4.〇〇しないと出られない部屋
前回のあらすじ
上闇の能力:変容に苦戦する久
駆けつけた隼の説得により上闇を仲間にしたが
宇元はこれを許さず上闇を国外追放とした
新たに伝永家に加わった上闇はタブー破りを伴う強化を施すと言ったのだが、久はタブー破りの真相を知ったことに心底後悔したのだった
「ユウタワーでは、食品・衣料・生活雑貨・娯楽・芸術・医療・軍事、全てが揃っています。また各国最新鋭の技術をいち早く皆様に体験していただくためのテナントも数多く展開、どうぞ心地よいショッピングをお楽しみください〜」
「またしてもここに来るとはな…もう何度目だ?」幾度も見た光景、状況に呆れる江美
「毎度お馴染みではあるが、買い物するにはここが1番だからな」しかしそんなことは重要ではない、久達の目は未だそこに足を踏み入れたことのなかった彼?彼女?に向けられていた
「うわぁーこんな光景、初めて見るよ」上闇はキラキラとした眼差しをその空間に向けていた
「ふふっ今日は楽しんでくれお前にはその権利がある」
「俺達、私達、みんなで歓迎致しますね!!」
皆が上闇に向きその意を示す
「わぁ…全く僕は愛されるだけで幸せだっていうのに、君達はそれ以上を与えてくれようとしてくれるなんて…ぅぅーくるりんパッ!」ギュムッ
震え出した上闇は上瑠璃へと変身し、隼に抱きついた
「うぼぁっ上や…瑠璃さんっまたぁっ」
「ちょ、ちょっと!上闇、いや上瑠璃さん隼から離れてくださいぃー」光が上瑠璃の腕を引っ張り渋々上瑠璃は手を離したかと思えば…
ギュムッ
「なぁぁなんで今度は私に抱きつくんですかぁぁぁちょっと!離してくださいってば上瑠璃さぁん」
「ははっ上闇でいいよ!パパの苗字は上闇だからねっ」
「うぅーわかりましたから!離れてください!」
気を取り直して…
「ユウタワーを満喫するならまずはこれだ!」ドドンッ!ユウタワー名店、原生丼屋名物:新鮮シュリンプトの姿焼き!
突如、毒闇がガッツポーズで声を張りあげた
「上闇!お前が男ならガッツの効いた食いモンを豪快にかぶりつきたいはずだ!」
「うん、いいかもね」そうして皆と共に店に入る
「お待ちどう。」皆の肩幅を合わせやっと届く程の幅のシュリンプトが目の前に置かれた
「さぁ行け上闇!一番槍はお前だ、豪快にかぶりつけ!」
「それじゃあお言葉に甘えてっ」グァバッ
上闇は顎を変容させその身の半分を1度で口中に収めた
「おおおおおお!!!」近くの客から歓声があがる
「うん、美味いね。残りはみんなで食べていいよ」
「…ああっ!そうだろう!皆っ上闇の好意をしかと受け入れろ!」毒闇は驚きつつもすぐに平静?を取り戻し残りを皆に勧めた
「はぁー美味しかったっ」
「そうだろうそうだろう、うんうん」
(毒闇…あいつあんなキャラだったか?)堕悪が疑問を感じていると
「上闇!これでユウタワーの1番の楽しみ方は食いモンってことで決まりだな!?」
「う…」そして毒闇の言葉に同調しようとするべく上闇は言葉を連ねようとしたときだった
「ちょおっと待ったぁぁぁ!」
「!?????」声の主は赤根であった
「上闇さん!そんな男に振り回されちゃダメ!あなたが女なら自分を着飾る衣服、ファッションこそが1番の楽しみ方に決まってるんだから!」
ドドンッ!ユウタワー名店、婦人服屋:カレンデイズ
「女の子に日々を可憐に過ごさせるスペシャリストの奥義を、受けるのよ上闇さん!」赤根の後ろから現れた女性店員がメジャーとハサミを構え細目で笑みを浮かべる
「はい!上闇さん早く変身してっ」
「わかった、くるりんパッ!」
「よし、まずはこれっ黒を基調とした大人びた雰囲気!上闇さんは私達の中で誰よりも大人!大人!大人の中の大人!その魅力を最大限活かした最高の服!」
「ぐっなんという魅力…赤根には及ばないがボソッ」
(き、綺麗…)
