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あたしのしたいちがたりない

2020/03/20 漢字表記を微修正です。

--------

前の話があんなんだから、あんまりおちゃらけられないなあ。

でもエロ入れたかったんや…


結構すぐ脱げるんだね。

■■■ あたしのしたいちがたりない ■■■


 何処か静かな朝。衛星都市ダウジングロッドは晴天に恵まれ風も穏やか、大通りは学園プラチナプラタナスへ向かう生徒の流れがピークを迎えている。彼らの他にも往来は多くの勤め人が行き交い、最も混雑している時間帯のはずなのだが、今朝は何処か静かだった。

 いや、周囲の喧騒が自分の頭に入って来ないだけかも知れない。教室の自席で頬杖を突いて窓の外を眺めながらミーシャはそんな事を考える。ふと掛けられた声に緩慢な動作で上体を起こした。


「──ぁあ、ケイト。おはよう、大丈夫?」

「…ん…うん。まだちょっと調子出ないけど、何とか。」


 親友のケイトである。ここ最近元気を取り戻しつつあるように見えたが、また体調を崩したのか今週に入ってから二日間登校して来なかったのだ。笑顔を見せるもののやはり元気が無い。精神的にと言うより単なる体力的な消耗、そんな風に窺える。よく見れば足に包帯と絆創膏。


「!どうしたのその足?」

「うん。……あー、その───い…家の二階から、階段を落ちちゃって×。」

「×うわ、そうだったんだ。大丈夫じゃないじゃない、お医者さんに診てもらった??」

「うん、まあ。───

────────────ねぇ、──ジェズ君は?」


 ケイトの問い掛けにミーシャの顔は徐々に強張る。困ったような怒ったような悲しいような何とも言えない複雑な表情だった。


「入院してる…らしい。」

「──どうしたの?」

「うん。先週土曜に仕事で都心へ出掛けて行ったんだけど、──強盗か何かに襲われたらしくて…」

「大丈夫なの?」

「聞いた話だけだから、判んないよ。」

「……」


 ジェズは酒蔵(ワイナリー)へ戻っていなかった。日曜の昼に一人だけ汽車で帰って来た姉の言うには、先のような話らしい。二人が黙り込んでしまったのにはこの国の事情が絡んでいる。


 第一に、この国にヴィリジアンを入院させてくれるようなまともな医療機関は存在しない。


 かつて彼らを受け入れてくれる病院が無かった訳ではない。しかしそんな病院では、同室になったシルキッシュの患者総勢から蛮緑(ばんろく)と同じ扱いは自国民に対する侮辱であるとクレームの嵐が巻き起こるのだ。診察に応じただけでも不衛生であるとの評判が立ち、病院側は経営が成り立たなくなってしまう。ジェズが入院した先は普通の病院ではない、隠れて違法行為を行っているかも知れぬ怪しげな診療所モドキと言う事だ。


 第二に、強盗に襲われたのなら立派な事件であるが、警察は動かないので被害者は泣き寝入りをするしかない。


 被害者はヴィリジアンただ一人、それがどうなろうと赤の他人のシルキッシュに関心は無いからだ。被害者が事件に懲りてこの国を去るかこの世を去るかするなら万々歳、何処までも爽やかな下衆ぶりである。社会の暗部をまざまざと意識させられ、ミーシャとケイトは二人して嫌な気分を味わう。


「早く…治るといいね、」

「───うん。」


 ベルが鳴る。息を切らせながら教室へ飛び込んで来る生徒の姿がちらほら、本鈴より予鈴の方が何処か緊張感がある。慌ただしさから静けさへ移り行く学舎特有のこの雰囲気、そんな中に自分も居られる事をケイトはいつも尊く感じていた。


「ミーシャ、」

「ん?」

「お姉さんは無事なのね、」

「あぁ、うん。全然なんともない、学園にも普通に来てるし、いつも通り。」

「そう。」

「───どうしたの?」

「ぇ、いや。…良かったね、」

「うん…」


 もっと友達を想って言葉を掛けてあげられないものか。

 心に余裕を持てないのかな、二人は互いにそう思っていた。


 それからもミーシャは上の空だった。


「で、あるからして、昨日の公式を使えばこの通り同じ要領で解く事が出来る。簡単だろ?するとこっちの式も解けるな?次、あーメリーベル。やってみろ。」

「─────────」

「メリーベルー、」

「─────────」

「───、」


「ちょっとミーシャ×、──ミーシャったら、」

「─────────」

「←ミー★じゃんっ!?」


 ミーシャへ真っ直ぐ向こうと身を乗り出したケイトの後ろに、数学教師の投じたチョークが突き刺さった。頭を抑え教壇へ振り返ればバツの悪そうな教師の顔、射線上に彼女が入ってしまった格好だ。後ろ髪からチョークが思い出したようにこぼれ落ち、ケイトは黒縁眼鏡のずれを直して膨れる。生徒達の笑い声にミーシャは漸く意識を取り戻した。


「どうしたの、ケイト?」

「……、」


 体育のバレーボールでも、


「まだまだ繋げる!」「「ナイスフォロー☆!」」「頼んだ!」「貰ったあ!」


「★?ミーシャ!ボール来る!ボール!!」

「──────」

「←ミー★べふうっ!!」


 バレー部所属の女子生徒が放った殺人スパイクを横っ面に食らい、ケイトはミーシャの身代わりに遥か後方へごろごろ転げてぱたりと俯せた。ホイッスルが鳴る。


「×大丈夫ケイト!?休んだ方がいいんじゃない?」

「××、」


 家庭科の調理実習でも、


「あなた達は野菜切ってもらっていい?こっちは生地の仕込みをしとくー。」「今日は難しい材料ないから楽でいいよね☆、」「野菜洗ってくから皮を剥いてくれる?」


「──────」

「ミーシャ、刃物を持ってるんだからボーっとしないで…と言うより、それやっぱり私にやらせて、」

「──────」

「ぁあ…、それでも皮は剥けるんだ。器用ね↓。」


 しっとりとして軽妙、キッシュの焼き立てにナイフを押し当てたらこんな感じがするかも知れない。ケイトは「あ」と声を上げた。ミーシャの指先から手首に掛けて結構な量の血が伝い、白いエプロンに赤い斑点がはたはたと散らばる。


「←★!?ミーィィイイシャアアアアアアアア×!〒*@!」

「!ぇど…どうしたのケイト、大丈夫?!今日なんだか変だよ?」


 それは私の台詞だちゅーの、ケイトは半ギレでミーシャを保健室へ牽引して行く。一刻の猶予もならなぬ強い使命感に突き動かされていた。自分の心身が持たないと言う危機感も多分にあったりはするのだが。


 勇んで保健室の戸を開けると、そのすぐ真裏に小さなナース姿が立ち塞がっていた。

 え、これは…


「なにわのはにわ。」


 開口一発、謎のプレッシャーを掛けて来る。看護婦トキミである。何故そこに居る。

 そしてジト目で睨まれる覚えはない、それとも聞き違いでもしたろうか。


「は?」

「いえ。何でもありません…何でも──────」


 気が済んだのか部屋の奥へと引き返して行く。床に脚のついていない、まるで幽霊のような不気味な足取り。ケイトは室内に踏み入れた脚を戻して廊下の室名札を確認する。保健室で間違いない、何なんだ。

