暴食の自由
第40話へようこそ。
今回も『社会の裏側』を読んでくださって、本当にありがとうございます。 ついに第40話まで来ることができました。
今回の物語では、ハリーが刑務所を出たことで、ザックの事件はさらに別の方向へと動き始めます。 そして、少しずつ明らかになっていく「裏側の世界」にも、ぜひ注目してください。
それでは、第40話をお楽しみください。
マイシーナは刑務所の面会室にいた。
父親の手を強く握りしめている。まるで、彼が遠くへ逃げて自分を置き去りにするのを防ごうとしているかのように。
涙が彼女の瞳から流れ落ち、目の前にいる、あの哀れな父親へと向けられていた。
「お父さん……心配しないで、いい?……ただの知らせなんだから……ね?……きっと正義は現れるよ……だから、心配しないで。」
「マイシーナ……俺は心配していない……落ち着くべきなのはお前のほうだ……あの決定……つまり、俺の死刑のことだが……それよりも、お前が泣いている姿を見るほうが俺には辛い。」
彼女は熱い涙を頬から拭いながら言った。
「分かった……もう泣かない……それより、明後日……心配しないで……私も裁判所にいるから……審理の一分だって見逃さない……それに、シェイクにも連絡したの……あなたの写真に向かって祈りを捧げてくれるって……だから心配しないで……お父さんは守られてる。」
「マイシーナ……あのシェイクについて、俺が何と言った?」
「でも、お父さん……」
彼女が言葉を続ける前に、アスコが真剣な口調で遮った。
「マイシーナ……この話をこれ以上長引かせたくない……お母さんも……俺も……これを望んでいなかった……少なくとも俺たちのために、このことは忘れてくれ。」
「分かった……お父さんがそう言うなら。」
ハリーは首の後ろに両手を置きながら、軽い足取りで巨大な扉から出てきた。
刑務所の門から。
「自由だ……ついに……たくさんポテトを食べるぞ……昼食は、たぶんフライドポテト……夕食は絶対にマッシュポテトだ……その後は自慰でもしよう……ずいぶん長い間できなかったからな。」
広い刑務所の門と並ぶ歩道をほんの数歩進んだところで、突然、ザックが彼の前に立ちはだかった。
まるで、何もない場所から現れたかのように。
そして、いつもの口調で続けた。
「さて……偽者の少年。どこへ行けば、お前が知っていることを全部話してくれるんだ?」
「そんな言い方するなよ……まるで俺が無理やりやらされてるみたいだ。」
「実際、無理やりだろ。お前は俺にすべてを話す……さもなければ、警察にお前の偽の身元を知らせる。俺たち二人とも知ってるだろ……ジャーメイン・デ・ナズは、およそ四か月前に死んでいる。」
「くそっ!……まあいい……近くにポテトを食べられる店はあるか?……軽く一食食べたら話してやる。」
小さなレストランの中では、古い油の匂いが場所全体を支配し、さまざまな酒の匂いと混じり合っていた。
そこには、若者から老人まで、さらには女性や年老いた女たちまで、さまざまな年齢の人々がいた。
ザックとハリーは、店の左側にあるテーブルの一つに座っていた。
「んぐっ……ぐぐっ……んぐぅ……」
ナプキンもフォークも使わず、ただ両手と口だけで食事を口へ運ぶハリーの音が響く。
「おい……本当に食い意地が張ってるな……せめて少しくらい食事のマナーを身につけろよ。」
「はあ? 何のマナーだよ……黙って俺に食わせろ……この後、トイレにも行くんだ……もう一つ、さっさと済ませなきゃならない用事がある。」
「自慰を用事と呼ぶのか?」
ザックはハリーの両肩を掴み、壁にぶつかるまで押し込んだ。そして、苛立ちと敬意も落ち着きもまったく含まれていない口調で続けた。
「この変態の大食い野郎……今すぐ、知っていることを全部話せ……その後は好きにしろ……自慰でもセックスでも何でもいい……俺には関係ない……俺の言っていることは分かったな?」
「セックス?……はあ……刑務所に入る前に一度やったことがある……自慰のほうが少し良いと思うな……結局、セックスと違って何の制約もないから。」