「そして次!上闇さんの個性活発さを活かす!下は大胆にハーフパンツ、上は伸縮性のTシャツにすることで胸…の苦しさもカバー出来る!そうまるで、夏休みに田舎に帰省した少年が出会う綺麗なお姉さんのように…」
「ゴクリ…」「ギロッ」「!?」
「最後!上闇さんの限りない清純さ(見た目だけだけど…)を活かしたワンピース!銀髪との相性抜群!胸…も我らが仕立てのスペシャリストがいい感じに仕事してくれました!これぞ絶世の美女!」
「おおこれは…まるで絵に書いたかのような美しさだ」
「うん、自分でも似合ってるってよくわかるよ」その場の誰もが疑いようのない程完璧だった
「お買上げ、ありがとうございました〜!」
「はぁー嬉しい気持ちでいっぱいだよー」
「でしょでしょ?上闇さんこれで、ユウタワーの最高の楽しみ方は服選びってことがよくわかっ…」
「待てえええい!何抜け駆けしようとしてるんだ!」赤根の言葉は毒闇によって遮られた
「既に1番の楽しみ方は食いモンと決まってるんだ!勝手なことを言うのは許さないぞ!」
「なっ、上闇さんのことも考えず勝手に決めようとしてるのはそっちじゃない!最高の楽しみ方は既に服選びだと決まってるのよ!」
毒闇と赤根の言い争いは白熱していく
「食いモン!」「服!」「食いモン!」「服!」
「ぎにぃぃぃ」「うぐぐぐぐぐ」
「そんな、毒闇と赤根がここまで激しく口論するなんて…」
「や、やばいですよ」「このままだと…破局しちゃうかも!?」堕悪達がたちまち騒ぎ出す
「たしかに、いつでも心が通っていた2人がここまで行き違えるなど一大事だが…」江美は驚きつつもそこになにか思うところがあった
(この光景、なんとなく既視感が…ん?)ふと2人の表情を見つめると
(なっ…2人とも確実に意識をこちらに向けている、しかもその目は全く同じ意志を持っているようだ。まさか…!?そ、そういう事か?いやだがしかし…私にそんな、いや私だからこそ頼んできたのだろう…ならば!)
「ちょ、ちょおっとまあったぁぁぁ…」そう言い出した江美は集まる視線に目が泳ぐ
「どうしたんですか?江美さん、急に大声出して…」
(くぅぅぅぅ、くっこれ思っていた以上に恥ずかしい…だがしかし!)
「ふ、2人とも!他を差し置いて自分達だけがユウタワーの楽しみ方を伝えようとする考えなど言語道断!これは戦争だ!私達も各々の楽しみ方を伝えねばならんのだ!」
(江美さん…)(流石だ、察しが良くて助かるっ)
(くっ、後で覚えておけよ…だがここは任せろ!)
「上闇殿!ユウタワーには各国の職人達が丹精込めて作った数々の武器や装備がある!それを眺め、自身の戦闘能力の強化を測るのも一興だと思うのだが?」
(そ、そうかそうだ、上闇さんを楽しませるために俺も…)
「上闇さんっあのユウタワーには最新のゲーム機も全部揃ってまして体験ができるんですよそれでそれでなんかちょっと色々…とにかく楽しいんです!」
「隼っ?あっあーそうね、私はそう!調理器具調達器具がいいと思います!…」ガシッ
「いてっなんだ光?」
「堕悪さんも合わせて下さい!」
「え?俺か?あーじゃあ俺も食いモンかねぇ」
「そうじゃないでしょ!」「ええぇ!?」
感化された隼、に同調せんとする光、恥ずかしさを紛らわすため声をかけられた堕悪
各々もまた上闇さんを楽しませようと奔走した
「ほんと、素晴らしく仲のいい家族ですね…俺は到底あそこまでできませんよ」そんな光景をただ眺めている久に炎男が肩を並べた
「あなたは行かなくていいんですか?」
「ああ、私は違うからな…」
「それはちょっと、何を言っているのか疑いたくなるほどですが…まあ今の俺にとっては都合がいいのでいいですが」
「なんだ?」「話があります、少し場所を移動しませんか?」
「わかった、優も一緒でいいか?」「優さん?」
