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社会の裏側  作者: トビー
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海に沈む罪

皆さん、こんにちは!


第30話を読んでいただき、本当にありがとうございます!


今回、ザックたちはついにリズバーンにあるフレデリックの家へと辿り着きます。


そこで彼らが見つけるものとは……?


一方、バジディオはフォミスを失った悲しみと罪を抱えながら、一人で海へ向かいます。


少しずつ明らかになっていく謎を、ぜひ最後まで見届けてください。


それでは、第30話をどうぞ!

「リズバーン」の街中。


 車は、のどかな風景の中をゆっくりと走っていた。どこまでも広がる緑の大地と、静かな田園風の木造住宅が街のあちこちに並んでいる。


 「ベルファスト」の喧騒に満ちた通りとは、まるで別世界のような静けさだった。


 助手席では、ザックが両手で巨大な紙の地図を広げていた。


 地図は彼の顔だけでなく、フロントガラスの一部まで覆い隠している。


 ザックは真剣な表情で、目的地の住所に近づいているのかどうかを必死に確認していた。


 そんな彼を横目に見ながら、ハンドルを握るフェリックスが皮肉交じりに口を挟む。


「何やってるんだ、ザック……。スマホの地図アプリを使えばいいだろ?」


 ザックは顔を覆っていた地図を少し下げ、横目でフェリックスを見た。


「はぁ? 俺のスマホは完全にバッテリー切れなんだよ。使えないんだ。文句を言うくらいなら、お前がやってくれよ」


 そう言うと、ザックは大きな地図を手際よく折り畳み、あっという間に小さな四角形にしてからリュックへとしまった。


 一方のフェリックスは片手でスマートフォンを取り出し、ネットワークを使って現在地を確認しながら、目的地までの道をザックに案内し始めた。


 広大な海の上。


 海岸や砂浜から遠く離れた場所で、小さなボートが静かに波に揺られていた。


 その上には、バジディオが立っている。


 彼は突然、漕ぐ手を止めた。


 重苦しい静寂が辺りを包み込む。


 聞こえるのは、海水がボートの側面にぶつかる音だけだった。


 バジディオは足元へ視線を落とし、巨大で重量のあるビニール袋を両手で掴んだ。


 そして最後に一度だけ、その中にあるフォミスの遺体へと目を向けた。


 そこには、深い悲しみと苦悩が滲んでいた。


 バジディオは、嗚咽を押し殺しながら、かすれた声で呟く。


「ごめんな……兄弟……。頼むから……許してくれ……」


 バジディオは重たい袋をゆっくりとボートの端まで運んでいく。


 そして――


 その袋を、暗い海の底へと投げ落とした。


 袋は水面の下へ沈み、やがて深い海の底へと消えていった。


 残酷な仕事を終えたバジディオは、周囲を慎重に見回した。


 まるで、この広く冷たい海のどこかに目撃者や覗き見ている者がいないかを警戒しているかのようだった。


 やがて再び向きを変えると、バジディオはオールを握った。


 そして岸へ戻るため、残された力を振り絞るようにボートを漕ぎ始めた。


 その顔には、激しい疲労と強い不安がはっきりと刻まれていた。


 やがて車は、指定された住所の前で停車した。


 そこに建っていたのは、のどかな田園風景の中に堂々と佇む大きな家だった。


 家にはいくつものガラス窓があり、その向こうには庭が広がっている。


 二人は車を降りた。


 フェリックスは迷うことなく玄関へ向かい、手を上げてしっかりとドアを叩いた。


 コン、コン、コン。


 静寂。


 中から返事はない。


 二人とも、家の中が無人であることは予想していた。


 フェリックスはその場に立ったままリュックを下ろし、真剣な表情で一歩後ろへ下がった。


「どうやら誰もいないようだな……。こうなったら『フェリックス流』で開けるしかない。ザック、少し下がってろ」


 ザックはすぐに後ろへ下がり、両手を上げながら慌てて彼を制した。


「おいおい……待てって! そんなに焦る必要ないだろ!」


 だが、フェリックスは待たなかった。


 勢いよく足を振り上げ――


 ドアの鍵へ向かって、強烈な蹴りを叩き込んだ。


 バキッ!


 鍵が壊れ、ドアが勢いよく開く。


 二人はそのまま、家の中へと足を踏み入れた。


 それから数分後。


 家具や置き去りにされた衣服の間を探し回っていたザックは、散らばった書類の中に、ひときわ目立つものを見つけた。


 古い写真だった。


 そこには、フレデリック氏と、もう一人の女性が写っている。


 女性の髪は、雪のように真っ白だった。


 ザックは最初、その写真に何が写っているのかを完全には理解できなかった。


 写真には埃が積もっていた。


 ザックはゆっくりと息を吹きかけ、表面の埃を払い落とす。


 そして、改めて写真の中の人物をじっと見つめた。


 間違いない。


 そこに写っているのは、フレデリック氏本人だった。


 そして、その隣にはザックが一度も見たことのない女性が立っている。


 その印象的な白髪は、一度見れば決して忘れられないほどだった。


「フェリックス!」


 ザックは、別の部屋で調べ物をしている相棒を呼んだ。


 フェリックスは大量のテープやメモの中を調べていたところで、つい先ほど水色の眼鏡ケースを見つけたばかりだった。


 呼ばれたフェリックスは、ザックのいる部屋へとやって来る。


 そして写真を一目見ると、確信を込めた口調で言った。


「かなり古い写真だな……。画質を見れば分かる」


 二人が好奇心と疑問を募らせていた――その時。


 突然、家の下階から物音が聞こえた。


 その音に、二人は即座に反応した。


 フェリックスは慎重に階段を下り始めた。


 足音を立てないよう細心の注意を払いながら、手には拳銃を握っている。


 ザックもその後ろから慎重についていく。


 二人は、下で待ち受けている何かに備えながら、ゆっくりと階段を下りていった。

第30話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


今回、ザックたちはフレデリックの家で新たな謎を発見しました。


そして、ついに姿を現した白髪の女性。


彼女は一体何者なのか?

フレデリックとは、どのような関係があったのか?


次回、物語はさらに深い謎へと進んでいきます。


もし作品を気に入っていただけたら、ブックマークや評価、感想を残していただけると嬉しいです!


それでは、また次回お会いしましょう!

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