 躊躇していると室内の奥からぶっきらぼうな声が掛けられた。


「入るなら入れ、」

「…はーい、──────?」


 切った薬指をしゃぶるミーシャの肩を持って部屋に入ると、部屋の主とは違う人物が椅子を回してこちらを向いた。大学側の保険医ジュウモンジである。有名人なので見知ってはいるものの、ケイトに面識は無い。


「ここ…高等部」

「代理だ、気にするな。それよりどうした、」

「ああ、─この子が。」


「──────」

「付き人はどうした?」

「…ジェズ、休んでる。」

「あれがか──何があった?」

「──────」


「あの、先生、早く…」


「急かすな。どれ、

───────────────切り傷だな。」


(ダイジョーブかこの医者。)


 見れば判るわ早く手当てすれ、ケイトの心中では結構えげつない言葉がエキサイトする。この男、そもそもとても医者には見えない風貌だ。死者の国から来たと言われても驚かないし、むしろ腑に落ちる。親友の身を預けるに一抹の不安も抱こう。


「自傷行為か。」

「事故ですっ。調理実習中に不注意で。」

「本人の内にそれをさせる要因があったのだ。放置すれば外傷は増えるばかりだぞ。」

「そんな、まさか」

「お前のそれも似たようなものだろう。」

「★!?→───ぇ…」


 ジュウモンジが見下ろすケイトの足は包帯と絆創膏だらけ。彼女はその視線から庇うように両足を摺り合わせ、両手でエプロンの前をスカートごと腿へ押し付けた。


「こ…こここれはっ、かいかい階段からっ落っここ!!」

「自傷ではないが似たようなものだ。」

「×っ……──はい。そ、そうです…↓ね。」

「お前も診てやろう。そこへ座れ、」

「★×えいえ!私は大丈夫、全然平気ですし!」

「そうは見えんな。」

「~~~、」


「──先生、傷の手当てを。」


 ベッドカーテンの端を掴みつつ陰から顔を半分だけ覗かせトキミが言う。陰に篭って物凄く、圧倒の負のオーラかく有りなん。

 ケイトにはトキミの鬱が解らない。前回屋上でスク水ナースの恥辱エンドを迎えた彼女をジュウモンジの許へ送った際に何か粗相をしたろうか。そして自分について何か知っていると言わんばかりの保険医の意味深な言葉、ケイトは何かに追い立てられるような気がして来た。


「あのっ×、私実習に戻りますので!この子の事お願いします!→→」


 動揺を隠し切れず何も無い所で躓きながら逃げるようにその場を後にする。トキミの視線は更に凄みを増してこの空間を支配した。


「また適当な事を言って。」

「適当ではないだろう。」

「早く手当てをされては如何?」

「何だ。まだ根に持っているのか、」

「そんな事はっ~」


 何が彼女を不機嫌にしているのかと言えば、この黒い男がまんまと愉快になれる事の運びにあった。

 ジェズに纏わるメリーベルの一件で何かと面白がろうとするこの男を、トキミは賭けの詭弁で大学側の保健室に括り付けたつもりだったが、彼は高等部の保険医から学会の都合とやらで代理を頼まれ、賭けの元ネタとの距離はむしろ近付いてしまったのだ。そこへ元ネタと最も密接な関わりのある人物がお誂え向きに現れたとなれば、それを好まざる者としては何をわざわざと思いもする。


 ところが、仏頂面から透けて見えていた上機嫌は次第に(なり)を潜めて行った。


「全治二週間と言った所か。動かさなければ痕は殆ど残らん。」

「─ありがとう、先生──────」


 指に包帯の巻かれた左手を見詰める。この調子では面白い話などとても聞き出せそうにない、当て外れを悟りジュウモンジの口角が下がる。端で見ていたトキミもそう知れたらしく、機嫌を治めぬ内にカーテンの向こうから出て来た。


「見た目以上に重症ですね。」

「こんな事もあるものか。不器用な姉妹だ。」

「不器用ですか、」

「器用なものか。」


「授業、戻らなきゃ──」

「止めておけ。どうせ身に為らん、周りも邪魔だ。」

「でも」


「周りの人を気にする割に周りの人の気持ちを気にしてないようですね、」

「──────」


 これは駄目だ、ジュウモンジはすっかり興醒めしてしまった。然りとて心に問題を抱える憐れな者を放りっぱなしに出来る程ろくでなしでもない。彼は早々に処方箋を渡してやる事にした。


「ジェズだな。」


 保険医の言葉に少しだけ反応する。ミーシャの瞳の奥に昂るものは無く、感情の境界が曖昧になっている。感情と表情の乖離、見るに居たたまれないジュウモンジは言葉を続けた。


「野暮は訊くまいよ。だが、ここ暫くお前は面と向かってあれに接していないだろう。」

「───先生…」


 たかだか三日である。

 ミーシャの様子だけでは三週くらいに見積もられた。


「お前が動かぬ限り事態は何も変わらん。」

「動くったって───あたし、何したら…」

「差し当たりジェズと会う事だ。」

「……今ジェズは居場所が分かんない。お姉様が『大事を取らなきゃ』って…教えてくれなくて、」

「姉か。」

「──────」


 ミーシャは押し黙る。彼女が思うに、ジェズは恐らく「姉の賭け」に携わり生命の危険と遭遇した。それは家運を賭けたその二人だけの秘密、情報の漏洩が招く損失は想像もつかない。そして自分が本件へ関わる事をジェズは是としなかった、何より自分の身を案じてくれての事である。

 そう考えるミーシャはメリーベルのためにも下手を打てない、自ら動き出す事が出来なくなってしまったのだ。


 ジュウモンジは息をついて瞼を閉じる。少し腰を浮かせて座り直した。


「あれの事だ、霧魔(むま)の時と同じく厄介事に巻き込まれたのかも知れん。」

「───多分───」

「姉から訊き出す方が早い。」

「──────」

「──まぁ、好きにするがいい。」


 表情一つ変えず机へ向き直りカルテに筆を走らせる。ミーシャは何処を見るでもなくその場で静かに立ち上がると、座っていた丸椅子が床を引っ掻いて後ろへずれた。


「ねぇ、先生…」

「何だ。」

「ジェズに逢ったあと、あたしは何をすればいい?」

「いいとは何だ、」

「ぇ、」

「テストで高い点数を獲りたいか?」

「あたしは別に、テストの話なんて」

「必勝法を教えろと言っているようにしか聞こえんのだ。」

「──それはまぁ。感覚的にはそうかも…」

「テストで高い点数を獲りたいのなら、出題傾向を調べ上げ、注力箇所を絞って勉強するだけだ。」

「だからテストの話なんて」

「お前は何がしたい、」

「えっ?」


 顔を上げた先、ジュウモンジの不思議な眼差しが見詰めていた。


「何をしたいのかだ、『お前が。』今のお前には先ずそれが抜けている。」


(何をしたいか?それは………酒蔵が大事にならないようにする事。でもそれが分からないから、こんなにモヤモヤしてるんじゃないっ。───


───あれ、


モヤモヤ?…ちょっと待って。───「大事にならないように」ったって、そもそもあたし…ならせたくない大事が分かってないじゃない。それ分からないのに「したい」も何も……順番おかしいよね?モヤモヤはきっとそれだ。


あたし、何か大事な事がすっぽ抜けてる??)