久は自身の左脚にベッタリとくっついた優を指さした
「ぎゅむぅひーさーしー」
「そんなところに…まあ俺はいいんですが、あなたはいいんですか?彼女に聞かれて」
「なにをだ?」
「…そうですか、ならいいこととして受け取らせていただきますからね」
「ああ、何の話だろうと私は構わない…堕悪!私達は少し話をしてくる」「あっ?ああ」
そう言うと3人はその場を離れた
その様子を見た上闇はすかさず声をあげる
「あーそれじゃあ隼君のゲームを見に行こっかなぁー」「っ上闇さん!?」隼の手を掴むとそのまま移動しようとする
「ほらほら〜隼君案内してよ〜」「あっわわかりました、あっそっちじゃないですよー」
その光景を光はただ眺めているはずもなく
「あっ待ってください!私も行きますから!ほらっ堕悪さんも早く」「えっ俺もか?」「そうです!」堕悪も巻き込み急いで後を追った
江美もまた、睨み合う毒闇と赤根を置いて後に続こうとしたが…
「あっごめーんだけどっ江美ちゃんは2人の相手、お願いしていいかなっ?」
「あ、ああ…承知した」上闇にそう告げられその場に残ることとなった
「はぁぁぁ疲れた〜」
「全くだ、赤根に睨まれるのはいいが俺が睨むのは心苦しいからな」
上闇達の影が見えなくなると途端に2人は演技をやめた
「はぁ、もう二度とこのような役回りは押し付けないでもらいたいな」
「ご、ごめん江美さん」
「申し訳ありません、後でこの借りは必ず…」
「まあいいんだ、最初に行動してくれたのは2人だからな」謝る2人の方に手を置いて納得させる
「だけど結局、見透かされちゃってたね〜」
「仕方ないさ、上闇さんは俺達と生きてる時間が違うからなっ」
「生きている時間…か」江美はふと天まで続くユウタワーの天窓に想いを馳せた
「姉さんの件、そろそろどうなったか聞きたいんですが」
「姉さんの件…とは?」自販機が立ち並ぶ薄暗い空間で久は炎男に問いただされていた
「何を仰るんです、本気で言ってます?それ」
「あっああそうだった今思い出したよ」久の態度にますます目つきの悪くなる炎男
「その件だが…もう少し待って欲しい」
「待つ?ますます意味がわかりませんね、俺は実行された行動の進捗を聞いているんですよ!」炎男が距離を詰める
「すまない、こちらも色々あってあの日からまだ何も実行できていないんだ」
「色々あったことは、まあ確かに分かりますよ…毒闇さんと赤根さんの加入に加えここ最近は急な外出が多く俺と顔を合わせることもほとんどなかったことからね…ですが!」炎男は拳を握りしめた
「その間、あなたは何もして来なかったと言うんですか!あなたにとって姉さんのことはそこまでどうでもいいことだと…思ってらっしゃるんですか!?」
「じぃーーー」その場で怒りを顕にする炎男に優は爛々と目を光らせ警戒する
「…」(わかってる、久と接点を作り主導権を取り戻すまでの間のことはよく覚えている…特に久が重要に感じた感情、由美という女に纏わる記憶は色濃く残っていた。私もそれを大事にしたい気持ちはある…だけど)
「状況が違うんだ…」「あ…なんですって?」
「私は…久じゃないんだ」それからその言葉に疑問を投げかける炎男に、洗いざらい全てを話した。
久ではなく雄だということ・伝永雄司が悪であるということ・その悪意はいつの日か必ず自分達を刺しに来るということ
「だがら…由美さんのことは大事にしたいと思うけど、一刻も早く伝永雄司を止めないと…皆を守れないからっ!」
「あなたは卑怯な人だ…皆を盾にすれば見逃してもらえると?自分が不幸だからと約束を破ってもいいと?それに何より!あなたは…恐れてるんでしょう?姉さんが生き返ったことで久さんが意識を取り戻すことを!」
「ぐっ…」
「貴方はこう言いたいんでしょう?俺達のことなんてどうでもいい、邪魔だから消えてくれと…!それが一番まとまりがいい、あんたらのことに比べたら俺達の家族なんか…」
