァはレオンに話した。

「何か分かったらいつでも連絡しておくれ」


レオンはシヴァに向かって頷いた。


聖大陸(せいたいりく)の北東の大国、黒聖国最後の夜はこうして幕を閉じた。




━━━━━━━━━━━━━━━


(黒聖国 首都ブラッカン 白黒鉄道 ブラック駅前)


白聖国(はくせいこく)と、黒聖国(こくせいこく)を繋ぐ国境鉄道"白黒鉄道(はくこくてつどう)は、連日多くの人で賑わっていた。


中でも人気があるのは、"エメラルドグリーン号"と呼ばれる美しい深緑の寝台列車で、多くの旅行者に愛されていた。


ブラック駅から白聖国の首都クロワイトのホワイト駅までを結ぶ切符を買ったゾロロ。


恋人のシャーロットと一緒にシヴァが来るのを駅前で待っていた。


ゾロロは腕時計を何度も見ながら駅の入口の前を歩き回っていた。

「おそいなぁ...、何してるんだ、アイツ」


恋人のシャーロットはゾロロに話す。

「もし時間になっても来なかったら私が代わりに乗ろうか?」


「おい、何言ってる。お前はここに残るんだ」

ゾロロはシャーロットの方を向いて話す。


「うん、分かった...」

シャーロットはこの上なく寂しそうな目でゾロロの方を見つめる。


ゾロロはシャーロットから目を逸らすと呟く。

「仕事が終わったら2人で旅行でも行こう」


シャーロットは笑みを浮かべる。

「うん、楽しみに待ってる。約束だよ?」


ゾロロはシャーロットの話に頷く。

「ああ、約束だ」


2人が話していると、遠くから物凄い勢いで走ってくる2人の男を見つける。


シャーロットは2人を指さす。

「ダーリン見て、来たよ!」


ゾロロはシャーロットの指さした方向に目を移すとため息をつく。

「はあ、やっと来たか」


シヴァとレオンの2人は駅に到着すると、息を切らしながら両手を膝につく。


ゾロロはシヴァにチケットを渡そうとした時だった。



マントで顔を隠した1人の女がシヴァの方に近づいてくる。

彼女はいきなりシヴァに抱きつくと、その勢いでフードが取れて顔が明らかになる。


シヴァは抱きついてきた彼女を見て思わず呟く。

「ソフィア...!?」


ソフィアはシヴァと顔を見合わせる。

「シヴァ、良かった!やっと会えた!」


シヴァはソフィアの肩を持って尋ねる。

「ソフィア、迎えに来てくれたのかい?」


ソフィアはシヴァの顔を見ながら頷く。

「はい、心配で来てしまいました」


シヴァはソフィアの両手を握る。

「ありがとう!それより熱はもう大丈夫なのかい?」


ソフィアは恥ずかしそうに話した。

「はい、心配かけました。すっかり元気になりました」


シヴァとソフィアが幸せそうに話していると、ゾロロが2人の間にやってくる。

「ほら、2人とも!時間が無いからさっさと列車に乗れ。俺は後から帰る」


ゾロロはシヴァとソフィアに買った2枚のチケットを渡す。


「ゾロロ、申し訳ありません。勝手に来てしまって...」

ソフィアは申し訳なさそうにゾロロのことを見る。


ゾロロは視線を逸らして話す。

「気にするな、ちょっと寂しそうな奴と1日すごしてやりたいだけだ」


ゾロロはそう言いながらシャーロットの方を見る。


シャーロットは嬉しそうにゾロロのことを見ていた。


ゾロロはシヴァとソフィアの方を見る。

「おい、それより時間が無いぞ。話なら列車の中でしろ」


シヴァとソフィアは顔を合わせると改札に向かって走って行った。



レオンはゾロロに尋ねる。

「ゾロロ、あの娘は誰だ?」


ゾロロは笑みを浮かべる。

「貴族なのに庶民的な娘だ、職業は騎士。性格も誰よりも騎士」


シャーロットはシヴァとソフィアが手を繋いで改札に向かう姿を見て羨ましがる。

「良いコンビだね。いいなぁ、私もあんなドラマティックなことしてみたい」


2人の影は遠く小さくなっていく。

幸せな2人、黒聖国を旅立っていく姿に迷いはない┈┈┈




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


(列車の中)


二段ベットの部屋でシヴァとソフィアはベッドに座りながら話をしていた。


「シヴァ、黒聖国はどうでしたか?」

ソフィアは目を輝かせてシヴァに尋ねる。


シヴァは真っ先に大賢者イフリートと訪れた芸術街が頭に浮かんだ。

「スラム街の近くにある芸術街に行ってきた。そこで今は映画館だけど昔は劇場だった場所に立ち寄ったのさ。"ロット劇団"、そこで人気だったのが"リトルクラウン"っていう道化師と売れない舞台女優の恋の劇。その当時のポスターが何故か頭から離れなかった...」


ソフィアは不思議そうにシヴァを見ていた。

「リトルクラウン...?なるほど...」


シヴァは何かを思い出したようにカバンの中から紙袋を取り出す。

「そうそう、すっかり忘れていたさ。これ、ソフィアにプレゼントさ!」


シヴァは紙袋の中から小さな箱を取り出す。


ソフィアの目の前で箱を開けると、中には藍色の美しいアクアマリンのネックレスが入っていた。


ソフィアはネックレスを手にとる。

「シヴァ、これは...?」


シヴァはソフィアに話した。

「聡明で勇敢なソフィアの誕生石のネックレスさ。絶対に似合うと思って」


ソフィアは早速ネックレスをつけてみることにする。


ソフィアはネックレスをつけてシヴァの方を見る。

「ど、どうでしょう?似合いますか?」


シヴァは顔を赤くしながら頷く。

「うん、凄く似合ってる!素敵さ...」


ソフィアは嬉しそうにシヴァに笑顔を見せる。


ソフィアの笑顔を見てシヴァも思わず笑顔になる。

「ありがとう、ソフィア」




寝台列車は白聖国へ向かう、幸せを運んで┈┈┈┈┈┈┈


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