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社会の裏側  作者: トビー
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最初の一歩

第36話を読んでくださって、本当にありがとうございます!

今回もロジャーたちの物語をお届けします。 彼らの関係が少しずつ変わっていく中で、ザックの物語も大きく動き始めます。

それでは、第36話をどうぞ!

休み時間のチャイムが鳴り、教室から生徒たちが一斉に飛び出していくことで、校内はたちまち騒然となった。そんな人混みの中、ロジャーは鞄を抱えたまま立っていた。顔はトマトのように真っ赤になっており、緊張と恥ずかしさに満ちた足取りで、ゆっくりと歩を進めていた。

彼が向かったのは、いつも視線を向けていたあの少女だった。彼女は、決して手放すことのない小さなノートを抱えながら歩いている。ロジャーは彼女に近づくと、指先でそっと背中を叩いた。

ロジャーは戸惑いを隠せないまま、目を半分閉じて言った。

「ごめん……」

少女はすぐに振り返り、困惑と疑問の入り混じった視線で彼を見つめ続けた。もしかすると、二人がこうしてやり取りをするのは、これが初めてなのかもしれない。

ロジャーはゆっくりと息を吸い、続けた。

「レンティノラ……少し話せないかな? ほんの数分だけでいいんだ。」

わずかなためらいを見せた彼女の反応に、ロジャーはひどく動揺したものの、彼女はやがて小さく頷いて同意した。そして穏やかな笑みを浮かべる。その笑顔は、どこか悲観的だった彼の顔に、ほんの少しの温もりを与えた。

二人は学校の敷地にいくつも置かれている木製のテーブルの一つへ向かった。そして腰を下ろすとすぐ、レンティノラは小さなノートを開き、綺麗な字で書き始めた。

『それで……何を話したいの? 何でも聞くよ。』

この瞬間、ロジャーの頭の中では、凄まじい勢いで一人きりの会話が繰り広げられていた。

(ありえない……! 笑ってる……しかも僕のことを真っ直ぐ見てる……これは脈ありってことなのか? もしかして、僕に気があるのか? いや、待て、早まって判断するな……まずは話してみよう。彼女に僕といることを心地よく感じてもらって、僕に懐いてもらうんだ。生徒たちから孤立している彼女なら、少しは簡単かもしれない……僕とまったく同じように。)

レンティノラがもう一文を書き、ノートを彼へ向けたことで、ロジャーの思考は中断された。

『ロジャー……?』

喜びと困惑、そして驚きが入り混じった表情が、彼の顔に浮かんだ。

(ありえない……! 僕の名前を知ってる……! 神様、これはチャンスだ!)

彼は思わず口にした。

「それ、貸して……」

ノートを受け取り、ペンを手にすると、そこへ文字を書き始めた。

『僕と君』

だが、突然手を止め、自分が書いた文字を見直した。

(待て……僕は何を書いてるんだ?!)

慌ててその言葉を何度も乱雑に書き潰し、消そうとする。その様子にレンティノラはわずかに不思議そうな顔をした。

ロジャーは深く息を吸い、もう一度書き直した。

『明日も一緒に校庭をぶらつかない?』

そして心の中で自分に言い聞かせる。

(よし、今のは上手くいった……たぶん!)

レンティノラはノートを受け取って彼の言葉を読み、その間、ロジャーは彼女の反応を極度の緊張とともに待ち続けていた。

彼女は顔を上げると、頷いて了承し、それから素早く文字を書き始めた。

『実は、一人でぶらぶらするのにはもう飽きちゃった。』

ロジャーの心臓が、その場で跳ね上がった。

(ありえない……! 一緒にいてくれるって言った……! 待て、僕はデートのつもりだってことをちゃんと伝えてない……まあいい、今は説明するのを後回しにしよう。)

