↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永伝(エデン)   作者: ちがタニ
永伝(エデン) 第4章 上闇編
43/46

6.トーナメントバトル!

前回のあらすじ

チキュウより赤根が取り寄せたウナギを優が人間に変えてしまった!喋れることを喜ぶ優だが

「うちでは飼えない、食べるしかない」と言われた優はウナちゃんを連れ皆から逃げる

しかし突如現れた"ギギョ"によってウナちゃんは海の中に攫われ、優は自らの愚かさを痛感する

瀕死で助けられたウナちゃんは、死を悟り食べて欲しいと懇願するがそうはさせまいと久は言う

紆余曲折の末ウナちゃんはウナギへと戻り、優はいただきますと感謝して食べたのであった


「第1回!トーナメントバトル〜」

「さあ、始まりました実況はこの私毒闇と」

「赤根の2人でお送りさせていただきます!」

「そして今回、解説役として久さんに座して頂きました!」


「よろしく頼む、私自身既に堕悪、江美、上闇と戦っている経験を元に詳しい解説ができたらと思う」

「頼もしい限りです!では前置きが長くなる前に早速行きましょう!1回戦第1試合は、フリーザム氷河VS夜暗江美で始まります!」


「選ばれたからには、相応の輝きをしてみせるよ」


「私こそ、この程度で負けを許す気はない」

ギンッ… 2人の間に鋭い気が流れる


「両者位置に着きましたね、では…バトル、開始ィ!」


「!!」

ダッ ギュイン

「邪気一っ」「乱冷血氷牙。」シャキン!ギギギッ

「始まった!開始と同時に江美が駆け、氷河が飛び上がるいち早く技を繰り出したのは氷河!だがおっと!?」攻撃は江美の背後に落ち、氷の牙を伸ばす


「閃!」氷河一直線に攻撃が飛ぶ

「きっアイスバリア!」ガキィンッ パリリリィ

「邪気一閃!邪気乱雑!」シュンッジャキキキキィン

「ちっ」「氷刃(アイスエッジ)…」


「これは早くも解説が追いつかなくなりそうです、江美の技に対処が遅れた氷河が属性能力によりガード!


江美が秘技による急速な方向転換で隙を逃さぬ連撃を仕掛けましたが今度は冷静に対応され自身にもダメージを負ってしまいました。久さん、今のはどう見ます?」


「江美の弱点を晒してしまったな」

「と言うと?」


「江美の攻撃は目にも止まらぬ速さだが一直線に進む単純さがある、氷河が見せた隙を逃さぬ姿勢は重要だが


今回は隙があまりにも大きすぎたため

隙を晒していることを氷河もすぐに察し対処したということだ。とはいえ隙を晒している状況を理解した上で冷静に行動できたのは氷河だったからと言えるだろう」


「なるほど、素晴らしい解説をありがとうございます!さて舞台は2人の戦いに戻ります、氷河は損傷を気にしてか江美は攻撃の読みを警戒してか、距離を取ったきり睨み合いが続いています」


「…邪力解放」静止した江美から瘴気が放出される ゴゥン

「行動を再開したのは江美!隙の目立つ技だ、逃す訳もなく今度は氷河が迫る!」

「乱冷血氷牙」


「邪気、一刀両断!」

「濃厚な闇瘴気の一撃が氷河を掠る、だが脇目も振らずヘイトは江美に向いたままだ!」

「乱冷血氷牙!」

「続けざまの攻撃、江美は回避していないように見受けられるが果たして状況はどうなっている!?」


二重に氷の牙が辺りに伸びる

(おかしい、攻撃が当たった感覚がないっ後ろか!)「乱冷血ぐぎっ」「打ち込んだっ邪気乱雑!」「乱冷血氷牙!」ゴガギギギギ ジャキジャキキキキンッ


氷の刃が伸び、闇の刀がそれを粉々にした

ドタッ

再び距離を取った江美は氷河の様子を伺う

(自らに技を生やして攻撃を誤魔化したか…だが致命傷には変わりないだろう)