「くそったれ……今すぐ話せ……さあ、早くしろ……俺には一日中時間があるわけじゃない。」
「分かった、分かったよ、刑事さん……何を知りたいんだ?」
「お前たちの世界について話せ……詳しく知りたい……お前が知っていることを全部だ。」
「分かった……俺たちの世界か……よく分からないな……混沌としてる……でも同時に、秩序立ってると思う……へへへ、表面的には意味が分からないだろ……でも、それが事実なんだ。」
「はあ? もっと分かりやすく言えよ。」
「分からない……俺みたいに、その世界に属する一人として見ると……ものすごく混沌として見える……でも、お前たち刑事はそれに対して何もできない……それが同時に、秩序立っている理由でもある。」
「くそ……もっと話せ……もっと役に立つことを。」
「役に立つこと?……うーん……ああ、そうだ……ええと……世界……つまり、この大きな世界は、たぶん金を経済の基盤にしてるんだろ?……違うか?」
「そうだ。金は経済的にとても重要だ……だが、それが今、何の関係がある?」
「俺たちの世界では……武器が基盤なんだと思う……つまり、金みたいなものだ……あるいは、似ている……あああ……どう説明すればいいか分からない。」
「武器? 銃器のことか?」
「いや、水鉄砲だよ……くそったれ……当然、銃器に決まってるだろ……子供でも分かるぞ。」
「分かった、続けろ。」
「他に何を話せばいいんだ……何を話せば……ああ……そうだ……この世界では、ノーベル賞やアカデミー賞みたいな賞が報酬としてあるだろ……でも、俺たちの世界では昇格が基本的な報酬なんだ。」
「昇格?」
「ああ……俺たちの世界には階級がある……誰にでも自分の階級と称号がある……階級は、影響力や財産、それに功績によって決まる。」
「なるほど……そういう意味か……分かった。第一位の階級にいるのは誰だ?」
「はあ? 誰も名前も、顔も、何をしているのかすら知らない……完全に謎に包まれている……まるで、最初から存在していないみたいに……だが、称号は『スペクター』だ……それはプライドから聞いた。」
「プライド? あいつも階級持ちなのか?……名前は?……よく知ってるのか? あいつについて教えてくれ。」
「落ち着けよ……ずいぶん興奮してるじゃないか、刑事さん……分かった……プライドは称号だ……つまり、本当の名前がある……だが、俺は知らない……階級については……中くらいか、それより少し上だ……あいつは俺のボスだった……だが、今の俺はグラトニーだ……これからは、あいつに頼らず一人でやっていく。」
「つまり、あいつに見捨てられたのか?」
「はあ? 何を言ってるんだ、この野郎……違う、見捨てられたわけじゃない……ただ、今日からは一人で歩きたいんだ。」
「分かった、分かった……続けろ……他には何を知っている?」
「お前の事件についてなら……つまり、お前が探しているあのコンピューターのことだ……あれは俺たちの世界の人間のものだと知っている……だが、プライドじゃない……お前の事件について俺が知っているのは、それだけだ。」
「待て、待て……あいつがお前のボスなら、どうしてあいつ自身のためでもない任務にお前を送ったんだ?」
「別の男に恩を売っていたんだ……そいつに借りを作らせるためにな……俺たちの世界では借りはとても重要だ……そして人は、自分の借りを返さなきゃならない。」
「その男は誰だ? つまり、プライドが恩を売った相手は。」
「インダストリーだ……俺たちの世界では新参者だ……自分を昇格させるために、功績だけに頼っている……すごく努力してる……羨ましいよ。」
「インダストリー?」
ザックは、あの日のことを思い出した。
地下室の屋根裏にいた時、青いファイルの一つを開き、その中で『インダストリー』という称号を持つ、小柄で禿げた男の写真を見たのだ。
一方、ハリーがもう一皿ポテトを注文している間、ザックは散らばった思考の中へ深く沈んでいた。