彼はノートを受け取り、再びそこへ書き込んだ。

『僕たち、きっとすごく仲のいい友達になれるよ。』

ノートを彼女へ向けると、レンティノラは微笑み、素直に頷いた。

その瞬間、ロジャーの顔には小さな勝利の笑みが浮かんだ。彼は今、自分と彼女、二人の孤独から抜け出すための、本当の意味での最初の一歩を踏み出したような気がしていた。

ザックはようやく目を覚まし、長く深い眠りから起き上がった。頭の中に軽い眩暈を感じ、安堵したような小さな声で呟く。

「少なくとも今回は、あの嫌な悪夢には遭わなかったな……」

一歩前へ踏み出したところで、突然足元にある硬い物を踏みつけ、立ち止まった。

視線を下へ向けると、そこには携帯電話が床に転がっていた。眠っている間、絶え間なく振動と着信音を繰り返していたせいで、床へ落ちたのだろう。

ザックは不思議そうに携帯電話を拾い上げた。

「ん? ここにあるはずじゃ……」

画面を開いた瞬間、彼の表情は凍りつき、驚愕のあまり眉間に皺が寄った。

(フェリックスからの不在着信、20件)

その数字だけで、胸に不安が押し寄せ、アドレナリンが血管を駆け巡るには十分だった。

ザックはすぐさま電話をかけ直した。

数秒もしないうちに、向こう側から緊張したフェリックスの声が聞こえてきた。

「ザック! どうして俺からの電話に出なかったんだ?!」

ザックは目を擦りながら答えた。

「悪いな……でも、ずっと寝てたんだ。それで、何があった?」

フェリックスはため息をつき、重く真剣な口調で言った。

「今はそんなことどうでもいい……今日は最悪の知らせだ、ザック。アスコ・マイクタの事件を受けて、死刑制度を復活させることが正式に決まった!」

ザックの目が驚愕に見開かれ、息が止まった。

「ありえない……! 国会が?! どうしてこんなに早く……?!」

フェリックスは衝撃を和らげるように続けた。

「だが、安心しろ……まだ正式に死刑判決が下されたわけじゃない。法律が可決されただけで、最終審議はまだ行われていない……俺たちにはまだ時間がある。」

ザックは息を整え、力強く答えた。

「その通りだ……まだ動く時間はある。」

そして一秒たりとも無駄にすることなく通話を切ると、急いで浴室へ向かい、シャワーを浴びて外へ出る準備を始めた。

ザックは浴室の鏡の前に立ち、自分にまとわりついて離れない疲労の色濃い顔を見つめていた。両手を緊張させながら洗面台の両端につき、まるで頭の中を荒れ狂う思考の嵐の中で、自分の身体を支えるかのようにしていた。

困惑した口調で呟きながら、彼は自問する。

「なぜ国会が、一人の検事が殺されたというだけの理由で死刑制度を復活させるんだ……? あまりにも奇妙だ。いや、筋が通っていない! フレデリック氏は、ごく普通の検事に見えた。あいつが持っていた、凶悪犯罪者たちに関する極秘ファイルのことまで国会は知っているのか……? その可能性は十分にある……そもそも、あの人が俺にだけそんなことを教える理由なんてあるのか?」

彼は目を閉じ、洗面台へ向かって頭を俯かせると、力なく続けた。

「くそっ……! 俺は一体、何に首を突っ込んじまったんだ? もし母さんたちと一緒にスコットランドへ行っていたら、今頃こんな複雑な事件を一人で背負うことなんてなかったのに……! いや、待て、落ち着け……考え方を変えてみよう。自分の選択肢をもう一度整理するんだ……いや、それよりも、今の俺に何ができるのかだけを考えよう!」

再び顔を上げて鏡を見つめる。

そして、自分の瞳に真っ直ぐな、挑戦するような視線を向けながら言った。

「俺は天才じゃない。まだ十分な経験を積んだプロでもない……だから、俺にできる唯一のやり方は、使える機会を利用することだ! そうだ……これこそが俺の本当の強みだ。捜査のためなら、周りにあるものを何でも利用する……よし……アスコ・マイクタ、お前を真実に辿り着くために利用する……そして、あの偽者の少年、お前も利用する……ロジャーとの友情さえ、俺は利用する……ははは……そういうことだ……リサ……お前も利用する……フェリックス……お前もだ……お前の友達……名前は何だった……ディミトリ……お前さえも!」