「展開が動きました!」

「これは驚きだな、闇瘴気の塊かと思った剣戟を無視したことがむしろ江美の術中、瘴気の濃度を上げ自身の隠れ蓑とする。先の状況から学んだかあえて技を撃たずに攻撃を入れたのもなかなかだ」


「ありがとうございます、さあ実況ですが江美は現状肩から背中に掛けての傷があるのみ、対して氷河は上半身に深刻な裂傷多数に左腕も失っています


自己再生こそ始まっていますが厳しい…あ!おっとここで氷河から我々実況席に対しアイコンタクトがありました!


今回ドグマセンターチームは変身前の状態で負けそうな時、自己申告で変身の許可を貰えます。許可は…出ました!フリーザム氷河、今より変身OKです」


「覚醒:フリーザム」コァオォォォォォ

気化した核エネルギーが氷河より放出され氷の肉体を作り出していく

「これ以上情けないところは見せないよ」


「…来い。」ヒュー ヒュー ヒュー ヒュー

「変則的な動きで急速に動く氷河!どこから攻撃を繰り出すのか?」

「邪気一、」(攻撃を溜めるか…) ゴゥン

「閃!」氷河を横切る江美


「フリーザムフリーザムフリーザム」氷礫が牙を伸ばし江美を襲う


「邪気乱雑」それは剣戟によって捌かれた

「無謀な、技の滞空時間は終わりだよ」氷河の手が伸びる

「邪気一閃」

「また逃げる気か…」ゴゥン


「速度はこちらが上だよ!フリーザ…」ギィン 振り返った江美が氷河の身体を切り裂く

「邪気乱雑!」ジャキジャキジャキィン


「浅い!」だが江美の攻撃は確かにその身を抉っていた

ガシッ 江美の腕が掴まれる

「フリーザム!」


「はっ!」腕を切って迫る攻撃を回避する

「くっ…」 咄嗟に腕を振って江美を吹き飛ばす

「しまっ…」「邪気一閃!」「フリーザム…!」


氷の礫は江美が迫る背後に展開された

「邪気乱雑!邪気乱雑ぅ!」横っ腹を江美が切り裂き

「うぐっがぁぁぁぁぁ」礫より伸びた氷の牙が氷河と江美を貫いた


「ピピーッ決着!勝者:夜暗江美!」

シュミレーションルームが白の輝きを取り戻していく


「面目次第もありません〜初陣を飾る立場だったというのに私はぁ」

「気にする事はない氷河、お前は十分やった」マイクを通し鈴木が励ましの言葉をかける


「かなり良い戦いだった…これで傷ひとつないというのが驚きだ。」


(本国最新鋭のシュミレーションルーム、なんの器具も必要とせずただ部屋に入って戦っただけなのに

蓋を開けてみれば戦っていたのはデータ上の私達

痛みや消耗までもがここまで再現できるというのか)


「さあさあ2人とも!驚く気持ちは分かりますが次の試合が始まりますので移動をお願いしますよ」毒闇に急かされ2人はそそくさと部屋を離れた




「さて、続いて1回戦第2試合は、パラグアイ黒田VS堕悪!」


「1度しっかりとぶつかりたいと思ってた」


「今回は本気で戦っても大丈夫だよなぁ?」


「意気込みはいいな!ではバトル、スターおおっと…!」ガクッ 始まるかと言う時に急に止められた2人は躓きかける

「なっなんなんだよいった…っ鈴木さん!?」黒田の眼前には鈴木が立っていた


「これはどういうことでしょうか!?」

「全くもってわからん…」


「どうしたんですか鈴木さん、試合なら最後でしょ?なんで今」


「その事だが黒田、確かに俺は今回以前できなかったドグマセンターと伝永家ご一行の交流をしたいと言った。

だがだからといって必ずしもチーム戦に拘る必要はないんじゃないか?交流を深めると言うならそれぞれの中で行うのも大事なんじゃないかと俺は思ったんだ、まあ前置きはいい俺と戦おうぜ?黒田」


