2.妖艶美徳
前回のあらすじ
政府国で起きた連続殺人事件、その被害が十件に達し久達は政府国に呼ばれる
犯人は上闇常繁、彼は無属性能力が突然変異し産まれた無族。久達は政府国と共にその暴虐を止めに走るそんな中、隼は1人狂気に飲まれようとしていたのだった
「じょ、上瑠璃さん…!」彼女の顔面がこちらに迫る
息は荒くなり危機感を覚える、しかしどういうわけか体に力が入らない上…
(属性能力が、出ない…) 腕を取り巻く何かを一刻も早く拭い取りたい思いに駆られる
だがなんの縛りも受けていない脚すら体勢のせいか動かすことがままならない
「はぁはぁ、はぁはぁ、はぁはぁ、ははっははっははっはは…」
「アハハハハハハハ…」上瑠璃が不敵な笑みのまま眼前に迫り…
「ちゅっ」頬に口付けした
「はふぁ!?」
「うふふ、よかったちゃんと効いてるみたいね」目をやると彼女の表情は穏やかな状態に戻っていたかに見えた
「な、なんなんですか…上瑠璃さん」
「あら〜まだ硬いみたいね〜そこは、常夜って言うべきでしょ〜?」
「答えになって…ない、そうじゃなくて…なん、で…はっ薬!」
「違う違う!」上瑠璃が口を酸っぱくする
「あれはただの気絶する薬、を混ぜたお母さんの紅茶よ、本命は消毒を装ってぶっかけた液体の方…核エネルギーの流れを活発化させる効果があるの」
「はぁはぁ…はぁはぁ…うっ」息を飲んだ
「わかってなかった?普通あれだけ大量に体液こと核エネルギーが流れたら傷は一瞬で塞がる、塞がらなかったのは私の能力…そう、私が上闇常繁よ」
「ぐっうっうぅ…」自分の愚かさに頭が割れそうになる…だがしかし依然隼の中には疑問が残っていた
「まず、私の能力で顔の形を変えて頭に巡る核エネルギーが全部流れ出るようにする、次に体内の核エネルギーを殆ど出しつくした状態にして動きを封じる
最後に部屋を暗くする、これも私の能力ね?カセイ人は太陽光で核エネルギーを補給してるから暗所や密閉空間では再生ができなくて…」
「なん、で…」ようやく隼の口から、か細くその言葉が溢れ出てきた
「…。最初にあなたを見た時、思ったの…
人を愛せる目をしているって」
「…っ」
「だからきっと、あなたなら私を愛してくれるって…そう思ったの」上瑠璃の、いや上闇の、腕が体へと伸びる
「ははぁはふはふはふ…」狂気を帯びているかどうかはもはや関係ない、全身が警鐘を鳴らしている…彼女、彼の手が
隼の衣服を取り払った
「…///!」
「うふふ、思った通り。私を興奮してくれているのね」
「………//////!?!?!?」声にならない声をあげながら顔を紅潮させる、先程とは違うなにかが自身の身を駆け巡る、植え付けられた常識がこの行為に対し全力で危機感を煽っている
「はふはふはふはふ…」
「落ち着いて…」
「はっはっはっはっ」
「落ち着いて…」
「は、は、は、は、」
「落ち着いて!」ガバムッ
部屋にしばらくの間沈黙が訪れた
「えへへ、いいでしょー?これっ」
未だ危機こそ感じていたものの、雰囲気に飲まれ少しばかり落ち着きを取り戻す
しかし、それによって自然と意識が身体のある部分へと集中する
「なんだよ、これ…」下腹部から光り輝く、触手のようなものが無数に顔を覗かせていた
「…。」不安に息を飲みながらも、この光景を目の当たりにしながらも落ち着きを保っている人物に説明を呼びかけた
「綺麗でしょ?」上瑠璃の目は得体の知れないこれに対し宝石でも見るかのように目を輝かせていた
「これは生命の奇跡よ、人を愛し人に愛され愛を創り出す。生命が生命たりうるための存在。生殖器」
「セイショクキ?」
「そう…知らなくて当然よね、寿命がないからって増えるのを防ぐために勝手に秘匿してタブーとして祭り上げられた…身勝手な国の陰謀によって」上瑠璃の声色が強くなる
「そのせいで、無知はこれを気味悪がり半端な知を得た無知は過ちを繰り返す。そして罪は広がりさらに気味悪がられる…」上瑠璃はうつむき、触手を眼前に見据えた
「こんなに美しいのに、誰もそれを知らない…生命を冒涜しておきながら何がタブーよ」上瑠璃は拳を握りしめ
「性は浪費されるものじゃない!愛を育むものよ!だから私は半端な無知は殺し、無知には本当の愛を…教えてあげるの」ガバフォッ
上瑠璃はその身を被っていた衣を脱ぎ捨てた
「隼君、これは全ての生命に与えられた権利なんだよ。誰にも咎めさせはしない」パカッ 上瑠璃が割れ触手が飛び出る
「待っ、ならそれは愛してくれる人とした方が…」
「何言ってるの?君の本能はこんなにも物分りがいいのに…それに、身体の反応だけじゃ愛は成立しない。これは君の心が一瞬でも私を愛したからこんなにも引き合うんだよ。」両者の触手は先が触れるまであと一歩というところまで来ていた
バンッ 「隼!」光が扉と思しきものをこじ開けた
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「堕悪さん、私やっぱり戻ります!」
「え?あちょっと!」
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無論、自らの心配は変わることはない。皆が隼が言うように過度な心配は無駄であると不要であると思い込みたい気持ちもあった
だがそれは"この心のモヤを晴らしてから!"、そういった理屈によって押し流された
彼女は希望を持っていた、彼の元にさえ戻ればなにもかも良くなるだろうと
だがしかし
「はや、ぶさ…」 光が差し込み青黒く光る部屋の中で隼は横たわっていた、そしてその上にはまるで獲物を食らう獣かのように隼を離さんとするなにかが、密接にまとわりついていた
「っ…」思わず後ずさりしそうになるそんな様子を勘づかれたか、なにかがこちらに目を向けた
「…っひか」その変化に気づいた隼もまた、声をあげる
「あらーあなたも人を愛せる目をしているわね」
「…ぐ逃げろ光!」
「ひっ…」「バリリリリィンッ」「!!!???」
「見つけた!」窓を割り、明かりとともに颯爽と久が入り込む
「龍槍やいばあああああ!」 シュッ 隼の上を狙った攻撃は避けられた バビュッ バビュッ
続く2連の攻撃を避け上瑠璃は、ハンガーにかかっていた衣を身にまとった
「服を着ないと締まらないからね」
トッタットッタッ「ドンガラガッシャーン」
「!!??」走って駆けつけた佐元は、突如として崩れだした目的地に目をやる ダッ
2つの影が飛び出した
「また変身か!」 「荒事はお父さんの役目だからねえ」
「意味がわからないな…」
「君も愛を知ればわかるようになるよ」上闇はそう言って不敵な笑みを浮かべる
次回予告!
相対する久と上闇!同等の手数と殺傷力は戦いを長引かせ他者の介入する余地を奪っていった
光は懸命に隼に呼びかけ隼は…
戦いの決着はどのようにしてつけられるのか?
次回 第4章 3.上闇の極意




