第26話 軍事国家"黒聖国"
隣国、黒聖国へ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(黒聖国 首都ブラッカン)
7人の軍師が治める世界一の軍事国家、"黒聖国"。
全ての法律、政策を決定する黒聖国の軍部"BLACKEY"。
BLACKEYの軍人になることは黒聖国に生まれた者にとっての誇りであり、軍師長に任命された者は"世界の覇者"として名を記す。
これは世界一の軍力を誇る黒聖国の特権であり、"七大軍師"は、国家国王と同じ権限を持つほど強大な戦力を持つとされる。
"巨大な戦力を持つ黒聖国には、世界中から多くの囚人が集められていたのだった..."
(黒聖国 軍都シルバーロード)
イフリートに連れられて、シヴァとゾロロは黒聖国の"軍都シルバーロード"を訪れていた。
シヴァは俯いたまま依然として固い表情を浮かべていた。
大賢者イフリートはシヴァに話しかける。
「シヴァ、焦るでない。炎の錬金術で作る義手は定められた場所でのみしか作れん。それはお主もよく知っておるだろ?」
シヴァは大賢者イフリートのことを見つめる。
「分かっているさ。だから早く行って、早く作り直して欲しいのさ」
シヴァと共に黒聖国にやってきたゾロロはため息をつく。
「はあ...。(それにしても黒聖国に来て錬金が成功するまでに3日はかかるからな...)」
3人とも不安を抱えたまま、BLACKEYの本部"五角城"の前に辿り着く。
BLACKEYの前で止まる大賢者イフリート、すると五角城の中から男と女が1人ずつ軍人が現れる。
女の軍人はゾロロを見つけると飛びつてくる。
「ダーリン!久しぶり!」
ゾロロは抱きつかれた瞬間、あからさまに怪訝な顔を見せる。
「シャーロット...」
軍人シャーロットは頬を膨らませてゾロロのことを見つめる。
「もう、暗すぎ!ダーリン、私のこと嫌いになったの...?」
ゾロロはシャーロットにため息をつく。
「はあ...、相変わらず疲れる。今日は仕事だろ?しっかりしろ」
シャーロットは嬉しくなり笑顔を取り戻すと再びゾロロに抱きつく。
ゾロロは抱きつかれると再びため息をついた。
もう1人の軍人はシヴァの元に近寄っていく。
「よっ、久しぶり」
「レオン、久しぶりさ。レオンは全く変わってなくて安心するさ...」
シヴァは無口のレオンとの再会を喜んだ。
彼の名は"レオン・ガブリエル"、滝壺の寺院の"同志"の1人である。
大賢者イフリートはレオンに話をする。
「悪いがレオン大佐、急を要する。サラマンデル高地への入山を許可してくれ」
レオンは大賢者イフリートに1度だけ頷くと、サラマンデル高地へ向かって無言で歩き始めた。
勝手に行ってしまうレオンにシヴァとシャーロットは揃ってレオンに話しかける。
「行くなら行くって言いなよ」
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(黒聖国 サラマンデル高地)
サラマンデル高地は、燃え盛る"炎の大地"と呼ばれる。
火山活動が活発な場所で、世界で唯一"聖獣・サラマンゴル"が棲む地域である。
サラマンゴルは背中の燃えたトカゲで、絶滅危惧種に登録された生物である。
サラマンゴルは炎の精霊魔法使いにしか懐かず、それ以外の人間に対しては口から火を吹き荒らし攻撃する。
シヴァたちはサラマンデル高地に辿り着く。
「シヴァ、俺たちは危ないから先に下山する。また後で会おう」
ゾロロはシヴァに下山することを告げる。
「分かった。後で合流する」
シヴァはゾロロに別れを告げる。
ゾロロはシヴァが大賢者イフリートと火山地域へ向かっていくのを確認すると下山する。
火山地域に辿り着くと早速、大賢者イフリートは地面に巨大な魔法陣を描き始める。
大賢者イフリートは地面に巨大な魔法陣を描きながらシヴァに話し始める。
「シヴァ、君に教え忘れていたことがある」
シヴァは大賢者イフリートの話に耳を傾ける。