「…鈴木さん!」

「いいな?堕悪」

「まぁどっちでも構わねえよ」


「おおっと、これは予想にない展開だ!鈴木さんが黒田に熱いバトルを持ちかけたっ」


「そもそもこのバトルの主催者はドグマセンター所長鈴木さん、その人が言うなら私達実況は従うのみ!これにより1回戦第2試合は伝永優VS堕悪だー!」


「わぁーい!だあくと一緒うれしいなー」


「優も参加してたのかよ、手加減出来っかなぁ…」

「安心しろ堕悪、優はお前が思うよりずっと強い

本気を出せとは言わないが手加減しているようじゃ負けかねないぞ」


「え?まじか…久がそこまで言うなら手加減はしない方が良さそうだな」


一方部屋を去る2人

(…助かった、万が一にも伝永優と戦い傷でも負わせれば…どう考えても久さんが黙っちゃいない、いい感じの話で何とか誤魔化せてよかった…)

「鈴木さん…?」


「それでは!バトル、スタート!」

「堕悪死…」「流槍刃!」

「なっ!?」シュパシュシュババシュババ

場内を埋め尽くす程の数多の触手が堕悪目掛けて押し寄せる


「おお!開始早々凄い迫力だ!堕悪、その勢いに押され技を展開できていないぃ」


「優は属性能力こそ使えないが、あまりにも多い流槍刃の力押しには堕悪も真正面から押さえるのは難しいだろう…その上優もバカではない、回避だけでどうにかなる相手ではないと早くに知ることとなるだろう」


「どんどん行くよー!」ブンッ ドンドンッシュバッ

拳型の触手が、棒上の触手が、鎌形の触手が堕悪に迫る

「よっと…ぐっ!?」ドリル型、注射器型が続く


(あれは優のメイン攻撃…食らう訳には行かねえなっ)

「はあっ」堕悪の背から2本の黒い手が伸びる

ガシッ


「堕悪、ここで黒い手を展開し優の触手を鷲掴みだ!しかしわかっているのかぁ?無数の触手がまだ残っていることを!」

ゴォッ バババッ ドドドドドッ ジュギィン ギリリリリリ


「ぐぐぐぐぐぐっ無駄だよ、綱引きで負けたりしないんだから!」

「ダメか…ぐぅぅぅ」優の流槍刃が堕悪にぶつかる ドギャギャギャギャギャギャギャッ

その身を裂き、抉り、屠った


「当たっちゃった…けど?」

「なんと!ここで沈黙かぁ?」

「いや、まだ油断するには…」


「邪力解放。」

「!?」傷だらけの堕悪から濃厚な闇瘴気が潤沢に溢れ出す


(っ避けないと?身体が動かな…なっ)優の肩には黒い手が貼り付いていた

「いつの間にっ!」(!?これ、さっき掴まれた触手ごしに伸びてる!?そんな…一瞬で)


「あっぐっ」ゴォォォン

気を抜いたその瞬間、優の肩を軸に堕悪が距離を詰める

(だめっ触手が伸びきって、戻すのに時間がっ)

「堕悪死…!」


脳内に記憶を巡らせる

(可能性アリなら一応行ってやる)

(暗黒死手!)

(ハッw貧相な面しやがって)

自身が最も忌み嫌う、倒さねばならない悪を思い浮かべる

(だがそれはあくまでも、償いのためだと!)

