「大食」の支配力
第57話へようこそ!
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それでは、第57話をどうぞ!
クラトロス・アーチェリーは席を立つと、テーブルの上に少しばかりの金を置き、それからウェイターと握手を交わし、近くにいた職員たちにも挨拶をした。
彼は拳を強く握りしめた。まさか、こんな男が殺人犯であり、犯罪者だとは……フレデリック氏でさえ捕まえることができなかったほどの男なのだ。
「くそ……」
そのとき、ザックは今にも手にしたナプキンを引き裂きそうになっており、リサもここを出る前に最後の一口としてジュースを飲んでいた。
「こんにちは!……どうぞ、ごゆっくり……どうぞ、ごゆっくり」
クラトロスのその言葉は、ザックの耳にはまるで雷のように響いた。一方のリサは、すぐに彼へ挨拶を返した。それでも、ザックはほんの少しためらいながら、
「こんにちは……」
と答えた。
ザックは、正しい判断を選ぶことに悩んでいた。ロスラの言葉を信じて、この男について調べるべきなのか、それとも、彼女から聞いたこの男についての話を無視するべきなのか。
「少しくらい……こいつについて調べてみても、問題ないだろ」
ザックはクラトロスがカフェテリアを出ていくまで、その姿を目で追い続け、彼が見えなくなると、ためらうことなく質問を投げかけた。
「リサ……クラトロスって結婚してるのか? 何歳だ? フレデリック氏とはどんな関係だった? パートナーはいるのか? それとも、子供はいるのか?」
その質問の数々はあまりにも怪しかったため、リサは思わず眉を上げた。
「なんだか、私を取り調べてるみたいね、ザック……何なの、その質問?……もちろん、ほとんど答えなんて知らないわよ」
リサは少し考えてから、続けた。
「そうね……結婚はしてない……それはみんな知ってる。年齢は……分からない。ほら……見ればだいたい想像できるでしょ。私も、そういうのを当てるのは得意じゃないの。フレデリック氏との関係については……そこは面白いところね。私の考えでは、かなり複雑な関係だったと思う……信じられる? 実は前に、似たような題材で短編小説を書こうと思ったことがあるの。想像してみて……検察官と弁護士が、昔から一緒に仕事をしている……でも、お互いのことを好きじゃない。いや、『好きじゃない』っていうのは……お互いに何の感情も抱いていないって意味。けど、フレデリック氏が亡くなってから、そのアイデアはやめたの」
「ええ、それ、すごくいいアイデアじゃない。書き始めればよかったのに」
二人はテーブルから立ち上がると、そのまま一緒にカフェテリアを出た。その後、二人は別々の方向へ向かい、リサは自分の部屋へ戻り、ザックは彼女に別れを告げてトイレへ向かった。
「じゃあな……仕事、頑張れよ」
「またね、ザック……明日また会いましょう!」
四人は、まるで一つのまとまりのある集団であるかのように、肩を並べて歩いていた。四人とも周囲をあちこち見回していたが、特に先頭を歩いているフィールドは、ポケットに携帯電話を入れたまま、周囲を注意深く見ていた。
「おい……このアル中スポーツマン……お前、格闘技ができるんだよな?」
ハリーの声は震えていた。口調だけを聞けば皮肉を言っているようにも聞こえたが、その表情は驚くほど真剣で、微動だにしなかった。無理もない。四人がいるのは、安全も常識もほとんど存在しないスラム街だった。
やがて四人は、狭くて汚れた路地の一つで立ち止まった。
それからほんの少しすると、太った若い男がその場へやって来た。身につけている服は擦り切れてボロボロで、身体に対して窮屈そうに張りついている。
「お前らが客か?」
男もまた、落ち着かない様子で周囲を何度も見回していた。
ハリーはすぐに答えた。
「客?……俺たちのことは『大食』って呼べばいい……俺が『大食』だ……名前を覚えておけ、このクソ野郎」
声は震えていて、それでいて大きかった。しかし、そのときもハリーはジェフリーの後ろに隠れるように立っていた。
男の表情が一瞬で変わり、その場に倒れ込んだ。
「あり得ない……お前……『大食』なのか?……俺……頼む……悪かった……ここにいるなんて知らなかったんだ……頼む、許してくれ」
三人は困惑した表情を浮かべた。
「はあ? 何の話をしてるんだ?」
「お前が『大食』……あの双子を始末した『大食』だろ?……頭蓋骨を叩き潰したって……脳の一部が床に散らばっていたって聞いたぞ」
その言葉を聞いた瞬間、四人の目が一斉に見開かれた。特にジェフリーは、いまだに何が起きているのか理解できていなかった。
「はあ? こいつ、何を言ってるんだ?」
三人は互いに顔を見合わせた。
そしてハリーは、太った男へ視線を向けながら言った。
「おい……俺たちはそんなことしてないぞ……誰も叩き潰してない……ほら、コカインを渡せ、このクソ野郎」
