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第十話 Ruina! Ruina!

 日本 神奈川 地上 荒廃したビル街―― A.M11:56 11月 28日



「――――どうだ?“バルディエル”?」



 水色のローブに、骸骨の顔、この者こそが、“中位三隊”、“力天使”、ガギエルである。



「――――どうやら“種としての人の者”の生き残りは使人と共に地下に潜っているようだな」



 紺色のローブ、そして、一本角が眉間から這い出ている骸骨の顔面、この者こそ、ガギエルと同格の天使、バルディエルである。


 この二体は、“四大天使”の命により、“種としての人の者達への救済”を行いに来た。


 しかし、もう一つの命は使人の抹消。数ある驚異である人間側の天使を抹消する事で“救済”を円滑に進めようとしているのだ。


 何よりも脅威なのは、この二体、そして、他の“中位三隊”は“下位三隊”の天使と違い、完全な<役割>(role)を持ち合わせている事にある。


「――――“使人”の反応は四体確認……。迎撃体制に入るぞ、ガギエル……」


 バルディエルは、準備が出来た事と、敵の判別を済ました事をガギエルに言う。


「――――待て、“使人”以外の歪な反応を確認出来た。“種としての人の者”では無いようだが」


 ガギエルの言葉を聞き、黙り込み、考えるバルディエル。


「――――“種としての人の者”でも無い? では同胞か?」


 バルディエルは、ガギエルに問う。


「――――待て……“魔力計測値”……正常、“空間歪曲機能”損傷2%。“原子分解後再構成機能”異常無し」

「――――“情報処理室”より通達、識別」

「――――結果、不明と判断。危険処理の許可、此方で決める」

「――――同胞では無さそうだな」


 ガギエルは、やがて此方に来る“使人”、及び“天使とも、“人類とも言えない生物”を“識別”した。



 そして、始まりを告げる宣言――――



「――――来たか……!!」

 


 此処に来たのは、老若男女。ガギエルはそれ等全ての生物が“使人”や“別の生命”である事を知っている。


 そして、五人は、そこに歩み寄る。


 一人は、“野心を抱き”、

 一人は、“静寂を求め”、

 一人は、“遊びを求め”、

 一人は、“優越を得るため”、


 最後に来たるは、ちっぽけな“希望”を胸に……


 戦場の中、二体の“天使”と、五人の“人外”が相見えた。

 


「……。」

「速く帰りたいのぅ……。」

「わーい!! 遊べるよ!」

「大丈夫……私は大丈夫……。」


 戦うべき四人は、前に出る。


「始まる……」


 そう直感したリョウは、戦いを見届けようと、近くの場所で待機していた。

 

 それと同時に、ある事を思い出した。


(……リュウジさん)


 “リュウジ”、その名の人物こそ、リョウに真実を教えた男…“長官”の事である。


 そして、天使達も又、体内のモーター出力を上げ、翼を広げ、“敵”の元へ進む。


「――――行くぞ……ガギエル」

「――――ああ、バルディエル……」


 そして、天使と相対する彼等も又、天使の元へと歩み寄る。


「……“ライハ”お前と俺を組め」

「分かったよ! “ソウマ”のお兄ちゃん!」



 ――――“嘉山 ソウマ”……メガネの長身の黒いロングコートの男……青い髪が特徴的な典型的な、キツそうな男だろう? 

              by リュウジ長官


 ――――“二階堂 ライハ”……弱冠九歳の少女だが……、“災厄”の後から“使人”と化してから、“対天使部隊”に所属し、彼女が出撃した作戦はほぼ成功している…。白髪にピンクのTシャツ、可愛いなぁ…… 

      byリョ……じゃなくてリュウジ長官



「朝野ちゃんワシといいかな?」

「そりゃ……組んであげるけど……うん……」


 ――――“遠山 テツヤ”……今年で六十六歳おじいさんだが、“災厄”の四年前どころか四十年前位から兵士だった凄腕だ。和服が威厳を漂わせているモノの、歳の所為で、ボケて見えてしまう……

             …byリュウジ長官 


 ――――“朝野 アスカ”……ご存知、リョウを助けた使人。白いシャツとスカート、間違い無く可愛いぞ〜! 今は、リョウと同じ十八歳。まだ成長の余地が……。

             …byリュウジ長官



 役者は揃った。



「ライハは見てろ……」

「――――フンッ!!」

 

 先に攻めたのは、バルディエル。圧倒的速度でソウマの眼前に、一瞬で詰め寄る。


 バルディエルから後ろ側はマッハ2近くのスピードでソニックムーブが発生し、地形を変えていた。


 そんなスピードから、ダイヤモンドの塊すら粉々にする威力の天使のパンチが当たれば、人の肉体はどうなるか?