「はんどぉぉぉ!」


「ピピーッ決着!勝者:堕悪!」

「おおっ堕悪の短期決着ぅ!技発動から一瞬でノックアウトだぁぁぁ」


「これでー良かったんだよな?」

「ああ、止めるまでもないとはな…一瞬で核を破壊し優に痛みを感じないようにしてくれるとは」


「あれ?私、負けちゃった?えーざんねーん」何が起こったかわからず棒立ちだった優が意識を戻した

「ああ、だがめちゃくちゃ強かったぞ!やっぱりすごいな優は」そう言って頭を撫でる

「あはは、負けたのになんか嬉しいなぁ」




「さあ続いて後半戦、1回戦第3試合は上闇さん対グレンヤード佐藤っお姉さん対決だー!」

「赤根さん!ここに来て気合が入った実況、惚れ惚れしますねぇ」

「趣旨を外れた実況はお控えくださーい」


「あっはは、今はパパだけどね…」


「せっかくの美貌を隠すなんて少しもったいないですねぇ…ま、これも勝負ですし綺麗事はなしで生きましょう。ふふっ」


佐藤の微笑みに上闇も微笑みで返した


「レディ、ファイトォォォー!」

「グレンニャー。」ドドドドドゥッ


「そう来たか、突土」ゴゴゴゴッ ドッバァーン バーン

「開幕から熱い火花が舞い散る!佐藤の攻撃により紅く輝く火炎の弾が広範囲に飛ぶっ対して上闇さんは、様子見から土の壁を展開して防ぎにかかるっ」


「その程度で…防げるとお思いで?」

「もちろんっ」上闇が屈む

「上闇の極意…!」床がのし上がり高い柱が出来上がった

「油断するつもりはないよっ」

「ほほぅ」ゴゥゴゥゴゥゴォゥ 柱から別の柱が枝分かれしながら無作為に伸びる


「この程度で、攻撃と言えるのでしょうか?グレンニャー。」火炎の弾が集まり、集合体として1つの大きな弾を形成する バヒューン


攻撃を受けた柱は崩れ、跡形もなくなった

そんな光景を上闇は壁面に作った足場から観察していた

「ふふっ」「ふふっ」


ドガァーン バコーンッ ゴゴゴゴ ドブァーン

「一見、上闇さんの防戦一方に思えますが佐藤も未だ攻撃を当てられていない状態を見るに2人は互角のようですが、久さんはどちらが勝つと思われますか?」


「そうだなぁ…上闇は本来近接攻撃を得意としている、そもそも変容を直に当てられれば勝ちが確定するためその方が適しているんだ。


佐藤の攻撃は苛烈を極める、合金程度の硬度の壁や地面を変容させた攻撃では決めてに欠ける、どうにか懐に潜れれば勝ちの目も見えるだろう


対して佐藤は火属性ながら広範囲攻撃や乱発ができる汎用性を有している、だが機動力は欠けるようだ。絶対に攻撃が当たる状況を作り出せるかが勝…」

「おおっとここで2人に動きが!?」


「グレンニャー!」ババボバボバボォ

それまで群をなし、複数の炎の塊となっていた弾が完全なる個として全方位に散らばった

「火属性能力:灼熱火球(バーニングボール)」


「重ねがけか…極意!」ゴゴゴゴゴゴッ 上闇を乗せた壁面が伸び出す

(読めていますよ、どこから来ようとも必ず当てます。そもそもグレンニャーは…出して終わりではないのですから)


ドブァァァン 1つの弾が急に弾ける

「何?」伸ばした壁面の繋ぎ目が爆発によって接続を失う

(任意で爆裂させることができたとはね…変容は落下の速度に追いつけない)


「火炎弾の網が上闇さんを捉える!」スルッ

ドバァァァン

「ん?」「なっ」「!?」

「なっんてこと…」


「変容っ…!」上闇は自身の身体を1本の細長い棒状へと変容させ、火炎弾の網を潜り抜けた

壁に当たった火炎弾が爆裂する


「ギュルリンぱっはいタッチ!」

「しまったぁぁぁぁぁ」たちまち佐藤は塊へと変容する


「やれやれ、核が生きている以上シュミレーションも終わらないか。シュミレーション強制終了、勝者上闇。」鈴木の外部操作によって部屋に光が点った


「しょ、衝撃の光景でしたね。まさか自分の身体を変容させて危機を脱するとは…」

(…やはり上闇には、まだ見ぬ何かが眠っているようだな)眼下で微笑む上闇に少し身震いを覚えた


(ふふっ、ちょっと無理しちゃったかな?)