太った男の表情が、再び変わった。
「本当か?……お前らじゃないのか?……そうか」
男は立ち上がると、破れたズボンから袋を取り出した。しかし、それをハリーに渡そうとしたその直前、フィールドが割って入った。
「俺たちだ」
その場にいた全員の目が大きく見開かれた。
「はあ?」
ハリーは驚いたようにフィールドを見た。
「何言ってんだ?」
フィールドはその太った男の前まで歩み寄ると、続けた。
「俺はアブラハム……そして、こいつが『大食』だ。俺たち全員を『大食』と呼んでくれていい……あの双子を始末したのは俺たちだ。そして、誰かが俺たちを怒らせたなら……同じことをもう一度やる覚悟もできている」
太った男はその場に崩れ落ち、頭を下げながら必死に許しを乞うた。
「本当にすみません……本当にすみません……もしあなたたち『大食』を怒らせたのなら、申し訳ありません……信じてください、俺は何もしていません」
その一方で、シャギー、ハリー、ジェフは、何が起きているのか分からないまま、驚いた顔でその様子を見つめていた。
フィールドは太った男に袋を渡すよう求め、それからジェフリーに金を出すよう言った。
「おい、『大食』……金をくれ……買うぞ」
ジェフリーがポケットから金を取り出そうとするよりも先に、太った男が割って入り、その袋をフィールドの手に直接押しつけた。
「払う必要はありません」
コカインを渡した直後、男は一度も振り返ることなく、全速力でその場から逃げていった。
「誰か、俺に起きたことを説明してくれないか?……全部だ。いいか?」
ジェフリーの言葉を聞いた三人は、しばらくの間、互いの顔を見つめ合った。
やがてハリーが眉をひそめながら答えた。
「黙ってろ、このアル中スポーツマン……首を突っ込むな。それより、フィールド……さっき何やったんだ?」
フィールドは苛立ったように息を吐いてから、答えた。
「ああ、ハリー……考えてみろよ。どうやら、ここでは俺たちを怖がってるらしい……少なくとも、大半の奴らは俺たちを恐れてる。これは絶好の機会だ……俺たちの存在を押しつけるんだ」
四人全員の顔に困惑が浮かんだ。
シャギーがすぐに尋ねた。
「じゃあ、あの事件が、あいつが怖がった理由なのか?」
「はあ? じゃあ、お前は何だと思ってたんだ、この馬鹿?」
「ハリーの見た目が怖かったんだと思ってた……ほら……あの目を見ただろ?……腫れて紫色になってるじゃないか」
ハリーが怒鳴るように口を挟んだ。
「黙れ! じゃないと、お前の顔も紫色に腫れ上がった塊にしてやるぞ!」
するとジェフリーが、彼らの言い争いを遮った。
「待て、待て……つまり、お前らは本当に誰かを殺したのか?……あの太った男が言ってたことは本当なのか?」
短い沈黙がその場を包んだ。
やがてフィールドがジェフリーの肩を掴み、彼に言った。
「お前が知る必要があるのは……それが本当だってことだけだ。それだけだ……もう聞くな、このアル中野郎……ただ、俺たちはそうするしかなかったんだ……それだけだ」
四人はその大きな家の中へ入り、靴を脱ぐと、それぞれリビングへと向かった。そこには、低い長方形のテーブルが置かれており、シャギーとフィールドが右側に、ジェフリーとハリーが左側に座った。ハリーはコカインの入った袋をテーブルの上、そのちょうど中央に置くと、四人はそれをじっと見つめた。
やがてハリーが両手を叩いた。
「よし……俺は大食だから……」
しかし、フィールドがすぐに言葉を遮った。
「その前に、ルールを決めよう」
三人は眉をひそめた。
「はぁ?」
三人がほぼ同時に声を上げると、フィールドは手を叩きながら続けた。
「一口やったら……自分の人生について何かひとつ話すんだ。ドキュメンタリー番組で聞いたんだけど、こういうのはそのほうが楽しくなるらしい」
三人は互いの顔を見合わせ、それからシャギーが腕を上げた。
「いいぜ……俺は賛成だ」
それからほんの数秒もしないうちに、ハリーからも声が上がった。
「俺も」
そして、ためらいながらもジェフリーも口を開いた。
「……分かった。賛成だ」
そう言いながら、彼はゆっくりと手を上げた。
一秒、また一秒と過ぎるたびに、蛇口から水滴が一滴ずつ落ち、ゆっくりと洗面台へ落ちていく。ザックはもう長い間、その光景を眺め続けていたが、その場から一歩も動いていなかった。
誰かがトイレに入ってくると、ザックはそのたびに個室へ入り、蛇口をひねって水を出す。そして、入ってきた人が数分もしないうちに出ていくと、ザックはまた元の監視する姿勢に戻る。
「くそおお……俺はいつまでこんなことしてなきゃならないんだ、なあ?」
ザックは扉にもたれかかりながら、独り言のように呟いた。
「仕事が終わるのはいつなんだよ……? 俺はここで苦しんでるんだぞ、なあ……」
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