「ストーップ!」「…!」優が2人の間に入り込んだ
「炎男君いいすぎ!むー泣いてるじゃんか!」久の目には水滴が光っていた
「うっ…たしかに言いすぎたな、ぁ」
「大丈夫?ひさ…うーん、雄ちゃん?」優が自身の服の袖を使い流れる涙を拭う
「久でいいよ、うん久で…」
「…無理しちゃダメだよ!気張ってばっかじゃ疲れちゃうでしょ?」
「あっ…くふふどこでそんな言葉…覚えてくるのよっ優…」涙が溢れ出す
「わわわっ待ってて!今拭いてあげるから〜」2人の仲睦まじい光景にいたたまれなくなった炎男はなにか言い出そうとした
「はい、止まったね!次は炎男君の番!」
「ぬあっ」ところで優の顔が迫り驚く
「わたし思ったの!もし由美ちゃんを復活できたとしても伝永雄司の脅威が消えていなきゃ巻き込まれて危ない目にあっちゃうかもしれないって」
「それは確かに…だが、そんなに長い間姉さんを放ったらかしにしておいて確実に復活できる保証はないだろ?」いつになく饒舌な優に真面目な反論をしてしまうが…
「できる!」「は?」「できるよ!お母さ…じゃなくて正直ちゃんなら絶対に…できる!何があっても絶対!私がこれだけ話せてるのも正直ちゃんのおかげなんだもんっ」
「うぐっ…そんなに言うならしょうがないっけどな!俺の気持ちもそう長くはねえからな、さっさと伝永雄司ぶっ倒して姉さん復活さしやがれ!」優の自信満々な表情に気圧されてか、これ以上の責めに疲れてか炎男はそう捨て台詞を吐いた
「ああ、核に誓おう」
一方その頃…
「あっ見てください!あれは最新式のフルダイブ式ゲームでして、メガネサイズへの軽量化と1タップでゲームと現実を行き来できる時短化…とはいえフルダイブも最近飽きられてきたということで先進技術を投入した超小型スクリーンによる気軽なゲーム体験…も今更すぎるので対話型人工知能を導入したシュミレーションゲームなんかも最近話題で…」
「へぇ〜」
「上闇さん聞いてます?」
「うん、いいね」上闇は隼の言葉に感心を寄せるフリをしながら付近の様子を伺っていた
「むぅ上闇さん隼と近い…」
「まあいいじゃねえか、結局仲いいヤツといるのが一番楽しかったりするだろ…」
「そうですが…」
「おふたりさーん!」ビグッ
急に呼ばれ過敏に反応する2人
「おおーずいぶんと息ぴったりだね〜もしかして2人、付き合ってる〜?」
「なっ…!」
「なんだと?何言い出すんだ上闇、光はな」
「そそそそうですよ!正気とは思えません!誰がこんな人のことを好きになるんですかぁ!」
「おい光、それは流石に言い過ぎだろ…」
「あっすいま」「じぃぃぃ」慌てる光は隼と目が合い何故かものすごく気まずい気分になった
「はいはーい、冗談はこれぐらいにしてちょっと着いてきてもらえるかな?」
「ん?」「着いてきて?」
「まあまあいいからいいから〜」上闇に言われるがまま3人はとあるテナントへと移動していく
「ちょっと待っててねー」そう言ってテナントへと入っていく上闇、待っている間中が少し騒がしいようにも感じたかと思えば…
「終わったよ〜どうぞどうぞ〜」テナント内から上闇の声だけが聞こえ怪しみつつも中へ入る
「なっなんだ?」「うわっ暗っ」「堕悪さん、光!大丈夫か?どこにいるんだ一体」グニッ
「きゃあああちょっと隼!どこ触ってるのよ」バシッ 「いてえっ」「あっ堕悪さん!すいませ…」パッ
そうこうしていると明かりが付きその空間の全貌が明らかとなった
「えっ?」
「なんだ?部屋?」そこは四方が壁に囲まれたピンク色の部屋だった
「俺達は一体どこから入ってきたんだ?」
「あっ、あそこに扉がありますよ」急いでドアノブに手をかけるも
「ぐっ開かねえ…!なんつう硬さだっ」そうこうしている間に光は恐ろしい事実に気づく