大賢者イフリートは話す。
「君は完全な炎の精霊魔法使いではない。あくまで左腕だけ、つまり"力を借りている"だけに過ぎない。"精霊魔法"は、何よりも強力な魔法だから使いたくなる気持ちは分かるが、大きな力には必ず代償が出る。精霊魔法は使い過ぎると体に支障が出るし、使わないと使用した際に魔力回路の炎症が起き、最悪死に至る」
シヴァは大賢者イフリートに伝える。
「分かった、無理しないようにするさ。ソフィアの高熱と僕が関係していることだけは教えておくれ」
大賢者イフリートはシヴァの方を見つめて話す。
「えっ?何のこと?」
シヴァは目を細めて大賢者イフリートのことを見つめる。
「いや、白聖国を出る時に言ってた事さ。まさか、忘れたのかい?」
大賢者イフリートはシヴァに言う。
「あー、あれね。お前さんみたいなクソガキがあんな可愛い子と仲良くしてるのが気に食わなかったから無理やり引き離しただけだ。あの子とお前さんなら一緒に行くとか言うと思ってよ」
シヴァは途端に大賢者イフリートが来てからの行動が恥ずかしくなる。
「変な嘘つかないでおくれ!もし、嘘ならソフィアの高熱はどうしてさ?」
大賢者イフリートは魔法陣を描き終える。
「そんなのは簡単だ。お主の体が何かソフィアちゃんに影響を及ぼしたんだろうがよ。俺の知ったことではない」
シヴァは何かを思い出す。
「詩音の言ってた不幸を巻き起こすってことか?ずっと傍で寝てたから魂に影響したのかもしれない...」
大賢者イフリートはシヴァの頭を思いっきり殴る。
シヴァは殴られた頭を押さえながら大賢者イフリートに怒る。
「急に何するのさ!」
大賢者イフリートはシヴァに下を出してバカにする。
「べーっ!シヴァくんなんてべーっだ。あんな可愛らしいソフィアちゃんが入院中傍で寝てただと?ふざけるな!お前の腕なんて直してやらない!」
シヴァは大賢者イフリートの尻を思いっきり蹴る。
大賢者イフリートはシヴァに怒る。
「こらっ!大賢者に向かって何するんだ!?」
シヴァは大賢者イフリートに冷静に言い返す。
「大賢者は自分のことを大賢者なんて言わないさ!そんなこといいから早く始めておくれ!」
大賢者イフリートは不貞腐れながらサラマンゴルを1匹連れてくる。
「分かったよ、さっさと始めよう。ほら、円の中心に座れ」
シヴァは大賢者イフリートに言われた通り、魔法陣の真ん中に座禅する。
大賢者イフリートはシヴァの背後に立つ。
「今からするのは炎の儀式だ。念を押して言うが今後火力の強い魔法を使う時は注意しろ。分かったな?」
シヴァは大賢者イフリートの話に頷く。
「分かったさ」
大賢者イフリートはサラマンゴルをシヴァの左腕に乗せると魔法を発動する。
『聖炎錬金』
大賢者イフリートが魔法を発動すると、火山の噴火が起こったような熱が魔法陣から発せられる。
さらに炎の竜巻が魔法陣から舞い上がり、炎はさらに大きくなっていく。
そして、天まで巻き上がったところで炎は忽然と消える。
魔法陣の下で大賢者イフリートは呟く。
「ふぅ...。成功した。何度やっても慣れんな...、お前のその姿は」
髪の毛から爪の先まで絵の具のような真っ白の肉体、骨が見えるほど痩せ細った体、地面に毛がつくほど伸びきった髪...。
「ああ、慣れないさ」
白いまつ毛を動かしながら自分の体を見つめ直すシヴァ。
全てが白く美しい肉体はまるで"白の樹化異"のようであった。
しかし唯一黒くなっているのは、義手の左腕。
以前と刺青の模様が変わっていることに気がつく。
手の甲に陽、それを食べる龍が左腕に巻きつき、左肩から脇にかけて12の十字架、左の首筋に聖剣が2本交差していた。
義手の部分以外にも刺青が現れていることから大賢者イフリートは驚く。
「義手以外にも刺青...。信じられんな、まさか本当に"5人目の精霊魔法使い"ということか?」
シヴァの体にいったい何が!?┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