「さて、次はいよいよ1回戦第4試合!最後の戦いは主催者の以降により、ブラッディクロス鈴木VSパラグアイ黒田となりました!どんな戦いを見せてくれるんでしょうか?」


毒闇はシュミレーションルームに視覚と聴覚を巡らせる、だが特別な会話はなかった

「…意気込みはないようですね、では行きましょう。対戦開始!」


「よっしゃあ!パラー」「黒田!」

再び動きが止められる

「なんすか鈴木さん?この隙に攻撃しようってわけじゃないようですが…」


「黒田、俺達が戦ったところで答えは見えてる。なら出し惜しみする必要は…ないんじゃないか?」

「確かに…わかりました、鈴木さん!」


上から実況席で眺める者たちは空気が渦巻くのをいち早く察した

「まっまさか…この感じは!?」


(鈴木さん!)(黒田!)

「変身!」「変身!」

「覚醒:パラグアイ!」「覚醒:ブラッディクロス!」ココァァオオォォォォォォォォォォ


「来たー!なんと開幕早々2人が覚醒だぁぁ!」


「パラグアァァ」「ブラッディクロス!」

ドドドドドドッ

「グォッパラグアイ!」黒田の左手が壁に打ち付けられるも、もう片方の腕が鈴木へと伸びる


「無用だ…!」ゴゴゴゴゴゴォォ

「う、動いた…!あの巨体が天へと登る、だがシュミレーションルームにも限界はある、どうするんだ?」


(ダメだ、来る…!鈴木さんの回転攻撃が)

「グッ」ギュリリリリリリリンッ


ギンッギンッ ズガガガガッ

「超回転だ!鋭利な身体で黒田の身体を千切り切る!」

「グヤァァァァ」


「ピピーッ決着!勝者:ブラッディクロス鈴木!」


「ぐっ、やっぱまだ俺は…鈴木さんに1歩たりとも及ばない…」

「そんなことはないぞ黒田、ちゃんと俺の回転に爪での防御を合わせられていたじゃないか」


「そ、そんなの僅かなもんじゃないですか」

「いや、これは大きな一歩だお前は確実に強くなっているよ」

「す、鈴木さぁん!」




「お待たせいたしました、本当はお待たせしていないかもしれませんが次は2回戦!1回戦を制した4名が互いに試練となる戦いです、それでは行きましょう。2回戦第1試合は堕悪VS夜暗江美です!」


「おおー!負けんなよー」

「堕悪さん!!頑張ってください!!」

「頑張れ頑張れだあくー!」

「フリーザムを倒した美女、応援しますよー!」


「声援とは実に嬉しいものだな」

「そうだなっ」


「…待ちわびていたぞ堕悪、私にとっては鈴木と上闇どちらが勝っても美味しい早く戦いたいものだ」


「おいおい、もう倒した気になってんのか?そりゃお前から見りゃ俺はバカかもしれねえけど、やる時はやるんだぜ?」


「もちろん、お前とやるのも楽しみだとも…あの日からずっとその力の畝りを感じてみたいと思っていたんだ!」


「はっはっはっ」

「ふへへっ」2人の間に刻が流れる、その刻を今か今かと待ちわびる


「それではいざ尋常に、始め!」


「はぁっ」「はっ!」グギャキンッ ギャリギャリ

刀が黒い手に阻まれ、激しく音を立てる

「ぬんっ」キーンッ 力を入れ薙ぎ払う


「…堕悪死手!」目が合う、伸びる黒い手

キッ キンッ

「ふーっ」ガバッ 黒い手に力を込め、刀を構える江美の元へ飛ぶ

キーン 再び薙ぎ払われる一刀


「戦況がこう、意外と静かですね…」


ギリギリギリッ キンキンキンッ 伸びる黒い手を肩に回した刀で防ぎ、距離を取って続く攻撃を弾く


「…闇属性同士の戦いは闇瘴気の量で勝負がつくと言われている、実際には再生能力で劣る江美が不利だとは思うが両者共勝つためには一刻も早く邪力解放をしたいだろう。しかし互いに隙が無くその余裕がないようだ」