「あれ?よく考えたら隼はどこに?」
「なんだと!?」(それに声の主である上闇もいなかった、これはどういう…)
「はいはーいおーまたー!」
「!!?」壁の上の方から上闇の声がした、向くとそこにはモニターから顔を覗かせる上闇が居た
「へへへっ僕の部屋、気に入ってくれたかなぁ?」
「これはどういうことだ上闇!」
「上闇さん!隼はどこにいるんです!?」
「隼のことなら安心してよ、それよりこの部屋についてはどう思う?」
「どうって…」「知ったことか、おいはやく開けろ!」
「それは出来ないな〜」「何!?」
「後ろをご覧くださーい!」言われるがままモニターと対象の後ろの壁に目を向ける
「何故ならここは…」巻いてあった幕が横に広がる
「タブー破りしないと、出られない部屋…だからさっ!」
「タブー破りだと…何をさせようって言うんだ?」
「破るって…痛いことじゃないですよね?」
「あーそうだった教えてあげないとねぇ、タブー破りするには…服を脱いでお互いに見せつけるんだ!」
「服を…脱ぐ!!?」
「なっ…!?何を言い出すかと思えば上闇お前え」
「そ、そんな恥ずかしいこと…しかも堕悪さんになんてできるわけないじゃないですかぁ…」光が肩を抱え、膝をついた
「ああっそんなことさせねえ!こんな部屋なんかぶっ壊してやる!」
「それはやめておいた方がいいと思うけどねえ」
「ほざけ!堕悪死手!」ゴウンッ バゴッ
堕悪の背から出現した2本の黒い手が扉を殴り傷を与えた
「ほら見ろ!」だが…次の瞬間扉の凹みはは元の形へと戻っていく
「なっ…そうはさせねえ!」ドゴッバゴッガゴッドガッ 黒い手で連続して扉や周囲の壁を殴り続ける堕悪、その速度に壁が治る速度は段々と遅れを出していく
「あとちょっと、あとちょっとで!」
「堕悪さん!」「もう少し!」「堕悪さん!」
「なっなんだ?光、どうし…」
「堕悪さん…これ以上は、無理です。ぅぅぅ」光の様子を見て全てを悟った
「しまった!闇瘴気が充満して…すまん、光!」慌てて黒い手を仕舞った
「あーあ、だから言ったのに」
「お前え…!」鬼の形相を上闇に向ける
「大人しく指示に従おうよ、こういう時は抵抗しない方がいいってば」
「ああ…ならお前の言う通り大人しくするとしよう、なにもせずに待っていればそのうち久がお前をぶっ飛ばすだろうからな」しばらく上闇を睨み続けた堕悪は落ち着いてその場に座り込んだ
「そ、そうですよ堕悪さん!指示に従う必要はありませ…」「あーそう言う考えになっちゃうかーなら仕方ないなぁ」上闇がそう言うとモニターが切り替わる、そこには…
「なっ隼!??」壁に固定された隼が写っていた
「さっさとタブー破りしないと、隼君が大変なことになっちゃうよー」映像をよく見ると隼に対し腕のようなものが複数伸びていた
「ぐっ上闇貴様!」堕悪が激昂し既に身に纏っていた闇瘴気が現れていないはずの黒い手を形作った
「上闇、お前は久を裏切った!お前を家族として受け入れ信じた久を!お前は悪だ!隼を危険に晒したこと一生を持って後悔させてやる…!」「堕悪さん!」再び光の声が響く
「あっ光…すまん大丈夫か?」
「もう…いいです」
「えっ?」
「もういいです!私脱ぎます!」
「光?待て、そんなことをしてもこいつの思う壷だ!」
「そんなことをしたら…隼が助かるんですよ!それなら私はやります」
「光ぃ…ぐっわかった、隼を助けるため俺も協力する」堕悪は光の目に並々ならぬ覚悟を見た
「じゃあ、お互い後ろを向いて…全て脱いだら一斉に振り向くという形で、いいですね?」
「わかった…」
「おっ!ついに来たねっこの時がー!」上闇がめいっぱい画面に食い入る
カチャカチャッパサッ ビィィィガサゴソッボトッ ザザッガサッバフォッ シャッカサッシュルシュルシュルッスッ
「脱ぎましたか?」「ああ!」