 どうやら上の空から舞い戻って来られたようだ。

 トキミはそんなミーシャの傍まで歩み寄り口添えした。


「もう分かったのではないですか?

後はテストとそう変わりありません。抱える問題を吟味して、重要課題に自らの身を斬る事です。」

「身を…斬る、」

「痛みや苦しみを恐れ逃避する者が何を成し得るでしょう、何事も相応の対価を支払わなくてはならないのですよ。」

「──抱える問題が…全部重要だったら?身が持たない。」

「それは全部が重要でないのと同じです。貴女は吟味を済ませてもいないのに何を言いますか。

これだけ助言を得ていながら、問題の精査にまで教えを望むのですか?」

「そんなの、聞いて分かるなら教えて欲しいに決まってるっ。」

「─その開き直りは好ましくありませんね。」


 筆を置く音。保険医が椅子を回して二人へ向く。


「一人の出来る事など高が知れている。その高を越え、無数の事象を一纏めに上手く運べるような無思慮に都合の良い方法など有りはしないぞ。」


 畳み掛けるようにトキミが迫った。


「何もしないまま今の状況に甘んじるか、」

「~」

「今せめて分かる自分の望みだけでも犠牲を払って叶えるか、」

「……」

「何をすべきか。もう分かるでしょう。」

「───」

「──もう、はっきりしませんねっ。貴女らしくない。


←答えなさい、貴女は何者です?」

「?あたしはあたしじゃない。何言って」

「貴女は彼の何?」

「っご…ご主人様よ。」

「その彼は貴女の?」

「付き人だってば。」

「もう一度訊きます、貴女は何者ですか?」

「~ぁああもう、あたしはあたしだって言ってるでしょっ。」


「何と言っていたろうな──────」


 対峙する二人の横、置いたはずの筆の柄で保険医が自身の難しい顔を掻く。


「百年続く老舗の秘訣とやらを当主から聞いた事がある。──酒蔵メリーベルの経営は代々…」

「☆★!?↑↑!」


 腕を腰にトキミへ向かって前傾していたミーシャは、言葉を聞いた途端に上へ伸び上がった。瞳に光はみるみる蘇えり、負傷した薬指を思わず力ませちょっぴり跳ねる。


「×~──もぉお、イジワルっ。そういう事、早く言ってよ!」

「「………」」

「そっか。こんな事してる場合じゃない!あたし、とんだ時間の無駄遣いしちゃった。」

「解ったならもう行け、」

「うんっ。ありがと☆先生!」

「何かあればまた来るといい。」

「分かった!」


 すっかり吹っ切れて三角巾とエプロンを剥ぎ取るように脱ぐと、ミーシャはいつもの調子で保健室から駆けて出て行った。戸が閉められるまでを見届けてから保険医は顔色一つ変えず机へ向き直る。助手は小さな鼻から息を一吹きすると上がっていた肩を落とした。


「とんだ不器用だこと↓。あれだけ答えを言ったのに、今日に限ってあの子の背中はまるっきり暖簾(のれん)でしたね。」

「酒蔵の事情に絡む姉からの一方的な制限。普段一緒の付き人との隔絶が、あの娘にあれほど堪えるものだったとはな。


酒蔵には似つかわしくない異常事態が起こっているはずだ。メリーベルでそんな事がと言えば、ジェズが来た時の騒動を挙げずには居れん。」

「何だかんだでもう半年以上も前の事ですか。」

「初めてジェズを診た時の事を思い出してな。あれを頑なに庇い立てしていたのは姉だった。」

「あの頃、妹の方は彼に対し随分と懐疑的だったじゃないですか。療養中もろくに顔を見せませんでしたし、今と大違いでしたね。」


 トキミがメリーベルの家人と接触したのはこの時期からである。ミーシャとの面識はそれほど無かった。


「突き放しておいて何ですが、彼の入院出来そうな所は流石に不安ですね。」

「不逞の輩に身体を売られかねんな。」


 五体満足で売り飛ばされればマシ、保険医の言葉は人体のバラ売りを指している。近隣諸国に臓器移植の技術は無く、絵空事程度の知識しか持ち合わせていない。人間の「部品」の需要は人命救助ではなく、専ら狂気で満ちた呪術的な目的に由来していた。祭壇に供物として捧げたり、呪いのアイテムの材料にしたり、そのまま肉欲を満たしたりと枚挙に暇が無い。


 恐ろしいのは、それを必要とする者がシルキッシュを呪うヴィリジアンばかりではない事だ。故に洞のような組織が暗躍し得る。


「でもお館様は───今この状況をあの子らに任せて大丈夫とお考えなのですね?」

「何だ。手を出して良いと言うのか、」

「そーわいってませんっ。」

「フフ、恐らく大丈夫だろう。あの三人はあの三人だからこそ上手く行く、今はそんな気がするだけだ。」

「不器用なのに?」

「不器用だからな。」


 次の機会には面白い話が聞ける事だろう。

 姿勢を崩し瞼を閉じるジュウモンジの表情にはそんな期待が垣間見えた。


「──茶にしよう。トキミ、」

「無いですよ。」

「─────────────────────何?」

「いや、だから。無いですってば。」

「お前が茶を切らせるとは珍しいな。」

「切らせた訳ではありません。」

「?」

「『?』じゃないでしょう、ここは大学の保健室じゃないんですから。」

「そうだったな。──────っ!」


 表情筋朴念仁が何かに気付き片方しか見せていない目を見開く。片手で口の周りを覆い「そんな馬鹿な」と言わんばかりの驚愕の表情を見せた。慣れっこのトキミはまたジト目になる。こう言う時この真っ黒は不吉な見た目と裏腹に大した事など考えていない。


「これは確認だ。あくまで念の為『まさかそんな事』等と少しも思わん事は無いだがしかし、万に一つの可能性を否定出来ないのは紛れもない事実。だからこそ其れが故、(すべか)らく押し並べて状況を改めるに到るはこの世の必定。真理と言っても良かろう。」