「堕悪死手。」

「きっ」ダガガッ 走り、飛び一定の距離を保ちながら攻撃を回避する


「どちらが先に邪力解放をするかの読み合いにもなっているということですね…まさに真剣勝負だ」


(…堕悪相手に長期戦は不利だ) ガキィンッ


(江美を早く疲弊させなければ、いつ隙を突かれるか…) ギュウン


(ならば…!!一か八か!!攻勢を仕掛ける!!)


ゴゥンッ

「っ!?2人が消えた!ここに来ての素早い足運び、一気に方をつける気か?」

「堕悪死手!」ゴォォォ ギンッ ギンッ

(もちろん防がれることはわかっている)


「邪気乱雑!」ギャギィンッ 反転して背後から来る黒い手を斬り裂く

「邪気一閃!」ジュバッ 黒い手を掻き分け突っ切る

(堕悪自身の攻撃を受ける前に素早く!)


「堕悪死手!」

(続けての攻撃…薙ぎ払って余裕を作る!)

「邪気一刀両断…からの邪力解放!」「邪力解放!」「!!」

(くふっ奇しくも同時発動か…)

(出たとこ勝負だ…江美!)


ゴゴゴゴゴゴォォォ

「なんということでしょう!場内に2人の闇瘴気がとめどなく溢れている、互いに猛烈な威圧感を与えていることでしょう!」


「邪気一閃…!」「邪悪死手!」グギャギィィ

(こればっかりは、避けては通れない)

「邪気乱雑!」淀んだ黒い手を斬り裂く ガギギッ

「流石に硬いな…!」

「堕悪死手!」続け様、右手の一撃が迫る


「握り潰す!」ガシッ 江美の左腕が捻じ曲がる

「さして無為、邪気一閃!」ブチギッ 腕を引き裂きながら距離を詰める


「邪気乱雑!」(斬り裂け…!) ジャキガキギンッ

「堕悪死手!」(間に合え…!) ゴォォォ

至近距離で技を叩きこむ江美の背後から黒い手が襲い来る


ギンギン ギャッ

「!?」堕悪の左手が落ちた…!驚く隙に江美が空いた隙間をすり抜け

「ぐぅぅっ…邪気一刀両断ッ邪気乱ざっ」

ドギュァァァァ


堕悪の背に向け攻撃が繰り出されると同時に

黒い手が江美に衝突した

「ガハッ…致命か」一刻もしないうちに江美が液を吐く、その身は脇腹が吹き飛びひび割れた核を晒し髪は乱れ失った視覚を隠すように覆い被さり、揉みくちゃとなった腕でただ刀を握りしめていた


未だ機能を保った側の視覚で相手の姿を見る

対峙した堕悪は、身は裂け腕も飛びしかし漂う闇瘴気が傷を癒さんとしていた

(発生器官に問題はない、私はまだ…いや流石にわかった結末か)


「堕ークっ、こちらへ来てくれ」呼びかけに応じ、身体を寄せる

「降…参だ。この傷では、継戦願わんっ」その後は堕悪の呼び掛けによって江美を戦闘不能と判断し、戦いは終わりを告げた


「勝者、堕悪!」




「2回戦第2試合は上闇VSブラッディクロス鈴木!意気込みを聞いていきましょうっ」


「唯一残ったドグマセンター代表として恥ずかしくない勝負をするつもりだ、よろしく頼む」


「こちらこそ、退屈しない試合を約束するよ」

だが、戦況は決して拮抗とはいえない状態で進行していくこととなった


「2回戦第2試合、始めてください!」


「上闇の極意。」ゴゴゴゴゴ

序盤こそ順調そうに思えたが、そもそも飛行できる鈴木に上闇が接近するには足場を積む以外に方法がなく


「ブラッドクロス。」キュイン キュインッ

そんな方法を取ろうものなら即刻崩され、確実に攻めあぐねていた


「どうした?壁や地面を伸ばす攻撃では当たりようがないことは佐藤との戦いでわかっているだろう?お前の本懐はそれじゃないはずだ」

「か、かもね〜」

(全く卑しいね、機動力が高すぎて変容を使っても抑えきれていないというのに…)