彼は視線を見開きながら、頭の中で素早く計画を組み立てていく。

「じゃあ、次の一手は何だ? アスコか……? いや、死刑制度を自分のために復活させる決定が下されたばかりなんだ。今頃はきっと、落胆して打ちひしがれているだろう……なら、次に向かう場所は刑務所だ……あの偽者の少年がいる場所へ!」

学校の外では、授業が終わったあと、ロジャーがレンティノラの隣を歩いていた。頬にはまだかすかな赤みが残っており、緊張のあまり両手の指を絡ませながら、どうにか会話の糸口を探していた。

「レンティノラ……君は何が好きなんだ? つまり……君の好きなことって、何なんだ?」

レンティノラは歩みを止め、小さなノートを取り出して答えを書こうとした。

だが突然、後ろから教室の後ろの席に座っていたいじめっ子の少年の一人が突進してきた。

彼は彼女の手から小さなノートを素早く奪い取ると、彼女の歩き方を真似しながら、馬鹿にするように、そして見下すようにそれを掲げた。

「これがそうなのか? 一人でいるときは、こいつと話してるってわけか……? 最高だな! これで今度は、引っ込み思案な眼鏡野郎は自分の眼鏡と話し、お前はこのクソみたいなノートと話してるってことだ!」

ロジャーの顔から恥ずかしさが消え、その代わりに怒りと不安が浮かび上がった。

そして、鋭い口調で怒鳴る。

「ノートを彼女に返せ……今すぐ返せ!」

嫌な少年は挑発するように笑い声を上げた。

「はあ? これが欲しいのか……? なるほどな、結局お前は恋人を守らなきゃならないってわけだ!」

ロジャーとレンティノラの顔が同時に赤くなり、二人は困惑に満ちた視線を一瞬だけ交わした。

そしてロジャーは厳しい声で叫んだ。

「今すぐノートを返せ! さもないと、絶対に後悔するぞ!」

少年は馬鹿にしたように手を振った。

「はあ? 眼鏡野郎が怒ってる! お前とは揉めたくない……おい、そこの口の利けない女、お前のこと本当に好きらしいぞ……くそったれ、お前ら二人とも!」

少年は近くにあった水飲み場へ振り返ると、小さなノートを力いっぱいそこへ投げつけた。

ノートはそのまま水の中央へ落ちた。

「こっちのほうがずっと面白い! ははは!」

少年は誇らしげに笑いながら、素早くその場を立ち去っていった。

だが、ロジャーは一秒たりともためらわなかった。

彼は勢いよく駆け出し、そのまま噴水の水の中へ入っていった。

レンティノラは驚愕したまま彼を見つめていた。衣服は完全に濡れ、両手を水の中へ入れながら、彼はノートを探し続け、やがてそれを拾い上げ、慎重に水の外へ取り出した。

ノートはひどい状態だった。濡れたページと表紙から、ぽたぽたと水が滴り落ちている。

ロジャーは濡れた両手でノートを抱えたまま、レンティノラのもとへ戻ってきた。

そして、水の冷たさに身体を震わせながらも、安心させるような口調で言った。

「ほら……家で乾かせば、また使えるようになるよ。それから、あのデカいクソ野郎を片付けることについては……あいつには二度と忘れられないような教訓を叩き込んでやる。心配しなくていい。」

レンティノラは彼を見つめた。

その瞳には感動の光が浮かび、頬は赤く染まっていた。

そして感謝を伝えようとして、敬意を示すように身体を軽く屈める。

その口から、途切れ途切れの、ひどく苦しそうな声がかすかに漏れた。

「し……し……しゅ……あ……あ……ありが……とう……」

彼女は、自分の苦い現実と、言葉で気持ちを伝えることのできない自分自身と必死に戦っていた。

しかしロジャーには、その意図も、その感情も、すべて伝わっていた。

彼は温かな笑みを浮かべて彼女を見つめ、答えた。

「お礼なんていいよ……僕たちはもう友達なんだから。」


最後まで第36話を読んでくださって、本当にありがとうございました!

もし少しでも「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけたら、作品をお気に入りに追加したり、評価やコメントを残していただけると嬉しいです。

皆さんからいただく評価やコメントは、私にとって本当に大きな励みになります。 これからも頑張って物語を書いていきますので、ぜひ応援よろしくお願いします!

また次の話でお会いしましょう!

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