「はぁ。」

「よもや、──────茶菓子が無い等とは」

「言いますってだから。」

「↓↓↓何故だ…」

「×だーから、ここは高等部の保健室ですいつもと違う場所なんですっ。」


 横でぷんすかする助手を他所に保険医は俯き加減で立ち上がった。やれやれ、


「戻るか。」

「────────────

★はぁぁあああああっ?代理を引き受けてここへ来ましたよね?!茶菓子が無いから戻るとか何言ってるんですか!?」

「うむ、言いたい事は分かる。しかしそれとこれとは話が」

「うるさいですだまるですっ。~さては、あの子達へ近付く事が目的で代理のお話に根回しなどされてませんよねえ?」

「便宜を図ったのだ、誓ってイカサマなどしておらんぞ。」

「↑↑ど~ぉうおだっか~っっ…」


 トキミが爆発寸前、そこへちょっと待ったと言わんばかりに保健室の戸が威勢よく開いた。


「←先生!怪我人です診て下さい!」

「何だどうした騒々しいっ、」

「あれ?ええとっ、こいつ体育館の二階から転げ落ちて脚が動かせないんスよ!!」

「む…」


 体操着の男子生徒らが右膝を浮かせる生徒の両肩を担いで入って来た。保険医は一目で腓骨(ひこつ)の完全骨折と見抜く。時を置き変に骨癒合(こつゆごう)させてしまうと患者は後々痛い目を見る、何もこのタイミングでなどと眉間に皺を寄せたその刹那、


「保険の先生ぇ、この子体調不良です。授業の途中で気持ち悪くなっちゃってぇ。」

「何?」


 追加オーダーは女子生徒の二人組、片方が真っ青な顔で相方にもたれ掛かっている。生来の虚弱体質が調子を崩したな、こっちはとりあえず寝かせておけば良い、助手を呼びつけようとした矢先に間髪入れずトドメが()れる。


「これはジュウモンジ先生、お疲れ様です。早速で恐縮なのですが…先生、腰痛に効く薬はありませんかなっ××、」

「…理…事長………」


 これではさしものゴーイングマイウェイも立ち行かない。黒男は目頭を暫し押さえると、言葉数少なく診療に当たる。この期に及んでも面構えは変わらぬが、そこはかとなく悲痛な空気を漂わせていた。

 そんな保険医を傍らで補佐しながらトキミは「こんな事もあるものね」と少しだけ含み笑い、漸く気が晴れたようだ。カルテを整理していると先に立ち去った患者の物に目が留まる。


『1年1組ミーシャ・メリーベル、貧血による体調不良につき要安静。──早退。』




☆☆☆


「ただいま!ミソッカス。」

「あれ?リュアラお嬢様、お帰りなさ」

「←ねえミソッカス!あのっ…ミーシャは?!」

「──はい?」

「ミーシャは戻ってないかしら?!」

「はぁ、結構前にホールへ来ましたけど今はも」

「★っ!→→」

「おー…ぉ、」


 夕刻前でも空に赤みはまだ差していない、近頃めっきり日も延びたもの。放課後早々に一人で下校して来たリュアラは妹を捜して屋敷内を駆け回った。しかし、彼女の予想通りであれば妹はここに居ないはず。


 今日の昼休み時間、リュアラはミーシャから脅しを受けていた。


 妹が姉を脅す。これまでの日常生活であり得ない、普通ならあり得ない出来事である。しかしリュアラは現状が普通でない事を身を以って理解していた。それでも妹があれ程まで強い意思を以って行動するとは思いもしなかった。


「っ×…あぁ、カルヤさん!」

「リュアラお嬢様、お帰」

「←あのっ、ミーシャを見掛けなかったかしら!?」

「いえ。」

「そう………っお父様は?叔父様は?」

「揃ってお出掛けです。土曜夜までお戻りになりません。」

「それではお爺様は?!」

「恐らくジュゼッペさんの処かと。」

「……──ちょっと行ってきます。」

「…。」


 妹に突き付けられた要求は「ジェズの居場所に関する情報の開示」。たったそれだけ。


 拒否するならば背任の疑いを問い、次期後継者の資格を剥奪するなどと言い出した。無論、ミーシャにそんな権限など与えられてはいない。しかし、それを必ず成し遂げると、姉妹の離別も辞さぬ覚悟を見せ付けられたのだ。

 当然リュアラは要求を突っ跳ねた。瀕死のジェズを受け入れてくれたのは患者も医者もワケありで、立地は交通の便も治安も悪いいわゆる悪所(あくしょ)。裏事情を知らず活用する術も無い未成年のシルキッシュが見舞いなど言語道断である。


 リュアラが伏せていたジェズの居場所。

 彼女の取った大事とは、彼の為ではなくむしろミーシャの為だったのだ。


「←もし!お爺様、居らっしゃいますか!?」


「おぉリュアラ、お帰り。」「お帰りさん。」

「あぁ、ジュゼッペさんも。…あのっ、ミーシャは?ミーシャがこちらへ参りませんでしたか?!」

「いいや、見とらん。」

「すると車はっ、」

「婿殿の乗った物以外は車庫だが。薬売りの連中までは判らんぞい。」

「そ…そうですか…」


 運転を任せられそうな人物に他の心当たりはない、ミーシャに車は使われていないようだ。ジェズの居場所を聞いたなら現地へ向かったのではなかったのか。握った人差し指に口許を押さえ、思案を巡らせる。険しいその顔に祖父は白い口髭を弄りながら問い掛けた。


「どうした血相変えて。一緒じゃなかったのか?」

「★☆↑!」


 重大なミスをした、その事実に気付きリュアラは戦慄する。


 ミーシャの望みに応える際、なぜ自分は妹と行動を共にしようと考えなかったのか、大いに悔やまれる。非常事態を空元気で日常に持ち堪えている所へ、予想もしない熱い想いをぶつけられ心を揺さぶられたのだ。自分が冷静な判断をすっかり欠いていたのだと思い知った。


 恐らく妹は汽車で病院へ赴いたに違いない。徒歩での現地の移動は危険に遭遇する確率が跳ね上がる。現当主不在は不幸中の幸いか、黒ワインを周囲に知られる事無く妹を守る方法は……


「どうした?大丈夫かリュアラ、」

「いえ、お騒がせしました。失礼します。」

「おぉ。」「?」


 ジュゼッペの仕事小屋を後にする。リュアラは確りとした足取りで屋敷への道程(みちのり)を進んで行った。動揺しきっていた先程とは打って変わり、凛とした空気を纏っている。もはや風格と言って差し支えない。彼女は妹の力強い「宣言」とその時の姿を改めて胸に受け留める。今自分が妹にしてやれる事は何も無い、出来る事があるとすれば、


(あの子の言葉を信じましょう。──あの子だって私と同じ、

「一緒に酒蔵メリーベルを担う次期当主なのだから。」)




「…なんて恰好つけてみたはいいけど、これは想像以上に難儀ね。」


 姉が妹を案じている頃、当人は厚手の帽子に厚手のコートで身を包み、暑さに耐え兼ねボヤきを出し始めていた。季節外れの完璧防寒、それはそれは暑かろう。変装と言う訳ではないが、これでも線の細い女子供とカモにされないよう対策を施したつもりである。暑さに見合った効果は残念ながら得られていない。


 角ばっただけのつっけんどんな構造物が狭しと軒を連ねる生活感の無い町並み。時々すれ違う者の目は暗に周囲を警戒していながら空々しく無関心を決め込んでいる、牽制していないと牽制している。いい加減慣れても来た独特の気配に目を遣ると、建物同士の昏い隙間からまた怪しげな人影が二つほど滲み出て来た。ここは首都テーブルターニングの倉庫街から西に程遠い迷路のようなかつての街道、通称【騙絵横丁(だましえよこちょう)】。