ギュリン ギュリン ゴガガッ

支柱を増やした柱であっても、ブラッドクロスの前には無意味なことだった

「くっ、またしてもか」


「使うなら早めの方がいいぞ?俺相手に出し惜しみが通用すると思わない方がいい」


「自己の変容はリスクが大きくてね、そうむやみには使えないんだっ」(かと言って…土属性能力程度じゃ、まともに当たっても僅かなダメージだろう。本当にどうしようか)


「そうか、ならば仕方ないここで終わらせるっ!」ギュウンッ

「なっ何ぃ!鈴木が上闇に急速に接近、展開としては熱いが遠距離戦を捨ててよかったのか!?」


「!?」(そう来たか…彼のブラッドクロスは佐藤の火炎弾と同じで実体がある、属性能力は一部を除いて触れることができない。しかしこれはそのルールに当てはまらない、僕に攻撃が当たる前に触れて変容させられるか試すつもりか…いいだろうその望み受けて立つさ)


鈴木が迫る


(今か?今か?攻撃のタイミングは、いつ繰り出す?) 絶えず鈴木は接近してきた


(攻撃しない?何が狙いだ?) そうこうしている間に上闇の眼前に鈴木は居た

(いつ!?いや、この際直接触れれば…!)


ズジャッッッ

次の瞬間、上闇の上半身は核ごと両断されていた

「ブラッドクロスブレード」目玉が動く、それは鈴木の両手に携わっていた

(いつ出して…!いやまさか、近距離であればそこにある物体を無視して実体を出せるのか…あっ)


「ピピーッ決着!勝者:ブラッディクロス鈴木!」


「なぁぁぁんと近接攻撃で鈴木が一本勝ちぃ!」


(なんという…私の勘もあてにならんな、だがこれである意味最高の戦いが見られるのだな…)




「さあ、センター内の熱気も最高潮に達しております!この2人が決勝の舞台に立つのですから無理もありません」

「闇瘴気の濃度は随一、全てを包括する圧倒的なパワーとスピードの堕悪。対するは広範囲高機動飛行能力と重ねがけの極み鈴木。1回戦張りの激しい衝突が見られることは間違いないだろう」


「うぉー堕悪さん!そんなやつに負けちゃダメです!」

「ボッコボコにしちゃってください!」

「ぜつゆる鈴木〜!」

「任せたぞ、堕悪」

「君ならやれると信じているよ」


「鈴木さん、野郎の目にもの見せてやってください!」

「ドグセンの最後の砦!全力で応援いたしますよぉっ」

「頑張れ頑張れSUZUKI!ほら、田中も応援していますよー」

「うぇーっす…」(参加断ったのになんでわざわざ…)


「やっと本気で戦える相手が来たというものだな」

「お前だけには絶対負けねえよ」


「それでは決勝戦!5、4、3、2、1、GO!」


「邪力解放!堕悪死手!」

「ブラッドクロス!」伸びる黒い手を十字型の飛来物が抑えにかかる


(抑えた、消滅と同時に再展開しトドメを…)堕悪が鈴木に迫る

(抑えられていないっ?)