そして、小さな声で言った。
「分かった……」
いつもの広い草原。
秋の木の葉が辺りを舞っている。
木など、どこにも存在していないにもかかわらず。
「本当に怠け者だな……少しくらい怠けるのをやめたらどうだ。」
背中を大きく曲げたジェイソンが、そうした言葉を繰り返しながら近づいてきた。
その隣には、背中の曲がったフレデリック氏と、いつもの背中の曲がった女もいる。
その三人が少しずつ自分へ近づいてくるのを、ザックは見ていた。
完全に、身動きを取ることができないまま。
「いや……いや……いや……いや……いや……いや……いや……」
それ以外の言葉を、彼は口にすることができなかった。
大きな茶色の瞳からは川のように涙が流れ、目の下の黒い隈を通り、頬へと落ちていく。
三人は彼の首を掴んだ。
そして、それぞれが全力で彼の首を絞め始めた。
普通なら、三十秒もあれば人を殺すのに十分な締め付けだった。
しかし、ザックの場合は違った。
彼は死を望んでいた。
身体は汗や涙といった液体を活発に流していたが、抵抗することはできなかった。
それでも、死ななかった。
彼は必死に抗っていた。
いや……彼らに捕らえられた。
彼の目がゆっくりと閉じていく。
最後に見えたのは、辺りを舞う秋の木の葉だった。
ザックは目を開いた。
まるで、深い海の底からたった今這い上がってきた者のように、激しく息をしている。
汗が顔を覆っていた。
「とても頑固なおじいさんだったわ……でも、あなたの名前を出さなかったら、たぶん同意しなかったと思う……ザック、あなたの名前を聞いた時の彼の反応を見たら……」
リサが話を続け、自分の話を語っている間も、ザックは少し前に自分が経験したことについて、ぼんやりと考え続けていた。
あれは本当だったのか?
それとも、幻だったのか?
何を意味していたのか?
すべての疑問は、答えを持たないまま宙に浮かんでいた。
すると、リサの声が彼の思考を断ち切った。
「ザック……私の話、ちゃんと聞いてる?」
ようやくその惨めな状態から我に返ると、ザックは申し訳なさそうな口調で言った。
「悪い……少し考え込んでいただけだ……どこまで話してた?」
「私の依頼人、アスコについて話していたの……知ってる? 彼は私のキャリアで二十人目の依頼人なの……特別な数字でしょう?」
「そうだな……その通りだ。」
「ザック……どうして彼は、あなたの名前を聞いただけで署名することに同意したの?……死にたいのかしら?……だって、私があなたから頼まれたって言わなかったら、彼はずっと拒否するつもりだったのよ。」
「はあ? 分からないな……簡単には人を信用しないとか……そんなところじゃないか。」
「じゃあ、どうしてあなたのことは信用するの? 私には理解できない……彼はまるで、窃盗や痴漢の事件でも話しているみたいに話す……でも、これは殺人なのよ……しかも、刑罰は死刑。」
ザックは先ほどよりもさらに冷たい口調で答えた。
「死を恐れていないのかもしれない……あるいは、知らない人間を信用するより、死を選ぶほうがいいと思っているのかもな。」
ベルファストの中心にある墓地には、一団の男たちがいた。
彼らに共通しているのは、黒いスーツという一点だった。
二十人ほど。
それ以上はいない。
そのうち五人が大きな箱を運び、掘られたばかりの穴へ向かっていく。
残りの者たちはそれを見守りながら両手を上げ、目を閉じて空を見つめていた。
その中にはジェフもいた。
彼だけは黒いスポーツウェア姿で現れており、そのせいで、そこにいる誰よりも少し奇妙に見えた。
係の者たちはジェイソンを箱から取り出し、あの穴の中へ入れた。
そして、穴の上へ土を投げ入れる作業が始まる。
やがて墓標が置かれ、その場所は完全な墓となった。
最後まで第40話を読んでくださって、本当にありがとうございました!
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