「───」「───」

「失礼、そこを通してもらえる?」

「──────←」

「!→ちょっと、何するつもり?」

「「──────」」

「あー。こんなのばっかり、キリがない。──分かった分かった『ごめんなさいね。』」

「「★★×!」」


 言葉も無くミーシャに掴み掛かろうとした二つの人影は、鈍い音を立てて頭を明後日へ向かせるとそのまま無造作に崩れ落ちた。往来の視線に変化は無い、辺りを一瞥するミーシャの左右へ新たに影が降って来て屹立した。


「これで4件目。」「見た目を誤魔化せても、匂いは誤魔化せないって事。」

「失礼ね、あたし臭くなんかないっ。」


 彼女の両脇を固めるローブ姿はジェズの忠臣ナスカの二人、ザクレアとユーディーだった。次期当主ミーシャ・メリーベルの密命により彼女を離れから護衛中、「ごめんなさいね」の合図で話し相手を襲撃する手筈となっている。

 ミーシャは昏倒している人影に歩み寄り、ご尊顔を窺おうと身を屈めた。職業不詳の冴えない服装をしたサルファラスのオッサンが二人、涎を垂らしながら白目を剥いている。深い海で稀に獲れると言う駄魚のような面構え。いつか図鑑で見たろうか、博物館だったろうか、そんなどうでもいい事に思いを馳せた。


「何がしたかった?」

「知らない方がいい事ってあるよ。今のお嬢に必要ない。」

「流っ石。慣れたものね、」

「この辺も何回か来てるし。」


 あっけらかんと答えるユーディーの隣、ザクレアはそこらの物陰を窺いながら訝しむ。


「シルキッシュの小娘目当てにしては様子がおかしい。」「それ。カラダ目当ては間違いないけど、寄って来方が変。カラダは何かのついでみたいな。」

「あんた達、もうちょっと言葉を選びなさいって↓。」


 肉体目当てなど乱舞系の必殺技を処すに相応しい許されざる案件だが、得体の知れぬ何かに乙女の貞操が価値で劣ると言うのは如何なものか、思う所が無い訳でもない。気を取り直そうと咳払いもしたくなる。


「それはさておき、やっと着いた。お目当ての場所は──あそこよ。」

「お嬢はユーディーと先に。」

「ザクレア?」

「私は念のため一帯を警戒しておく。何か匂う。」

「あたしじゃないからね×。とりあえず見張り任せた、後でユーディーと交代して。

─行くよユーディー、」「かしこまり←。」


 日暮れ前に何とか辿り着けた。辺りは変わらず不健康だが、その建物だけは多少なりとも衛生的に見える。ジェズが入院していると言う【表札の無い病院】、この騙絵横丁で他に代わる医療施設は無いらしい。

 建て付けの悪い曇りガラスのドアをこじ開け中に入ると、消毒薬の強烈な刺激臭に襲われ二人は激しく咳き込んだ。人っ子一人居ない待合室は暗くて妙に埃っぽい、二人は涙目になるほど尚も咳き込む。暑苦しさにいい加減耐え兼ねミーシャが防寒着を脱いでいると、受付と思しき開け放しの小窓から文句が聞こえた。


「うるさい──」


 カーテン越しの人影、聞き取り易いが陰気な娘の物言いにミーシャはイラッとする。


「~クスリ臭いわホコリ臭いわ、衛生管理できてんのここっ?」

「冷やかしなら帰れ。」

「見舞いに来たの。主治医と話がしたいんだけど、」

「何の──」

「患者の容態よっ。あたしは身内。」

「知らない、帰れ。」

「~あんたねえぇえぇえええっ、」


 その横から風を切ってユーディーの片腕がカーテンの向こうへ突っ込んだ。鷲掴みで引き摺り出された物は巻き癖の強い濃紺のショートボブ、吊り上げるように顔を前へ向かせても海草のような前髪で目許はよく見えない。歯を剥く口だけの化け物が連想された。釣り人も負けじと歯を剥く。


「とっとと医者を出せ。こっちは色々鼻についてイライラしてんだ!」

「ぐギギギっ~~!はっなっせ、」

「お?いい事思い付いた。ここで怪我人を出せば医者も出て来るじゃん☆?」

「~~コロしてやるっ…」


「↑仕事を増やすなぃ小娘共っっ。」


 廊下の奥からドラ声が響き渡る。ドアを開け閉め、履き物で擦り歩く音と共に、暗がりから白衣を纏う医者然としたずんぐり男が姿を見せた。白髪のザンバラ頭にモップのようなモジャモジャ顎髭、皺が深く眠そうな顔をした背中の丸いシルキッシュのオヤジだった。


「な~にをピーチクパーチクやっとんじゃ、強盗かあ?ここが誰の土地か分かって入ったなら褒めてやるっ。後の事は知らんがな、」

「医者の不養生ね。あたし達が強盗に見えるならお医者様に掛かる事を奨めるわ、ご同類かも知れないけど。」

「ハん、」

「──患者の見舞いよ、本人に会いたいんだけど。身体の具合も聞かせて欲しい。」

「お前さんら、ここがどう言う所か…承知で来とるんだろうな?」

「患者をちゃんと治してくれるならここがどーとかどーでもいいの。」

「治さんと言ったら?」

「役立たずに用は無い。治せないなら患者はこちらで引き取る。」

「ハッ、(さえず)りよる。」

「時間の無駄、何もしないならこっちで勝手に捜す。」

「面のデカい他所者だ。患者の名は?」

「『ブラック・ドゥー』。」

「「★っ!?」」


 姉から伝えられた面会時の合言葉、たったその一言に医者と口だけお化けは沈黙し、ミーシャの要望に大人しく応じた。彼女の手並みにユーディーは内心「やるじゃんお嬢」などと関心する。

 ナスカの二人もリュアラの命でジェズに会う事を禁じられ、三日目にもなるとかなりの不満を溜め込んでいた。そんな所へミーシャから「会わせてあげる」と囁かれたものだから二人が跳び付かぬ訳はない。先のやりとりも大した内容ではないが、やってやると言う判り易い意気込みと物事をスイスイ進めて行く遂行力が痛快で、彼女に従いこんな処まで出張った次第である。


 案内される道すがら、部屋の出入口を通り過ぎる度に開いている隙間から視線を感じる。これは、


「お嬢、」

「子供だね。ヴィリジアンやサルファラスも。身形(みなり)だって悪くない…」


「この医院は『ガノエミー』の物だ。患者は」

「ストップっ───。

あたし達が知りたいのは身内の健康状態だけ。悪いけど他の情報は要らない。」

「ハん?」

「こちらも訳アリ。変に思うかもだけど、お互い様って事で。いいでしょ?」


 ジェズの居場所の他は問わない、それが姉へ情報開示を促す条件だった。こと秘密を暴くためならストーカー行為も望んで徹するミーシャだが、今回ばかりは一味違う。


 そしてリュアラがジェズの居場所を伏せていた最たる理由は、入院先の所有者がガノエミー一家、裏仕事の客であると言う事だった。患者は一家が生業とする暗殺者教育の最中に負傷したメイドの卵達で、大概がヴィリジアンかサルファラス。そんな子供達を一般の医療機関には預けられないため、一家は随分昔から非合法の闇医者をお抱えで雇っていた。