 “普通なら”粉々ではすまない、もはや塵芥にも還らぬだろう。だが、相手は“使人”。


「――――ッ! 馬鹿な!?」

「……それだけか?」


 ソウマは、“横に見向いたまま”手でバルディエルのパンチを受け止めた。衝撃波が後ろ側に発生し、そこの地形が窪んだ。


「――――グヌゥッ……!!」


 そして、ソウマとバルディエルの手を見てみれば、バルディエルの手は、“凍りつつある。”


 ソウマは手を離した。そうするとバルディエルは、後ろに重心を入れていた為に、後ろに倒れそうになったが、留まり…


「――――ッ!? ウォォォッ!!」


 右後ろ上段回し蹴り。しかし、それすら難無くスウェーで回避する。


「次は此方からだ……」


 ボクシングスタイルから放たれるソウマの右アッパー。しかし、バルディエルもクロスガードをする。


「――――やられてるだけだと思う……グオァッ!!」


 次の言葉をバルディエルが言おうとした瞬間、ソウマの左フックでバルディエルの顎をブチ当てる。


 顎のダメージは、バルディエルの体力を一気に削った。その所為か、バルディエルはフラついている。


 人間が顎や頭にダメージを食らい、フラつくように、天使もそれは変わらない。


 所謂、ホワイトファングと言われるボクシング技だ。

 

 バルディエルも立ち直り、構えず、ローブを取る。


「――――ハァ……ハァ……面白い……! ならば、真名を■■■の名の元に開帳する……!」



 side change



 その頃、ガギエル、テツヤ、アスカは……


「――――あちら側は既に戦い始めているようだが? どうするのだ…そこの老人よ……」

「そうじゃのう……では此方からやらせてもらうぞ……!」


 テツヤは、まるで“人が変わった”かの様に口調が変わる。


「アスカ……此方の攻撃が回避された時のカバーを頼む」

「分かったわ!」


 ガギエルは動かず、テツヤから攻めに入る。


「セイッ!!」

「――――フンッ……」


 テツヤはガギエルの顎に掌底を当てようとした…が、ガギエルは難無くスウェーで回避する。


「かっ飛ばすわよー!!」


 アスカはテツヤの上から、跳んで来た。そこから、相変わらずの素人パンチをガギエルに浴びせるが…。


「――――フフ……」


 ガギエルはその腕を掴み、そのままアスカを地面に叩きつけた。


「キャアッ!!」

 

 しかし、飽くまでそれはアスカだけ。テツヤがいる。


「よそ見はしないほうが良かろう……?」


 テツヤは、棒立ちだったガギエルの顔を掴み、そのまま後ろに回る。


「――――!?」


 そして、ガギエルはまるで力が抜けたかの様に、そのまま後ろに倒された。


「合気道……って知らないかね…?」

「――――すまないな……人の者の戦う術は知らないんだ……」

「ホッホッホッ! 意外に素直だな!!」


 テツヤは、大笑いしている。


 ガギエルは、テツヤに対し…


「――――そうか……そう言われるのありがたい。ならば、私も…貴方に敬意を表して真名を…開帳させてもらう……」




side change



  日本 神奈川 上空―― P.M00:35 11月 28日



「――――ヒヒッ! 面白そうだなぁ……!」


 それは、赤いモヒカンに、赤のジャケット、一見すれば人間に見えるが、顔をよく見れば…


 顔の上部分は端正な顔立ちだが、鼻から下は機械に覆われており、右手は機械そのもの。そして、真名を開帳していない天使の特徴である“二枚の翼”。


「――――“今回の人間”はどんな奴何だろうなぁ……?」

「――――楽しみだなぁ……“ソドムとゴモラ”以来だからなぁ……」



 “炎”は、近い。


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