「はぁぁぁっ」「…っ」回避し堕悪に目を向ける

天井に張り付き、こちらを伺う姿があった


(なるほど、最初の段階で既に天井を掴んでいたか)ゴゴゥ

「邪悪死手!」天より黒い手が降り注ぐ


ドバァッ ガガンッ

「それで上を取った気か!」ギュンギュンッ

堕悪に目線を向けたまま飛行しブラッドクロスを放る


ガガガッ ギュインッ

「ブラッドクロスブレード」落下する堕悪に急速で接近し終わりの一撃を決め

ガッギィイン

「きれないっ」「黒い手にばっか目ぇ向けてんじゃねえよ!」堕悪本体の手が、鈴木の手に指を絡め向きを逸らした


「きっブラッドクロスブレード」グシャッ 再展開し堕悪の手が貫かれる

「再展開!」鈴木も堕悪の指を絡め返す


「ぐっはっ」ドガッ ブシャッ

黒い手が鈴木を突き飛ばし、残った堕悪の手が引きちぎられる。だが同時に展開されたブレードが浅く首を斬り裂く


「ブラッドクロス…!」「堕悪死、げほっ」飛ぶクロス、黒い手が弾き、再展開

ビュウンッ ガキンッガキッ ギュルンッ


「堕悪死…ぐあっ」遂に一撃そのが堕悪の背を貫いた

「いってえで終われるかぁぁぁぐっ」だが傷を諸共せず堕悪が迫る


「何っブラッド…」ガシッ バキャッ 掴まれた鈴木の腕が肩ごと潰される

「ちっクロス!」堕悪もまた、両腕が飛ぶ

(引き剥がせないか…このっ脳筋がっ) ゴオゥッ


「鈴木が高速移動!堕悪をくっつけたまま変幻自在に飛び回るっ」

「離れろぉ…!」「離さねえぇぇ!堕悪死邪悪死ぅ」

「きっブラッドクロス!」バキッバキャッ

ズジャッッッ


鈴木の潰された両肩を押し込み、核を挟み込んで潰さんとする

堕悪の背の傷を肩まで通し、裂け目を広げる

そんな中2人は高速で床に激突した


「はぁはぁっあぐっ」「ぜぇぜぇごほっ」

(飛行がままならん…)

(足に力が…だがまだっ!)


「鈴木…!」

「なんだ…?」

「俺は今から再度邪力を解放し残ったエネルギー全部攻撃に当ててやる、てめえも出し切って覚醒しやがれ!」

「…いいだろう、終わりにしてやる。後で何を言っても無駄だからな!」


「行くぜっ」

「ああっ」

「邪力解…」「変身!覚…」


「ピピーッ!外部からの信号を受信、シュミレーション強制終了!」


「ズコォォォォォ!!!!!!!!!!!…」


「なぁぁなんなんだよ!せっかくこれからだってのにどんな不調出して…って」目線の先には知った顔があった


「えええええ愛羅さぁぁぁんっ」

「よぉ鈴木」そこに立っていたのは愛羅武勇であった


「なっなんで?監査は今日じゃないでしょう?」

「監査じゃない鈴木、お前に本国から出頭命令が出ている。すぐに来い」

「えっあ、はいわかりました。」


「なっなんと!鈴木の上司、愛羅武勇の参戦により決勝戦が白紙にぶぁっ!?」

「バカ、今余計なことを言うな毒闇」だが、途中で止めにかかったことでその声が場内に響く


「なるほど。カセイ国守官殿、これからはこのような悪ふざけはお控え願いたい…理解してくれますか?」

「あ、ああ理解しよう」マイクの音が静かな部屋に響いた


(よ、よかった今回はお咎めなしか…少し気味が悪いが)

「すみませんでした、この件はいずれ埋め合わせしますのでこの場は失礼いたします」先を行く愛羅に鈴木が続く、その背中を見る堕悪…


「鈴木!」

「なんだっ、なんですか?」

「いい戦いだった、いつかもっと強くなったら絶対決着を付けようぜ!」

「…そうだなっ」そうして鈴木は愛羅達と共にその場を後にしたのであった


「…ところで、本国最新鋭のシュミレーション装置をお遊びに使おうと提案したのはどこの誰だろうなぁ鈴木?」

(げぇっやっぱりそうなりますよねぇぇぇ)


この後めちゃくちゃ絞られた

次回予告!

伝永家に忍び寄る男の影

時は来た、別次元の扉が開き

カセイが奴らの悪意に染まる

次回 第4章 7.重力族襲来

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。