 裏社会から捉えたジェズの境遇もその子達と然ほど変わりない。負傷当時の状況からも黒ワインの秘密を守るためにも、リュアラが頼れる所はここしか無かったのだ。


 因みに、受付で釣り上げられた口だけお化けは、以前ガノエミーの屋敷でジェズに一撃を食らわされた殺気メイドである。彼女もここで世話になり、今は療養がてら手伝いなどをしてたりした。


「この部屋だ。」


「お嬢、先に入ってて。」

「どうしたの、」

「殿下にお逢いするの……何か、怖くなっちゃって↓。」

「?あんなに会いたがってたじゃない、何言って」

「それに、私も匂ってるんだ。何か見過ごしてるような気がする。ちょっと中を探ってみるね、」


 ローブの首許を新たに締めて踵を返す。その背を傍目に見てからミーシャはドアを閉めた。振り返ると部屋は個室で清潔感があり意外に広い。悪所に在って酒蔵の宿舎より質が上、彼女の顔に自虐的な薄ら笑いが浮かぶ。


 それも束の間、ベッドカーテンを捲った途端にミーシャは自分の目を疑った。


 ジェズがベッドに横たわる。確かにそれはジェズである。ジェズに違いなかった。

 しかし、やっと逢えた彼のその顔は「真っ白」だったのだ。


 もはや血の気が引いていると言うレベルではない。シルキッシュを差し置き雪肌(せっき)とも謳われる知り合いの看護婦に比肩する「白」、まるで着色していない蝋人形のようだ。


「★★っ?×@!ふ★?★!っき、~~~

──────ぁ、

────────────く───これ…生きてるのよね…」

「息は有る。虫の息だが。」

「←っ生きてるのよね!?」

「一応な。」

「…何で、これっ………何で?何がどうなったの??」

「儂にも見当が付かん。運び込まれて来た時ゃ確かに肌は褐色だった。一晩明けたらこの通り、漂白剤に浸けたってこうはならん。」

「治るよね?~~←治るでしょ!?ねえっ??」

「ハー、さあてな。肌の色はともかく、目立った外傷は左腕の粉砕骨折、右腕の銃創は弾を摘出、身体の至る所に切り傷擦り傷…この辺はまあ治るだろう。しかしこいつの身体は──決定的に血が足りん。」

「血、」

「いくら傷だらけでもこの失血はおかしい。こいつ1分で脈が10拍無いんだぞ?生きているのがおかしいくらいだ。これでは治る傷も治らんわ。」

「────────────────────────」


 この世界に輸血の技術はなく、意識の戻らぬジェズの生命を繋いでいるのは一日二回の点滴のみ。満身創痍の絶体絶命、絶望的な状況を知るもミーシャは冷静を保ち続ける。一頻り聞き終えると少しの間だけ二人きりにしてくれるよう医者に願い出た。


 髭モジャが席を外して暫く、ミーシャは枕元の横の椅子へ腰掛けて彼を静かに見詰める。初見は酷く驚いたものの、今見るとそれほど気味は悪くない。装っていたものが全て漱がれたような清らかさと言っていいかも知れない、生気の無い白い顔。


(……何やってんのよ、バカ。あんたの事だから、お姉様に言われてまた無茶したんでしょ。

大体あんた、その身体に無茶が似合ってないのよ。恰好なんかつかないのに、何でそんなに無茶ばかりするの?ホンっっトに馬鹿なんだから。)


 ふとナスカの二人が思い浮かぶ。ジェズに会わせてあげないと。


(あの娘達に宝石を探させてた時も無茶してたよね。あの娘達も大変だったろうけど、あんたはもっと大変だったじゃない。毎日毎日、仕事や学校に行ってるのにコソコソ狩りだの血を吸わせたりだの───そんな成りで血が足りない、血が足りないって)

「★☆!?」


 ミーシャは眼を見開く。降って湧いた頭のおかしな衝動に驚愕していた。

 色白の看護婦の言葉、自分のしたい事、血が足りない…


 ───自らの身を斬る事です───


(は、ァ……ちょっ、★何考えてんの?あたし──っバ…バカじゃないの?×)


 気付けば立ち上がり彼の傍まで顔を寄せていた。自分が息を荒げている事に焦る。彼の顔が返す自分の呼気の暖かさと湿り気に生唾を飲み込んだ。壁ドン以来、そしてそれ以上の胸の高鳴り。持ち前の広場恐怖症の恐怖に似ているがそうではない。頭の中の何処か遠くに自分の心臓の鼓動が聞こえていた。咄嗟に周りを見回す、自分と彼の他に誰も居ない。他には誰も…


 身を震わせながら左手を翳す。


(バカ………バカっ、何してんのよ…)


 薬指の包帯を右手で解く。ベッドの上にとぐろを巻いて行く。


(ヤめなさいって×………これじゃまるでっ…あたし変態じゃない!)


 口だけで息をしているのに、口中は渇くどころか唾ばかりで溺れそうになる。


(ヤめなさい、あたし!ちょっと×、ホント馬鹿なの?狂ったの×?変態なの??)


 傷口をなぞる指にぴんと力を込めた。痛みが腕から背中を回り頭上へ突き抜け微かに跳ねる。


「★☆っ()×~~~ん……ぅ、ァ…は…」


 痛痒が電流のように身体中を駆け巡り、腰が浮わついてベッドに右手を付いた。


(………………………)


 薬指を伝う(ぬめ)りが更なる高揚を招く。自覚は無い後ろめたい期待に()てられていた。


 身を斬ると言うトキミの言葉を発端に、猥雑なイメージが膨張していた。元は誰もが考え得る他愛の無い発想。しかしミーシャは血の足りない色白の彼を見て、その発想に彼を当て嵌めてしまったのだ。言ってしまえば対象が少々生臭いだけ、たったそれっぽっちの事。だからそう、これは悪戯、ちょっとした悪戯。


 痛みと共に自分の中から溢れた赤い生命力(いのち)、『この血で彼を染めてみたら』と。


「………」


 単独で突き出すには不自由する唯一の指、三つ指を摘むようにしてから小指を反らせて薬指を起こした。紅い雫が今にも滴りそうな指先を、彼の渇いた口許へおもむろに近付ける。触れる寸前、やはり躊躇(ためら)いがあるのか動きを止めた。嚥下して呼吸を整えようにも興奮は止まない。でももう意を決した、自分は今それをするのだと。


「──あたしのしたい──」


 いよいよ彼の唇に指先を触れる。僅かに開いた隙間へ血が浸み込んで行く。その勢いにつられじわじわ指を突き進めると、爪の先が彼の歯に当たった。辛抱溜まらず捻じ込むようにして更に挿し入れて行く。とうとう彼の舌まで辿り着く。普段の生活で触れる事などあり得ないし必要も無い領域、その触り心地を確かめたくて慎重に物色した。動かすにつれて自分の血が絡み付きどんどん泥濘(ぬかる)む、息が荒ぐ、頭がどうにかなってしまいそう。