「では…せー
「何をしてんだキィィィック」
の?」光と堕悪は振り向き切らず、モニターに目を向けた
「ひっ久君?お、お早いお帰りだねぇ…」
「上闇!」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「上闇か?それなら…」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「江美達に場所を聞いて、様子を見に来てやったかと思えば…まだ懲りていなかったようだなー!連続刃!」
「まっ待って…この距離は流石にっぎゃぁぁぁ」上闇の断末魔が部屋に響きわたりなんとなく安堵した2人は
「はぁぁ」「良かったこれで…」
「え??あばっ…」ふと互いに振り向いてしまい急いで後ろに向き直った
「かぁぁぁぁぁ」「うぐぐぐぐぐ」しばらく気まずい時間を過ごした後
「ふ、服…着ましょうか」「あ、ああそうだな」お互いに顔を合わせないようにしながら部屋を出た
〜カセイ国守官管理所・大浴場〜
「はぁ〜全く、上闇のやつめ」
「行くのが遅れて悪かった、上闇はきつく叱っておいたからどうか許してやってくれ」
「ああいいさ、それより久…いや雄さんの心は女なんだよな?その、俺は別になんともないんだが…俺に見られて大丈夫か?」
「そんなことなら問題ない、タブー破りを経験したせいかもしれないが堕悪に体を見られることも堕悪の体を見ることも私はなんとも感じていない」
「そ、そうか…それならいいんだが」
「なーに話してんの〜?」ドバッシャァァァン
「ぐわっ、上闇!お前の話だっ全く飛び込むなって…!?」水飛沫に垣間見える上闇の姿は上瑠璃のものだった
「は?ちょおちょおちょお、な、なにやってんだ上闇!?」
「今は上瑠璃よーん」
「だからだよ!その体でいるなら女子風呂に行ってくれ」
「ええーっこっちの方がいいじゃぁん」上闇が堕悪に絡みつく
「くっ、くっつきすぎだ!離せ上闇ぃぃぃ」
「あれ〜?めっちゃウブだなぁ」堕悪の反応が思っていたものと違った上闇はすぐさま腕を離した
「おっかしいなぁ、扉が開いたってことはタブー破りが成功したってことだと思ったのに…」
「上闇。」「あぁわかってるよ久君!女子風呂行くってば」久の強烈な視線を受けた上闇はそう言ってそそくさとその場を後にした
「はぁ〜風呂ぐらい落ち着いて楽しませて貰えないものかね」
「そ、そうだなぁひさ」ドッバァァァン
またしても騒がしい水飛沫が上がる音がした
「なんだ?まさか上闇のやつ女子風呂でも…」考えを巡らせるまでもなく壁の向こうから大声が聞こえた
「いぇーい!」「きゃあああ上闇!どこさわってるんですか!離してください!」
「上闇殿!光殿から離れろ!神聖な風呂場で不埒なことをしようものなら私が許さんぞ!」グニッ 「うにゃぁぁぁ!私の脚に触れるな!邪気乱雑ぅ!」ドプガァァァン
「うっうわぁ…!?」その音に顔がひきつる堕悪は隣にいる久の顔を見て腰を抜かした
ジュバンッ 次の瞬間、水飛沫が滴る
「くっ、次は外さんぞ!」江美が刀を構える
「ふふっこれならどうかな?」
「邪気一閃!」「上闇の極意!」上闇が石鹸を変容させ「なっ」それを踏み込んだ江美は盛大に転んでしまう「がはぁ」
「はっはっはっふふふっ…!?」
「ふっふっふっふっふっ」背後に影…!
「ひ、久君?ここは女子風呂だよ?君なんかが来ちゃ…」
「何をしてんだキィィィック!」「ぐあはぁぁぁっあぐっ」蹴り飛ばされた上闇は壁に勢いよく体をぶつけ意識を失った
その後、意識を取り戻した上闇は皆の前で
再び久にこっぴどく叱られたのであった
次回予告!
皆に振る舞うため赤根がチキュウからこっそり取り寄せたウナギを優が女の子に変えてしまう!食べるか食べないか優と少女の生活が始まる
次回 第4章 5.優とウナちゃん