 破廉恥かつ変態的な行為。と言えど、これは彼が家臣にしていた血の餌付けと根幹を同じくしている。力を与えた者を従属させる呪術的な意味を暗に含んでいる。ミーシャに征服欲や支配欲求がまるで無い訳ではない、それでも肉体を通じ彼の魂さえ虜にした達成感と禁忌(タブー)を犯したと言う背徳感に、彼女は心酔し背筋をぞくぞくと震わせた。そしてかつてなく貪欲、更なる頭のおかしな衝動に彼女の目付きが変わる。


 しかし、次の瞬間それは起きた。

 被術者が大きな拍動と共に身体を跳ね起こしたのだ。

 慌てて薬指を右の手許にまで引っ込める。


「★☆★!×?!?~~~ひっ×!?────────────ジェ…」

「──────」

「ジェ…ズ××───ジェズ!ぃよ…良かった★。ぁぁあぁあんた、意識を取り戻したのねっ!?」

「──────」

「はー☆、あーぁいやあ×あはは@、もーホント↓あんた心配ばかりさせて×、」

「──────」

「っジェズ?」

(え、…もしかして、さっきまであたしのやってた事、#気付いてたなんて…言わないよね?×気絶につけ込んでキス未遂どころか、こっちは魔が差して口の中を(もてあそ)んじゃったし、言い訳なんて何も出来ない★!──────

いやっ?……目を覚ました。こうやってジェズが目を覚ましたじゃない!あたしがジェズの目を覚ましたんだから☆!これは気付けのおまじない…そう!おまじないをしたの、あたしは!×)


 自分自身に苦しい言い訳、恥ずかしい行為を誤魔化したい気持ちと漸く逢えた喜びが混ぜこぜになりミーシャは狼狽する。しどろもどろする内に声がした。


「──ちがたりない──」


 誰が発したのか判らなかった。消え入りそうな子供の声、他の入院患者が入って来たのか。


(───空耳…?気のせいかな…)


 顔を戻すとジェズが目を開け虚ろに視線を落としていた。

 彼の名を呼び掛けて不安がまた振り返す。


 彼が顔を向けた。


「ちがたりないっ、」

「×★っ!?」


 真っ暗だった。深緑のはずの彼の瞳が、ぽっかり開いた孔のように黒かったのだ。


 驚く間もなく怒濤の勢いでミーシャはベッドに押し倒される。両肩を押さえ付ける力は圧倒的で右にも左にも動けない。身を乗り上げる彼は苦しそうに宙を見上げていた。包帯だらけの痛々しい身体、声の主は彼、幼い声。


「~~ちがたりない……ちが、」

「×ジェ…ズ。あんた、ちょっと…ねえってば、」

「しなせはしない」

「★☆!?」


 両肩が離されたと思いきや、即座に胸ぐらを掴まれ制服を強引に左右へ剥がされた。ベストも同様で、小気味良い音と共にボタンが飛び散らばる。突如のケダモノの如き所業に恐れをなし、逃れようとあれこれ踏ん張れど両足が虚しくベッドに皺を描くだけ。頸へ襲い掛かった両手にネクタイをブツンと千切られ、彼女は喉に詰まっていた湿っぽい息をはき出した。


(★→ジェズを自分の物にしたなんて、勘違いもいい所!力でかなうワケない×!あたし…どうなるの?どうなっちゃうの?!)


 彼と目が合った。怒りや欲に濁ったものではない苦しげで悲しい視線、可哀想になる。そう気に留めた次には緊張と弛緩の合間に引き裂く音がして、シャツだった布切れの前に彼女は下着姿の上半身をはだけてしまった。


(!!#いけない…駄目っ→、)


 咄嗟に前を押さえ身を捩らせて戒めから逃れたが、四つん這いで離れようとした後ろに飛び掛かられ、上半身をベッドから引き剥がされた。しがみついていたシーツが空を舞う、背中に密着した彼の顔が自分の顔のすぐ隣に。


「★☆×っっーーーっ!!!───────────────」


 首許に重く鈍い衝撃と痛み、彼の牙が容赦なくミーシャの柔肌を穿った。


 力ずくで無理矢理血を吸われる、その事実に少しずつ理解が及ぶにつれ悲しくなって来た。か細い嗚咽(おえつ)が漏れる、涙が滲む、悲鳴など出ないものだ。自分の中に侵入して来た異物との境界を伝い、自分の生命力が刻一刻と外へ流れ出して行く。

 しかし、それが彼の中へ注ぎ込まれていると気付いた途端、彼女の認識は変質した。自分のした禁断の儀式を連想し、彼の身も心も隷属させている、魅了し虜にしていると錯覚してしまったのだ。そう思うと力の抜けて行く感覚が心地好く、力強く組み敷かれ生々しい音を立て首許に吸い付かれる事に、自分が激しく求められていると愛おしささえ感じた。全身の血流が低下しているはずなのに、ミーシャは頬を紅潮させ恍惚の笑みを浮かべた。


 どれだけ時間が経ったろう。意識を取り戻したミーシャは横たわったまま壁掛け時計の針を見る。時間はいくらも経っていない、暫し微睡(まどろ)む。身体が軽くなったような重くなったような、今はこの虚脱感がこの上なく気持ち良い。傍に温もりを感じ顔を向けると、通学中の汽車の中でいつも見ているジェズの寝顔がすぐそこにあった。肌の色はいつも通りの褐色。何かを思い出しそうになるが、今の気分を邪魔されそうで記憶の遡及は放棄した。でも、


(「死なせはしない」─────────)


 幼くも切なさが込められていたあの声、本当に彼が発したのか、夢でも見ていたのかと彼を眺めながら思う。その彼が頭を微動させゆっくり目を開けた。いつもの深緑色をした瞳、視線が合う。


「おはよ───」

「はい、おはようございます……」


 ミーシャははだけた前を右手で押さえ気だるそうに半身を起す。少し項垂れ乱れた髪を、肩を竦ませるようにして左手で掬い上げた。婀娜(あだ)っぽい吐息。ジェズは惚けたように見蕩れていたが、我に帰って飛び起きた。


「★!!どうしたんですかミーシャお嬢様!?大丈夫ですか?お怪我は×?一体#何が★?」

「──覚えて…ないの?」

「?覚えてっ…て─────────…」


 ミーシャは首を傾げる格好で上目遣いにジェズを見詰める。いつになく扇情的、首筋をなぞる指先にジェズは何かの傷痕を見付けた。身に覚えのある傷痕、専ら彼は付けられる側なのだが。口中に(ほの)かに残る血の匂いとお嬢様の肌の(かお)り、そして感触。照合結果に彼の顔から血の気が引くと顔は白ではなく蒼くなった。


「…それ……まさか………………っぼ、僕が…↓↓」

「もぅ、#──どうしてくれるの?これ、」

「ぁあれ?何で?…×あれ、そんな僕??あわわ×、@あわわわわっ!もももっ…申し訳ありませんっ★!」

「凄かったんだから#、」

「えっ★、ぇぇええええええええっ!?」

(全っっっ然覚えてない↓。え?でも僕がどうしてそんな事を??僕がこんな…お嬢様の服をビリビリに破いて?お嬢様を#~~~~~~ぁぁぁあああ↑僕のバカ!バカバカバカ!なんでっ…なんで覚えてないんだ★!僕がお嬢様の!お嬢様のを僕が!!)


 ジェズはHな事を考えていた。仕方ないね。


「でも、良かった…」

「ぇ…えっ?なんなんなん何が何がですか?×」

「あんた、大変だったんだからね?三日も気絶してたのよ?」

「気絶?三日……あれ、そう言えばここ何処?僕は──────★!!あだだだだだだだ!?痛い痛い痛い痛い痛いー!痛いっ×!何だこれ!身体中痛い?!左腕痛過ぎ!!手首曲げられない×?右も痛い!肘曲げると痛い×!もう全身がっ★全身が~~~×××↓↓」

(×思い出したっ。僕は霧魔との闘いを邪魔した魔法警察から逃げる途中で……マズい、ミーシャお嬢様に知られちゃいけないっ!)


「××あのっ…ミーシャお嬢様、そのっこれには…これにはですね、何だか色々あってですね×、なんと言いますか実にその」

「無茶ばっかりしてさ、…バカ。」

「★×、」

「いいよ。今はまだ訊かないであげる。」

「─────────お嬢様…」

「その代わり、落ち着いたらちゃんと教えなさい。」

「───」

「あたしだってメリーベルの後継者なんだからね、」


(今日のミーシャお嬢様、なんか…恰好いいな#。リュアラお嬢様みたいだ。やっぱり姉妹なんだなあ…)


 感心するジェズの前に、ミーシャは首許の傷痕を見せびらかすよう指を添えた。


「これはあたしとあんた、二人だけのヒ・ミ・ツ。いい?」

「は…──☆はい、お嬢様。」

「こんな事お姉~様にバレたら#、あんた……ただじゃ済まないんだからね??」

「はっ?…ははははははひっ!!」

(×やっぱりミーシャお嬢様はミーシャお嬢様だ。)


 とりあえず黒ワインの秘密、酒蔵の安寧は守られそうだ。無意識とは言え主人に牙を掛ける大変な狼藉を働いてしまった訳だが、誰にもばれてはいけない秘密と言うアドバンテージを供した結果に罪は許されそう、冷や汗はかいたがジェズはとりあえず胸を撫で下ろす。ミーシャと自然に微笑み合った。

 あられもない姿だがやっぱりのミーシャに対面出来て、ジェズは安心と元気を貰えたような気がしていた。傷だらけで問題だらけだがそんなジェズにやっと逢えて、ミーシャも充足と安らぎを噛み締めていた。互いが互いを補い満たし合い、互いに救われていた。



 素敵なひととき。しかし、それはいつも無作法な闖入者に破られるのが常である。



 ノックも無くドアを開けて当り前のように現れたのはユーディーだった。彼女は未だにノックなどの一般的な習慣が身に付いていない。入るや否や愛しの君を一目見て総毛を逆立てた。


「☆★↑↑殿っ下ぁあ!?どおおおおおしたんですか?!そのお★カ…ラっ……ダー………」

「おおユーディー。お前も居たのか、」

「………──────────────────おい殿下、」

「×何だ、どうした?」


 急上昇からの急降下、御労(おいたわ)しやからの何だじゃねえよブチくらすぞ。ユーディーのジェズへ向ける視線はこの世で最も汚らわしいモノを見る目に変わり果てた。殿下のその隣、見た目完全なる事後しかもムリヤリ系のお嬢が妙に艶っぽく寄り添っているのだから当然である。


「これわこれわ、ほぉおう……こん人はまーたまた…

三日ですよ?会う事まっっかりならんと禁じられて、何があったのか御身を案じ胸が引き裂かれる想いをしてたのにぃ…~~こないだは売り子にちょっかい出しといて?今度はお嬢とさっくりしっぽり御休憩ですか??ここに着いてからまだ20分経ってないのに手が速いわ色々速いわもう何が問題だか何の問題ですか@?!」

「ぉおい×、落ち着け、」

「↑↑あーーー心配して損したあっ。──いいですよね?もう殿下齧っていいですよね私?!」

「→待て。…待つんだ待ってくれユーディーっ×。ここここれには山より深く海より高い訳があってな…あってですね?だからだから」


 怒り狂った彼女が目を見開く。満身創痍を無慈悲に蹂躙される恐怖でジェズが泣いて許しを懇願しそうになったその時、彼女の視線が宙へ浮いた。そして跳び上がる。肩を竦ませるジェズを飛び越し、ユーディーは窓際でベッドの二人へ振り向いた。


「殿下!お嬢!この部屋から動かないで。じっとしてて!!」

「×××──────…何だ?どうした、」

「~様子がおかしい、外から見えないよう身を隠して下さい!←←」


 三階の窓をガラリと開けユーディーが飛び出す。ジェズとミーシャは顔を見合わせると窓際で壁を背にしてこっそり外の様子を窺った。夕陽の辛うじて差し込む庭先に見えたのは宙返りをするローブの姿。着地して門に向かい身構えたのはザクレアだ。


「───~チッ。待ち伏せに気が付かなかったとはな。」


「←ザクレアー!」

「★ユーディー?馬鹿っ×、お前は中で御守りしてろ!」

「ヤバいんでしょーがっ、気が気じゃないって。」


 腹違いの双子。二人の間には虫の知らせ的な直感が働く。


「で、どーしたの?」

「!後ろから来るっ、伏せろ!!」


 互いに背中から肩を取り二人で地面へ伏せる。その上を物騒な影が物騒な音を立てて飛んで行った。それはやがて弧を描き塀の向こうへ飛び込む。一呼吸おいて門の陰から冴えない学生風の男が現れた。敷地に足を踏み入れるそいつは、ナスカを追い詰めた内の一人ヒュギイだった。両手に大きな得物の影。


「くの字使い!?すると鞭使いも?!」

「いや、奴は居ないようだ。しかし…~それよりもっとマズいのがな…」

「ぇ……ヤめてよちょっと?!」


 ヒュギイは敷地の内側へ身を寄せるとそこで立ち止まる。そして彼の開けた昏い道の向こうからもっとマズいのが悠然と姿を現した。ビジネススーツを纏いながらも筋骨隆々とした2mを越える長身で、(くろがね)色のアフロ掛かったスポーツ刈りは所々が白髪混じり。太い眉に太い鼻筋、きつく結ばれた分厚い唇。暗く青い瞳から獲物を狙う爬虫類のような鋭い眼光を放っている。

 ヒュギイの前を通り過ぎるとそいつはポケットに入れていた手を片方だけ出して立ち止まった。夕陽に褐色の肌が照らし出される。精悍で厳ついその顔立ちにナスカの二人は畏れ慄いた。


 虹族「橙」の第二王子、『燈王(ひおう)』の何者をも寄せ付けぬ恐ろしい姿がそこにあった。






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